2016年6月13日 (月)

Janine Jansen plays Brahms and Bartok: Violin Concertos

Jansen

Brahms / Bartok: Violin Concertos
Janine Jansen

Brahms: Violin Concerto Op.77
Bartok: Violin Concerto No.1†
Janine Jansen, violin
Orchestra dell’Accademia Nazionale di Santa Cecilia
London Symphony Orchestra†
Antonio Pappano, conductor
Janine Jansen currently plays the very fine 1727 "Baron Deurbroucq" Stradivarius kindly loaned to her through Beare's International Violin Society
2014/15年録音
DECCA

・ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 Op.77(第1楽章)について
私は、ブラームスは好きではない。ブラームス(1833 - 1897)は、ブルックナー(1824 - 1896)より年下なのに、ブルックナーの革新に対して(例外もあろうが)古臭い音楽を書いたのが、私は気に入らない。しかし、私は、ブラームスの作品中、「交響曲第2番(1877)」と、この「ヴァイオリン協奏曲(1878)」だけは、好きだ(どちらも、ニ長調。しかも、同時期に書かれている)。

ウィキペディアによると「(第1楽章 Allegro non troppo は)オーケストラによる第2主題の提示がないまま弦楽器群がマズルカ風のリズム(ブログ開設者より:フォルテの部分だろう)を力強く奏すとコデッタとなり流れるように下降して、そのまま第2提示部へ入る。」「オーケストラによる提示部で披露された動機が回想されるうちに独奏ヴァイオリンが優美な第2主題を奏でる。」「展開部はオーケストラのトゥッティによる第1主題で始まり、これまでに登場した動機を次々に活用し、入念に変形・組み合わせしてブラームスの美質を存分に味わえる。」とあるように、ブラームスの「Op.77」の第1楽章は、第1、2主題以外に、副主題(あるいは、副主題的動機)が、いくつもあるように聞こえるし、パッセージも次々に湧く。また、第1楽章のアインガングが、短調であることは、ベートーヴェンの Vn 協奏曲と異なる(ヤンセンは力強い)。「Op.77」の第1楽章は、入り組んでいるが、長調と短調が巧みにつなぎ合わされている。そして、ヤンセンが巧いのは、ブラームスの、この、やや複雑な作曲技法を「1727 "Baron deurbroucq" Stradivarius」の奇麗な音で「解決」したことだろう。それは心憎い。

ヤンセンは、アントニオ・パッパーノの、少し退屈な、しかし、いい意味で抑制された指揮・サポート・協力・(変な言い方だが伴奏?)のもとに、この作品の面白さ、さらに言えば「クラシック音楽の面白さ」を聞かせる。それを聴くと「しあわせだなあ」と思わせられる。「この作品を聴いたシベリウスは、その交響的な響きに衝撃を受け、自作のヴァイオリン協奏曲を全面的に改訂するきっかけとなった。構成、各主題の性格などベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲の影響が強い(ウィキペディアより)」・・・ブラームスの「Op.77」は、シベリウスをビビらせた。また「Op.77」は、ベートーヴェンの Vn 協奏曲の影響が強いが、巨匠ヨアヒムのサポートを得たことで、ベートーヴェンの Vn 協奏曲の「『技巧』の貧弱さ」に対して「超絶技巧を要求する難曲である」「(第1楽章展開部の)独奏ヴァイオリンには9度、10度という幅広い音程での重音奏法が要求されている(ウィキペディアより)」

カデンツァは、ヨアヒムのものを弾いているが、これまた、ばっちり。ヤンセンが弾くヨアヒムのカデンツァは、ブラームスの作曲技法の充実にマッチしている。快い。

私は、シュタインバッハーのなまめかしい演奏(Op.77)が、好きだった。ヤンセンも、このブラームスにおいて、一応、なまめかしく歌っていると言っていいだろう。しかし、ヤンセンのアプローチはコントロールされているので、そのなまめかしさが、これまた快い。

・ブラームス:ヴァイオリン協奏曲(第2、3楽章)について(以下、文字数節約モード)
第1楽章同様、弾き損ないを怖れないヤンセンの自信の現れ(第2楽章)と、これまた自信たっぷりの「切れ」があると思う(第3楽章)。

・バルトーク:ヴァイオリン協奏曲 第1番 について
この曲は、イザベル・ファウスト、シュタインバッハーのを持っているが、あまり聴いてない。ヤンセンのバルトーク:Vn 協奏曲 第1番をゲットしたのを機に聴いてみようかな。

2016年3月25日 (金)

【メモ】 私に、デュティユーとエリオット・カーターを教えてくれた人は、この人でした/クレール=マリ・ル・ゲの「デュティユー、バルトーク、エリオット・カーター作曲:ピアノ・ソナタ集」

Le_guay

Dutilleux / Bartók / Elliott Carter: Piano Sonatas
Claire-Marie Le Guay
2000年録音
ACCORD

いま、ふと、思い出したのですが、私に、デュティユーとエリオット・カーターを教えてくれた人は、他ならない、この人でした。久しぶりに、聴いてみようかなぁ。

※ デュティユーの「メタボール」は、チョン・ミョンフンの「幻想交響曲」と、カップリングされたものを、持っていたが、その CD は、ほとんど聴かずに、焼失した。

(続く)

SOLI Works for Solo Violin by Bartók, Penderecki, Benjamin, Carter and Kurtág Tamsin Waley-Cohen

Soli

SOLI(←多分、Solo の複数形)
Works for Solo Violin by Bartók, Penderecki, Benjamin, Carter and Kurtág
Tamsin Waley-Cohen, violin
Recorded at the Menuhin Hall, Yehudi Menuhin School, Surrey, UK from 20th to 22nd September 2014.

www.signumrecords.com ←クリックすると「Signum Records」のオフィシャルホームページに飛びます。

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Béla Bartók (1881-1945)
Sonata for Solo Violin, Sz. 117 (1944)
01 I. Tempo di ciaccona [14.12]
02 II. Fuga. Risoluto, non troppo vivo [5.00]
03 III. Melodia. Adagio [8.36]
04 IV. Presto. [6.09]

George Benjamin (b.1960)
Three Miniatures for Solo Violin (2001)
05 I. A Lullaby for Lalit [3.52]
06 II. A Canon for Sally [2.29]
07 III. Lauer Lied [3.16]

Krzysztof Penderecki (b.1933)
08 Cadenza (1984) [10.05]

Elliott Carter (1908-2012)
From Four Lauds
09 I. Statement – Remembering Aaron (1999) [4.09]
10 III. Rhapsodic Musings (2000) [3.36]

György Kurtág (b.1926)
Six Miniatures
11 In Nomine all'ungherese (Damjanich emlékko) (2001) [5.45]
12 Anziksz Kellerannanak (Postcard to Anna Keller) (1993) [0.31]
13 Hommage a John Cage (1987, rev.1991) [1.53]
14 Thomas Blum in memoriam (1995) [2.38]
15 ...féerie d'automne... (2004) [2.26]
16 Hommage a JSB (2005) [1.53]

Total timings: [76.33]

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『ソリ〜無伴奏ヴァイオリン作品集』
● バルトーク:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ Sz.117
● ベンジャミン:無伴奏ヴァイオリンのための3つの小品
● ペンデレツキ:カデンツァ
● エリオット・カーター:無伴奏ヴァイオリンのための『4つの賛美』より第1番、第3番
● クルターグ:6つの小品

 タムシン・ウェーリー=コーエン(ヴァイオリン)

 録音時期:2014年9月20-22日
 録音場所:イギリス、メニューイン・ホール
 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)

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・このアルバムについて

このアルバムは、ユニークであり、消化するのが難しいので、以下、箇条書きで書く。


結論から書くと、私は、タムシン・ウェーリー=コーエンの各作品に対する適切な解釈と、彼女の弾く「1721年製のストラディヴァリウス『ex-Fenyves』という楽器」の美しさが、大いに気に入った。彼女は、2007年以来そのヴァイオリンを弾いていると、リーフレットに書いてある。


私は、このアルバムに嵌ってしまった。
私は、このアルバムを気に入った:ありきたりな言い方だが、このアルバムは、リスナーを引きつけ、納得させる不思議な説得力を持っていると思う。


このアルバムのメインは「バルトーク:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ Sz.117(以下「Sz.117」と略す)」である。その他の作品は、文字通り「ミニチュア(ベンジャミン、クルターグ)」であったり「抜粋(エリオット・カーター)」であったり「寄せ集め(クルターグ)」であったりする:「クルターグ:6つの小品」は、標題を持つ組曲様だが、作曲年を見てみると、作曲年がまちまち:古いものは「Hommage a John Cage (1987, rev.1991)」新しいものは「Hommage a JSB (2005) 」:その隔たりは18年もある:寄せ集めに見える。ただし、ペンデレツキの「カデンツァ」のみは「単一楽章、かつ、演奏時間約10分」という点で大作の部類に「聞こえる」。しかし、その他の作品は、概ね演奏時間が短い小品の集合体である。


「ベンジャミン:無伴奏ヴァイオリンのための3つの小品」の演奏時間は、合計約9分37秒。
「カーター:無伴奏ヴァイオリンのための『4つの賛美』より第1番、第3番」は合計約7分45秒。
「クルターグ:6つの小品」は、合計約15分であるが、中身は短い曲の集合体である。
「ペンデレツキ:カデンツァ」だけは、上にも書いた通り単一楽章なのに演奏時間約10分の力作。
それに対し、バルトークの「Sz.117」は、堂々たる4つの楽章を持ち、その全曲演奏時間は(コーエンの演奏で)14’12+5’00+8’36+6’09=合計約33分57秒:すなわち、バルトークの「Sz.117」は、このアルバムにおいて、他の作品に対する《作品の完成度・充実度》の差を見せつける大作。


とはいえ、このアルバムに収録された作品は(バルトークの「Sz.117」以外も)テンションが高い難曲ばかりであり、それらは充実している。私は、当初、この CD を聴く前、「ペンデレツキ、カーターあたりは《能天気》な作品だろう」と思いきや、そうではなかった。このアルバムのプログラムにおいて、ベンジャミンとベンジャミンよりあとの作品は、ある意味、暗くて、じめじめした(陰気?)、似たような曲が続く(?)。しかし、それらは充実している。そして、それらの「暗さ」から、私は「私たちが生きている時代の暗さ」を感じる・・・そして、それらに比べれば、バルトークの「Sz.117」は、むしろ、明るく、また、可愛いく思えた。


結局、このアルバムを聴いて思うことは、バルトークの偉大さである。
彼は、1943年の秋頃、メニューインから「無伴奏ヴァイオリンのための作品を書いてもらえないか」と依頼され、1944年3月14日には、それを完成している(作曲期間については「わずか数週間」と作曲者自身が述べている)(ウィキペディアより)。どんな形式・様式・ジャンルの作曲であっても、決して手抜きをせず、半端な作品を書かず、「Sz.117」のような大作を書くバルトークの偉大さ! しかも、短期間で書く! しかも、その作品は「メニューイン自身『初めて楽譜を見せてもらった時は冷や汗が流れた』と回想」するほどの超絶技巧曲!(ウィキペディアより)
しかも、突然変異的作品(後述)!

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・「バルトーク:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ Sz.117」(1944) について

私が所有する「Sz.117」は:

イザベル・ファウスト 1996年録音
バイバ・スクリデ 2004年録音
Elise Båtnes(←読み方不明) 2005年、または、2007年録音
ヴィルデ・フラング 2010年録音
・タムシン・ウェーリー=コーエン 2014年録音

【演奏時間(参考までに)】

メニューイン 9' 36 4' 28 6' 56 5' 02 ←Apple Music より引用
ファウスト 11' 40 5' 04 8'27 5' 51
スクリデ 10' 16 4' 49 7' 30 5' 12
Båtnes 10' 40 4' 57 7' 34 5' 32
フラング 9' 26 5' 01 7' 15 5' 28
コーエン 14' 12 5' 00 8' 36 6' 09

上記を改めて聴いてみると、私のこのブログにコメントを寄せて下さるNさんおすすめの Elise Båtnes の演奏が、淀みなく、流れが良く、悲痛さも表れている、一番良い演奏だと思う。若い時に録音されたスクリデ(23才頃録音)もまた、なかなか明快にして、ある意味ディープ(第3楽章)、かつ、鋭くてよろしいと思う。ヴィルデ・フラング(24才頃録音)は、基本的に外してないと思う。←ただし、スピード感があり技巧的だが少し軽くてつかみどころがないかも知れない(第1、2楽章)。←第3、4楽章は、より見通しが良く挽回していると思う。イザベル・ファウストの「Sz.117」は、良いのか悪いのかよく分からない・・・と言っても、私は、「Sz.117」という作品を消化できてないので、同曲演奏について、評価・感想を書く自信はあまりない。たとえば、バルトークのソナタ形式(第1楽章)は難しい・・・(汗;;

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バルトークの「無伴奏ヴァイオリン Sz.117」は初演者メニューインの委嘱によって書かれ、彼に献呈されている(この作品についての概要・詳細はウィキペディアの項が参考になる)。したがって、メニューインによるこの作品の演奏が、この世に残っているなら、それが参考になるはずだが・・・←ありました。Apple Music にて、bartok menuhin 117 で検索したら、アップロード(ストリーミング)されていました。

Menuhin
(C) Apple Music

私は(メニューインがグレン・グールドと共演したシェーンベルクは良かったという記憶はおぼろげにあるが)メニューインというヴァイオリニストを(名前しか)知らない。だが、メニューインの「Sz.117」を、Apple Music にて聴いてみると、やっぱり、彼の同曲演奏は、かなり上手い。メニューインの「Sz.117」にはスピード感がある(上記演奏時間参照のこと)。そして、当然のことだが、メニューインの同曲演奏は、同曲が《メニューインのために作曲された作品》であることを感じさせる。したがって、上記の5人の演奏者たちが、メニューインの同曲演奏と対峙しなければならなかったとすれば、彼女らが同曲を演奏するのは難しかっただろう。

・肝心のタムシン・ウェーリー=コーエンの「Sz.117」について

結論から言うと、コーエンの遅いテンポの演奏を、私は、気に入った。彼女の「Sz.117」を聴いて、何故かしら「この作品は、バッハの『無伴奏 Vn ソナタ BWV 1001』に似ているなあ」と私は《初めて》思った。コーエンは、バッハを真似ているのか。もしそうだとしたら、多分、それは成功しているのだろう。

ウィキペディアにあるように、バルトークはヨーロッパ時代に「若い頃の私にはバッハとモーツァルトは美の理想ではなく、むしろベートーヴェンがそうだった」と回想している。そのバルトークが何故はっきりとバッハへのオマージュを感じさせる作品として仕上げたのかは分かっていない。ベートーヴェンに傾倒していたバルトーク(たとえば弦楽四重奏曲において)がバッハにインスパイアされて書いた「Sz.117」は「突然変異」。←演奏者は、その《特異性》を表わすのは難しいだろうし、リスナーはそれを受け入れにくいと思う。←だから、私は、バルトークの作品は難しくて苦手。つまり、バルトークが、バッハをいかに受容したか・・・そういう謎解きは、私は苦手。たとえば、この本を読んでもそれは分からないんじゃないか・・・このアルバムにおいて、同じ無伴奏にしても、ジョージ・ベンジャミン、ペンデレツキ、エリオット・カーター、クルターグの無伴奏のほうが、私は受け入れやすい・・・そもそも、私は、バッハの無伴奏ヴァイオリンという6つの作品は嫌い・・・しかし、コーエンやその他の人たちが弾く「Sz.117」は、嫌いになれない私。(←面白くない話になってしまった(汗;;)。

コーエンの「Sz.117」の演奏時間を見れば分かるように(第1楽章:14分12秒)、彼女は(第1楽章のみならず)この「超絶技巧的な作品全曲」を丹念に弾いていると思う。←ただし、他方で、第1楽章は「引き締まってなくて退屈する」第2、4楽章は「粗い」という異論があるかも知れない。繰り返すが、Elise Båtnes の「Sz.117」の締まった解釈のほうが、(コーエンより)ベター、あるいは、ベストだろう。
ちなみに、コーエンの「Sz.117」第1楽章の8分23秒に、間が空く。←インターバル(?)。

「Sz.117」の」特長の一つは《民族性》だと思うが【注】、私の主観では、コーエンのアプローチは、民族性を殺している(あるいは、民族色を表わしきれてない)ような気がする・・・←あるいは、それは、コーエンの「Sz.117」に対する《正しい解釈》なのかも知れない・・・あるいは、それは、私がバルトークの民族性を理解していないからかも知れない。
第3楽章は、多分、弱音器を付けずに演奏しているようだが、彼女が弾く弱音とフラジオレットは、物悲しくも美しい。第4楽章は、荒いが上手い。
コーエンは、メニューインの速いテンポ(Sz.117)に対し、《遅いテンポ》で挑戦している・・・そして、彼女は健闘していると思う。

【注】 ピアニストであったバルトークだが、民謡採集活動の中でハンガリー農民やジプシーの奏でるヴァイオリンに触れ、更にヨゼフ・シゲティら多くのヴァイオリニストの知己がいたことからヴァイオリンの演奏テクニックにはかなり詳しかった。(ウィキペディアより)

・ベンジャミン:無伴奏ヴァイオリンのための3つの小品 (2001)

「静 - 動 - 静」の構成からなる。第1楽章:ララバイは静的で内向的。重音奏法が多い。技巧的。重音・フラジオレットが美しい。中間部に同じ旋律のリピートがある(1分56秒)。
第2楽章:カノンで爆発する。
第3楽章:ラウアー(人名?)のリート:は、再び静的で内向的。前半はピチカート。何が何だか分からない作品だが、コーエンのこの作品に対する解釈は、多分、的確。

・ペンデレツキ:カデンツァ (1984)

この作品は、実在する Vn 協奏曲の一部ではない。そして、ペンデレツキの能天気さがなく、暗くて、悲痛な慟哭の音楽。
この作品は、静かな「うめき」で始まる。そして、次第に盛り上がる。中間部は激しく技巧的で、ショスタコーヴィチの Vn 協奏曲第1番のカデンツァを思い起こさせる。また、この作品は、静と動の両端を持つが、それは「ポーランド・レクイエム(1984 年初演)」のそれを思い起こさせる。最後の部分のヴァイオリンの短い独白は美しい(フラジオレット)。

・エリオット・カーター:無伴奏ヴァイオリンのための『4つの賛美』より第1番、第3番 (1999 / 2000)

この作品は、カーター、91〜92才のときの作品であるが、彼は全然衰えていない。いかにもカーターらしく、激しく暴力的に、入り組んだ「曲集(抜粋)」だが、コーエンはそれを技巧で持ちこたえていると思う。この作品は、どことなく、ヨーロッパ的であり、このアルバムの他の作品にうまく溶け込んでいると思う。
「カーターは本当に演奏者を愛し、楽器の潜在能力に夢中な作曲家です(Carter is a composer who really likes performers and excited by the instrument's potential.)」と、アリサ・ワイラースタインが述べたごとく、この「曲集」においては、ストラディヴァリウス「ex-Fenyves」の高音が美しい。これは、私の好みの作品である。

・クルターグ:6つの小品

この「6つの小品」には、上にも書いた通り各曲に、標題らしきものがついている(第1曲:In Nomine all'ungherese は、すべてのハンガリー人の名において、という意味なのだろうか)。この小品集は、バラバラ、気まぐれ、まとまりのない固まりである。
第1曲:In Nomine all'ungherese は、クルターグの非西欧的な旋律が、イギリス人コーエンによって、朗々と吟じられるが、それは、まったく不自然ではない。
第2曲は、彼の「カフカ断章」に似ている。
第3曲は「ジョン・ケージへのオマージュ(Hommage a John Cage)」だが、どこが、ケージへのオマージュなのか分からない。
最後の曲「バッハへのオマージュ(Hommage a JSB)」は、唐突に終わる。
このクルターグの小品集は、このアルバムのオマケのようでもあるが、このアルバムを《解決》するのに、悪い作品ではないと思う。いや、それどころか、コーエンが、このクルターグの作品の特異性(=まとまりのない6曲の固まり)を、このアルバムを締めるために《利用》したのは、彼女の実力の現れか。

・まとめ

ハンガリーの作曲家、2人を、始めと終わりに持ってきて(イギリス、ポーランド、米国の作曲家を挿入し)、終わりは、21世紀ハンガリーの作曲家の作品で締めたプログラム・選曲がうまい。そして、何度も言うが、コーエンの弾くストラディヴァリウス「ex-Fenyves」の音が美しい。

【Apple Music】 検索キーワード:Tamsin Waley-Cohen

【2016−3−27 追加】 クルターグの「6つの小品」が、ある意味、能天気か。

【2016−5−24 追加】 クルターグの「6つの小品」これは、寄せ集めのオマケかと思ったが、ウェーリー=コーエンのストラディヴァリウスが、よく鳴っている。名演だ。オマケじゃなかった(汗;;

2015年12月26日 (土)

Valentina Tóth plays Zoltán Kodály and Béla Bartók

Toth

Zoltán Kodály
Béla Bartók
Hungarian Horizon
Valentina Tóth, piano
Label: Challenge Classics ‎- CC72522
Recording dates: July 2012 & January 2013
Released: 22 Mar 2013

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Tracklist

Béla Bartók (1881 - 1945)
14 Bagatelles (Tizennégy Bagatell Zongorára), Sz.38 Op. 6 (1908)

1 Molto Sostenuto 1:28
2 Allegro Giocoso 0:51
3 Andante 0:47
4 Grave 1:36
5 Vivo 1:09
6 Lento 1:26
7 Allegretto Molto Capriccioso 2:11
8 Andante Sostenuto 1:50
9 Allegretto Grazioso 1:51
10 Allegro 2:30
11 Allegretto Molto Rubato 1:45
12 Rubato 3:48
13 'Elle est morte': Lento Funebre 2:09
14 Valse 'Ma mie qui danse': Presto 2:11

Zoltán Kodály (1882 - 1967)
Seven Piano Pieces (Hét zongoradarab) Op. 11 (1910 -18)

15 Lento 1:36
16 Székely Lament (Székely keserves): Rubato, Parlando 2:01
17 'Il pleure dans mon cœur comme il pleut sur la ville' (Paul Verlaine): Allegretto Malinconico 1:21
18 Epitaph (Sírfelirat): Rubato 6:21
19 Tranquillo 1:57
20 Székely Tune (Székely Nóta): Poco Rubato 3:34
21 Rubato 6:20

22 Dances of Marosszék (Marosszéki Táncok) (1927) 12:12

Béla Bartók
3 Hungarian Folksongs From Csík (Három csíkmegyei népdal), Sz.35a (1907)

23 Rubato 1:29
24 L'istesso Tempo 1:00
25 Poco Vivo 1:02

total time 64:40

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【収録曲】

バルトーク・ベーラ:
14のバガテル Sz.38 op.6(1908)

コダーイ・ゾルターン:
7つの小品 作品11(1917年 - 1918年)
マロシュセーク舞曲(1927年 ピアノ版)

バルトーク・ベーラ:
シク地方の3つの民謡 Sz.35a (1907年)

 ヴァレンティーナ・トース(ピアノ)
 2012 / 13 年録音
 Challenge Classics

・収録曲は、比較的知られていない作品からなる(←私が知らないだけかも知れない)

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【私の評価】

私はこのアルバムを気に入ったが、内容が地味なので《商品として》評価は星4つ。

【前置き】

私は、バルトークとコダーイが苦手! バルトークは好きだが、彼の「弦楽四重奏曲」「Vn 協奏曲 No.2」以外は、あまり聞かない。コダーイは全然知らない。したがって、私(=バルトーク苦手=コダーイ知らない人間)は、このアルバムを、もうちょっと聴き込んで、レビューを書くべきだったかも知れない。しかし、聴き込んでも、私は、それらの音楽を理論的に説明できないだろう。

【本文】

このピアニスト(Valentina Tóth)のラストネームの読みがわからない。

ハンガリー、ブダペスト出身のフィギアスケーターに「トース・イヴェット(Tóth Ivett)」という人がいる。その人と同じラストネームだとすれば、このピアニストの名は「ヴァレンティーナ・トース」じゃないかと思う。

彼女のオフィシャルホームページには「Valentina Tóth (1994, Leeuwarden)」とある。1994 年生まれ、レーワルデン オランダ出身! ということは、彼女は、このアルバム録音当時18〜19才だった(?)。彼女は、その若さが発する、ストレートな技巧で、各作品の個性を保ちながらも、ちゃんと、自信・確信をもって《自己主張》しているのではないか・・・と、思われるが・・・どうだろうか。

ただし、私は、バルトークとコダーイ苦手なので、このアルバムの全曲における音楽の流れ・コンセプトの充実・統一感・統一性については、それらがうまく行っているのかどうか分からない。『彼女の音楽は、民族性が生きていない』と、思もわれるリスナーさんもいらっしゃるかも知れない。←しかし、その点において、『彼女の解釈・演奏に不満はない』・・・と、私は、自分勝手に思い込んでいる。

さて、

ラストネームからして、彼女は、ハンガリー系ということか。リーフレットには、

「And take that coming home quite literally, because Valentina is three-eighths Hungarian and five-eighths Dutch; she grew up in a house opposite the church in a village in Fiesland (Oudkerk, or Aldtsjerk in Frisian)(ハンガリー人の血が8分の3、オランダ人の血が8分の5。彼女は、フリースラント州にて育った)」

とある。フリースラント州は、オランダ北部の州。州都はレーワルデン。

しつこいが、上にも書いた通り、私は、バルトークとコダーイが苦手なので、彼女の演奏が、十分に民族的であり、十分にピアノ音楽的であるかどうかは分からない。しかし、このアルバムは、リスナーをバルトークとコダーイの音楽に浸らせてくれるかも知れない・・・もっと言えば、このアルバムは、『バルトーク&コダーイの音楽は、取っ付き難い』と思っていらっしゃるリスナーさん・・・そういうリスナーさんに向いているかも知れない。←このアルバムは、バルトーク&コダーイの音楽を取っ付き易くするかも知れない(←たとえば、このアルバムにおいて、バルトークの「14のバガテル」と、コダーイの「7つの小品」は、組曲的ではない。よって、取っ付き難いかも知れないが・・・実際はそうではない)。←少なくとも私は、この Valentina Tóth の音楽に浸ってしまった。
←さらに言えば、リスナーをして、上記2人の作曲家を、もっと知りたいと思わせるかも知れない・・・このアルバムはそのきっかけを与えるかも知れない。←過大評価か?
←私は、バルトーキアンであられる某クラシック音楽愛好者さんから、ヤーノシュ・カールパーティ著「バルトークの室内楽曲」を、読むように進められたが、私は、それを、ほとんど読んでない(汗)・・・このアルバム購入をきっかけに、それを読むかも知れない(又は、読まないかも知れない)。

要するに、このアルバムは、あなたを、バルトークとコダーイの音楽に、のめり込ませるかも知れない・・・と書いたら、それも、このアルバムに対する過大評価か?

【追加】

それにしても、コダーイの音楽は、東洋的、あるいは、日本的(?)。私は、このアルバムの中で、コダーイの「7つの小品 作品11」が、一番気に入った。←取っ付き易く、(ピアノ奏法が効果的で)美しいと思う。
勿論、その他の作品も悪くないと思う。

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【Apple Music へのリンク】

・検索キーワード:Bartok Valentina Toth

Valentina
(C) Apple Music

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【2015−12−27 追加】

このアルバムを、繰り返し聴いてみたが、やはり、ヴァレンティーナ・トースの若さは否めない。

2013年8月 2日 (金)

イザベル・ファウストの「バルトーク:ヴァイオリン協奏曲集(第1、2番)」

Bartok_2
バルトーク:ヴァイオリン協奏曲集(第1、2番)
Isabelle Faust, violin
Swedish Radio Symphony Orchestra
Daniel Harding, conductor
2012年録音

私は、バルトークは苦手だ。ただし、弦楽四重奏曲だけは分かる(バルトークの弦楽四重奏曲全集はエマーソンQのが一番いい)。
よって、バルトークの弦楽四重奏曲以外の作品の演奏の良し悪しについては、バルトーキアンであらせられる「トロンボーン吹き」さんのご意見を参考にしてきた。
だが今回は、独断で評価する。

・バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番
イザベル・ファウスト&ダニエル・ハーディングの「バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番」は、いままで聴いたものの中で一番気に入った(ちなみに、トロンボーン吹きさんは、シャハム&ブーレーズ盤をベストとしていた。それは私にはピンと来なかった。それから、彼はアラベラ・シュタインバッハー&ヤノフスキーのを良いと言っていた。これは指揮者のヤノフスキーが私は嫌い。シュタインバッハーの演奏もやはりピンと来ない)。

バルトークは、晩年(死の5年前)アメリカに移住した。アメリカには、シェーンベルクも移住した。にもかかわらず、今日、この二人の作品はほとんど米国では演奏されないんじゃないか(グレン・グールドはシェーンベルクを演奏したがバルトークを演奏してない。ショルティとブーレーズは米国のオケでバルトークを多数録音したが、米国の演奏会にてバルトークを取り上げたのだろうか?)。

アメリカ人は、バルトークの名前さえ知らんだろう。
由々しきことに、バルトークの自筆譜は、バルトークの息子さんのペーテル・バルトークさんが管理しているという。つまり「バルトークの遺産と記憶」を管理しているのは私人である・・・本来なら、しかるべき法人か、アメリカ合衆国が管理すべきだろう。アメリカは、バルトークを忘れている・・・このままでは、バルトークは世界から忘れられるかも・・・なぜなら、どんなに優れた音楽でも、正しく継承されなければこの世から消えるということはあり得ると思う・・・継承者がいなくなったりして・・・。

イザベル・ファウストの演奏は、アメリカ人にバルトークの面白さを教えると思う。彼女とハーディングの演奏は、「バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番」の「側面」であるエンターテインメントが聴かれると思う。楽しい演奏である。この演奏なら、アメリカのコンサートにて、アメリカ人に受け入れられるのではないだろうか? アメリカ人の好みにあわせて、もっとどんちゃん騒ぎしても良いと思ったが・・・大音量で聴くと、上品なにぎやかさとスリルが聞こえる(ちなみに最終楽章は初版のようです)。

演奏時間
シャハム 16:37 10:50 13:05
シュタインバッハー 16:39 10:35 12:21
ファウスト 15:18 9:16 11:14

ウィキペディアを読めば分かるとおり、この作品は内容が難しい。この作品はセーケイというヴィルトゥオーゾのために書かれた。おそらく演奏するのも難しい。ファウスト&ハーディングは聞きやすい演奏を狙ったのだと思う。この二人のアンサンブルとファウストのソロが、バルトークにうるさい人に認められるかどうかは分からない。しかし、私にとっては最も分かりやすい演奏に聞こえた。とにかく、アメリカ人さんに聴いてもらいたい。アメリカ人さんへ。聴いてちょうだい。

2012年6月12日 (火)

ヴィルデ・フラングのグリーグ、バルトーク、R. シュトラウス

Frang

Grieg: Violin Sonata No. 1 in F major Op. 8
Bartók: Sonata for solo violin
R. Strauss: Violin Sonata in E Flat major Op. 18
Vilde Frang, violin
Michail Lifits, piano
Recorded: 2010
EMI

ヴィルデ・フラングという人は、オフィシャルホームページを見てみたら、愛嬌を振りまいている・・・アイドル系ヴァイオリニストかと思ったら、そうではなかった。というのも、難曲である「バルトーク:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ」をちゃんと弾いている。彼女はその作品が持つ暴力的一面(言い過ぎか)を表していると思う。ただし、第3楽章の Melodia (Adagio) は、もう少し寂寥感のようなものが欲しかった。第1楽章はテンポが速い。第2楽章のフーガはうまい。最終楽章の強めのピチカートは気に入った。この作品については、Elise Båtnes の演奏が一番良いと思うが、ヴィルデ・フラングの演奏は激しさと分かりやすさの両方を持つという良さがあると思う。

バルトーク:ソナタの演奏時間
スクリデ 10' 16 4' 49 7' 30 5' 12
Båtnes 10' 40 4' 57 7' 34 5' 32
フラング 9' 26 5' 01 7' 15 5' 28

グリーグ、リヒャルト・シュトラウスのソナタは、多分珍しい作品だと思う。リヒャルト・シュトラウスのソナタは非常に美しい名曲だ。それは、超絶技巧の「バルトーク:ソナタ」よりもフラングのういういしさが生きていると思う。

2011年4月24日 (日)

シュタインバッハーの「バルトーク:ヴァイオリン協奏曲」

Steinbacher

Béla Bartók
Violin Concerto No. 2 (1938)
1. Allegro non troppo [16’ 39]
2. Andante tranquillo [10’ 35]
3. Allegro morto [12’ 21]

Violin Concerto No. 1, Op. Posth. (1907 - 08)
4. Andante sostenuto [9’ 21]
5. Allegro giocoso [12’ 03]

Arabella Steinbacher, violin
Orchestre de la Suisse Romande
Conducted by Marek Janowski
Recorded: 2009
Pentatone

私がこの人の演奏を初めて聴いたのは、ベートーヴェンだった。その、のんびりした演奏を聞いた私の第一印象は、いまでも変わらない。この人には、バルトークの Vn 協奏曲第1番のロマン的な第1楽章が合っていると思う。シュタインバッハーのバルトークの Vn 協奏曲第1番を改めて聞いてみると、彼女の演奏は、よく歌いながらも感情移入しない。それが、彼女の魅力だと思う。第2番のほうは、もっとせっかちに弾いて、輪郭をはっきりさせたほうがいいと思うのだが。

【2011年10月8日 追加】
バルトークの Vn 協奏曲第2番の良さがやっと分かった。これは、難しい作品だと思っていたが、さらに他のヴァイオリニストの演奏を聴いてみると、この作品には「ゾルターン・セーケイに気持ちよく弾いてもらうために書かれた」という意味で、ある種のエンターテインメント的性格があることとがわかった。その意味で、シュタインバッハーの演奏は、実に気持ちよく弾いていて、しかも、作品の形式的面白さも損なわない。

2011年4月23日 (土)

ケレメン&コチシュの「バルトーク:ヴァイオリン協奏曲 第2番」

Bartok

Bartók
Rhapsody No. 1 for Violin and Orchestra (1928-1929, BB 94b, Sz 87)
1. I. "Lassú" (Moderato) 4:19
2. II. "Friss" (Allegro moderato; 1st version) 5:30

Rhapsody No. 2 for Violin and Orchestra (1928-1929, rev. 1935, BB 96b, Sz 90)
3. I. "Lassú" (Moderato) 3:55
4. II. "Friss" (Allegretto moderato; 2nd version) 5:38

Violin Concerto ("No. 2") (1937-38, BB 117, Sz 112)
5. I. Allegro non troppo 15:12
6. II. Andante tranquillo 9:03
7. III. Allegro molto (2nd version) 11:09

Appendix
Rhapsody No. 1 for Violin and Orchestra
8. II. "Friss" (Allegro moderato; 2nd version) 4:55
Violin Concerto ("No. 2")
9. III. Allegro molto (1st version) 11:05
Rhapsody No. 2 for Violin and Orchestra (1928-1929)
10. II. "Friss" (Allegretto moderato; 1st version) First recording 6:13
Total time: 77:39

Barnabás Kelemen - violin
Hungarian National Philharmonic Orchestra
Conducted by Zoltán Kocsis
HUNGAROTON
Hybrid SACD

これは特にすぐれた演奏というわけではないが(もしかしたらすぐれた演奏かも知れないが、私はこの曲が苦手なのでよくわからない)、あっさりしているという意味で、私の好みにあう。このアルバムは、ハンガリーの演奏者によるもの。そして、このアルバムは、第1曲目のラプソディーからして、民族的だと思う。私は、バルトークの Vn 協奏曲第2番は下記の4種類を持っているが、これが一番聴きやすくて気に入った。たとえば、第3楽章の 2 分 10 秒あたりで、第1楽章の第2主題のような音形が現れるところは「第 3 楽章全体が第 1 楽章の忠実な変奏」という形式がうかがえて、なんとなくホッとする。

Mutter Ozawa Boston Symphony Orchestra (Recorded: 1991)
Mullova Esa-Pekka Salonen Los Angeles Phil (Recorded: 1997)
Gil Shaham Boulez Chicago Symphony Orchestra (Recorded: 1998)
Arabella Steinbacher Marek Janowski Orchestre de la Suisse Rmande (Recorded: 2009)

トロンボーン吹きによるクラシックの嗜好さんのおすすめは、シャハム&ブーレーズなのだが、これは演奏時間が長い(40' 32)。
ケレメン&コチシュのは、35' 34 です。

作品解説は、下記トロンボーン吹きによるクラシックの嗜好のページをご参照下さい。

バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第 2 番/ブーレーズ/シャハム [DG]

2011年1月10日 (月)

Elise Båtnes の「バルトーク:無伴奏ヴァイリン・ソナタ」

Batnes

Bartók
Andante for violin and piano (1902)
Sonata for violin and piano (1903)
Hungarian Folksongs for violin and piano (1934)
Sonata for solo violin (1944)
Elise Båtnes, violin
Håvard Gimse, piano
Recoeded: 2005 / 07
SIMAX
SACD / Hybrid

猫大好きさんおすすめの Elise Båtnes の「バルトーク:無伴奏ヴァイリン・ソナタ」は良かった。
(Elise Båtnes は、ノルウェイ出身。名前の正確な読み方は不明)

私は、スクリデの演奏も解りやすく、かなり良いと思うが、Båtnes のほうが、もっと解りやい演奏だと思う。というのも、演奏時間を比較するとスクリデより、Båtnes のほうが若干長い。が、後者の演奏のほうが締まった演奏に聞こえる。

スクリデ 10' 16 4' 49 7' 30 5' 12
Båtnes 10' 40 4' 57 7' 34 5' 32

Elise Båtnes の「バルトーク:無伴奏ヴァイリン・ソナタ」は、第1楽章の、9 分 30 秒辺り、音楽がブルーになる辺りから、胸を締め付けられるような悲痛を感じる。第3楽章の Melodia (バルトークの夜の音楽)は、もっと痛い。

しかし、Båtnes の演奏は最初の第1楽章の提示部で、すでに、バルトーク特有の痛々しさが見えるような気がする(0 分 55 秒辺り)。第1楽章は、ト(短)調。ソナタ形式的な構造をもった変奏曲(ウィキペディアを参照のこと)。リーフレットには The only folk - echo here is the 'Scotch - snap' cadence (more Hungarian than Scots) と書いてあるが、何のことだか解らない。

第4楽章、Presto は、ある種のスケルツォ・ロンドであり、リトルネッロ・テーマは半音 16 分音符の蚊の鳴き声(a mosquito's whine)であるとリーフレットに書いてある。それはもともと、四分音(バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第 2 番/ブーレーズ/シャハム参照のこと)で書かれていたが、メニューインの助言により(実用的な理由で)半音に差し替えられた・・・とリーフレットに書いてあるようだが、間違いがあったらいけないのでリーフレットより原文を引用する。

We now know that Bartók had originally drafted several sections of his final in quarter - tones, only to substitute chromatic alternatives, on Menuhin's advice, for reasons of practicality.

・その他
最初の2曲 Andante for violin and piano (1902), Sonata for violin and piano (1903) は、バルトークの若いときの作品。
多分、珍しい録音ではないかと思う。

2010年12月15日 (水)

バルトークのヴァイオリン協奏曲 聴き比べ・・・

Mutter

ムター
デュティユー(2003年録音)
バルトーク(1991年)
ストラヴィンスキー(1988年)

Shaham

シャハム
バルトーク Vn 協奏曲、ラプソディー(1998年)

Steinbacher

シュタインバッハー(Arabella Steinbacher)
バルトーク Vn 協奏曲 Nos. 1 & 2(2009年)

これは、聴き比べではなく、私の嗜好の変化について

「私の嗜好は、火災の前と後では変わってしまった。」と私は書いたが、例えば、上記については

自称バルトーキアンであり、バルトークの楽譜出版のお仕事にもたずさわっていらっしゃる「トロンボーン吹きによるクラシックの嗜好」さんのお薦めである「シャハム&ブーレーズ盤」を推すべきなのだろうが、私の好みは、シュタインバッハー盤である。その理由は、
録音が新しいから。

「良い演奏を推す」「推さない」の問題はさておき、「好み」の問題もこえて、最近、私の嗜好は、最新の演奏・録音(しかも 20 世紀、21 世紀の音楽)に傾いている。

シュタインバッハーについて、一言だけふれれば、この人は、美形ヴァイオリニストのバイバ・スクリデ、ニコラ・ベネデッティの魅力に比べれば、その魅力は分かりにくかった(魅力といっても勿論、アーティストとしての魅力である)が、20 世紀を代表するヴァイオリン協奏曲の中、しかも難曲であるバルトークの第2番協奏曲を無難に弾きこなしている【注】のであるから、実力はあると思う。

しかし、私にとって、シャハム盤、ムター盤に比べたとき、シュタインバッハー盤の最大の魅力は、やはり、SACD の音響の心地よさと美音である。

【注】「無難に弾きこなしている」ではなくて「何とか最後まで弾いている」に訂正。やっぱり、シュタインバッハー盤の魅力は演奏ではなく、音響です。

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