2017年8月16日 (水)

生きていてもいいですか/中島みゆき

7th

生きていてもいいですか/中島みゆき/1980年4月5日発売


私は中島みゆきのアナログ・レコードを14枚持っていた。私事で恐縮だがそれらはすべて2009年の私の自宅の火災(全焼)で焼損した。しかし、それらをCD-DA盤で買い直す気がしない。なぜなら、それらは(値段が高いということもあるが)やっぱりCD-DA盤で聴いてもそれらは雰囲気が出ない。また私は現在、アナログ・レコードプレーヤを持っていないから、それらを中古アナログ・レコードで買い戻すこともしない・・・。

ただ、彼女の7枚目のアルバム「生きていてもいいですか」←これだけは買い戻さなければならないと思いそのCD-DA盤を再取得した。


このアルバムのコンセプトは「生きることの意味」「死ぬことの意味」・・・そのことへの問いかけと、そして現代人が陥った孤立と恐怖だ。第1曲の「うらみ・ます」は中島さんの恐怖と絶望が「怨恨」というモチーフに化けている。その歌は中島さんが男女の愛と憎しみをいくら叫んでも他者に伝わらない「孤立」・・・そして何物にも帰属できない「孤立」の歌であり、だからこそ彼女は叫び訴えるのである。

このアルバムのコンセプトは(印象的なアコーディオンのイントロで始まる)第7曲「エレーン」にある。「ネット上の百科事典ウィキペディア」の(中島さんのアルバム)「生きていてもいいですか」の項には、その曲の由来が書いてある。それは或る殺人事件だ。その殺人事件と第7曲「エレーン」は完全に重なる(第7曲はその殺人事件で犠牲になった者へのレクイエムである)。「生きていてもいいですか」という歌詞は第7曲「エレーン」に含まれる。その問いに対する答えは「人間は死ぬ間際にあってこそ今その時を大事に生きることができるが、生の苦しみにあっては生に怯え死に怯える」ということ。中島さんがこの曲の主人公のために流した涙は海へと流れとけていったのかも知れない。それは乾くことがない。

このアルバムには「孤立」を和らげる曲もある(第2曲「泣きたい夜に」には母性さえ感じられる)。しかし9分を超える最後の曲「異国」はやはり孤立そのもの。中島さんは後にアルバム「寒水魚」では自らを「歌姫」になぞらえる歌を最後に歌った。アルバム「予感」ではポジティブな生の応援歌「ファイト!」を最後に歌った。しかしこのアルバム「生きていてもいいですか」のラスト・ナンバー「異国」にカタルシスはない。彼女の歌う「異国」という曲は『世俗・世界』に対する抵抗だ。単なる異邦人の歌、その疎外感の歌ではない。第7曲「エレーン」と第8曲「異国」の歌詞をつなげて解釈すれば両者の歌詞の意味がスッキリつながる。両者の主人公はいずれも故郷を失った者同士・・・。

このアルバムは怖い。このアルバムのジャケットの表は黒地にただタイトル「生きていてもいいですか」だけが印字されたもの・・・まさにこのアルバムのコンセプトが記されてあるだけ。それに対して、このアルバムのジャケットの裏には、中島さんのスナップ写真・・・。その写真に写る中島さんは、痩せ細ってもいないし、怯えてもいない。その写真の中島さんは悲しげだがしかし彼女が生死を克服するための闘いをくぐりぬけその闘いを芸術作品に高めた後の彼女の虚脱感・疲れ、そしてまた生死を克服することができない者への哀れみが見える。←その写真こそ私の救いである。その写真なしには、私はこのアルバムを怖くて聴けない(下記画像参照)。


Miyuki_nakajima_20170816


【収録曲目】

1. うらみ・ます(7:29)
2. 泣きたい夜に(4:55)
3. キツネ狩りの歌(4:09)
4. 蕎麦屋(5:12)
5. 船を出すのなら九月(5:14)
6. インストゥルメンタル(インタールード)(1:10)
7. エレーン(7:47)
8. 異国(9:14)


【関連記事】

私が持っていた中島みゆきのアナログ・レコードをリストアップする

2017年8月 8日 (火)

私が持っていた中島みゆきのアナログ・レコードをリストアップする

1st_2
1st 『私の声が聞こえますか』 1976年4月25日発売

2nd
2nd 『みんな去ってしまった』 1976年10月25日発売

3rd_2
3rd 『あ・り・が・と・う』 1977年6月25日発売

4th
4th 『愛していると云ってくれ』 1978年4月10日発売

5th
5th 『親愛なる者へ』 1979年3月21日発売

6th
6th 『おかえりなさい』 1979年11月21日発売

7th
7th 『生きていてもいいですか』 1980年4月5日発売

8th
8th 『臨月』 1981年3月5日発売

9th
9th 『寒水魚』 1982年3月21日発売

10th
10th 『予感』 1983年3月5日発売

11th
11th 『はじめまして』 1984年10月24日発売

12th_2
12th 『御色なおし』 1985年4月17日発売

13th
13th 『miss M』 1985年11月7日発売

14th
14th 『36.5℃』 1986年11月12日発売


私は中島みゆきのアナログ・レコードを14枚持っていた。私事で恐縮だがそれらはすべて2009年の私の自宅の火災(全焼)で焼損した。しかし、それらをCD-DA盤で買い直す気がしない。なぜなら、それらは(値段が高いということもあるが)やっぱりCD-DA盤で聴いてもそれらは雰囲気が出ない。また私は現在、アナログ・レコードプレーヤを持っていないから、それらを中古アナログ・レコードで買い戻すこともしない。

中島みゆきという人は、4枚目のアルバム「愛していると云ってくれ」でメジャーになり、その後大ヒットし、現在ではスーパースターだ。だが、むしろ、彼女の初期のアルバム、すなわちファースト・アルバムからサード・アルバムまでが、彼女の歌声が優しく自然体であり好きだ。私はそれらを聴きたい・・・そして彼女の4枚目以降のアルバムで私が好きだったのは、7枚目の「生きていてもいいですか」。←これだけは再取得してもいいかな。

ただし、私はアルバム『中島みゆき(1988年3月16日発売)』以降、すなわちメディアがアナログからデジタル時代になって以降の彼女のアルバムはほとんど買っていない。

2017年6月15日 (木)

私のオデオ・システムでロック・ミュージックやポップスがちゃんと鳴ってくれないのは LUXMAN L-560 のせいらしい(泣)/LUXMAN L-560 で大滝詠一や小川美潮を鳴らすのは無理か(?)/我思う「クラシックは面白くない。ロックは聴けない。ならば私は何を聴けばいいのか?」

・私のオデオ・システムでロック・ミュージックやポップスがちゃんと鳴ってくれないのは「marantz sa-7s1」「marantz sa-11s1」よりも「LUXMAN L-560」のせいらしい(泣)

※ 上記は『AVスポットフジ』さんのご意見です。

※ ただし私が愛用するスピーカ「TANNOY Stirling/HW」についてそれがロック、ポップスに合うか合わないかは微妙(!)

・LUXMAN L-560 で大滝詠一や小川美潮を鳴らすのは無理か(?)

※ もう、ロック、ポップスの音盤を買うのはやめよう。

・クラシックは面白くない。ロックは聴けない。ならば私は何を聴けばいいのか?


【参考1】

A_long_vacation

A LONG VACATION(ア・ロング・バケイション)
大滝詠一
1981年発表

(2016年6月20日)


【参考2】

(前略)

【まとめ】

Elp

エマーソン、レイク&パーマー(K2HD/紙ジャケット仕様)

結局、上記、エマーソン、レイク&パーマーのみ、私のオデオ・システムで、一応、良く鳴る。しかし・・・

・・・・・・・・・・

Ogawa

檸檬の月/小川美潮

Keith_1

トーク・イズ・チープ/キース・リチャーズ/1988年

Keith_2

メイン・オフェンダー/同/1992年

Keith_3

クロスアイド・ハート/同/2015年

上の4つ(小川美潮とキース・リチャーズの3つのアルバム)は、私のオデオ・システムで、音量を上げると、ノイジーだと言っていいだろう。がっかり。私のオデオ・システムは、アコースティックにしか合わないのか? アコースティックしか良く鳴らさないのか? (ただし、エマーソン、レイク&パーマーを除く)。

(2016年5月29日)

2017年3月22日 (水)

チャック・ベリーの「30デイズ」ほか

Berry

ジョニー・B・グッド/チャック・ベリー・ベスト・セレクション[歌詞対訳付]


私は、中学生のとき、ロックン・ロール少年だった。

チャック・ベリーの訃報に接したのを機会に、上記アルバムを購入した。

改めて(じゃなくて初めて)、彼の詩の歌詞対訳つまり日本語訳を見た。やっぱり、チャック・ベリーの詩は素晴らしい。言葉が饒舌・・・というより、奇麗にほとばしる(!)。

繰り返すが、私は、いままで、彼の詩の対訳を読んだことはなかった。

・「30デイズ」という詩が、何を意味するか・・・以前から、疑問だったが、上記アルバム付属の歌詞対訳を読んでも意味不明。しかし、彼が、意味不明な、稚拙な詩を書くはずはないと思う。

・「ロックン・ロール・ミュージック」

I've got no kick against modern jazz,
Unless they try to play it too darn fast;
And change the beauty of the melody,
Until they sounded like a symphony,

「kick against」は「抗議する」という意味なんですね。私事ですが、昔、或るアメリカ人さんが、英会話で、その語を使ったとき、私は、その意味が分からず、恥をかいたことがある。

♪モダン・ジャズに文句は言わぬ
♪ただし、テンポが速すぎると
♪メロディーの美しさはそこなわれ
♪まるで交響曲のように聞こえる(交響曲のように退屈だ)

・「ユー・キャント・キャッチ・ミー」

↑空飛ぶ自動車か? ←そんなアホなと思っていたが・・・やっぱり、この詩は、シュールだった。フラット・トップ(flattop)というのは、角刈り、または、航空母艦のこと?

↑この曲は、ベースのスラップ奏法(厳密には違うがクラシックの奏法に於けるバルトーク・ピッツィカートと類似している。ウィキペディアより)が聴ける。つまり、彼のバックバンドのベースは、アコースティックだった。

そして、彼のリズムは、まさしく、リズム・アンド・ブルース。そのリズムは、非常に正確、かつ、強い。
彼のリズムは、基本的に、4ビートなのだが、エレクトリック・ギターが、8分音符で8ビートを刻むので、ポリリズムか(?)。

(下に続く)

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2017年3月19日 (日)

【訃報】 チャック・ベリー/この人はすぐれた詩人だった/ありがとう

Berry_1957
(C) Wikipedia

Legendary musician Chuck Berry dead at 90.

ABC News. March 18, 2017.

2016年8月20日 (土)

【Apple Music】 発売前のアルバムは1曲しか試聴できない。参考にならない/不完全/しかし、それが当然か/ライヴ・アット・ザ・ハリウッド・ボウル ザ・ビートルズ/ワンダーランド アリス=紗良・オット/ベートーヴェン、リスト:ピアノ作品集 ソフィー・パチーニ

Beatles
(C) Apple Music
ライヴ・アット・ザ・ハリウッド・ボウル ザ・ビートルズ Live at the Hollywood Bowl the Beatles(9月発売予定)
白文字で強調された1曲目「Twist and Shout (Live)」のみ試聴可能。

・・・

Sara_ott
(C) Apple Music
ワンダーランド アリス=紗良・オット Alice Sara Ott(9月発売予定)
黒文字で強調された「グリーグ:Pf 協奏曲 第2楽章」のみ試聴可能。

・・・

Pacini
(C) Apple Music
ベートーヴェン、リスト:ピアノ作品集 ソフィー・パチーニ Sophie Pacini(9月発売予定)
白文字で強調された9曲目「ハンガリー狂詩曲 S.244」のみ試聴可能。

2016年6月26日 (日)

【また、ビートルズ・ネタ】 私は、やっぱり「ビートルズ/2009年リマスター盤」は嫌い

Beatles

「The Beatles/1962-1966」および「The Beatles/1967-1970」のリマスター前(国内盤。1993発売)と、リマスター盤(輸入盤。2009年発売)を購入し聴き比べてみた。が、私は、やっぱり「ビートルズ/2009年リマスター盤」は嫌い。

たとえば『ペニー・レイン』という曲:この曲は、クラシック音楽用の楽器(管、弦)が、次々と、聞こえるのだが・・・それらは、リマスター前の音の方が、より自然に響くような気がする:たとえば、最後のヴァース「♪ペニー・レイン・ザ・バーバー・シェイヴズ・アナザー・カスタマー」のところ(2分04秒あたり)で、左チャンネルからチェロの音がほんの少し鳴るところは、前者リマスター前のほうが、音色の変化が(非常に微妙だが)より効果的・より鮮やか・より自然・・・だろう(その箇所をヘッドフォンで聴けば分かると思う。後者リマスター盤は、チェロの音がかき消されている感あり)。ペニー・レイン冒頭のオルガンも前者のほうが、奇麗に聞こえる・・・。

ビートルズの音楽を楽しむには、2009年リマスター盤でも構わないと思うが、ビートルズの音を聴くには「リマスター前」盤の方が良いと思う(ちなみに、私のオデオ環境:TANNOY Stirling/HW, LUXMAN L-560, marantz sa-7s1, marantz sa-11s1, Valve X SE, AKG K601)。

追加)話は変わりますが、東京サウンドって、倒産(?)してたんですね。知らんかった。

2016年6月23日 (木)

ビートルズのハーモニーはクラシック音楽的だと思う(2)「オール・ユー・ニード・イズ・ラブ」(続き)コード進行を書き加える

All_you_need_is_love_08_1
All_you_need_is_love_08_2

前の「オール・ユー・ニード・イズ・ラブ」のスコアに「コード進行」を書き加えました。ただし、私は、それらのコードを、実際にピアノで鳴らしてないし、私は、そもそも「コード」について、よく分からないので、上記は、テキトーです。飽くまで参考にして下さい。

なお、これらのスコアは「The Beatles Complete Scores / Hal Leonard Corp」に基づいています。

The_beatles_complete_scores_hal_leo
The Beatles Complete Scores / Hal Leonard Corp

・・・

【2016−6−24 追記】

17才ぐらいまで、私は、ロックばかり聴いていた。その後、私はクラシック音楽を聴くようになった。それは、ビートルズの影響によるものだった、かも・・・。

2016年6月22日 (水)

ビートルズのハーモニーはクラシック音楽的だと思う(2)「オール・ユー・ニード・イズ・ラブ」

このエントリーは、http://koshiro-m.cocolog-nifty.com/blog/2016/06/post-19ac.htmlに続きます。

このエントリーは、http://koshiro-m.cocolog-nifty.com/blog/2016/06/post-b491.htmlの続きです。

==

「オール・ユー・ニード・イズ・ラブ(All you need is love)」のハーモニーのところをスコアにしてみました。下記のスコアが正確だとすれば、やっぱり、これは、シンプルだが、やや複雑で面白い和音だと思います。なお、フェイドアウトのところに、インヴェンションのヘ長調を、くっ付けました(midi)。


All_you_need_is_love_01


All_you_need_is_love_02


All_you_need_is_love_03

・・・

・楽譜作成ソフト:フィナーレで作った「オール・ユー・ニード・イズ・ラブ」のファイルをダウンロードできます(下記)。

http://koshiro56.la.coocan.jp/blog/All_you_need_is_love_5.mus

2016年6月20日 (月)

ビートルズのハーモニーはクラシック音楽的だと思う(1)

このエントリーは、http://koshiro-m.cocolog-nifty.com/blog/2016/06/post-98c2.htmlに続きます。

==

下記は音楽之友社の「楽典(22ページ)」にある「ヘンデル:メサイア」のコーラスの一部であるが、それを見ると、クラシック音楽のハモり方が、複雑であることが分かると思う。
ロックや、ポッップスにおいて、下記のように複雑なハモり方に近いことをしているのは、私の知る限り、ビートルズだけじゃないかと思う。
もしかしたら、ジョン・レノンという人は、子供のころ、孤児院に入れられていて、讃美歌を歌わされていたのじゃないか・・・それが、彼独特のハモり方のもとじゃないかと、私は思う。


Messiah


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