2017年11月10日 (金)

広江克彦著『趣味で量子力学2 オンデマンド (ペーパーバック) – 2017/6/7』へのアマゾンJPレビューより

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広江克彦著『趣味で量子力学2 / オンデマンド(ペーパーバック)』


<---引用ここから--->

4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。

Stars5_2まずは量子力学を俯瞰する, 2017/8/17

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レビュー対象商品: 趣味で量子力学2 (オンデマンド (ペーパーバック))

【これは『趣味で量子力学2 オンデマンド (ペーパーバック) – 2017/6/7』へのレビューです】

>>語り口に物理ヲタクに特有な癖みたいなものがある(『趣味で物理学』レビューより)

 広江先生の著書シリーズ第3弾、第4弾『趣味で量子力学第1巻』『趣味で量子力学第2巻』に至っては『物理ヲタク』とは言わせない完成度の高さがある。

 『趣味で量子力学第1、2巻』は一気に読むのが良いと思う。分からないところは付箋を付けアンダーラインし(あるいは蛍光ペンでマークし)、ノートにコピーし、後でじっくりその難解さと格闘すれば良い(付箋&アンダーラインをするために『趣味で量子力学第2巻』はプリント・オン・デマンドつまり紙版を購入されたい)。私自身『趣味で量子力学第1、2巻』を一応読み終えたが、分からない部分は多かった。しかし、繰り返すが、まずは『趣味で量子力学第1、2巻』を読み通し「そもそも量子力学とは何?」を俯瞰し、そのあとで、分からなかったところをつぶしていけばいい。そういう読み方で問題ないと思う。

 その際「第1巻」の山場は「フーリエ解析」だと思う。「第2巻」の山場は「摂動論」だと思う。

 ちなみに私が「分からなかった箇所(あるいは読み飛ばした箇所)」は:

・第1巻
第1章第8節 原子の構造(著者曰く「私が量子力学の話の中で一番美しいと思っている景色」)、第1章第9節 ボーア半径、テイラー展開、オイラーの公式、複素数の極形式表示、波動関数の位相の変化、調和振動子、エルミート多項式、零点振動、零点エネルギー、周期的境界条件、波の干渉、エーレンフェストの定理、確率流密度、偶関数と奇関数、波束の崩壊、第6章 多粒子系

・第2巻
完全な関数系、ユニタリ変換、時間発展、ヒルベルト空間、第12章 遷移確率、第13章 摂動論の第4節 自由度の意味以降、第14章 周期的境界条件、第15章 周期的ポテンシャル

↑私にはこんなにいっぱい分からない箇所がある・・・そんな私に「レビューを書く資格はない」と言われそうだが:すなわち「よくもまあレビューを書けるな、この人は!」と私は言われそうだが、しかし量子力学初学者の私が『趣味で量子力学第1、2巻』をスラスラ読めるはずもない。それで良いのである。なぜなら:

『趣味で量子力学第2巻 序文』にて広江先生は「前作(第1巻)で切り捨てざるを得なかった難易度が高い話題を集めたものなので、難しさについては覚悟して読んでもらいたい。全てが理解できなかったとしても恥じる必要はないだろう。少々読み飛ばしても問題ない。どこかでつまづいたらそれ以降は最後まで分からなくなるという書き方はしていないつもりである。」とフォローして下さっている。

 まずは私たちが量子力学を俯瞰するために・・・。その目的のために、ココでも著者は、前作(趣味で相対論)・前前作(趣味で物理学)と同様優しく丁寧に親切に私たちを導く・・・素晴らしき案内人だ。

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【補足(プリントオンデマンドについて)】

>>【POD(プリントオンデマンド)とは】ご注文をお受けしてから一冊ごとにすぐに印刷製本し、ほとんどお待たせすることなく発送されます(アマゾンJPより)

「この POD(アマゾン・プリント・オン・デマンド)という本(趣味で量子力学第2巻)はホントに本なのか」という・・・一抹の不安があったが、実物を手に取ると、これは何の変哲もない本だ・・・と、言いたいところだが、この『趣味で量子力学(第2巻)(POD版)』は、広江克彦著『趣味で量子力学(第1巻)(普通の書籍)』に比べると製本は若干もろいと思った。すなわち私の経験上、それ(POD による本)は、洋書(のペーパーバック)の製本に似ていると思った。それ(POD による本)を無理に開くとページが取れるという心配は皆無ではないと思った。だが、それ(POD による本)は普通に読むのであればページが取れるということはない。

下の画像は上から見た『趣味で量子力学(第2巻)』(左)と『趣味で量子力学(第1巻)』(右)
『趣味で量子力学(第1巻)』(右)のほうが複雑で丁寧な製本に見える。
一方『趣味で量子力学(第2巻)』(左)は洋書のペーパーバックの製本のように見える。←しかしそれは普通に見かけられる製本である。それは普通に利用すれば破損しない。

【2017年8月22日 追加】

私は『趣味で量子力学(第2巻)POD版』を、2017年6月8日に入手しその日から読み始めたが2017年8月22日現在、その本はページが取れたりしていないし、且つ破損していない。

<---引用ここまで--->


【参考画像】

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・同書「常設リンク」の URL

2017年6月 8日 (木)

広江克彦先生の『趣味で量子力学2 / オンデマンド(ペーパーバック)』/POD(プリント・オン・デマンド)という出版形態

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広江克彦著『趣味で量子力学2 / オンデマンド(ペーパーバック)』


私は最近、クラシック音楽をあまり聴いてない。最近購入したクラシック音楽の CD はクリスティアン・ティーレマンのブルックナー4番スティーヴン・クレオベリーのメサイアである(いずれも5月末に購入)。そのいずれも名演だが、前者は私のあまり好きではない作品であり私はそれをあまり聴き込んでいない。そして後者メサイアは、それを何度も聴くのは毎度毎度クリスマス気分にさせられるのでたまにしか聴かない(もっともメサイアはクリスマスのために書かれた作品ではないが・・・)。それらより前に購入したのはベームのドン・ジョヴァンニシノーポリのマーラー(4月下旬購入)であるが、それらはいずれも私の自宅の火災(2009年)で焼損したものを買い戻したものであり、私は火災の前にそれらをよく聴いたものだ。上記より前に、新譜としては購入したのはアン=ヘレナ・シュリューターの平均律 第1巻(4月購入)・・・これは全曲を聴き通すのに体力がいるからあまり聴いてない。そしてその前に購入したもので気に入ったものはシモーネ・ヤングの指輪全曲(昨年11月購入)。←私はこれをちびりちびり聴いている。

前置きが長くなったが、要するに、私は、最近、もしかしたら、クラシック音楽の鑑賞より物理学の学習に、より多くの時間を費やしている。そんな中、アマゾンJP より、広江克彦先生の『趣味で量子力学2 / オンデマンド(ペーパーバック)』が発売されたのでそれを予約注文した。この本は一般の書籍とは異なり「POD(プリント・オン・デマンド)」という出版形態で発売されてあり「ご注文をお受けしてから一冊ごとにすぐに印刷製本し、ほとんどお待たせすることなく発送されます(アマゾンより)」という書籍である。私はそれを、本日(発売日の翌日。6月8日)受領した(迅速!)。「この POD(アマゾン・プリント・オン・デマンド)という本はホントに本なのか」という・・・一抹の不安があったが、実物を手に取ると、これは何の変哲もない本だ・・・と、言いたいところだが、この『趣味で量子力学(第2巻)(POD版)』は、広江克彦著『趣味で量子力学(第1巻)(普通の書籍)』に比べると製本は若干もろいと思った。すなわち私の経験上、それ(POD による本)は、洋書(のペーパーバック)の製本に似ていると思った。それ(POD による本)を無理に開くとページが取れるという心配は皆無ではないと思った(勿論、良い子は本を無理に開いたりしないで下さいね)。だが、それ(POD による本)は普通に読むのであればページが取れるということはない。
POD(プリント・オン・デマンド)という出版形態は、この本が最初(の試み)ではないと思うが、もしかしたら、この本『趣味で量子力学(第2巻)』は今後、アマゾンの書籍販売方法として良き先例になりそうだ・・・。(下記画像参照のこと)




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(C) 『趣味で量子力学(第1巻)』と『趣味で量子力学(第2巻)』


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(C) 『趣味で量子力学(第1巻)』と『趣味で量子力学(第2巻)』←上の画像、表紙に黒い影のような模様がありますが、それは実物にはありません。


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(C) 『趣味で量子力学(第2巻)』 74〜75ページ。文字は美しい(ココをクリックすると大きくなります。ただし、jpg ファイル 972KB)。


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本を無理に開くと、ページの縫い目が見えるのが「洋書」(のペーパーバック)の製本に似ているなあと思った(ココをクリックすると大きくなります。ただし、jpg ファイル 1.4MB)。


【参照】

サイト『EMANの物理学』


【しつこく画像を追加しました(2017−6−12)】

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『趣味で量子力学(第1巻)』は、ページを強く開いてもページの縫い目は見えない。


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上から見た『趣味で量子力学(第2巻)』(左)と『趣味で量子力学(第1巻)』(右)
『趣味で量子力学(第1巻)』(右)のほうが複雑で丁寧な製本に見える。
一方『趣味で量子力学(第2巻)』(左)は洋書のペーパーバックの製本のように見える。←しかしそれは普通に見かけられる製本である。それは普通に利用すれば破損しない。


【2017年8月22日 追加】

私は『趣味で量子力学(第2巻)POD版』を、2017年6月8日に入手しその日から読み始めたが2017年8月22日現在、その本はページが取れたりしていないし、且つ破損していない。

2017年5月19日 (金)

トマ・ピケティ著「21世紀の資本」を読んで(14)ドナルド・トランプと「21世紀の資本」/ピケティが言っていた米国の格差拡大社会は真実だった

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Piketty

21世紀の資本 単行本 - 2014/12/9
トマ・ピケティ


リーマンショックで資産を失くししかも這い上がれない中流階級のルサンチマン・・・働きもせず莫大な富を得る米国の金持ちどもに対するルサンチマン・・・それがトランプ大統領を勝たせた。極貧になった米国の中流は誰でもトランプに入れるね・・・ピケティが言っていた米国の「格差拡大社会」は真実だった。

2017年5月 5日 (金)

改訂第7版 LaTeX2ε美文書作成入門

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改訂第7版 LaTeX2ε美文書作成入門


「本書も pLaTeX で制作したものです。(改訂第7版 LaTeX2ε美文書作成入門 大型本 - 2017/1/24 序 第1ページより)

私は、28年ぐらい前に「QuarkXPress 2.0J (1989)」で、DTP をやった経験がある。しかしこの20年ぐらいはやってない。

「クラシック音楽のコンパクトディスク輸入盤」のブックレット(仏語、英語、独語)とまったく同じ内容の「pdf ファイル(たとえば「アヴデーエワのシューベルト、ショパン、プロコフィエフ」)がネット上にアップロードされているのを見てその 「pdf ファイル」をどうやって作ったんだろう(?)と私は思う・・・というか・・・もともとその「pdf ファイル」があって、それを印字したものが、その「クラシック音楽輸入盤」に付属されてあると言う方が正確でしょうね。

というわけで、私は「そのような pdf ファイルはどんな DTP ソフトで作ってあるのだろうか」と疑問に思い、わざわざ、アドビに電話で問い合わせてみたけど納得いく返事は得られなかった(つまり、アドビの製品だけでは上記の「pdf ファイル」は作れないと私は思った)。

「改訂第7版 LaTeX2ε美文書作成入門」を購入して私は驚いた。私がそれを購入した目的は美しい数式を書くためだった(下記)。これ(TeX。テックまたはテフと読む)は、400ページを超える同書「LaTeX2ε美文書作成入門」自体を作成できる強力なソフトだった(!)これって、DTP ソフトじゃないか(!)と私は思った。そして「クラシック音楽輸入盤」に付属されているブックレットと、その「pdf ファイル」は、もしかしたら、これ(TeX)で作られているのではないか(!)と思った。

ちなみに、私はこれ(LaTeX2ε)をインストールしたが、うまく動かなかった。私は、一晩中これを(5回ぐらい)「インストール」→「アンインストール」→「インストール」。試行錯誤を繰り返した挙げ句、とうとう動かなかったので、一眠りし、6時間後起床、もう一度動かしてみたら動きました。なんと、私は「TeXShop(Mac)」の編集用画面に「Tex」と書いていた・・・それじゃあ、動く訳ないね。

【私の環境】 Mac OS X 10.9.5 / 2014年購入。「LaTeX2ε(TeXShop Mac 版)」さしあたりちゃんと動いてます。


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2016年9月24日 (土)

トマ・ピケティ著「21世紀の資本」を読んで(13)/黒田総裁の「いやいやながらのUターン」/私(藤四郎)の考え:よく分からないが要するにさっさと「資本税」を導入して貧乏人にお金をまわせばデフレは消えるんじゃないの(?)/【2016−10−6 追加】 貧乏人にお金をまわせば・・・←「お金」じゃなくて商品券がいい。貯蓄されないように・・・

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Piketty

21世紀の資本 単行本 - 2014/12/9
トマ・ピケティ

・・・

黒田総裁の「いやいやながらのUターン」
これから政府と日銀の「総力戦」が始まる

2016.9.23(金)池田 信夫

 注目されていた日本銀行の「総括的な検証」と、金融政策の「新しい枠組」が発表された。おおむね予想された通り「2%のインフレ目標」を無期延期し、マネタリーベース(現金供給)という指標を実質的に取り下げる方針転換である。

 ただこの発表は難解な「日銀文学」で書かれており、行間を読まないと意味が分からない。普通のビジネスマンが理解するのは容易ではないと思われるので、ここではその内容をやさしく解説し、それが何を意味するのかを考えてみよう。(2016年9月23日 jbpress.ismedia.jpより)

(下に続く)

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2016年9月20日 (火)

オットー・フリードリック著「グレン・グールドの生涯」に書いてある、私の好きな逸話など(4)グールドとテクノロジー/録音テープを重ね継ぎすることによって、ブルーノ・ワルターとクレンペラーの演奏をつなげる/「レコーディングの将来(1966年の論文)」より

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オットー・フリードリック著「グレン・グールドの生涯」

 グールド自身もかなりの夢想家だった。音楽におけるこのテクノロジーの革命が絶頂に達すると、聴き手の解放が、いやもっと正確に言えば、受動的な立場から積極的な参加者へと聴き手の変身が起こるだろう、と信じていた。「つまみをいじるのも、限られた形ではあるが、一個の解釈行為である」と「レコーディングの将来(注:1966年発表の論文)」で書いている。「四十年前、聴き手の選択の自由は『オン』や『オフ』の印のついたスイッチを入れたり切ったりすることに限られ、最新の機器でも、ヴォリュームを少し調整するくらいだったかもしれない。だが今日、さまざまなコントロールが可能となり、聴き手は分析的な判断が求められている。だが、これらのコントロールはごく初歩的で、微調整をしているにすぎない。というのは、現在研究段階にある技術がひとたび家庭の再生装置に組み込まれたならば、聴き手の参加度はいっそう拡大するからだ。」
 この「新しい種類の聴き手」が、自分の膨大なコレクションのあらゆるテープを再編集できるようになれば、グールドはたいへん満足しただろう。「例えば、ベートーヴェンの第五交響曲第一楽章は、呈示部と再現部はブルーノ・ワルターの演奏が好きで、展開部はテンポの大きく異なるクレンペラーの指揮がいいとする。……ピッチと速度の相互関係はひとまず置いておくが、クレンペラーの録音から該当箇所の小節を切り取って、ワルターの演奏の途中にスプライシング(注:録音テープを重ね継ぎすること)によってはさみ込めるのである。その際に、テンポが変わったり、ピッチが上下することもない。……」
 パラダイスの夢想は、どんなものであれ、それを夢想した人間が自分のために望んだものになってしまうことはまず避けられない。口には出さないが、他人も同じことを望んでいるのだと決めてかかっている。《ヴァルキューレ》第二幕で、ブリュンヒルデは戦士ジークムントに対して、死んだ勇者の行くヴァルハルの殿堂がいかに素晴らしい場所かを約束する。「見事な肉体をもった死せる勇者たちがあなたを抱き締め、厳かに歓迎してくれる」のである。一方、T・S・エリオットは、河馬が最終的に聖人に列せられ、「黄金の竪琴を奏で」、雪のように白く洗われ、「殉教した乙女たちの接吻を受ける」と『河馬』という詩の中で予言している。そしてグールドはといえば、音楽ファンが会社で一日懸命に働いたあと家に帰り、ただちにグールド的スタジオに向かい、テープ編集をして夕べを費やすようになる日を夢見ていたのである。グールドは言った。「究極的には、聴き手は自分自身のための作曲家になるのである。」
(オットー・フリードリック著「グレン・グールドの生涯」204ページより)

クラシック音楽の聴き手がテープを継ぎ合わせてブルーノ・ワルターとクレンペラーの演奏をつなげることは「許されること」であるばかりか「聴き手とは逆の立場」=「演奏者という立場」にあったグールドにとって、それは「夢」であった(勿論、グールドは、聴き手でもあった)。

2016年7月31日 (日)

オットー・フリードリック著「グレン・グールドの生涯」に書いてある、私の好きな逸話など(3)聞こえない音(音楽)が、いちばん素晴らしく聞こえる(?)

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オットー・フリードリック著「グレン・グールドの生涯」


グールドが自分の奇妙な能力に気づいたのは、十三歳くらいの頃だった。モーツァルトのハ長調フーガ(K三九四)を練習していたとき、不機嫌な家政婦が電気掃除機のスイッチを入れて練習を邪魔することにした。
「さて、次のような結果になりました。」一九六四年、トロント音楽院の卒業式での式辞でグールドはその思い出を語っている。「……このきらめくような全音階的な音楽は、ヴィブラートの暈(ぼかし)がかかったようになりました。いやむしろ、浴槽で、両耳に水がいっぱいに詰まった状態で歌をうたい、一気に頭を左右に振ったときに得られる効果とでも言いましょうか。そして柔らかいパッセージでは、自分の創り出している響きがまったく聞こえませんでした。もちろん感覚はありました。鍵盤に対する触感はあったのです。……自分がやっていることのイメージはつかめましたが、実際には音は聞こえませんでした。しかし奇妙なことは、電気掃除機が介在しなかったときよりも、急に素晴らしく聞こえるようになったことです。それも、実際に聞こえなかった部分がいちばん素晴らしく聞こえたのです。」(「音楽院卒業生に贈る言葉」)
 偶然性の音楽あるいはチャンス・オペレーションに没頭していた頃のジョン・ケージについて、こんな話がある。よく馴染んだブラームスの交響曲の録音を聴いて退屈の表情を浮かべていたときのこと、突然ドアの呼び鈴が鳴って鑑賞を邪魔されたその瞬間、ケージは喜びに顔をほころばせてしまったのである。これは客が来たらしいので喜んだのではない。ブラームスの交響曲と鳴り響く呼び鈴という偶然の取り合わせを初めて聞くことができたのを喜んだのである。モーツァルトと電気掃除機からグールドが理解したのは、音の奇妙な取り合わせを単に受け入れるということではなく、音楽を知覚する力を聴覚からほぼ完全に分離することだった。

(「グレン・グールドの生涯」42ページより)

2016年6月13日 (月)

オットー・フリードリック著「グレン・グールドの生涯」に書いてある、私の好きな逸話など(2)「音楽こそが僕のエクスタシーなんだ」

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オットー・フリードリック著「グレン・グールドの生涯」


「音楽こそが僕のエクスタシーなんだ」

(「グレン・グールドの生涯」464ページより)

というのは、よく知られたグールドの言葉だが・・・「グールドにとっては、音楽を聴いたり演奏したりすることこそ性的エクスタシーであった」というのは、嘘である:

グールドは、多くの人から、「性」について、しつこく問われたので、彼は面倒臭くなって、思わず「音楽こそが僕のエクスタシー」と口走ってしまった・・・というのが、グールドの「エクスタシー発言」に対する私の解釈。すなわち、それは意味のない発言であり、グールドの音楽と「性的エクスタシー」は、まったく関係ない・・・上記の本を読んで私はそう感じたが(?)

【2017−1−24 追加】

【参考】

ジョンズ・ホプキンズ大学の精神科医ドクター・ジョゼフ・スティーヴンズによれば、彼がトロントを訪問する度に、グールドはオランダ人のマッサージ師をいつも決まったように呼んでいたという。「グレンがマッサージを受けている間、私は傍らに座っていたのです」とスティーヴンズは語る。「私は考えました。いったいこれはどういうことなのか、と。というのも、私の理論によれば --- これは絶対的な理論なのですが --- 人間は誰でも他人との身体的な接触に飢えているというものです。私の知る限り、グールドの他人との身体的接触は、これ以外にまったくありませんでしたから、彼は身体的接触をこのマッサージ師ともったことになるのです。そしてこのマッサージは延々と繰り返されました。」やはりその頃のグールドを知っていたバスーン奏者ニコラス・キルバーンは、一度グールドとセックスについて話し合ったことを思い出す。そのときグールドはこう言ったという。「音楽こそが僕のエクスタシーなんだ。」(「グレン・グールドの生涯」464ページより)

オットー・フリードリック著「グレン・グールドの生涯」に書いてある、私の好きな逸話など(1)ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第1番 ハ長調 Op.15

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オットー・フリードリック著「グレン・グールドの生涯」


グールドの監禁状態をさらによいものにすることができたであろう唯一のこととは、外の世界を賞讃する感覚だった。しかし、その感覚も、最新の録音、つまりベートーヴェンの第一協奏曲のきらめくような演奏のレコードのおかげで知ることができたのである。このレコードでグールドは自作のかなり重厚な対位法的なカデンツァを弾いていた。「ここ二日間というもの、私は有頂天になりっぱなしです。送られてきた、私たちのベートーヴェンの第一番を聴いているのです」と彼は、オーケストラの伴奏をしてくれた指揮者のヴラディミール・ゴルシュマン(一八九三〜一九七二)に手紙をしたためた。「もうすでにお聴きになっていて、私と同様、これに誇りを抱いていらっしゃるとよいのですが。この演奏には最初から最後に到るまで、真の生きる喜び(ジョワ・ドゥ・ヴィヴル)があります」(一九五八年十一月)。そしてそれから、素敵な光景がホテルで生まれた。グールドが病室(グールドは当時、ハンブルクで療養中であった。ブログ開設者より)でこのベートーヴェンの協奏曲の新しいレコードをかけていたら、部屋のメイドが耳を澄ませて立ち止まったのである。「メイドは戸口に足を踏み入れたまま、モップを両手に持って立っています。プレーヤーからから聞こえてくる第一楽章のカデンツァに釘づけになっているのです。--- 今終わりました。彼女はお辞儀をしたたけで、隣の部屋へ行ってしまいました。」(「グレン・グールドの生涯」138ページより)

そのメイドさんが、クラシック音楽の愛好者であったかどうかは定かではない。が、とにかく、グールド自作のカデンツァ(ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番)は(もしかしたらクラシック音楽をほとんど聴かない)そのメイドさんに気に入られた。

>>今終わりました。彼女はお辞儀をしたたけで、隣の部屋へ行ってしまいました。

グールドにとって、100人の音楽批評家がグールドの演奏を「良い」と評価するよりも、そのメイドさん反応のほうがよっぽど喜ばしく嬉しかったに違いない。

トマ・ピケティ著「21世紀の資本」を読んで(12)納税者が資本税額を自ら計算して申告するよりも、政府(国)が資本税額を納税者に通知し、払わせるほうが、納税者も喜ぶ/「確定申告を、納税者に代わって、政府(国)がやってくれるような事」

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Piketty

21世紀の資本 単行本 - 2014/12/9
トマ・ピケティ

<--- NHK オンラインからの引用 ココから --->

「世界経済のリスクと伊勢志摩サミット」(視点・論点)より引用

公益財団法人国際金融情報センター理事長 加藤 隆俊
(中略)
先般公表されたいわゆる「パナマ文書」によればタックスヘイブンの利用者は全世界的な拡がりを見せています。タックスヘイブンで設立された法人には、合理的な企業活動に基づくもの、本国で納税すべき所得を低税負地に付け替るためのもの、或いは違法に稼得された所得を秘匿するためのもの等種々のものが混在していることでしょう。要は設立された法人に関する情報がタックスヘイブンも含む関係税務当局間で情報交換される仕組みを構築することであります。そうすれば、関心ある税務当局は税逃れの疑われる事案を追求することが出来る、そうした仕組みを持っている、それだけで相当な抑制効果があると思います。本年の伊勢・志摩サミットでは是非、税逃れの補捉に向けてのいわば行動計画のイニシアティブをG7として取ってほしいと考えます。(以下略)

(2016年5月19日 18時03分 NHK オンラインより)

>要は設立された法人に関する情報がタックスヘイブンも含む関係税務当局間で情報交換される仕組みを構築することであります。
>そうすれば、関心ある税務当局は税逃れの疑われる事案を追求することが出来る、そうした仕組みを持っている、それだけで相当な抑制効果があると思います。

<--- NHK オンラインからの引用 ココまで --->

要するに、ピケティが「21世紀の資本」で言っていることをやればいい:

たとえばフランスでは、政府は誰それが40万ユーロの価値を持つアパルトマンを持っていて、時価20万ユーロの株式ポートフォリオを持ち、10万ユーロの借り入れ残高があると知っている。だから政府はこうした各種数字(そして、誰それの純資産が50万ユーロだという記述 【ブログ開設者より】 40万+20万−10万=50万)を示した書類を誰それに送り、もし必要なら追加訂正を求めることができる。この自動化されたシステムを全国民に適用するほうが、あらゆる人物に自分の保有額を正直に申告するよう依頼するという古くさいやり方よりもはるかに21世紀に適合している。(「21世紀の資本」546ページより)

つまり、納税者が資本税額を自ら計算して申告するよりも、政府(国)が(納税者が有する財産に基づき計算される)資本税額を納税者に通知し、それを納税者に払わせるほうが、納税者も、余計な労力や金(税理士のための)を使わないですむので、きっと喜ぶだろう。脱税もなくなる。というか、政府が納税額を決めるのであるから、その金額に、誤りがあって過小評価であっても、それは脱税にならない。
例えて言えば、確定申告を、納税者に代わって、政府(国)がやってくれるような事。

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