2016年3月22日 (火)

クラシック音楽に、嗜好や思想などを超えた《客観的評価》というものが存在するのか?/アンジェラ・ヒューイットの「ダンテを読んで」/クレール=マリ・ル・ゲの「ペトルーシュカからの3楽章」

Hewitt

Franz Liszt (1811-1886)
Piano Sonata
Dante Sonata
Petrarch Sonnets
Angela Hewitt (piano)
Recorded in Jesus-Christus-Kirche, Berlin, on 19-22 May 2014
Piano FAZIOLI
Hyperion Records

--

私は、エントリー http://koshiro-m.cocolog-nifty.com/blog/2015/03/post-db13.html にて、

「とにかく、ヒューイットの(リスト:)「ダンテを読んで」は、《カッコイイ》」

と、書いた。そして、私は、そのエントリー(記事)と同一文章を、アマゾンJP にカスタマーレビューした(下記)。

>1 人中、0人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています(2016年3月22日現在)。
>5つ星のうち 4.0 「ロ短調ソナタ」はイマイチ。「巡礼の年第2年」は良い(特に「ダンテを読んで」が良い), 2015/3/13
>投稿者 KM

そして、よく見たら、某投稿者さんも、同商品のカスタマーレヴューで、リスト「ロ短調ソナタ」を貶しているが「ダンテを読んで」だけは褒めている:

「ただし、唯一の救いは、ソナタと共に併録されたソナタ風幻想曲「ダンテを読んで」の演奏が聴き映えがすることだけである」

これは、偶然の一致か? 必然か?

--

当ブログ前エントリーにおけるル・ゲの『ペトルーシュカからの3楽章』においても、私の評価と、アマゾンJP カスタマーレビューアーさんの評価に、上記と同様の評価の一致を見ている。すなわち、私の評価:

「ブニアティシヴィリより、ル・ゲの『ペトルーシュカからの3楽章』のほうがベター」

と、アマゾンJP のカスタマーレビューアー the Cat さんのレビューにおける同曲同演奏に対する評価:「ダフニスとクロエ」ピアノ独奏版を貶しているのに:

「ペトルーシュカからの3楽章」は(中略)なかなかどうして、かなり良い出来なのではないかと思います」

は、(完全ではないが)一致した。←クラシック音楽に、嗜好や思想などを超えた《客観的評価》というものが存在するのだろうか?

==

【余計なこと】

ヒューイットは、技巧が衰えないうちに、リスト:ロ短調ソナタを録音したのか?

==

【なお、ヒューイットのリスト:「ダンテを読んで」は、Apple Music にない】

2016年3月19日 (土)

クレール=マリ・ル・ゲの『ペトルーシュカからの3楽章』

Le_guay

STRAVINSKY*/RAVEL
Trois mouvements de Petrouchka*
Daphnis et Chloé
Transcriptions pour piano
Claire-Marie Le Guay, piano
2001年録音
ACCORD

--

・ストラヴィンスキー:『ペトルーシュカ』からの3章
・ラヴェル:『ダフニスとクロエ』全曲(ピアノ独奏ヴァージョン)

 クレール=マリ・ル・ゲ(p)

 録音:2001年3, 5月[デジタル]

--

このアルバムは、購入して、久しく聴いてなかった。なぜなら『ダフニスとクロエ』が、ダラダラした演奏だったから・・・。「何で、ブニアティシヴィリより、ル・ゲの『ペトルーシュカからの3楽章』のほうがベターなのか」を、私は説明できない・・・もどかしい(←ただし、ル・ゲのストラヴィンスキーも他人にすすめられる演奏ではない)。

まあ、アマゾンJP のカスタマーレビューアー the Cat さんも、ル・ゲの『ペトルーシュカからの3楽章』を褒めているので、やっぱり、良い演奏なのでしょう。が、そのレビューアーさんも、彼女のストラヴィンスキーを褒めてはいるが、その理由を書いてない。

でも、上記レビュー「このレビューは参考になりましたか? はい」に、私は、1票投じた。

--

【追伸1】 Apple Music で試聴可。検索キーワード: Le Guay または Stravinsky Le Guay

Le_guay_2
(C) Apple Music

--

【追伸2】 ル・ゲの『ダフニスとクロエ』は、ラヴェルを好きな人には楽しめるかも知れない。

2016年2月11日 (木)

カティア・ブニアティシヴィリ plays ムソルグスキー、ラヴェル、ストラヴィンスキー

Buniatishvili

Kaleidoscope
Khatia Buniatishvili, piano
Recorded: 2015
SONY

Mussorgsky (1839 - 1881)
Pictures at an Exhibition (piano version)

Ravel (1875 - 1937)
La Valse

Stravinsky (1882 - 1971)
Three Movements from Petrushka

--

【収録情報】
● ムソルグスキー:組曲『展覧会の絵』
● ラヴェル:ラ・ヴァルス
● ストラヴィンスキー:『ペトルーシュカ』からの3楽章

 カティア・ブニアティシヴィリ(ピアノ)

 録音時期:2015年8月23-26日
 録音場所:ベルリン、フンクハウス・ナレーパシュトラッセ、ザール1
 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)

(HMV.co.jp より)

--

私は、ロシア音楽が苦手なので、下記、メジューエワの『展覧会の絵』へのユーザーレビューが参考になった(HMV.co.jp)。

「(前略)この曲は、絵というフレームにミニマム化された、時代に踊らされた個人の独白が本来の大きさで、アップライト用の曲だ。(中略)メジューエワの演奏は例外的に適正なサイズから攻めており、この曲をロシア文学的な肖像画的な世界として捕らえている。」

メジューエワの『展覧会の絵』を参考にすれば、ブニアティシヴィリの『展覧会の絵』は「時代に踊らされた個人の独白」的ではなく、エンターテインメントに聞こえる・・・技巧も、奏法も。ただし、彼女は、その技巧をひけらかすだけでなく「古城(全107小節)」「ビドロ(牛車。全64小節。いずれも嬰ト短調)を、遅めのテンポで演奏・・・多分、それらの演奏は丁寧な演奏なのだろう・・・それらの長い曲において、ブニアティシヴィリは、リスナーを退屈させない:チャーミングな演奏を聞かせている・・・しかし、私の主観では、ブニアティシヴィリの『展覧会の絵』を組曲として聴くとき「一つ一つの曲の一つ一つのイメージが的確に表わされているか? それらが上手くつながっているか? 上手く流れているか?」と問えば、その点、必ずしも、グッド・ジョブ(!)とは言えない、と、私は思う・・・が、繰り返すが、彼女の弾く「古城」「ビドロ」の快い演奏を聴くと、彼女の『展覧会の絵』は、失敗作とは言えまい。「カタコンベ - ローマ時代の墓」から「死せる言葉による死者への呼びかけ Cum mortuis in lingua mortua」への流れは悪くないが「古城」「ビドロ」ほどは良くないのが惜しい。「カタコンベ - ローマ時代の墓〜Cum mortuis in lingua mortua」における彼女の演奏は、もっと思い入れあるほうがムード出たと思うが、それは私の思い過ごしか・・・? 前後するが、ブニアティシヴィリの第1曲「プロムナード」のソフトな出だしは好感持てる。

ラヴェルの「ラ・ヴァルス」は、まさしく、エンターテインメント。文句なし。大音量で聴くと気持ち良い。←是非、大音量で聴いて欲しい!

ストラヴィンスキーの『ペトルーシュカからの3楽章』は、ブニアティシヴィリの技巧を持ってしても(比較するのが彼女には気の毒だが)、ポリーニによる同曲演奏に遠く及ばない。正直言って、何を言いたいのかさっぱり分からない。残念だ。

彼女は、ショパンのバラード4番(参照:ソフィー・パチーニの「ショパン:ピアノ独奏曲集(バラード第4番 作品52)」の下の方)が上手かった。ジョージア(グルジア)出身の彼女は、ロシア系よりポーランド系のほうが上手い(あるいは合っている)のかも知れない。

--

【Apple Music】 検索キーワード:Kaleidoscope Buniatishvili

Buniatishvili

--

【追記】 私は、Marylin Frascone というピアニストの『展覧会の絵』が気に入っているが、残念ながら、現在、その盤は廃盤である。

Frascone

2016年2月 5日 (金)

コパチンスカヤ、クルレンツィス&ムジカエテルナの「チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲」「ストラヴィンスキー:結婚」

Tchaikovsky_kopatchinskaja_1

TCHAIKOVSKY: Violin Concerto in D major, Op. 35
Patricia Kopatchinskaja, violin

STRAVINSKY: Les Noces
Nadine Koutcher, soprano
Natalya Buklaga, mezzo-soprano
Stanislav Leontieff, tenor
Vasiliy Korostelev, bass

MusicAeterna (Orchetra & Chorus)
Teodor Currentzis, conductor
SONY

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲、ストラヴィンスキー:結婚
コパチンスカヤ、クルレンツィス&ムジカエテルナ
2013 / 14 年録音

--

コノアルバについては、Amazon.co.jp の3件のカスタマーレビューが良いレビューだ(私はそれらに1票ずつ、参考になりました、を投じた)。私は、それらより、悪いレビューしかかけない。したがって、私のレビューは無し・・・

だが、あえて付け加えれば、

コノチャイコフスキーの魅力はメリハリ。たとえば、コパチンスカヤ嬢は、第1楽章再現部第2主題(13分49秒〜)に、(強に対する)弱のコントラストをつけている。クール。第2、3楽章は雄弁。
だが、彼女の演奏は、アクロバティックじゃなくて、クレージー。
ハイフェッツが、ラリって演奏したら、こういう演奏になるだろう。技巧をひけらかしている点では、アンネ=ゾフィー・ムター的だが、ムターと違って、いかれている。コパチンスカヤの「暴力(追加:乱暴な演奏)」を、指揮者クルレンツィスが、よくカバーしている。

--

ブックレットもしゃれている。「結婚」にひっかけて、コパチンスカヤとクレンツィスが婚姻衣装に身を包み、ラブレターのような形で解説を書いてます。遊び心にあふれた一枚。アマゾンJPのカスタマーレビューより

Tchaikovsky_kopatchinskaja_2

クルレンツィスとコパチンスカヤは、本当に結婚したの? ↑接吻している。

--

Tchaikovsky_kopatchinskaja_3

せっかく、意匠を凝らしたジャケットなので、厚紙か、プラスティック・カバーなどで、ジャケットを保護して欲しかった。 ↑めくれてしまった。

--

ストラヴィンスキー:結婚は、大音量で聴くと気持ち良い。多分、良い演奏か・・・。ただし、この曲を私は、知らない。

2015年7月28日 (火)

Apple Music、驚いたことに、私の好きな Vanessa Benelli Mosell もある

Apple_music_2
(C) Apple Music のウィンドウ

・Apple Music 検索のためのキーワード:Vanessa Benelli Mosell

【関連記事】

ヴァネッサ・ベネリ(ベネッリ)・モーゼル、デッカからメジャーデビュー(?!) plays シュトックハウゼン、カロル・ベッファ (1973 - ) 、ストラヴィンスキー


2015年7月 5日 (日)

ヴァネッサ・ベネリ(ベネッリ)・モーゼル、デッカからメジャーデビュー(?!) plays シュトックハウゼン、カロル・ベッファ (1973 - ) 、ストラヴィンスキー

Mosell

[R]evolution:

Karlheinz Stockhausen (1928 - 2007)
8 Klavierstücke

Karol Beffa (1973 - )
Suite

Igor Fyodorovich Stravinsky (1882 - 1971)
Trois mouvements de Petrouchka

Vanessa Benelli Mosell, piano
2014年録音
DECCA

【収録情報】

Karlheinz Stockhausen (1928 - 2007)

01. Klavierstück I [3.04]
02. Klavierstück II [1.52]
03. Klavierstück III [0.38]
04. Klavierstück IV [2.08]
05. Klavierstück V [5.31]
06. Klavierstück VII [6.55]
07. Klavierstück VIII [2.16]
08. Klavierstück IX [10.46]

Karol Beffa (1973 - )

Suite pour Piano ou Clavecin (2008)
09. "La volubile"(おしゃべりの、早口の)[1.52]
10. "La ténébreuse"(暗い、陰鬱な)[3.15]
11. "La déjantée"(はずれる、乱れる)[4.01]

Igor Fyodorovich Stravinsky (1882 - 1971)

Trois mouvements de Petrouchka
12. Danse Russe「ロシアの踊り」[2.28]
13. Chez Petrouchka「ペトルーシュカの部屋」[4.30]
14. La Semaine Grasse「謝肉祭」[8.33]

Total time 58.06

【私の評価】

星4つ。

【前置き】

2枚のアルバム(ハイドン、リスト、スクリャービン、プロコフィエフおよびリスト:ピアノ独奏曲集)を「Brilliant Classics」より発売後、ヴァネッサ・ベネリ(ベネッリ)・モーゼルが、デッカからメジャーデビュー(?!)。
このアルバムを、私はとても気に入った。ただし、私が気に入ったのは、シュトックハウゼンのみ。

【感想】

・シュトックハウゼン「8つのピアノ曲集」

このアルバムのメインは、シュトックハウゼンだと思う。
作品群、シュトックハウゼン:「8つのピアノ曲集 Klavierstück I - V, VII - IX」
これは、モーゼルが、晩年のシュトックハウゼンに招かれ、彼女が、シュトックハウゼンのもとで、ドイツにて学んだ作品群であり、その際、彼女が弾いた「Klavierstücke」は、批評家の高い評価を得た【注1】。それだけに、このアルバムにおいて、モーゼルが弾く「シュトックハウゼン」からは、彼女の自信と確信がうかがえる。彼女の打鍵は強い。この作品群を大音量で聴くと快い。多分、故意にそうしたのだろうが、この作品群の録音は若干オンマイク気味。そして、曲の終わりの持続音がえらく長い曲がある!←たとえば第1曲。

彼女の強烈な打鍵を大音量で聴くと、私は、マゾヒスティックな快感を覚える。その理由は、おそらく、彼女の《強烈》かつ《的確》な打鍵に、また、彼女の明快さ、若さ、良い意味での未完成さに、私の鈍感な感性でさえも触発され、いや、えぐられ、彼女の「技」に飲み込まれてしまうから、だろう。

シュトックハウゼン:「8つのピアノ曲集 Klavierstück I - V, VII - IX」の作風は、シェーンベルクのピアノ独奏曲に、少し似ていると思う(無調。特殊奏法は無い)。ただし、「シェーンベルク」と「シュトックハウゼン」を比較すると、前者が、後者に比して、より情緒的であるのに対し、後者は技巧に走っていると感じる(そして、後者は前者よりアグレッシヴ)。しかし、「シュトックハウゼン Klavierstück I - V, VII - IX」の魅力は、勿論「技巧」だけではない。この作品群には味がある。それは、たとえば、ハーディ・リットナーの弾くシェーンベルクが《美しく端正》であるとすれば【注2】、モーゼルのシュトックハウゼンには、《力(りき)》があり《元気》がある。彼女の演奏の特長は、ストレートであることと、「生きのよさ」であろう(←デュナーミク・アーティキュレーションにおいて)。そして、彼女の「シュトックハウゼン」における、デュナーミクやアーティキュレーションは、彼女が作曲者シュトックハウゼンから教授された「音」だけではなく、その「生きのよさ」において、「彼女自身の自己主張・解釈」を含むかも知れない。

HMV.co.jp の商品レビューに、「彼女らしいポジティブなプログラムによって、推進力のある音楽を体感いただけます。(ユニバーサルIMS)」とあるが、それは、このアルバムを批評するに、的を射ていると思う。すなわち、モーゼルは、プログラムのオープニングに、アグレッシヴ・難解・技巧的なシュトックハウゼンの作品を持ってきて、それを、真正面から、ストレートに弾くことによって、その演奏を成功させ、それを、このアルバムの「推進力」にした。

英語版ウィキペディアの詳細な記事によると、シュトックハウゼン:「8つのピアノ曲集(この曲集は、本来、全部で19曲、あるいは、21曲書かれた。ココに取り上げられた「Klavierstück I - V, VII - IX」は、主に、1950 - 60年代頃に書かれた作品のようだ)」は、論理的に難解で複雑な作品群である。だから、私は、この作品群をアナリーゼできない・・・にもかかわらず、私が、モーゼルのパフォーマンスは、「シュトックハウゼン:Klavierstück I - V, VII - IX」の魅力を引き出していると感じる理由・・・それは、この作品群が持つ魅力の一つである楽想の変化、そして、その変化の「面白さ」「奇麗さ」または「クールさ」を、モーゼルが、作品から引き出しているからだろう。

モーゼルの弾く「シュトックハウゼン Klavierstück I - V, VII - IX」は、「難しく聴くより、難しく聴かないほうが良い」と思う。なぜなら、モーゼルの演奏は、(変な表現だが)初心者向きであり、新鮮であり、聴く者に、容易に満足感と快感を与える、ある種のシュトックハウゼン入門盤だからである。やっぱり彼女は、うまい。ただ者じゃない。

【注1】英語版ウィキペディアには、シュトックハウゼンのモーゼルへの賛辞が紹介されている:「私の音楽をリスナーに正しく理解させる力を持つ "(she) has the power to let people appreciate my music"」

【注2】ハーディ・リットナーのシェーンベルク:ピアノ独奏曲全集を、聴き直してみたら、コレは、必ずしも悪い演奏ではないと私は感じた。

・フランスの若い作曲家カロル・ベッファ (1973 - ) の「ピアノまたはクラヴサン(チェンバロ)のための組曲」

ベッファのこの作品は、シュトックハウゼンやストラヴィンスキーの作品のような巨匠的マスターピースではないが、この作品は、第3曲にジャズを取り入れたりした聞きやすい佳作である(←例によって、モーゼルの健康的な表現と技巧が聞ける)。「この作品は、2008年に作曲された作品であり、エレガント、かつ、インターラプトされないアルペジオのシークエンスに基づいている。His Suite for piano or harpsichord was composed in 2008 and is based on an elegant, uninterrupted sequence of arpeggios.」とリーフレットに書いてあるが、そのアルペジオは、第1曲のみに聞こえる?!

・ストラヴィンスキー「ペトルーシュカからの3楽章」

私は、ストラヴィンスキーは苦手なので、よく分からないが、たとえば、ポリーニとモーゼルの「ペトルーシュカからの3楽章」を比較した場合、前者のほうに、「古いタイプのヴィルトゥオージティ」が聞こえるが、両者の演奏は、そのポリーニのヴィルトゥオージティによって、ポリーニに軍配が上がると思う。

モーゼルの演奏は技巧的に余裕がなく、散漫な演奏と言ってしまっていいかも知れない。ポリーニの演奏は、(変な言い方だが)アルゲリッチ的メリハリやスリルに富む。そして、主題もテクチュアもよく聞こえる。モーゼルの「ペトルーシュカ」は、たとえば、第3楽章は盛り上がるが、その楽章において、彼女は、おそらく全てを語り尽くすことなく、あっけなく終わる。つまり、モーゼルも、なかなか技巧を聞かせているが、ポリーニに比べれば、テクスチュアが見えにくく、原曲の主題・旋律が聞こえづらいと思う。

モーゼルは、「ペトルーシュカ」において「外した」つまり「失敗した」と思う。これは、選曲ミスだ。彼女は、もう少し「ペトルーシュカ」を研究・練習して、そして、弾き込んでから、この曲にチャレンジすべきだったと思う。このアルバムにおいて、「ペトルーシュカ」は、オマケだと思う。すなわち、「ペトルーシュカからの3楽章」の収録の理由は、「誰でも知っている有名曲を1曲収録しないとこの商品は売れない」というレコード会社の要求に応じて取り上げられた、という感アリ。繰り返すが、このオマケは、選曲が悪かった。モーゼルは、もうちょっと易しい曲を選曲すべきだったと思う。

・最後に

それにしても、DECCA は、モーゼルに、(ショパンやシューマンじゃなく)シュトックハウゼンやカロル・ベッファというマイナーな(?)選曲・録音を、よくも許したもんだ・・・と思う・・・(←はっきり言って、このアルバムは、あまり売れないと思うよ)

・おまけ

例によって、モーゼルは、美人なので、リーフレットに彼女を被写体とした写真が複数掲載されている。

【追加】

モーゼルのシュトックハウゼンを聴いて「途中で退屈する」と思う人があるかも知れない。私も、これを、万人に薦められない。しかし、作曲者のシュトックハウゼン自身が、ヴァネッサ・ベネリ・モーゼルの弾くシュトックハウゼンの作品を、良いと言ってるのだから、やっぱり、これは良いのだろう。

--


Vanessa Benelli Mosell - STOCKHAUSEN: KLAVIERSTÜCKE
(C) VEVO(ヴィーヴォ)

--

【2015−7−8 追加】

この人は、ラストネーム(Mosell)は、ドイツ系だし、下記動画では、彼女はロシア語を話している。彼女は、どんな生い立ちなのだろうか?

https://youtu.be/A0UgQfgbfTc

--

【2015−8−20 追加】

上の動画を見る限り、Vanessa Benelli Mosell は、思ったより小柄で、手は大きくないし、腕の筋肉も発達していないようだ。すなわち、いわゆる、ヴィルトゥオーザではないようだ。そんな彼女が、今後、何をやってくれるか、期待したい・・・否、期待半分、心配半分である。

2013年1月11日 (金)

スクリデのストラヴィンスキー、マルタン

Skride

Stravinsky & Martin
Violin Concertos
Baiba Skride

Igor Stravinsky
Violinkonzert D-Dur (22' 05)

Arthur Honegger
Pacific 231 (6' 30)
Rugby (8' 08)

Frank Martin
Violinkonzert (1951) (32' 55)

Igor Stravinsky
Circus-Polka (3' 43)

Baiba Skride, Violin(コンチェルトのみ)
BBC National Orchestra of Wales
Thierry Fischer, Dirigent
Recorded: 2011

マルタンという作曲家とスクリデというヴァイオリニストを好きな人にのみ、おすすめ。

ストラヴィンスキー:ヴァイオリン協奏曲
うまいのかどうか分からない。私はこの作品自体が苦手だから・・・。
ただしもう少し、作品の性格に寄りそっても良かったのじゃないかと思う。第1楽章はトッカータに聞こえない。第4楽章はカプリッチョ(気まぐれ)にしては面白くないような気がする。

マルタン:ヴァイオリン協奏曲
良い演奏だと思う。
この作品は、歌劇「嵐(テンペスト)」の後に着手した作品であり、マルタンは歌劇「嵐(テンペスト)」の雰囲気を保持していると語っている(リーフレットより)。しかし、この曲は、シェークスピアの原作より悲痛で重い(特に第2楽章は重い。オケも熱演)。第3楽章は、ダフニスとクロエやマーラーなどの激しさが聞こえる。
マルタンの協奏曲はスクリデに合っていると思う・・・彼女は器用なヴァイオリニストだから。

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