2013年10月24日 (木)

ミハエラ・ウルスレアサが残した2枚のアルバム

Ursuleasa_1

『ピアノ&フォルテ』
ミハエラ・ウルスレアサ(Mihaela Ursuleasa)(ピアノ)

ベートーヴェン:自作の主題による32の変奏曲 WoO.80 [10:40]
ブラームス:3つの間奏曲 Op.117
ラヴェル:夜のガスパール
ヒナステラ:ピアノ・ソナタ第1番 Op.22
パウル・コンスタンティネスク (1909-1963):Joc dobrogean [3:53]

2009年録音

このピアニストは、もうこの世にいない(ウィキペディア日本語版および英語版参照)。死因は「2012年8月2日、ウィーンの自宅で脳内出血」とある。「SPIEGEL ONLINE 2012年8月4日」に、「警察は、死因は転倒または動脈瘤破裂による脳内出血と推定、事件性を否定した/すでに発病していたかは定かではないが、彼女は、死の少し前に健康上の理由からコンサートを2つキャンセルした」とある。

Beethoven_woo80
「ベートーヴェン:32の変奏曲 WoO.80」の主題(midi

ベートーヴェンとブラームスは、グレン・グールドも録音しているので聴き比べてみた。私はブラームスは苦手なのでノーコメント。ベートーヴェンのほうは、当然、グールドのほうがうまいが、ウルスレアサの演奏も面白い。ウルスレアサは、打鍵が乱暴と言っていいほど強い。鋭い。尖っている(?)。最初、彼女の弾くピアノの音がよく聞こえなかったので、アンプの音量を大きくして聞いたら、今度は、うるさい(たとえば第6変奏、1分42秒。まさにピアノ&フォルテ)。しかし、歌うべきところは歌っている(第15変奏あたり、4分50秒)。そして、また第18変奏あたり(5分43秒)で、技巧的。ちゃんと盛り上げている。ウルスレアサのベートーヴェン変奏曲は気に入った。

ラヴェルの「夜のガスパール」という曲は、私は苦手。つまりよく知らない。しかし、彼女が弾くと面白い。勿論、技巧に秀でた演奏。第3曲「スカルボ」が始まった時、私は「次のヒナステラのピアノ・ソナタがもう始まったのか」と思ってしまった(これまたアンプの音量を大きくして聞いたら、うるさい)。このピアニストは単細胞と言っては言い過ぎだが、単純素朴。その素朴さが私は気に入った。(私が苦手だった曲を)「聞かせる技量」を持っていると思った。技巧・表現・音の美しさのバランスはとれている。

ヒナステラのソナタは、4楽章からなる約16分の曲。攻撃的で美しい演奏なのだが、研究不足のような気がする。第3楽章は特殊奏法で静かに始まる。その第3楽章は、もう少し深みが欲しいような気がする。

最後のパウル・コンスタンティネスクが、このアルバムのメインと言っていいだろう。ウルスレアサは、本来、現代曲を徹底的に研究し、それを弾くべき人だったと思う。


Ursuleasa_2

Romanian Rhapsody
Mihaela Ursuleasa, piano
Gilles Apap, violin

George Enescu: Romanian Rhapsody No. 1, Op. 11/1
Paul Constantinescu: Suite for Piano
Franz Schubert: Three Piano Pieces, D 946
Béla Bartók: Two Romanian Dances, Op. 8a, Sz 43
Béla Bartók: Rhapsody for Violin and Piano No. 2, Sz 90

2010年録音

文字通り、ルーマニア音楽をテーマにしている。これは、インティメートなアルバムだと思う。ファーストアルバムのような過激さはない。

1曲目は、ジョルジェ・エネスクの「ルーマニア狂詩曲第1番」のピアノ版。

2曲目。パウル・コンスタンティネスクの「ピアノのための組曲」の第3曲は、ファーストアルバムの最後の曲と同じ曲だった。全曲聴いてみると、意外にまともな曲だった。

3曲目。彼女は、リーフレットの中で、「シューベルトの音楽もまた、そのルーツをたどるのは難しい」と書いている(ココに唐突に出てくるシューベルトに民族性を見出すということであろうか?)。彼女は、ウィーン在住の期間が長かったとも書かれてある。

4曲目、5曲目。バルトークの2つの作品(Sz 43, 90)は、最後を飾るにふさわしい。ウルスレアサが冴えている。
バルトークの「ラプソディー」は、管弦楽伴奏ではなく、ピアノ版。ヴァイオリニスト、ジル・アパップ(Gilles Apap、アルジェリア出身)が民族的演奏法で弾いている。

ココだけの話、上の2枚、私は気に入ったが、わざわざお金を出して買うほどのものではない(1450円ぐらいなら買ってもいいが・・・)。

【オフィシャルホームページ】
Mihaela Ursuleasa

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