2014年8月 8日 (金)

チン・ウンスク(陳銀淑)作曲「ロカナ、ヴァイオリン協奏曲」「ピアノ協奏曲、チェロ協奏曲、笙のためのSu」

Unsuk_chin2

Unsuk Chin (1961- )
Rocaná (2008)
Violin Concerto (2001)

Orchestre symphonique de Montréal
Kent Nagano
Viviane Hagner, violin
Recorded 2008

【収録情報および演奏時間】

Rocana (Room of light) 20:57

Violin Concerto
Movement I 10:10
Movement II 7:14
Movement III 3:26
Movement IV 6:08

--

1961年ソウル生まれの女性作曲家なので、応援したいのだが、ダメだ。

・ロカナ(Rocana)
管弦楽曲。内容がない。インパクトない。
弦のクラスタを伴う前奏から、金管のフォルテと打楽器の掛け合いへ。後者が約21分続く。途中、静かな部分があるが(6分44秒あたりなど)《発想》に乏しく、モヤモヤして、ディテールも全体像も見えない。明快さがない。コントラストがない。何を言いたいのかわからない。アイデアがない。コンセプトもない。半端な作品だと思う。

・ヴァイオリン協奏曲
4楽章からなり、一応、第1楽章「イントロ〜急」第2楽章「緩」第3楽章「スケルツォ」第4楽章「急」からなる、ようだ。
第1楽章は静かに始まり、次第に速くなる。それはヴァイオリン独奏に導かれたある種の変奏に聞こえる。第2楽章は、東洋音楽を思わせる。そのような技法を用いながらも、この作品もまた「核」がない。上記「ロカナ」と同様、音楽がリスナーの記憶に残らない。

・まとめ
上記の作品は、つかみ所がない。流れが見えにくい。かと言って、『作品の流れがわかるまで何度も聴こう』という気になれない。
遅いテンポも速いテンポも美しくない。静も動も美しくない。

彼女は、音作りが下手だと思う。半端な小細工が作品全体を貫いている。おそらく、デュティユー、バーンスタイン、ストラヴィンスキーその他、諸々からの借り物。それの寄せ集め。物真似。

例えば、デュティユーを真似ながら、コンセプトやアイデアやセオリーを忘れている。オーケストレーション、独奏(ヴァイオリン)は技巧に走り、それらの「色」が見えない。

要するに彼女の欠点は、音楽の展開の中で『ココは美しい』と思わせる箇所がないこと。それともう一つ、言葉は悪いが、彼女の音楽はマスターベーションだ。チン・ウンスクは自分の世界の中で遊んでいるようだ。

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Unsuk_chin_1

UNSUK CHIN
Three Concertos

Piano Concerto (1996/1997)
Cello Concerto (2008/2009, rev. 2013)
Su for sheng and orchestra (2009)

Sunwook Kim, piano
Alban Gerhardt, cello
Seoul Philharmonic Orchestra
Myung-Whun Chung
Recorded 2014

【収録情報および演奏時間】

Piano Concerto
Movement I 4:07
Movement II 9:05
Movement III 4:53
Movement IV 4:37

Cello Concerto
Movement I, "Aniri" 9:48
Movement II 2:57
Movement III 8:06
Movement IV 7:16

Su for sheng and orchestra 21:19

--

・ピアノ協奏曲
第1楽章冒頭から激しいミニマルが聞こえる。この曲は、昔のロックミュージシャン、キース・エマーソン(タルカス)を思わせる。4つの楽章は、おおまかに急-緩-緩-急からなり技巧的な作品である。しかし、テクスチュアもアンサンブルも美しくない。
ただし、大音量で聴くと迫力ある・・・ソウルフィルハーモニック(Seoul Philharmonic)が頑張っていると思う。このアルバムにおけるソウル・フィルは上手い。何十年経っても上手くならないN響は完全に負けてる。

・チェロ協奏曲
(冒頭の独奏チェロのレチタティーヴォなど)デュティユーのチェロ協奏曲「遥かなる遠い国へ」に似ている。というか、真似している? 第1楽章は「変イ」の音の持続が楽章を支えている(チンはもしかしてその手法が好きなようだ。しかし、この曲に限らずそれが効果的に聞こえたことはない)。
第2、3、4楽章の「熱演」「激しさ、迫力」「独奏チェロの技巧」それらは被献呈者 Alban Gerhardt によるもの。その熱演は充実している。でも、コノ曲もテクスチュア、アンサンブルは・・・美しくない。

・笙とオーケストラのための『Su』
リーフレットに『Su』は「空気のシンボル」とある(ハングルで、「슈」と書く。多分、シューと読む)。「笙」を扱った日本の作曲家の作品を聞いたことあるけど、それは静謐だった。チンのそれは静謐ではない。リーフレットに「sheng - a mouth organ」とある。小型オルガン並の音量、オケの激しい音量に負けない。
この曲において、もっと民族色を前面に押し出してほしかった。
この曲は、グバイドゥーリナの「In Croce」に雰囲気が似てると思う。

とにかく、ありきたりな言い方だが、チンの作品はワンパターン。独創性に欠ける。すなわち過去の作曲家の作品の物真似。そして気まぐれ。チン・ウンスクはたしかに自分の世界の中で遊んでいるようだ。だが、彼女に《自分らしさはない》。
このアルバムは、オケと独奏者が熱演している。大音量で聞くに〈たえる〉演奏。迫力ある演奏。そして、作曲者と指揮者・演奏者のコラボレーションがうまく行っている演奏、かも知れない、が、コレは美しい演奏だ、とは、私は思わない。

2012年2月11日 (土)

チン・ウンスク(陳銀淑)作曲「Xi」ほか

Unsuk_chin

チン・ウンスク(陳銀淑 1961- )
UNSUK CHIN - Xi

(01) Fantaisie mécanique (1994, rev. 1997) for five instrumentalists 12:37
(02) Xi (1997/1998) for ensemble and electronics 22:48
(03-09) Akrostichon-Wortspiel (1991/1993) 15:48
Seven scenes from fairy tales for soprano and ensemble
(03) Hide and Seek 3:19
(04) The Puzzle of the Three Magic Gates 1:34
(05) The Rules of the Game - sdrawkcab emiT 1:38
(06) Four Seasons in Five Verses 1:52
(07) Domifare S 2:38
(08) The Game of Chance 1:25
(09) From the Old Time 3:22
(10) Double Concerto (2002) for prepared piano, percussion and ensemble 20:39
TT: 72:23

Piia Komsi soprano [3 - 9]
Samuel Favre percussion [10]
Dimitri Vassilakis piano [10]
Ensemble intercontemporain [1 - 10]
Patrick Davin conductor [1]
David Robertson conductor [2]
Kazushi Ono conductor [3 - 9]
Stefan Asbury conductor [10]
Recorded: 1999 / 2004
KAIROS

2曲目「Xi」というのはギリシャ語のクシーではなくて朝鮮語(韓国語)である。「In Korean "xi" means the smallest unit or the origin of all things」とリーフレットに書いてある。「Xi」を日本語に訳すと何なのか、分からない。「原子」とか「素粒子」という意味なのか・・・。「Xi」という作品は、大音量で聞くとまあまあ面白い音が聞けるのだが、作品としては、いまいち、ぱっとしない。「Xi」はチン・ウンスク自身が電子音を演奏している --- Electronic realization: Unsuk Chin --- だから演奏が作曲者の意図を表していないということはないと思うのだが・・・。むしろ3曲目「Akrostichon-Wortspiel」のほうが私は好きだ。「Akrostichon-Wortspiel」は大音量で聞くと面白い。これは大野和士の指揮がうまいと思う。

Akrostichon [ドイツ語]
折り句(の一種、詩などの各行頭の文字または語を連ねると一つの語または文になる)
(新現代独和辞典 三修社より)

4曲目「Double Concerto」は、はっきり言って全然面白くない。

米国アマゾンに詳しいカスタマーレビューがある。

【Amazon.co.jp へのリンク】
UNSUK CHIN - Xi

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