2018年6月16日 (土)

(C) Apple Music モーツァルト:フルート協奏曲第1番、第2番、ミスリヴェチェク:フルート協奏曲/アナ・デ・ラ・ヴェガ、イギリス室内管弦楽団、および、シューマン:森の情景、幻想小曲集、幻想曲/エイナフ・ヤルデン

Ana_de_la_vega
(C) Apple Music 検索キーワード:Ana de la Vega

この人の演奏には、何かが足りないような気がする・・・表現力かな? 買わない。


【収録情報】
● モーツァルト:フルート協奏曲第2番ニ長調 K.314(I. 7:41/ II. 6:20/ III. 5:16 = 19:17)
● モーツァルト:フルート協奏曲第1番ト長調 K.313(I. 8:38/ II. 9:31/ III. 7:16 = 25:25)
● ミスリヴェチェク:フルート協奏曲ニ長調(I. 6:33/ II. 7:41/ III. 3:59 = 18:13)

アナ・デ・ラ・ヴェガ(フルート)
イギリス室内管弦楽団
ステファニー・ゴンリー(リーダー)

録音時期:2016年9月
録音場所:ロンドン、ヘンリー・ウッド・ホール
録音方式:ステレオ(PCM HI-RES/セッション)
SACD Hybrid

(HMV.co.jp より)





Einav_yarden
(C) Apple Music 検索キーワード:Einav Yarden

「シューマン:幻想曲 ハ長調」は上手いよ。ある意味、フレッシュ。アルゲリッチの演奏に少し似ているかな? だが、第2楽章以降は、ちょっと弱いかな・・・。買わない。


【収録情報】
シューマン:
● 3つの幻想小曲集 Op.111
● 幻想曲 ハ長調 Op.17
● 森の情景 Op.82

 エイナフ・ヤルデン(ピアノ)

 録音時期:2017年11月24-27日
 録音方式:ステレオ(DSD/セッション)
 SACD Hybrid

(HMV.co.jp より)

2018年5月20日 (日)

Sophie Pacini In Between Schumann & Mendelssohn

Pacini

Sophie Pacini
In Between
Schumann & Mendelssohn
2017年録音


私の評価:全体的にうるさいのでStars1

このアルバムは、シューマン夫妻、メンデルスゾーン姉弟の作品集というコンセプトを持っているが、それは大したコンセプトではないように私には思えた(←ただの寄せ集め)。ただし、例によってクラーラ・シューマンの作曲家としての力量は非凡。

このアルバムのメインは「シューマン:幻想小曲集 Op.12」であろう。同曲については、或る人が「アルゲリッチ盤」が良いと仰るのを聞いたことある。が、同曲アルゲリッチ盤を聴いてみて、私はそれが、それほど良いとは思わなかった。そして、ソフィー・パチーニの同曲は技巧的だが幻想性が足りない。うるさ過ぎる。ダメ!

その他の曲も技巧的だが、やっぱりうるさ過ぎる。最後の曲は華やかで良いが・・・。買わない方が良い。


【収録情報】
● リスト:シューマンの『献呈』 S.566a
● クラーラ・シューマン:スケルツォ第2番ハ短調 Op.14
● シューマン:幻想小曲集 Op.12
● シューマン:トッカータ ハ長調 Op.7
● メンデルスゾーン:厳格な変奏曲 ニ短調 Op.54
● メンデルスゾーン:無言歌集(Op.19-1, Op.30-3, Op.62-6, Op.67-1, Op.67-4)
● ファニー・ヘンゼル(ファニー・メンデルスゾーン):ピアノのための歌 Op.2-1
● メンデルスゾーン:ロンド・カプリチオーソ ホ長調 Op.14

ソフィー・パチーニ(ピアノ)

録音時期:2017年8月
録音場所:ドイツ、ノイマルクト、Historischer Reitstadel
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)

(HMV.co.jp より)

2018年2月18日 (日)

Schumann: Humoreske Piano Sonata in F sharp minor / Davidsbündlertänze Kinderszenen Sonata in G minor / Angela Hewitt

Hewitt_1

Schumann:
Humoreske
Piano Sonata in F sharp minor
Angela Hewitt
Piano: FAZIOLI
2007年録音


私の評価:覇気がない:Stars3


Hewitt_2

Schumann:
Davidsbündlertänze
Kinderszenen
Sonata in G minor
Angela Hewitt
Piano: FAZIOLI
2009年録音


私の評価:イマイチ:Stars4


ヒューイットは前者では覇気のない演奏をしていると思うが、後者『ダヴィッド同盟舞曲集(ドイツ語でダーフィツまたはダーヴィツビュントラーテンツェと読む)』『ピアノ・ソナタ第2番ト短調Op.22』では、より「張り」のある演奏をしていると思う。『トロイメライ』悪くないね。だが、後者のアルバムもイマイチ。

【私のオーディオ環境】 TANNOY Stirling HW, LUXMAN L-560, marantz sa-11s1


【収録情報】
シューマン:
・ピアノ・ソナタ第1番嬰ヘ短調 Op.11
・フモレスケ変ロ長調 Op.20
 アンジェラ・ヒューイット(ピアノ)

 録音時期:2007年3月
 録音場所:イタリア、クルトゥーアゼントラム・グランド・ホテル
 録音方式:デジタル(セッション)

(HMV.co.jp より)

【収録情報】
シューマン:
・子供の情景Op.15
・ダヴィット同盟舞曲集Op.6
・ピアノ・ソナタ第2番ト短調Op.22

 アンジェラ・ヒューイット(ピアノ ファツィオーリ)

 録音時期:2009年11月6-9日
 録音場所:クルトウアツェントルム・グランドホテル(ドビアコ/イタリア)
 録音方式:デジタル(セッション)

(HMV.co.jp より)

2017年12月17日 (日)

(C) Apple Music シューマン:クライスレリアーナ、子供の情景、ラヴェル:夜のガスパール イリーナ・ゲオルギエヴァ

Georgieva
(C) Apple 検索キーワード:Irina Georgieva

技巧派だと思う。そして、やや癖あるが、それが良い意味での個性になっていないと聞ゆ。買わない。


【収録情報】
● シューマン:子供の情景 Op.15
● ラヴェル:夜のガスパール
● シューマン:クライスレリアーナ Op.16

 イリーナ・ゲオルギエヴァ(ピアノ)

 録音時期:2014年11月2-7日
 録音場所:ライプツィヒ、ゲヴァントハウス、メンデルスゾーン=ザール
 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)

(HMV.co.jp より)

(C) Apple Music Schumann Romances - Music by Robert & Clara Schumann Céline Moinet, Florian Uhlig, Norbert Anger

Moinet
(C) Apple 検索キーワード:Celine Moinet

この人の音楽は緊張感あふれるものだったが、その後、普通の音楽になってしまった。買わない。Apple Music で聴けば十分。

【参考】

セリーヌ・モワネの「無伴奏オーボエ作品集」


【収録情報】

セリーヌ・モワネ〜シューマン:オーボエ曲集

シューマン:
● 3つのロマンス Op.94
● 子供の情景 Op.15より『トロイメライ』『炉端で』
● 6つのカノン風小品 Op.56
● レーナウの6つの詩とレクィエム Op.90より『私のばら』
● ミンネの歌 Op.101より『私の美しい星』
● 小さな子供と大きな子供のための12の連弾曲集 Op.85より『夕べの歌』
● 民謡風の5つの小品 Op.102より『ゆっくりと』『速くなく、充分に音を出して』『急がずに』

クララ・シューマン:
● オーボエとピアノのための3つのロマンス Op.22

 セリーヌ・モワネ(オーボエ)
 フローリアン・ウーリヒ(ピアノ)
 ノルベルト・アンガー(チェロ)

 録音時期:2017年
 録音方式:ステレオ(デジタル)

(HMV.co.jp より)

2017年5月24日 (水)

(C) Apple Music で試聴・節約/アリス・クートのシューマン/←またもや買わない(!)

Schumann
(C) Apple Music 検索キーワード:Alice Coote


この人のシューマンは下手じゃないのだが、この人の声質はマーラーに合っていると思うし、マーラーの方が上手いと思う。だから買わない。近いうちに、

マーラー:さすらう若者の歌、亡き子をしのぶ歌、リュッケルト歌曲集
アリス・クート(メゾ・ソプラノ)
オランダ・フィルハーモニー管弦楽団
マルク・アルブレヒト(指揮)

が、発売されるようだ。それを買おう。


【2017−5−26 追加】

Mahler

Mahler / Haydn / Schumann: Alice Coote Julius Drake 2002/03年録音

↑これは悪くない。私はこれを持っているので、上記「マーラー歌曲集 アリス・クート(メゾ・ソプラノ)&マルク・アルブレヒト(指揮)」はやっぱり買わない(汗;;


2016年3月16日 (水)

Love in Variations / Ragna Schirmer plays Works of Robert and Clara Schumann and Johannes Brahms

Schirmer

ラグナ・シルマー/愛の変奏曲〜ローベルト&クラーラ(クララ)・シューマン、ブラームス

--

【収録情報】

● クラーラ・シューマン(1819 - 1896):ロマンス変奏曲 Op.3(1833年)
● ローベルト・シューマン(1810 - 1856):クラーラ・ヴィークの主題による10の即興曲 Op.5(1832-33年)
● クラーラ・シューマン:ローベルト・シューマンの主題による変奏曲 Op.20(1853年)
● ブラームス(1833 - 1897):ローベルト・シューマンの主題による変奏曲 Op.9(1854年)

 ラグナ・シルマー Ragna Schirmer(ピアノ)

 録音時期:2015年
 録音方式:セッション録音
 使用楽器:ブリュートナー(Julius Blüthner, Leipzig 1856)
 レーベル:Berlin Classics

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1856年製のブリュートナー(Julius Blüthner, Leipzig 1856)で弾かれたこのアルバムは、例によって、ラグナ・シルマー(Ragna Schirmer)のこだわりが聞かれる。そのこだわりは、彼女の一人の女性としてのクラーラ・シューマンに対する思い入れかも知れない。

・このアルバムに収められた4つの作品について

クラーラの「作品3」は彼女が13才の時(1833年)に出版され、
ローベルト・シューマンの「作品5」は、その前後、あるいは、その直後(1832-33年)に作曲され、
クラーラの「作品20」は1853年に、
ブラームスの「作品9」は、その翌年(1854年)に書かれた(ブックレットより。ただし私は語学力に自信ないので間違っているかも知れない)。

クラーラ、ローベルト、ブラームス3人の《ヴィルトゥオーゾ(ザ)》の愛と青春の《メッセージ(=作品)》は、いずれも技巧的でチャーミングであり、それらを演奏するヴィルトゥオーザ:ラグナ・シルマーの分かりやすいパフォーマンスを聴くと、それは、インティメート、家庭的なだけでなく、《3人の作曲家兼ピアニスト》のプライバシーを覗き込むことができるような気がする。

ちなみに、クラーラの「作品3」とローベルトの「作品5」の主題は同一であり(←その主題は、もともと、ローベルト・シューマンが書いたものによる)、さらに、クラーラの「作品20」とブラームスの「作品9」の主題も同一である。すなわち、このアルバムに収められた作品は、2つの主題に基づく4つの変奏曲からなる(すなわち、クラーラの2つの作品に対する、ローベルトとブラームスの「応答」からなる)。

それらの作品たちは「変奏曲」という論理的・技巧的性格を持つ作品たちだが(ラグナ・シルマーもそれを自覚しているようだ)、繰り返すが、ラグナ・シルマーの、技巧あり、また、緊張感あるが、聴き易くて分かりやすく、しかも、熱いパフォーマンスは、文字通り愛し合う男女のラブソング(あるいは、ラブレター)に聞こえ、理屈抜きに楽しめる。

【Apple Music で試聴できます】

検索キーワード:Ragna Schirmer

Schirmer_2
(C) Apple Music

2016年3月 6日 (日)

京都リサイタル2011/メジューエワ plays シューマン:「クライスレリアーナ」、ショパン:「舟歌」、メトネル ほか

Mejoueva

京都リサイタル2011/メジューエワ

--

【曲目】

・シューマン:アラベスク op.18
・シューマン:クライスレリアーナ op.16
・ショパン:ノクターン 嬰ヘ長調 op.15の2
・ショパン:舟歌 嬰ヘ長調 op.60
・メトネル:4つのおとぎ話 op.26
・メトネル:ピアノ・ソナタ 変イ長調 op.11の1(『三部作ソナタ』第1番)
・メトネル:夕べの歌 op.38の6

 イリーナ・メジューエワ(ピアノ)
 録音時期:2011年7月24日
 録音場所:京都コンサートホール・小ホール(アンサンブルホールムラタ)
 録音方式:Digital録音(ライヴ)
 レーベル:若林工房

--

・メジューエワの「クライスレリアーナ」
このアルバムに収められているメジューエワの「クライスレリアーナ」は「爆演」というよりも、私の第一印象は(「クライスレリアーナ」という論理的作品に対して)「破壊的」。
さらに付け加えるなら、破綻しているとか、グロテスクとか、クレージーとか言ってもいいかも知れないと私は思ったが、それらの形容は、彼女のこの演奏を形容するに、適切ではなかった。つまり、メジューエワの「クライスレリアーナ」は激しいのではあるが、微妙に壷を押さえている・・・というか、表現・演奏の激しさが、「作品」に、これまた、微妙にフィットしている・・・。私の主観では、彼女は、声の発声に妙なる声を聞かせる。しかし、同曲において、メジューエワの解釈や表現は、アマチュア並みと言う人があるかも知れない。だが、メジューエワの「クライスレリアーナ」は、ホロヴィッツやアルゲリッチの同曲演奏のように、リスナーに同曲の固定観念(模範)をうえつける演奏ではなく、むしろ、それ(ホロヴィッツやアルゲリッチの同曲演奏)を壊す演奏であることに意義と価値あり(特に、ホロヴィッツの「クライスレリアーナ」は良い演奏なので、彼女が、ホロヴィッツに試合を挑んだのは、勇気の要ったことだろう)。
博多弁に「たまがった(驚いた)」という方言があるが、まさに、その語が当てはまる(やっぱり、クラシック音楽は面白い)。

・ショパンの「舟歌」は粗いが、迫力あり、技巧的であり、いままで聴いたことない解釈を聞かせ、これまた、ある意味、私を昇天させる。

・メトネルについては、私は知らないので、レビューする自信が私にはないのだが、これまた、豪快で迫力ある。

追伸1)大音量で聴くと快感!

追伸2)しかし、この盤は、万人にはすすめられないし、何度も聴くと退屈するかも知れないので、星4つ。

2014年6月12日 (木)

ダナエ・デルケン(デールケン)の「C.P.E.バッハ、シューベルト、シューマン」

※下記「お知らせ」をココに掲示します

【お知らせ このアルバムは、Amazon.co.jp にて発売されるようだ。発売予定日は2014年7月29日。いまなら¥2,234】

Fantasy Danae Dörken

(2014−6−13)

==

Dorken

Fantasy [Hybrid SACD]
Schumann: Fantasie C-Dur op. 17
C. P. E. Bach: Fantasia fis-Moll
Schubert: Fantasie C-Dur op. 15 "Wanderer"
Danae Dörken, piano
Recording: 2014
ARS Produktion

--

【収録情報および演奏時間】

Robert Schumann:
Fantasie C-Dur op. 17
1. Durchaus phantastisch und leidenschaftlich vorzutragen 13:59
2. Mäßig. Durchaus energisch 8:26
3. Langsam getragen. Durchweg leise zu halten 12:05

Carl Philipp Emanuel Bach:
4. Fantasia fis-Moll 14:45

Franz Schubert:
Fantasie C-Dur op. 15 "Wanderer"
5. Allegro con fuoco, ma non troppo 6:29
6. Adagio 7:08
7. Presto 5:40
8. Allegro 4:00

--

英国アマゾンにて購入。高かった。このアルバムは、2014/6/11現在、日本では売ってない。

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Postage & Packing: GBP 3.58

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Total for this Delivery: GBP 17.31
Total for this Delivery: JPY 3,071

--

ダナエ・デルケン(あるいは、デールケン)。1991年、ドイツ=ギリシャ系の両親の間に生まれる。ドイツ、ヴッパータール(Wuppertal、ノルトライン=ヴェストファーレン州)出身。彼女のデビュー・アルバムにおける「美しい音と技巧」が気に入ったので、このセカンド・アルバムを購入。

ダナエ・デルケンのセカンド・アルバム。このアルバムの魅力は、彼女の若さ、ういういしさだと思う。
たとえば、デルケンの「シューマン:幻想曲 ハ長調」は、安定感・表現力において、マリラン・フラスコーヌに負ける。

(注:私は、フラスコーヌの「シューマン:幻想曲」について、「全然面白くない」と書いたが、改めて聴いてみると、フラスコーヌの同曲は、ユニークな解釈、秀でた技巧(運指)と表現力を聞かせる名演奏だった)

そして、解釈、繊細さ、貫禄、その他すべてにおいて、デルケンは、アルゲリッチに負ける(アルゲリッチはうますぎる)。

(デルケンの「シューマン:幻想曲」と、ポリーニ、および、「1965年 カーネギー・ホール ザ・ヒストリック・コンサート」におけるホロヴィッツの同曲とは、比較できない。なぜなら、私は、同曲、ポリーニ盤とホロヴィッツ盤を火災で失ったからだ)

だが、このアルバムの録音時(2014年1月)、デルケンはまだ、22または23才だった。
デルケンの若々しさ。

--

・シューマン:幻想曲 ハ長調
この作品について、感想文を書くには、スコアが必須・・・というか、私はこの曲は好きだが複雑な曲なので苦手(「作曲家別名曲解説ライブラリー シューマン」によれば、第1楽章、自由なソナタ形式。第2楽章、ロンド形式。第3楽章、自由なソナタ形式とあるが、私はさっぱり分からない)。
この作品は、「子どもの情景」や「クライスレリアーナ」よりも人気がある作品かも知れない。私は、冒頭の気持ち悪い左手の伴奏を聴いただけで、この作品にノックアウトされてしまう。

Schumann_fantasie_c_dur_2_2
(二分音符=80の場合(シューマンの指示)midi、二分音符=50の場合(遅いテンポ)midi <--- ココをクリックすると音が出ます。)

デルケンの演奏(録音)では、第1楽章、上記譜例の青色の矢印で示した「ソ」の音、およびその音域がよく響く。<==録音技師が彼女の音を録るときに低音域を強調したのか、それとも、デルケンが、意図的にそう弾いているのかは、分からない。

アルゲリッチとフラスコーヌは、多分、赤の矢印の「全音符」がうまいんじゃないか(結局、「主旋律」「伴奏」「赤の矢印の全音符」は、3つのパートを成しているのだろう)。それに対して、デルケンは、その「全音符」に無頓着であるように聞こえる。デルケンの良いところは素直さ。そして、デルケンの演奏では「シューマン:幻想曲」の形式的美が知的ではなく感覚的に聞こえる。たとえば同じ主題の繰り返しが散漫。だが、第1楽章の3分04秒、11分03秒のレチタティーヴォで音楽が停滞するのは美しく新鮮。第1楽章の終わり方は丁寧であり、第3楽章は、たっぷり歌われているのは良い。アルゲリッチの的確かつ繊細なコントロールよりも、デルケンの「あいまいさ」「つかみどころの無さ」「きまぐれ(?)」「うまいのかどうか分からない技巧(?)」のほうが、文字通り“幻想”という性格には合っているかも知れない。彼女はそれを意図的にやっているのかどうか不明であるが、その不明であること、そのこと自体が良い(つまり、自然体だ!)。ただし、それを好むか否かはリスナーの嗜好に依存する。私は、「シューマン:幻想曲」におけるデルケンの「歌」「叙情性」「スローテンポ」「したたかでないこと」が好きだ。第3楽章の最後の結びは、しっかり間を置いている・・・それは、メジューエワ的はったりを思わせるのが良い・・・メジューエワは、この曲を録音していない・・・(訂正:録音してました。コメント欄参照のこと)。

シューマン:幻想曲 ハ長調 演奏時間比較

アルゲリッチ 11:17 6:52 9:30
フラスコーヌ 12:22 7:41 9:51
デルケン 13:59 8:26 12:05

以上、私のシューマンについて研究不足のため、デルケンのシューマンの良さを具体的に書けなかった(中途半端になってしまった)。デルケンのシューマンに、アルゲリッチらのうまさは、はっきり言って、無い・・・が、彼女の演奏は新しいと思う。

(追加)それにしても、シューマンの「幻想曲 ハ長調」は、何度聴いても訳がわからない作品だ。

(2014−6−12)

--

【お知らせ このアルバムは、Amazon.co.jp にて発売されるようだ。発売予定日は2014年7月29日。いまなら¥2,234】

Fantasy Danae Dörken

(2014−6−13)

(つづく)

==

・カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ Carl Philipp Emanuel Bach(1714 - 1788):幻想曲 嬰ヘ短調
晩年の作品(1787年)。トッカータっぽい。冒頭は、「平均律第2巻 ヘ短調」の前奏曲に似ている。3分08秒は「パルティータ BWV 836」の第1曲「トッカータ」に似ている(大バッハへのオマージュか)。2分38秒でテンポが速くなるところの鮮やかさ、および、そこに行くまでの感傷が微妙な熱を持っていて良いと思う・・・その乗りの良さが最後まで持続する・・・繰り返される。9分30秒あたりに山がある(その緊張感が良い)〜ダ・カーポ(感傷的、微熱)〜11分50秒あたりにまた山がある(緊張感)。その繰り返しはイレギュラで不安定に聞こえる。この作品は、エマヌエル・バッハ晩年の作品である。にもかかわらず「不安」。その「不安」が、若いデルケンに合っていると思う。

・シューベルト:幻想曲 ハ長調 D760《さすらい人》
私は、この曲は嫌い。それに、この曲は名曲だと思わない。高橋アキとメジューエワ盤を改めて聴いてみたが、やはり、名曲であるとは思わなかった。ということは、デルケンの演奏によって、「D760 が名曲である」と思うことができれば、その演奏は名演だということになる。果たして、良い演奏だった。が、やはり、この曲は「名曲」だとは思わない。多分、この曲は、名曲ではないんだろう。
第1楽章、悪く言えば大味。良く言えば、豪快&恣意的でない。
第2楽章、「リート」がよく歌われ、次第に細分化されていくリズムが丁寧というより「ゆきあたりばったり」、つまり、これまた恣意的でない(だが自然体とは言えないだろう)。
デルケンは全体的に素朴・・・というより、(この作品の)複雑さを嫌っているという感じがする・・・複雑な作品を精密に弾かない、その裏切りが良い・・・そして、何と言っても、これまた、若々しく、ういういしい。

高橋アキ 7:11 8:02 5:35 4:18
メジューエワ 6:13 6:49 5:02 3:47
デルケン 6:29 7:08 5:40 4:00

デルケンのテンポは、高橋の演奏のような遅いテンポではないので退屈しない。メジューエワの演奏時間とは、あまり変わらないが、デルケンのほうが、幻想曲的な不安定感が生きていると思う。結果的に、上記3つの中で一番気に入った。

・録音について
「ヤナーチェク:ピアノ独奏曲聴き比べ」で書いた)彼女のデビュー・アルバムは「オーディオ的に」音が良かったと思う。彼女のデビュー・アルバムであるヤナーチェク作品集は、静かな曲が多かった。それに対して、このアルバムに収められたシューマンとシューベルトは、「サウンド」が物を言う作品だ・・・それで、私は、最初、このアルバムを、ついつい大音量で聴いてしまった。そして「これは必ずしも録音が良くない」「ノイジーだ」と、思ってしまった。が、このアルバムは、本当は、「オーディオ的に」良い音なのかも知れない・・・というのも、私のオーディオ環境は骨董品のような機器「Stirling HW & Lux L-560」。だから、この録音の本当の美しさがわからないのかも・・・。したがって、もし、このアルバムが本当に良い音であれば、あなたが、この音盤をよく鳴らすために、最新の機器を駆使するのは楽しいことだろう。

(追加)シューベルトのピアノ・ソナタは、「D850」と「D894」が私は好きだ。「D850」は、アリス=紗良より、メジューエワのほうが、良かった、と、記憶する。

(2014−6−24)

2013年11月 4日 (月)

スクリデの「シューマン:ヴァイオリン協奏曲 WoO 23」

Skride

Schumann:
Violinkonzert d-Moll WoO 23
Fantasie C-Dur op. 131
Violinkonzert a-Moll nach dem Cellokonzert op. 129

Baiba Skride, Violine
Danish National Symphony Orchestra
John Storgårds, Dirigent
2011/12年録音

結論を先に言えば、シューマンの「ヴァイオリン協奏曲 WoO 23」の難解さと面白さは、スクリデに合っていると思う。これは決定盤かも・・・。

私は、シューマンの作品を(ピアノ独奏曲を除いて)ほとんど知らない。シューマンの交響曲は全然知らない。そんな私が「協奏曲 WoO 23」のスコアを買ってそれを勉強したら、シューマン入門になるかも知れない。この作品は複雑だが意外に論理的に書かれているかも知れない(対位法など)。

言うまでもないことだが、「WoO」とは、ドイツ語の Werk ohne Opuszahl(作品番号なしの作品)の略語(ウィキペディアより)。
この作品の初演は、1937年。

・第1楽章
開始の第1主題は交響曲のように聞こえる(あるいは第1楽章全体が交響曲的かも知れない)。第2主題(ドルチェ)は、独奏ヴァイオリンに合うと思う。しかし、第1主題のいかめしさとの接続は、とってつけたようだ。

この作品は、カデンツァを持たない。その代わり、独奏ヴァイオリンに、入念、技巧的な旋律、フレーズが与えられている。

第1楽章展開部をスクリデはやわらかに静かに歌っている。良いと思う。

Schumann_woo23_1_2
第1楽章 第1主題(midi

Schumann_woo23_2_2
第1楽章 第2主題(midi

・第2楽章
第1楽章第1主題「In kräftigem, nicht zu schnellem Tempo(力強く、速すぎないテンポで)」に対し、第2楽章はピアニッシモの序奏に始まる。それは「切分音」で書かれている(チェロ2部)。切分音。リズムのズレ。それは凝っている。その「切分音」の旋律は独奏ヴァイオリンでも歌われる(第3楽章にも現れる)。
第1楽章と第2楽章のベートーヴェン的対比が、やっぱり交響曲っぽい。
第2楽章におけるスクリデの独奏は「ausdrucksvoll(表情豊か)」だけじゃない。節度。貫禄。

「切分音」をネットで検索してみると、それは「シンコペーション」の日本語訳らしい。私は昔から不思議に思っていたが、なぜ、「シンコペーション」という音楽用語は英語なのだろうか? つまりイタリア語やドイツ語で「シンコペーション」に当たる音楽用語はあまり使われない・・・「シンコペーション」って、ジャズ用語なのだろうか。

Schumann_woo23_3
第2楽章 切分音の旋律(チェロ2部、midi

Schumann_woo23_4
第2楽章 独奏ヴァイオリンの開始、表情豊かに(midi

・第3楽章
アタッカで、第3楽章に入る(ニ長調、3/4 拍子、ロンド)。第3楽章は、前の2つの楽章が、まるで無かったかのように、楽天的。リズミック。しかし、シューマン独特の難しさがある・・・第2楽章の旋律を用いていたりして凝ってる(私は「WoO 23」を初めて聞いた時、全楽章単一主題からなると思った)。形式的にごちゃごちゃしている。どんちゃん騒ぎ。技巧的。散漫。弛緩している(?)。「もっと分かり易く書いてよ」と言いたくなる。解説書無しでは、何がなんだか分からない・・・というか、解説書読んでも分からない。
ロンドの主題が見えにくい。副主題は、スクリデ盤では、トラック3の1分40秒。
シューマンは、ベートーヴェンの Vn 協奏曲に感銘してこの作品を書いたと言われるが、この第3楽章はベートーヴェンの明快な第3楽章に全然似てない。

「結尾に入り、独奏ヴァイオリンがトレモロの新しい音型(中略)これは、第1主題の第1主題によるもので、ロンドの主要主題の動機とからみ合ってゆき、独奏ヴァイオリンを巨匠的に活躍させることになる。そして、そのクライマックスで、曲は力強く結ばれる。」作曲家別名曲解説ライブラリー「シューマン」61ページより)

「ヨアヒムのヴァイオリンによる初演をシューマンはせつに希望した」しかし、ヨアヒムは初演しなかった。その理由は「ヴァイオリン・パートが凝りすぎていて、技巧的にたいへんむずかしく、それでいて演奏効果が意外にない」「シューマン後期の幻想が複雑な動きを示し、一般の人にはとりつきにくいものになっているということも考えられる。」(作曲家別名曲解説ライブラリー「シューマン」58ページより)

スクリデは、第3楽章を、何とか持ちこたえている。しかしそれは、他のヴァイオリニストには難しいことかも知れない。

Schumann_woo23_5
第3楽章 ロンドの主題(midi

Schumann_woo23_6
第3楽章 副主題(midi

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