2015年12月14日 (月)

Cathy Krier plays BERG - SCHÖNBERG - ZIMMERMANN - LISZT / Piano - 20th Century

Krier

BERG - SCHÖNBERG - ZIMMERMANN - LISZT / Piano - 20th Century
CATHY KRIER, Piano
Recording : V 2015, Chamber Music Hall of PHILHARMONIE LUXEMBOURG
2015 Avi-Service for music, Cologne / Germany

Alban Berg (1885-1935)
Sonate für Klavier / Sonata for Piano Op. 1 (1907/08)
1 Mäßig. Bewegt 10 :52

Arnold Schönberg (1874-1951)
3 Klavierstücke / Piano Pieces Op. 11 (1909)
2 Mäßige 04 :19
3 Sehr langsam 08 :49
4 Bewegte 03 :29

Bernd Alois Zimmermann (1918-1971)
Enchiridion . Kleine Stücke für Klavier, Teil I / Small Pieces for Piano, Part I (1949)
5 Introduktion. Andante rappresentativo 02 :02
6 Ekloge. Larghetto, con espressione 03 :11
7 Rondino. Allegro giocoso 00 :52
8 Bourée. Allegro moderato 00 :50
9 Meditation. Adagio molto 03 :38
10 Aria. Andante molto cantabile 01 :27
11 Estampida. Allegro 01 :11
12 Toccata. Allegro feroce 01 :31

Exerzitien – Kleine Stücke für Klavier (Enchiridion Teil II) / Retreat – Small Pieces for Piano (Echiridion Part II) (1952)
13 Vigil. Larghetto molto 02 :24
14 Hora. Moderato 01 :34
15 Ostinato. Presto 01 :10
16 Matutin. Cantabile molto 02 :22
17 Imagination. Sostenuto 02 :02
18 Intermezzo. Andante con moto (1949) 01 :27
19 L’après-midi d’un Puck. Allegro giocoso (1952) 00 :50
20 Hommage à Johann Strauss. Tempo di Valse (1952) 00 :48

Arnold Schönberg
21 Klavierstück Op. 33a 02 :34
22 Klavierstück Op. 33b 03 :34

Franz Liszt (1811-1886)
23 Nuages Gris 04 :00
24 Unstern ! - Sinistre 06 :43

TOTAL TIME 71 :20

--

【収録情報】
● ベルク:ピアノ・ソナタ op.1
● シェーンベルク:3つのピアノ曲 op.11
● シェーンベルク:ピアノ小品集op.33a/33b
● ツィンマーマン:『ささやかな小品』第1集
● ツィンマーマン:『ささやかな小品』第2集
● リスト:暗い雲
● リスト:災厄の星

 キャシー・クリエ(ピアノ)

 録音時期:2015年5月
 録音場所:ルクセンブルク・フィルハーモニー、室内楽ホール
 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)

(HMV.co.jp より)

※ 上記、HMV.co.jp 商品レビューをご参照下さい。

--

・ベルクのソナタ作品1
怖いもの知らずの爆演・荒っぽい。
エレーヌ・グリモーの丹念な演奏のほうが良いかも知れない。クリエの演奏は、ロマンティックなのは良いが、アナリーゼ不足か。

・シェーンベルク作品11、33a、b
グールド、エドゥアルト・シュトイアーマンと聴き比べると劣る。これもロマンティックなのは良いが、緻密に聞こえない。期待はずれ。

・ベルント・アロイス・ツィンマーマン『ささやかな小品』第1, 2集
このツィンマーマンの二つの作品(第1, 2集合わせて約27分)は、コノアルバムのメインであり、コノアルバムのコンセプトに添う。すなわち、それらの作品は、たしかに、新ウィーン楽派と同じ方向性を持ち、新ウィーン楽派を継承する。しかし、コノ二つの地味な作品たちは、リスナーを触発・満足させないと思う(←つまり、優れた力作ではないと思う。←私の認識が間違えているのか?)。
ドイツの作曲家とはいえ、ある意味、アウトサイダーであるツィンマーマンの作品を、ベルク、シェーンベルクとカップリングしたのは、ヘヴィーだが、『ささやかな小品』第1, 2集は、1950年代の作品でありながら、20世紀初頭のベルク作品1(1907/08年)、シェーンベルクの作品11(1909年)、33a、b(1928/31年)と聴き比べて、作曲技法が進歩してない(←これも私の認識が間違えているのか?)
私の主観では、コノアルバムにて、ツィンマーマンを取り上げたのは、コンセプトとして、間違いない・面白いが、ツィンマーマンにおいて、キャシー・クリエの個性・技巧・秀でた解釈が聞こえないような気がする。退屈する。思いきって、ピエール・ブーレーズあたりを取り上げたほうが良かったのではないか?

【追記】 Apple Music で、試聴して買いましょう。検索キーワード:Cathy Krier

【おまけ】 コノアルバムのライナーノートは、クリエ自身が書いている。その内容は、大したことないが・・・クラシック音楽用語の独語・英語の勉強になった。

die Atonalität, atonality (無調性), das Dodekaphonie, dodecaphonic music (十二音音楽), der Tritononus, tritone (三全音)

【さらに追加】 最後の2曲(フランツ・リスト)を聴き終えたあと、私は、後味悪かった(???)

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【関連記事】 キャシー・クリエの「スカルラッティ、ハイドン、ショパン、ミュレンバッハ、デュティユー」

2015年9月23日 (水)

Berg: Lyric Suite / Wellesz: Sonnets for Elizabeth Barrett Browning Op. 52 / Zeisl: Komm, süsser Tod performed by Emerson String Quartet & Renée Fleming

Emerson

ALBAN BERG
Lyric Suite

EGON WELLESZ
Sonnets for Elizabeth Barrett Browning Op. 52

ERIC ZEISL
Komm, süsser Tod

Emerson String Quartet
Eugene Drucker and Philip Setzer, violins
Lawrence Dutton, viola
Paul Watkins, cello

Renée Fleming, soprano

2014 / 15 年録音
DECCA


【収録情報】

Alban Berg (1885 - 1935)
Lyric Suite for String Quartet (1926)

1. I. Allegretto gioviale 3:10
2. II. Andante amoroso 5:45
3. III. Allegro misterioso - Trio estatico 3:19
4. IV. Adagio appassionato 5:35
5. V. Presto delirando - Tenebroso 4:40
6. VI. Largo desolato 5:35

7. VI. Largo desolato (Alternative version with Soprano) 5:58

Egon Wellesz (1885 - 1974)
Sonnets From The Portuguese, Op.52

8. I. Und es geschah mir einst, an Theokrit zu denken 5:05
9. II. Nur drei jedoch in Gottes ganzen All vernahmen es 3:43
10. III. Du bist da droben im Palast begehrt 3:09
11. IV. Ich denk an dich 3:13
12. V. Mir scheint, das Angesicht der Welt verging in einem andern 4:24

Eric Zeisl (1905 - 1959)

13. Komm, süsser Tod 2:52

Total Time: 56:25

--

1. ベルク:抒情組曲(弦楽四重奏版 全6曲)
2. ベルク:抒情組曲〜第6曲『悲嘆のラルゴ』(ソプラノ独唱付き)
3. ヴェレス:エリザベス・バレット・ブラウニングによるソネット Op.52
4. ツァイスル:来たれ、汝甘き死の時よ

 ルネ・フレミング(ソプラノ:2-4)
 エマーソン弦楽四重奏団

 録音時期:2015年2月(1)、2014年6月(2)、2014年8月(3,4)
 録音場所:ニューヨーク市立大学クイーンズ校(1,2) ドルー神学校(3,4)
 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)

(HMV.co.jp より)

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随分昔、《トロンボーン吹きによるクラシックの嗜好》さんと、シノーポリのベルクについて意見交換した時、彼は、「シノーポリのベルクは下手だと思う。ソレは、暗くて、ベルクの良さが伝わらない」という主旨の発言をなさっていましたが、私は、内心、「おら、シノーポリのベルクは、その根暗(ねくら)な激しさが好きだ」と、思っていた。

エマーソンSQのメンバーは、1951年〜1954年生まれであり(ウィキペディアより)、このアルバムの録音時、彼らは、既に、60歳を超えていると思われる(ただし、ポール・ワトキンス、1970年生まれ、は、2013−14年のシーズンに、エマーソン弦楽四重奏団を離れたチェリスト、デイヴィッド・フィンケルに代わり、同四重奏団に加入した。Paul Watkins (born 1970) ... Watkins joined the Emerson String Quartet in the 2013-14 season, replacing the departing cellist David Finckel. )。しかし、エマーソンSQのベルクは、そのアンサンブルにおいて、まったく衰えていない(それどころか、スリリングで迫力ありかつ明快なアンサンブル)。そして、彼らのベルクは、シノーポリと対照的に根明(ねあか)である(エマーソンSQのベルクの方が、シノーポリと違って、健康的でいいのだが、しかし、ソレは私がイメージするベルクと違う・・・しかし・・・それは私の好みの問題である、と思う)。

エマーソンSQの最高傑作は、疑いもなく、バルトーク:弦楽四重奏曲全集(1988年録音)である。そして、エマーソンSQのバルトーク:弦楽四重奏曲全集(1988年録音)を超える同曲全集の録音は、現在まで、他に存在しない(と思う!)。そして、今、エマーソンSQのバルトーク全集録音から、約26年後、(繰り返すが)エマーソンSQの演奏に、年齢による衰えはない。ただし、彼らが聴かせたバルトーク:弦楽四重奏曲全集での「アグレッシヴと精密な技巧」の完璧な同居、その完璧さは、やっぱり、後退していると思う。エマーソンSQは、角が取れたと思う(たとえば、1968年に録音されたラサールQの「ベルク:抒情組曲」の方がエマーソンSQのそれより精緻だと思う)。

当該アルバム(Berg / Wellesz / Zeisl)において、エマーソンSQの演奏は、上のバルトーク全集よりやや粗く、しかし、タフになったと思う・・・その「タフ」の意味:それは、彼らの、コノ新しいアルバムが、ベルクの傑作のみならず(ベルクにおいて彼らは既にタフであるが、さらに)、エゴン・ヴェレス(Egon Wellesz 1885 - 1974)という作曲家の力作「エリザベス・バレット・ブラウニングによるソネット Op.52」をも取り上げたこと・・・すなわち、彼らの、コノ新しいアルバムが、「旺盛な意欲」「高いテンション&モチベーション」を持つことだ。ヴェレスのその作品のテキストは「英国ビクトリア時代の詩人ブラウニングの詩をリルケがドイツ語に翻訳したもの(HMV.co.jp より)」つまり、リルケ自身の詩ではない。とは言え、そのテキストで、リルケの高尚なドイツ語を味わえる(私は、学生時代、ドイツ文学を学んだが、リルケの詩の高尚さには敬意を払っている)。

私は、このアルバムの国内盤(日本語歌詞対訳付)が出たら、買おうと思う(残念ながら、私の語学力では、このアルバムのすべての詩を理解できないから(汗)。

誤解を怖れずに言えば、このアルバムは、エマーソンSQより、ルネ・フレミングが良い。うまい。彼女が主役だ、と、思う。

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【ベルク:抒情組曲〜第6曲:歌詞対訳(誤訳あり)】







Zu Dir, du einzig Teure, dringt mein Schrei
Aus tiefster Schlucht, darin mein Herz gefallen.
Dort ist die Gegend tot, die Luft wie Blei,
und in dem Finstern Fluch und Schrecken wallen.

Sechs Monde steht die Sonne ohne Warm. (熱がない)
In sechsen lagert Dunkel auf der Erde.
Sogar nicht das Polarland ist so arm,
Nicht einmal Bach und Baum noch Feld noch Herde.

Erreicht doch keine Schreckgeburt des Hirnes (頭脳のおぞましい産物?)
Das kalte Grausen dieses Eis-Gestirnes
und dieser Nacht: ein Chaos riesengross !

Ich neide des gemeinsten Tieres Los
Das tauchen kann in stumpfen Schlafes Schwindel...
So langsam rollt sich ab der Zeiten Spindel!


私が愛する唯一の女(ひと)よ、あなたへと私の叫びがほとばしる
とても深い深淵から、私の心が落ち込んだその深淵から。
そこは死の地、大気は鉛のようだ
そして、その暗闇には、呪いと恐怖が沸き立っている。

六月(むつき)は熱がない太陽が空にある。
残る六月は闇が地を覆う。
極地でさえ、こんなに不毛ではない。
小川もなく木もなく畑も獣の群れもない。

頭脳が産み出す、いかなるおぞましい(想像の)産物も、
この氷の星の冷たい恐怖、
この夜の恐怖に達することはない:その恐怖とは巨大なカオスなのだ!

私は、最も卑しい獣の運命をも、うらやむ
その獣は潜ることができる、鈍い眠りの眩暈の中に・・・
とてもゆっくり時間の糸巻き棒がほどける!

(深キ淵ヨリ我呼ビカケタリ/ボードレール 悪の華 30番)


==

【蛇足】

ところで、ボードレールが《深淵》と言っているのは、我々が住んでいるこの世の中のことだろう。つまり、21世紀の日本。

==

【2015−9−23 追加】

ベルク:抒情組曲〜第6曲:歌詞対訳については、
サイト:「梅丘歌曲会館 詩と音楽」にて、正確な訳を見ることができます。

==

【2015−9−27 追加】

発売されたばかりなのに、このアルバム「Berg: Lyric Suite / Wellesz: Sonnets for Elizabeth Barrett Browning Op. 52 / Zeisl: Komm, süsser Tod; Emerson String Quartet & Renée Fleming」も、Apple Music で、聴くことができます(2015年9月27日現在)。

・検索のためのキーワード:Berg Emerson

Berg_emerson
(C) Apple Music のウィンドウより

2014年2月18日 (火)

アンティエ・ヴァイトハースの「ベルク:ヴァイオリン協奏曲」

Berg_score

No.332 ベルク/ヴァイオリン協奏曲 [楽譜]
出版社: 日本楽譜出版社; A5版 (2013/5/29)

アマゾンの画像を見るとなんだか古臭い本に見えたので、大丈夫かなと思って購入したが、大丈夫だった。表紙に「Kleine Partitur(小さな総譜)」と書いてあるとおり小型。だが、おたまじゃくし、その他の記号、文字は、小さいが、つぶれてなくて奇麗に印字されている(くどいようだが、おたまじゃくし等は一応奇麗だが小さいから読みやすいとは言えません)。解説は、わずか6ページだが譜例が付いていて充実していると思う。
何より、安い。

--

Berg

Beethoven & Berg Violin Concertos Antje Weithaas(アンティエ・ヴァイトハース、ヴィオリン)
Stavanger Symfoniorkester(スタヴァンゲル交響楽団)
Steven Sloane, Dirigent(スティーヴン・スローン、指揮)
2012年録音
(P) + (C) 2013 Avi-Service for music Cologne/Germany

www.avi-music.de
www.sso.no

ベルクのヴァイリン協奏曲について

アマゾンの商品紹介にある「伸びやかなフレージングと端正な音楽作りで、押し寄せる様々な感情を浄化するような感動的な演奏」というのは的を射ていると思う。

アンティエ・ヴァイトハースは、アルカント・カルテット、つまり弦楽四重奏団の第1ヴァイオリニストだけあって、みずからリーダーとして音楽を作り出そうとすること、しかもオケに溶け込んでいることが、私は気に入った(上記スコアを見ると、ソロとオケは緻密な関係があるようだ)。スティーヴン・スローンの指揮とオケも好演している。
「のび」「つや」があるアラベラ・シュタインバッハーに比べると、濃厚さは薄いが、大音量で聴くと、迫力あるし、ヴァイトハースもよく歌ったり、適当にわめく、技巧を聞かせる・・・そして、ヴァイトハースのベルクは比較的明るいベルクだと思う・・・私の主観では「この作品がベルク自身へのレクイエムであるということへの思い入れ」は、彼女の演奏からはあまり感じられない。また私の主観では、この「ベルク:Vn 協奏曲」はソロが過度に輪郭を目立たせようとしていないという点(ソロとオケとの一体感)、ある種の室内楽的な響きを聞かせる点が、私は気に入った。まとめれば、このベルクは、リスナーの好みに依存するだろうが、上記のスコアと一緒に聴いて研究するのにぴったりだと思った。

【追加】

このベルクは、ライヴ録音だった。私はてっきりセッション録音だと思った。そう私が思ったその理由は、やっぱり節度ある(あるいは落ち着いた、冷静な)演奏だからだろうと思う。

2012年9月28日 (金)

Brahms Berg Violin Concertos Capuçon

Berg

Brahms Berg Violin Concertos
Renaud Capuçon
Wiener Philharmoniker
Daniel Harding
2011 年録音

カプソン(カピュソン)のベルクは、期待はずれ。

カプソンのデュティユーは、作品の複雑な構造を過激かつうまくまとめている。ところが、彼のベルクは、過激さが空回りしていると思う。

【追加1】
それにしても・・・
トロンボーン吹きさんは、「シャイー/コンセルトヘボウ 放送録音ライヴ集」に入っている「ベルク:Vn 協奏曲」をお薦めじゃった。
それを聴いてみたい。
だが現在入手不能。

Conducts Royal Concertgebouw

【追加2】
で、私はいまのところシュタインバッハーのが一番気に入っている。

私が持っているベルク:Vn 協奏曲
Isaac Stern Bernstein NYP 1959年録音(ただしこれは別格です)
Frank Peter Zimmermann Gianluigi Gelmetti RSOS 1990年録音
ムター レヴァイン Cso 1992年録音
Daniel Hope Paul Watkins BBC Symphony 2003年録音
Arabella Steinbacher Andris Nelsons WDR Sinfonieorchester Köln 2008年録音
Renaud Capuçon Daniel Harding Wiener Philharmoniker 2011年録音

Isabelle Faust Claudio Abbado Orchestra Mozart 2010年録音は手放した。

2012年7月 4日 (水)

アンネ=ゾフィー・ムターとアラベラ・シュタインバッハーのベルク

Mutter

火災で焼失したアンネ=ゾフィー・ムターのベルクを買って改めて聴いてみたが、やっぱり、アラベラ・シュタインバッハーのほうが気に入った。後者のほうが、オケとソロのバランスが良いと思うからである。

【参考・再掲】

Steinbacher

Alban Berg
Violinkonzert "Dem Andenken eines Engels"
Beethoven
Violinkonzert D - Dur op. 61
(Kadenzen: Fritz Kreisler)
Arabella Steinbacher, Violine
WDR Sinfonieorchester Köln
Andris Nelsons, conductor
Recorded 2008
ORFEO

HMV.co.jp レビューの Deadman returns 氏のレビューにあるように「のびやかなフレージングと温かみを失わない音色で情感豊かに弾き上げており、音楽がギスギスしたり、縮こまったりしていないのがよい」(イザベル・ファウストのベルクより)

2012年1月20日 (金)

イザベル・ファウストのベルク

Steinbacher

Alban Berg
Violinkonzert "Dem Andenken eines Engels"
Beethoven
Violinkonzert D - Dur op. 61
(Kadenzen: Fritz Kreisler)
Arabella Steinbacher, Violine
WDR Sinfonieorchester Köln
Andris Nelsons, conductor
Recorded 2008
ORFEO

HMV.co.jp レビューの Deadman returns 氏のレビューにあるように「のびやかなフレージングと温かみを失わない音色で情感豊かに弾き上げており、音楽がギスギスしたり、縮こまったりしていないのがよい」

--

Berg

Alban Berg
Violinkonzert "Dem Andenken eines Engels"
Beethoven
Violinkonzert D - Dur op. 61
Isabelle Faust
Claudio Abbado
Orchestra Mozart
Recorded 2010
harmonia mundi s. a.

シュタインバッハーのベルクに対しこの演奏は激しすぎる。第2楽章のバッハのコラールになってやっと冷静な演奏が聴けると思う。バッハのコラールの前までは、この演奏には、イザベル・ファウストとアバド、ソロイストとオケの対話がない。第2楽章の開始の激しさは意味がないと思う。ファウストのアグレシッヴな演奏をアバドがコントロールすべきだったと思う。アバドは、若い頃、アルバン・ベルクが得意だった。すなわち激しい演奏ではあったがリスナーを納得させる演奏をしていた。が、いまは衰えていると言わざるを得ない。

【参考】

Es_ist_genug_4
バッハのカンタータ第60番「おお永遠よ、雷の言葉よ」より(midi






Es ist genung;
Herr, wenn es dir gefällt,
So spanne mich doch aus!
Mein Jesus kömmt;
Nun gute Nacht, o Welt!
Ich fahr ins Himmelshaus,
Ich fahre sicher hin mit Frieden,
Mein großer Jammer bleibt danieden.
Es ist genung.
もう十分です
主よ あなたの意にかなう時に
私のくびきを外して下さい
私のイエスがやってきます
おやすみなさい 世界よ
私は天の家に行きます
私は安心して平和とともに行きます 
私の大きな苦しみはこの世にとどめて
もう十分です

--

Berg_violinkonzert_13
ベルクの Vn 協奏曲に引用されたケルンテン地方の民謡(midi

2010年11月20日 (土)

スターン&バーンスタインのベルク

Berg

Alban Berg:
Concerto for Violin and Orchestra
Isaac Stern, Violin
New York Philharmonic
Leonard Bernstein
1959年録音
Chamber Concerto for Piano and Violin with Thirteen Winds
Isaac Stern, Violin
Peter Serkin, Piano
Members of the London Symphony Orchestra
Claudio Abbado
1985年録音

ベルクの作品には多くの暗号が埋め込んであるし、彼のヴァイオリン協奏曲も多くの要素から成っているので単純には語れないだろうが、この作品は、やはり、バッハのカンタータ第60番からの引用が最も重要なメッセージのように思える(midi)。

Es_ist_genug_4

このコラールの歌詞を私になりに訳せば「満足です、主よ、もしよろしければ、わたしのくびきを外して下さい! わたしのイエス様が来ます、おやすみ、この世界よ! わたしは天の家に行きます、もう何も思い残すことなく安心して行くことができます、わたしの大きな苦痛はこの世に残して。 満足です、満足です」

この作品が若くして病死したマノン・グロピウスのために書かれたこととベルク自身の病気のことを考えれば、Es ist genug を「満足です」と訳すか「もうたくさんだ!」と否定的に訳すかは二通り考えられるが、音楽的には、第2楽章において、Es ist genug の旋律で完結していなくて、ヴァイオリンが不吉にまとわりつくところを聴くと、なんだか、ベルクもグロピウスも成仏していないような気がする。

ところで、ベルクのヴァイオリン協奏曲は、新しい録音(デジタル録音)で良い演奏はないものか、と、いろいろ買って聴いてみたが、スターンとバーンスタインによるこの演奏よりも良いものは、なかなか見つからない。それに、バーンスタインが指揮したアルバン・ベルクは、この録音一つだけと違うやろか? だとすれば、この CD は貴重だと思う。

それに、この CD に入っているもう一つの録音、アバドの「室内協奏曲」も、これを超える演奏を探すのは難しいと言えるほど良い演奏ではないかと思う。私はこの CD を最初に聴いたとき「この室内協奏曲は、バーンスタイン指揮にしては、血の気が多いなあ」と思って、よく見てみたら、アバド指揮だったのでした。

【追記1】
>ヴァイオリンが不吉にまとわりつくところを聴くと、なんだか、ベルクもグロピウスも成仏していないような気がする。
と、書いたがよく聴くとこの第2楽章の終わり方は、ベルク流の成仏の表現かも知れない。
あと、このコラールは、最初と最後の小節が逆行形ですね。

【追記2】
「室内協奏曲」は下記のようにトラックが区切ってあるので聴きやすいです。

Thema scherzoso con variazioni
03 Motto
04 Thema scherzoso
05 Variation I
06 Variation II Langsames Walzertempo
07 Variation III Kraftig bewegt
08 Variation IV Sehr rasch
09 Variation V Tempo primo

10 Adagio

Rondo ritmico con introduzione (cadenza)
11 Introduzione
12 Rondo ritmico
13 Coda

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