2012年2月25日 (土)

セリーヌ・モワネの「無伴奏オーボエ作品集」

Moinet

セリーヌ・モワネの「無伴奏オーボエ作品集」

Johann Sebastian Bach (1685 - 1750)
Partita in A minor, BWV 1013
[originally for flute solo]
I. Allemande 5' 33
II. Corrente 4' 35
III. Sarabande 4' 47
IV. Bourrée Anglaise 2' 58

Luciano Berio (1925 - 2003)
Sequenza VII (1969) 8' 25

Benjamin Britten (1913 -1976)
Six Metamorphoses after Ovid for solo oboe, op. 49 (1951)
I. Pan. Senza misura 2' 42
II. Phaeton. Vivace ritmico 1' 19
III. Niobe. Andante 2' 32
IV. Bacchus. Allegro pesante 2' 05
V. Narcissus. Lento piacevole 4' 07
VI. Arethusa. Largamente 3' 08

Elliott Carter (b. 1908)
Inner Song (1992) 6' 28

Carl Philipp Emanuel Bach (1714 - 1788)
Sonata in A minor, Wq.132
[originally for flute solo]
I. Poco adagio 5' 42
II. Allegro 5' 22
III. Allegro 4' 39

Total Time 64' 31

Céline Moinet, oboe
Enregistrement avril - mai 2011, Tedex Studio Berlin
harmonia mundi s. a.

この人は、循環呼吸(英語:Circular breathing)というのをマスターしてるのだろうか? 大バッハの「アルマンド」と「コレンテ」はフレーズの切れ目が少ないので息継ぎしていないように聞こえる・・・しかし、そんなことを考えながら聞いていると、聴いている私が息苦しくなってきたので考えないことにする。いずれにしても超越技巧的演奏だと思う。

ベリオの作品も「シ」の音を軸とするバリオラージュ(a bariolage around a pivot)で演奏される【注】。セリーヌ・モワネの演奏では、その「シ」の音が全曲を通して弱音で持続しているように聞こえる。
ベリオの「Sequenza VII」は、下記、

Sequenza I for flute (1958);
II for harp (1963);
III for woman's voice (1965);
IV for piano (1966);
V for trombone (1965);
VI for viola (1967);
VII for oboe (1969) (rev. by Jacqueline Leclair and renamed "Sequenza VIIa" in 2000);
VIIb for soprano saxophone (adaptation by Claude Delangle in 1993);
VIII for violin (1976);
IXa for clarinet (1980);
IXb for alto saxophone (1981);
IXc for bass clarinet (adaptation by Rocco Parisi in 1998);
X for trumpet in C and piano resonance (1984);
XI for guitar (1987-88);
XII for bassoon (1995);
XIII for accordion "Chanson" (1995);
XIVa for violoncello (2002);
XIVb for double bass (adaptation by Stefano Scodanibbio in 2004).

の中の第7曲である。

ブリテンの「Six Metamorphoses」は、オウィディウスの『変身物語』を題材にした作品である。これはこのアルバムの中核であり、ブリテン的な親しめる作品。それぞれの神々と人間の性格を、抒情とユーモアで表している。おもうに、ブリテンの「Six Metamorphoses」は、オーボエという地味な楽器で、壮大なギリシャ神話に思いを馳せさせ、神話に登場する「神々と人間」の特異な「神格や変容」をイメージさせる名曲・名演:

パン:牧神
パエトーン:太陽神の子。パエトーンが墜落したため、地上に大火事が起き、これを消し止めるためにゼウスが川の水を氾濫させたことによってデウカリオーンの大洪水が起きたとする。
ニオベ:ギリシア神話に登場する女性。タンタロスの娘で、テーベ王アンフィオンの妻。女神レトに子供の数の多さを誇ったため、レトの子アポロンとアルテミスにすべての子供を射殺され、悲しみのあまり石になったという。
バッカス:酒の神
ナルキッソス:自分の姿に恋した美青年
アレトゥーサ:ギリシア神話に登場する精霊。シチリア島のシュラクーサイ近くのオルテュギア島にあるアレトゥーサの泉に変じたことで知られる。

エリオット・カーターの「Inner Song」は「オーボエとハープのための三部作」の中間部である。最初は、パッとしない作品に思えたが、よく聴くといい曲だった・・・非常に気に入った。こういう曲を魅惑的に吹くセリーヌ・モワネは、間違いなく実力者だ。
「Inner Song」は、リーフレットには瞑想的であると書いてあるが、むしろメランコリックで痛切な旋律が広い音域を飛び交う。

この曲のモットーは、リルケの「オルフェウスに寄せるソネット」の一節:

Worte gehen noch zart am Unsäglichen aus ...
「言葉は消える。言い知れぬままに」

--

びっくりしたのは、エマヌエル・バッハの「ソナタ」が非常によい作品であったことだ。エマヌエル・バッハの「ソナタ」のほうが、大バッハの「パルティータ」より私は気に入った。第1曲「Poco adagio」は、20世紀の音楽を思わせるかも知れない。

「Sequenza VII」と「Inner Song」はハインツ・ホリガーのために作曲された作品。

【注】バリオラージュ:バイオリン奏法の一種。音色の変化を求め、開放弦と開放弦でない弦を交互に反復する奏法。例えば、バッハの無伴奏弦楽器曲に頻出。

【HMV.co.jp へのリンク】
『無伴奏オーボエ作品集〜バッハ、C.P.E.バッハ、ブリテン、ベリオ、カーター』セリーヌ・モワネ

【MDT.co.uk へのリンク】
MOINET, CELINE Solo Oboe. Bach: Partita BWV 1013, CPE Bach: Sonata Wq. 132, Berio: Sequenza VII, Carter: Inner Song, Britten: Six Metamorphoses after Ovid. Harmonia Mundi

私は、MDT.co.uk で購入した。9.25GBP+1.50GBP (postage and packing) Total 10.75GBP だった。

【オフィシャルホームページ】
Céline Moinet Official Website

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