2012年4月15日 (日)

ルチアーノ・ベリオの「セクエンツァ」

Sequenzas_mode

LUCIANO BERIO (1925 - 2003)
The Complete Sequenzas, Alternate Sequenzas and Works for Solo Instruments

DISC 1:
Sequenza I for flute (1958) 7:56
Paula Robison, recorded 1996

Sequenza II for harp (1963) 10:14
Susan Jolles, recorded 1995

Sequenza III for woman's voice (1965) 8:46
Isabelle Ganz, recorded 1996

Sequenza IV for piano (1966) 12:05
Aki Takahashi 高橋アキ, recorded 1999

Sequenza V for trombone (1965) 5:02
Stuart Dempster, recorded 1995

Sequenza VI for viola (1967) 13:16
Garth Knox, recorded 1995

Sequenza VII for oboe (1969/2000) 7:36
Jacqueline Leclair, Voices for Drone: Okkyung Lee, Mary Kay, Garvey, Stephanie Griffin, recorded 2004

DISC 2:
Sequenza VIII for violin (1976) 13:10
Irvine Arditti, recorded 1995

Sequenza IXa for clarinet (1980) 16:04
Carol Robinson, recorded 2003

Sequenza IXb for alto saxophone (1981) 13:50
Kelland Thomas, recorded 1977

Sequenza X for trumpet in C and piano resonance (1984) 15:16
William Forman, recorded 2000

Sequenza XI for guitar (1987-88) 18:42
Seth Josel, recorded 2003

DISC 3:
Sequenza XII for bassoon (1995) 17:07
Noriko Shimada 嶋田典子, recorded 2000

Sequenza XIII for accordion "Chanson" (1995) 10:10
Stefan Hussong, recorded 2000

Sequenza XIVa for cello (2002) 11:38
Rohan de Saram, recorded 2004

Sequenza VIb for cello (1981) 15:34
Rohan de Saram, recorded 2001

Sequenza VIIb for soprano saxophone (1995) 7:39
Ulrich Krieger, recorded 2004

Sequenza IXc for bass clarinet (1980) 13:37
Alain Billard, recorded 2005

DISC 4:
Sequenza XIVb for contrabass (2004) 12:56
Stefano Scodanibbio, recorded 2005

Rounds for harpsichord (1964-65) 2:08
Jane Chapman, recorded 2005

Gesti for recorder (1966) 5:20
Lucia Mense, recorded 1995

Fa-Si for organ (1975) 9:47
Gary Verkade, recorded 2005

Les mots sont allés... for cello (1978) 4:03
Rohan de Saram, recorded 2004

Lied for clarinet (1983) 5:04
Comma for e-flat clarinet (1987) 1:34
Carol Robinson, recorded 2005

Psy for contrabass (1989) 1:57
Michael Cameron

Chanson pour Pierre Boulez for cello (2000) 2:46
Rohan de Saram, recorded 2006

Gute Nacht for trumpet (1986) 1:04
Brian McWhorter, recorded 2005

Executive Producer: Brian Brandt
2006 mode records

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Sequenzas_dg

LUCIANO BERIO
Sequenzas
Ensemble intercontemporain

CD 1
1. Sequenza I for flute (1958) Sophie Cherrier 6:01
2. Sequenza III for woman's voice (1965) Luisa Castellani 8:16
3. Sequenza IV for Piano (1966) Florent Boffard 11:04
4. Sequenza V for trombone (1965) Benny Sluchin 6:58
5. Sequenza VI for viola (1967) Christophe Desjardins 12:13
6. Sequenza VII for oboe (1969) László Hadady 6:54
7. Sequenza VIII for violin (1976) Jeanne-Marie Conquer 12:57
8. Sequenza IXa for clarinet (1980) Alain Damiens 13:33

CD 2
1. Sequenza II for harp (1963) Frédérique Cambreling 8:18
2. Sequenza X for trumpet in C and piano resonance (1984) Gabriele Cassone 14:03
3. Sequenza XI for guitar (1987-88) Eliot Fisk 15:19
4. Sequenza XII for bassoon (1995) Pascal Gallois 18:31
5. Sequenza XIII for accordion "Chanson" (1995) Teodoro Anzellotti 8:15
6. Sequenza IXb for alto saxophone (1981) Christian Wirth 14:19

Recording: Paris IRCAM Studio, 1994/1997
1998 Deutsche Grammophon

--

ベリオの「セクエンツァ」は演奏者と作曲者がインスパイアし合い、モチベーションを高め合いながら書かれた多様な作品群であり統一性はないのだろうか? 音楽的統一性については私は分からないが、「セクエンツァ」のそれぞれの作品に埋め込まれた「仕掛け」については、類似性・共通性を見てもいいかも知れない。「仕掛け」というのは、たとえば、オーボエのための VII におけるハインツ・ホリガーの頭文字「h」の持続音、トランペットのための X のピアノの共鳴音、またヴァイオリンのための VIII はバッハの無伴奏パルティータ二短調のシャコンヌをほのめかすとベリオは言っているし、オーボエのための VII はトリスタン第3幕のイングリッシュホルンを喚起させることが指摘されている。ベリオの「セクエンツァ」は、作曲年の時間的連続性、作曲年の時間的経過による発展性(簡単に言えばベリオの作風の変遷)の中で生まれた「連作(sequences)」であると見てもいいかも知れない。

ウィキペディアに「セクエンツァのいくつかを含むベリオの作品の詳細な分析は、D.オズモンド・スミス著、松平頼暁 訳 / ルチアーノ・ベリオ 現代音楽の航海者:青土社、1999年に詳しい。」とある。また、上記 2006 mode records 盤のブックレットには英文で25ページにわたる解説がある。それはかなり参考になる。

【私が気に入った演奏】
[mode 盤]
・IV for piano, 高橋アキ(mode 盤)より、Florent Boffard(DG 盤)のほうが聴きやすいと思うが、高橋アキのほうが格が上であり、深みがあり、うまいと思う。
・IXa for clarinet, Carol Robinson ロマン的。私は、Carol Robinson というクラリネット奏者が気に入った。
・IXb for alto saxophone, Kelland Thomas
・XII for bassoon, 嶋田典子 これは Pascal Gallois(DG 盤)の委嘱によって書かれ Gallois によって初演された作品。循環呼吸で演奏される。Gallois の演奏はアグレッシヴかつ緻密。嶋田は Gallois より丁寧な演奏をしているのが気に入った。嶋田典子という人は非常にうまいと思う。
・XIVa for cello, Rohan de Saram スリランカ系のデ・サラムのために書かれ初演された。キャンディアン・ドラム(Kandyan drum)の要素を取り入れた作品。
・VIb for cello, Rohan de Saram による編曲。
・VIIb for soprano saxophone, Ulrich Krieger
・XIVb for contrabass, Stefano Scodanibbio による編曲。打楽器的効果および演奏自体はデ・サラムの演奏より迫力がある。
・Gesti for recorder, Lucia Mense「gesti」は、gestures の意。声を出しながらリコーダーを吹く。
・Lied for clarinet, Carol Robinson
・Comma for e-flat clarinet, Carol Robinson

[DG 盤]
・II for harp, Frédérique Cambreling これは静謐な、ある種の夜の音楽のような気がする。高度な技術で演奏されるが、それがハープの美しさと調和していると思う。
・IV for Piano, Florent Boffard 高橋アキ(mode 盤)より、Florent Boffard(DG 盤)のほうが聴きやすいと思う(ちなみに、Florent Boffard は、イザベル・ファウストとバルトークを共演している)。
・XI for guitar, Eliot Fisk のために書かれ彼によって初演された。

【HMV.co.jp へのリンク】
セクエンツァ全曲&ソロ楽器のための作品 高橋アキ、フッソング、他

セクエンツァ1〜13 アンサンブル・アンテルコンタンポラン(2CD)

【Amazon.co.uk へのリンク】
Berio Sequenzas I - XIII

2012年2月25日 (土)

セリーヌ・モワネの「無伴奏オーボエ作品集」

Moinet

セリーヌ・モワネの「無伴奏オーボエ作品集」

Johann Sebastian Bach (1685 - 1750)
Partita in A minor, BWV 1013
[originally for flute solo]
I. Allemande 5' 33
II. Corrente 4' 35
III. Sarabande 4' 47
IV. Bourrée Anglaise 2' 58

Luciano Berio (1925 - 2003)
Sequenza VII (1969) 8' 25

Benjamin Britten (1913 -1976)
Six Metamorphoses after Ovid for solo oboe, op. 49 (1951)
I. Pan. Senza misura 2' 42
II. Phaeton. Vivace ritmico 1' 19
III. Niobe. Andante 2' 32
IV. Bacchus. Allegro pesante 2' 05
V. Narcissus. Lento piacevole 4' 07
VI. Arethusa. Largamente 3' 08

Elliott Carter (b. 1908)
Inner Song (1992) 6' 28

Carl Philipp Emanuel Bach (1714 - 1788)
Sonata in A minor, Wq.132
[originally for flute solo]
I. Poco adagio 5' 42
II. Allegro 5' 22
III. Allegro 4' 39

Total Time 64' 31

Céline Moinet, oboe
Enregistrement avril - mai 2011, Tedex Studio Berlin
harmonia mundi s. a.

この人は、循環呼吸(英語:Circular breathing)というのをマスターしてるのだろうか? 大バッハの「アルマンド」と「コレンテ」はフレーズの切れ目が少ないので息継ぎしていないように聞こえる・・・しかし、そんなことを考えながら聞いていると、聴いている私が息苦しくなってきたので考えないことにする。いずれにしても超越技巧的演奏だと思う。

ベリオの作品も「シ」の音を軸とするバリオラージュ(a bariolage around a pivot)で演奏される【注】。セリーヌ・モワネの演奏では、その「シ」の音が全曲を通して弱音で持続しているように聞こえる。
ベリオの「Sequenza VII」は、下記、

Sequenza I for flute (1958);
II for harp (1963);
III for woman's voice (1965);
IV for piano (1966);
V for trombone (1965);
VI for viola (1967);
VII for oboe (1969) (rev. by Jacqueline Leclair and renamed "Sequenza VIIa" in 2000);
VIIb for soprano saxophone (adaptation by Claude Delangle in 1993);
VIII for violin (1976);
IXa for clarinet (1980);
IXb for alto saxophone (1981);
IXc for bass clarinet (adaptation by Rocco Parisi in 1998);
X for trumpet in C and piano resonance (1984);
XI for guitar (1987-88);
XII for bassoon (1995);
XIII for accordion "Chanson" (1995);
XIVa for violoncello (2002);
XIVb for double bass (adaptation by Stefano Scodanibbio in 2004).

の中の第7曲である。

ブリテンの「Six Metamorphoses」は、オウィディウスの『変身物語』を題材にした作品である。これはこのアルバムの中核であり、ブリテン的な親しめる作品。それぞれの神々と人間の性格を、抒情とユーモアで表している。おもうに、ブリテンの「Six Metamorphoses」は、オーボエという地味な楽器で、壮大なギリシャ神話に思いを馳せさせ、神話に登場する「神々と人間」の特異な「神格や変容」をイメージさせる名曲・名演:

パン:牧神
パエトーン:太陽神の子。パエトーンが墜落したため、地上に大火事が起き、これを消し止めるためにゼウスが川の水を氾濫させたことによってデウカリオーンの大洪水が起きたとする。
ニオベ:ギリシア神話に登場する女性。タンタロスの娘で、テーベ王アンフィオンの妻。女神レトに子供の数の多さを誇ったため、レトの子アポロンとアルテミスにすべての子供を射殺され、悲しみのあまり石になったという。
バッカス:酒の神
ナルキッソス:自分の姿に恋した美青年
アレトゥーサ:ギリシア神話に登場する精霊。シチリア島のシュラクーサイ近くのオルテュギア島にあるアレトゥーサの泉に変じたことで知られる。

エリオット・カーターの「Inner Song」は「オーボエとハープのための三部作」の中間部である。最初は、パッとしない作品に思えたが、よく聴くといい曲だった・・・非常に気に入った。こういう曲を魅惑的に吹くセリーヌ・モワネは、間違いなく実力者だ。
「Inner Song」は、リーフレットには瞑想的であると書いてあるが、むしろメランコリックで痛切な旋律が広い音域を飛び交う。

この曲のモットーは、リルケの「オルフェウスに寄せるソネット」の一節:

Worte gehen noch zart am Unsäglichen aus ...
「言葉は消える。言い知れぬままに」

--

びっくりしたのは、エマヌエル・バッハの「ソナタ」が非常によい作品であったことだ。エマヌエル・バッハの「ソナタ」のほうが、大バッハの「パルティータ」より私は気に入った。第1曲「Poco adagio」は、20世紀の音楽を思わせるかも知れない。

「Sequenza VII」と「Inner Song」はハインツ・ホリガーのために作曲された作品。

【注】バリオラージュ:バイオリン奏法の一種。音色の変化を求め、開放弦と開放弦でない弦を交互に反復する奏法。例えば、バッハの無伴奏弦楽器曲に頻出。

【HMV.co.jp へのリンク】
『無伴奏オーボエ作品集〜バッハ、C.P.E.バッハ、ブリテン、ベリオ、カーター』セリーヌ・モワネ

【MDT.co.uk へのリンク】
MOINET, CELINE Solo Oboe. Bach: Partita BWV 1013, CPE Bach: Sonata Wq. 132, Berio: Sequenza VII, Carter: Inner Song, Britten: Six Metamorphoses after Ovid. Harmonia Mundi

私は、MDT.co.uk で購入した。9.25GBP+1.50GBP (postage and packing) Total 10.75GBP だった。

【オフィシャルホームページ】
Céline Moinet Official Website

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