2018年5月11日 (金)

(C) Apple Music シューベルト:歌曲集/キャロリン・サンプソン、ジョゼフ・ミドルトン

Carolyn_sampson
(C) Apple Music 検索キーワード:Carolyn Sampson

シューベルトのリートを得意とする歌手によるシューベルトのリート集は聴き飽きたというリスナーには、この人の歌唱は新鮮・自然体に聞こえるかも知れない。しかし、このアルバムはゲーテの詩によるリートが多く収められている。その意味で、キャロリン・サンプソンの歌唱力不足は否めないと思う。ピアノ伴奏も上手いと思えないし・・・。
歌詞対訳が付いていれば買ってもいいが、そうでないので買わない。



【収録情報】
シューベルト:
● ズライカ 1『東風』 Op.14-1, D.720
● ズライカ 2『西風』 Op.31, D.717
● ロマン劇『ロザムンデ』のためのロマンツェ D.797-3b
● ブロンデルからマリアへ D.626
● 『ヴィルヘルム・マイスター』からの歌より
 ミニョンの歌 1『私に言わないで』 D.877-2
 ミニョンの歌『ただあこがれを知る者だけが』 D.877-4
 ミニョンの歌 2『大人になるまでこのままに』 D.877-3
 ミニョン『君よ知るや南の国』 D.321
● 糸を紡ぐグレートヒェン Op.2, D.118
● 塔の中のグレートヒェン D.564(補完:ベンジャミン・ブリテン)
● テューレの王 Op.5-5, D.367
● すみれ Op.123, D.786
● エレンの歌 1 Op.52-1, D.837
● エレンの歌 1 2 Op.52-2, D.838
● エレンの歌 1 3 Op.52-6, D.839

 キャロリン・サンプソン(ソプラノ)
 ジョゼフ・ミドルトン(ピアノ)

 録音時期:2017年8月
 録音場所:イギリス、サフォーク州、ポットン・ホール
 録音方式:ステレオ(DSD/セッション)
 SACD Hybrid
 CD STEREO/ SACD STEREO/ SACD 5.0 SURROUND

(HMV.co.jp より)

2018年3月 1日 (木)

The Symphonies Berliner Philharmoniker Wiener Philharmoniker Karl Böhm

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The Symphonies Karl Böhm
Berliner Philharmoniker
Wiener Philharmoniker
(C) 2013 Universal Music Italia srl

私はまだ、このボックスセット(22cds)をすべて聴いた訳ではない。だが、私は、過去にカール・ベームの音源を熱心に聴き込んだ経験があるので、このボックスセットについて、その一部を聴いただけで、その音質(リマスター)の良し悪しが分かる。

私事であるが、私は2009年、私の自宅全焼火災で「ベーム指揮ベートーヴェン:交響曲全集(LP 盤、CD 盤)」および「同モーツァルト:交響曲全集(LP 盤、CD 盤)」を焼損した。

上記、LP 盤は良かった。《英雄》第1楽章の展開部は「これでもか、これでもか」と盛り上げられる高揚感がすごかった(LP レコード・プレイヤーの針がビリビリ震えるのが私の聴覚を刺激した)。《モーツァルト:ハフナー交響曲》第1楽章の開始は、まるで、地の底から天高く音が飛翔するが如しだった。

ところが上記音源の再生は CD 盤じゃやはりダメなのだ。LP 盤が良いに決まっている。LP 盤は音が生きている。そして時代を思わせる香り・匂いのようなものがある。

すなわち、アナログ音源はアナログ環境で聴かないと、その音源の本当の音は聴けない。

しかし、このボックスセットは頑張っていると思う。《英雄》は高揚感を伝える。ベートーヴェン《第8交響曲》の第3楽章トリオのホルンは、LP 盤のような際立った美しさはないがそれを思い起こさせる。《プラハ交響曲》のアンサンブルは楽器の音がバラバラではないのが良い。すなわち《プラハ交響曲》において音を分離して各楽器の音がよく聞こえるようにするのは悪い結果を招く。例えば「ベーム指揮モーツァルト:交響曲全集」の CD 盤(OIBP リマスター盤)」はひどかった(その音はベームの音ではないと言える)。

あ、それから、この CD 盤における、ベームが得意だった「ブラームス:交響曲第1番」の最終楽章のフィニッシュはライブ並みになかなかエキサイティングだな。

このボックスセットの音はモノトーンであり、その音から『ベームが指揮したウィーンフィル、ベルリンフィルのアナログ・レコードにおけるリアルで艶やかな美音』は聴けないと思う。この CD 盤の音質はアナログ盤より繊細ではなく低音が弱い(第5番第4楽章のチェロ、コントラバス)。すなわち快い音ではない(大音量で聴くとうるさい)。しかし、下手なリマスター(OIBP)より良いと思う。

【追記】

このボックスセットはイタリア製である。イタリア製の CD 盤は良いのだ。現に、バックハウスの《ピアノ・ソナタ全集》は、国内盤よりイタリア盤の方がノイジーだったが細かい音は聞こえた。

【私のオーディオ環境】

TANNOY Stirling HW, LUXMAN L-560, marantz sa-7s1


【参考】

モーツァルト:交響曲全集/ベーム/BPO(OIBPの問題)

【HMV.co.jp へのリンク】

ベートーヴェン、ブラームス、モーツァルト、シューベルト:交響曲全集 ベーム&ウィーン・フィル、ベルリン・フィル(22CD)

2018年1月25日 (木)

Irina Mejoueva plays Bösendorfer

Mejoueva

Irina Mejoueva plays Bösendorfer
2017年セッション録音


私の評価:このアルバムは音響的に成功している:Stars5


【前書き】

<---引用ここから--->
ベーゼンドルファーなどのヨーロッパの名門メーカーは、ピアノをチェンバロの発展形として、音響的に残響豊かな宮廷で使用する前提でピアノを造っていた。これに対しスタインウェイは、産業革命により豊かになったアメリカ市民が利用していた、数千人を収用できる音響的に貧弱な多目的ホールでの使用を念頭においていた。そのために、今では常識となっている音響工学を設計に初めて取り入れた。結果、スタインウェイは構造にいくつか特色がある。(ウィキペディア、スタインウェイ・アンド・サンズの項より)
<---引用ここまで--->

【本文】

『ベーゼンドルファーはチェンバロの発展形(上記参照)』。筆者が思うにベーゼンドルファーは、或る意味、打楽器的ではない(!)。そして、1000人収容のコンサートホールにおいて「ベーゼンドルファー・インペリアル」で「ベートーヴェン:ピアノ協奏曲《皇帝》」を弾くときなどは、ピアニストには、バックハウス並みの豪快さ、名人芸的技巧が要求されるだろう。

さて、同アルバムにて、メジューエワが弾いているのは「ベーゼンドルファー モデル 290 インペリアル(97鍵)」ではなく「ベーゼンドルファー モデル 275(1991年頃製造、92鍵)」だ。だが、後者の低音の迫力は前者に劣らぬ。されば、その音を如何に録音するか? (ベーゼンドルファーという楽器は録音が難しい楽器・・・らしい)

昔、私の知り合いの或る学者さんが(=チェンバロのエキスパートさんが)

>>チェンバロは、その胴体の中に、頭を突っ込んで聴くと一番良い音が聴ける

と冗談を仰ってましたが「ベーゼンドルファー」もまた《胴体の中に、頭を突っ込んで》=《オンマイクで》録音するのが良いか? はたまた、その響きをやや遠方から拾えば良いのか? 


その難題を、同アルバムは解決していると思う。すなわち:


1.同録音の「特徴」は、ベーゼンドルファーの「特徴」であるところの《こもった音》・・・その《こもった音》の《うなり》が良く録れていること。それは、楽器とマイクとの距離が適度であることを物語っていると思う。

2.他方、メジューエワの怪演・・・その怪演の際、その《こもった音》の中、彼女の打鍵がノイズなく聴ける。

上記、1.2を快く聴かせる音盤を私は他に知らない。

という訳で・・・たまにこういう演奏・録音を聴かせるメジューエワ・・・彼女からは目を離せない(!)。

「うなり」についてはウィキペディア参照のこと。

【参考】 私のオーディオ環境:TANNOY Stirling HW, LUXMAN L-560, marantz sa-11s1


【収録情報】

イリーナ・メジューエワ・プレイズ・ベーゼンドルファー〜ベートーヴェン:テンペスト、ワーグナー/リスト編:イゾルデの愛の死、ドビュッシー:沈める寺、他

● ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番ニ短調 op.31-2『テンペスト』
● シューベルト:即興曲 変イ長調 op.142-2
● シューベルト/リスト編:連祷
● リスト:エステ荘の噴水
● ワーグナー/リスト編:イゾルデの愛の死
● ドビュッシー:沈める寺
● ラフマニノフ:プレリュード op.32-12

 イリーナ・メジューエワ(ピアノ/ベーゼンドルファー Model 275)

 録音時期:2017年4月23日
 録音場所:神奈川県、相模湖交流センター
 録音方式:ステレオ(デジタル96kHz-24Bit/セッション)

(HMV.co.jp より)

2018年1月 9日 (火)

(C) Apple Music Beethoven Klaviersonaten op. 78, 101, 111 [Gramola: 99111] ; Bach Goldberg Variations ; Schubert Klaviersonaten Ingrid Marsoner

Marsoner
(C) Apple Music 検索キーワード:Ingrid Marsoner (イングリッド・マルソナー。ドイツ語読みなら、イングリット・マールゾナーか?)

レコード・レーベル「Gramola Vienna」

世の中には、色んなレーベル、色んなピアニストがあるんだなあ。

Ingrid Marsoner さん

演奏は手堅い。Vertuozo 的にも聞こえるが、そうじゃないようにも聴こえる。よく分からない。が、面白そうなピアニストだ・・・購入するべきか・・・いや、やめた。
第32番の第2楽章は良かったが、第28番の最終楽章はイマイチか。


【追加 その1】

彼女の「ゴルトベルク」は悪くないと思うが、売ってない(下記)。

Marsoner


【追加 その2】

シューベルトも悪くないと思うが、これも売ってない(下記)。

このピアニストは不思議な人だと思う。

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2017年5月29日 (月)

(C)Apple Music/『冬の旅』全曲、『美しき水車小屋の娘』全曲、『白鳥の歌』全曲、他 ナタリー・シュトゥッツマン(コントラルト)、インゲル・セデルグレン(ピアノ)(3cds)

Schubert

(C) Apple Music 検索キーワード:Stutzmann

この人はうまいのだが、この人の声はもしかしたら変化に乏しく、簡単に言ってしまえば単調かも・・・。買わない。

ただし、この商品は安い。

アマゾンJP にて、¥1,836(2017年5月29日現在)

2017年3月26日 (日)

【Apple Music】 ナタリー・デセイのシューベルト:歌曲集を試聴

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(C) Apple Music 検索キーワード:Schubert Dessay

過去に、実力派によるシューベルト:歌曲集は、多数存在したが、ナタリー・デセイのシューベルトは、彼女の実力を現わすとともに(ありきたりな言い方だが)チャーミングであり(変な言い方だが)エンターテインメントに徹していると言ってもいいかも知れない。でも、買わない。


【HMV.co.jp へのリンク】

シューベルト:歌曲集 ナタリー・デセイ、フィリップ・カサール

【Amazon.co.jp へのリンク】

Natalie Dessay Schubert Philipp Cassard



2016年12月22日 (木)

【Apple Music にて試聴】 『TAKE TWO〜ヴァイオリンと2人で』 コパチンスカヤ&フレンズ/シューベルト:死と乙女(弦楽合奏版)、ネルミガー:死の舞踏、クルターグ:リガトゥーラ、他 パトリシア・コパチンスカヤ&セントポール室内管弦楽団/やり過ぎ/面白くない/買わない

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(C) Apple Music

・・・

【HMV.co.jp へのリンク】

『TAKE TWO〜ヴァイオリンと2人で』 コパチンスカヤ&フレンズ

シューベルト:死と乙女(弦楽合奏版)、ネルミガー:死の舞踏、クルターグ:リガトゥーラ、他 パトリシア・コパチンスカヤ&セントポール室内管弦楽団

【Amazon.co.jp へのリンク】

Take Two Patricia Kopatchinskaja

Schubert: Death and the Maiden by Patricia Kopatchinskaja, The Saint Paul Chamber Orchestra


2014年6月12日 (木)

ダナエ・デルケン(デールケン)の「C.P.E.バッハ、シューベルト、シューマン」

※下記「お知らせ」をココに掲示します

【お知らせ このアルバムは、Amazon.co.jp にて発売されるようだ。発売予定日は2014年7月29日。いまなら¥2,234】

Fantasy Danae Dörken

(2014−6−13)

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Dorken

Fantasy [Hybrid SACD]
Schumann: Fantasie C-Dur op. 17
C. P. E. Bach: Fantasia fis-Moll
Schubert: Fantasie C-Dur op. 15 "Wanderer"
Danae Dörken, piano
Recording: 2014
ARS Produktion

--

【収録情報および演奏時間】

Robert Schumann:
Fantasie C-Dur op. 17
1. Durchaus phantastisch und leidenschaftlich vorzutragen 13:59
2. Mäßig. Durchaus energisch 8:26
3. Langsam getragen. Durchweg leise zu halten 12:05

Carl Philipp Emanuel Bach:
4. Fantasia fis-Moll 14:45

Franz Schubert:
Fantasie C-Dur op. 15 "Wanderer"
5. Allegro con fuoco, ma non troppo 6:29
6. Adagio 7:08
7. Presto 5:40
8. Allegro 4:00

--

英国アマゾンにて購入。高かった。このアルバムは、2014/6/11現在、日本では売ってない。

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VAT: GBP 0.00

Total: GBP 17.31

Total for this Delivery: GBP 17.31
Total for this Delivery: JPY 3,071

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ダナエ・デルケン(あるいは、デールケン)。1991年、ドイツ=ギリシャ系の両親の間に生まれる。ドイツ、ヴッパータール(Wuppertal、ノルトライン=ヴェストファーレン州)出身。彼女のデビュー・アルバムにおける「美しい音と技巧」が気に入ったので、このセカンド・アルバムを購入。

ダナエ・デルケンのセカンド・アルバム。このアルバムの魅力は、彼女の若さ、ういういしさだと思う。
たとえば、デルケンの「シューマン:幻想曲 ハ長調」は、安定感・表現力において、マリラン・フラスコーヌに負ける。

(注:私は、フラスコーヌの「シューマン:幻想曲」について、「全然面白くない」と書いたが、改めて聴いてみると、フラスコーヌの同曲は、ユニークな解釈、秀でた技巧(運指)と表現力を聞かせる名演奏だった)

そして、解釈、繊細さ、貫禄、その他すべてにおいて、デルケンは、アルゲリッチに負ける(アルゲリッチはうますぎる)。

(デルケンの「シューマン:幻想曲」と、ポリーニ、および、「1965年 カーネギー・ホール ザ・ヒストリック・コンサート」におけるホロヴィッツの同曲とは、比較できない。なぜなら、私は、同曲、ポリーニ盤とホロヴィッツ盤を火災で失ったからだ)

だが、このアルバムの録音時(2014年1月)、デルケンはまだ、22または23才だった。
デルケンの若々しさ。

--

・シューマン:幻想曲 ハ長調
この作品について、感想文を書くには、スコアが必須・・・というか、私はこの曲は好きだが複雑な曲なので苦手(「作曲家別名曲解説ライブラリー シューマン」によれば、第1楽章、自由なソナタ形式。第2楽章、ロンド形式。第3楽章、自由なソナタ形式とあるが、私はさっぱり分からない)。
この作品は、「子どもの情景」や「クライスレリアーナ」よりも人気がある作品かも知れない。私は、冒頭の気持ち悪い左手の伴奏を聴いただけで、この作品にノックアウトされてしまう。

Schumann_fantasie_c_dur_2_2
(二分音符=80の場合(シューマンの指示)midi、二分音符=50の場合(遅いテンポ)midi <--- ココをクリックすると音が出ます。)

デルケンの演奏(録音)では、第1楽章、上記譜例の青色の矢印で示した「ソ」の音、およびその音域がよく響く。<==録音技師が彼女の音を録るときに低音域を強調したのか、それとも、デルケンが、意図的にそう弾いているのかは、分からない。

アルゲリッチとフラスコーヌは、多分、赤の矢印の「全音符」がうまいんじゃないか(結局、「主旋律」「伴奏」「赤の矢印の全音符」は、3つのパートを成しているのだろう)。それに対して、デルケンは、その「全音符」に無頓着であるように聞こえる。デルケンの良いところは素直さ。そして、デルケンの演奏では「シューマン:幻想曲」の形式的美が知的ではなく感覚的に聞こえる。たとえば同じ主題の繰り返しが散漫。だが、第1楽章の3分04秒、11分03秒のレチタティーヴォで音楽が停滞するのは美しく新鮮。第1楽章の終わり方は丁寧であり、第3楽章は、たっぷり歌われているのは良い。アルゲリッチの的確かつ繊細なコントロールよりも、デルケンの「あいまいさ」「つかみどころの無さ」「きまぐれ(?)」「うまいのかどうか分からない技巧(?)」のほうが、文字通り“幻想”という性格には合っているかも知れない。彼女はそれを意図的にやっているのかどうか不明であるが、その不明であること、そのこと自体が良い(つまり、自然体だ!)。ただし、それを好むか否かはリスナーの嗜好に依存する。私は、「シューマン:幻想曲」におけるデルケンの「歌」「叙情性」「スローテンポ」「したたかでないこと」が好きだ。第3楽章の最後の結びは、しっかり間を置いている・・・それは、メジューエワ的はったりを思わせるのが良い・・・メジューエワは、この曲を録音していない・・・(訂正:録音してました。コメント欄参照のこと)。

シューマン:幻想曲 ハ長調 演奏時間比較

アルゲリッチ 11:17 6:52 9:30
フラスコーヌ 12:22 7:41 9:51
デルケン 13:59 8:26 12:05

以上、私のシューマンについて研究不足のため、デルケンのシューマンの良さを具体的に書けなかった(中途半端になってしまった)。デルケンのシューマンに、アルゲリッチらのうまさは、はっきり言って、無い・・・が、彼女の演奏は新しいと思う。

(追加)それにしても、シューマンの「幻想曲 ハ長調」は、何度聴いても訳がわからない作品だ。

(2014−6−12)

--

【お知らせ このアルバムは、Amazon.co.jp にて発売されるようだ。発売予定日は2014年7月29日。いまなら¥2,234】

Fantasy Danae Dörken

(2014−6−13)

(つづく)

==

・カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ Carl Philipp Emanuel Bach(1714 - 1788):幻想曲 嬰ヘ短調
晩年の作品(1787年)。トッカータっぽい。冒頭は、「平均律第2巻 ヘ短調」の前奏曲に似ている。3分08秒は「パルティータ BWV 836」の第1曲「トッカータ」に似ている(大バッハへのオマージュか)。2分38秒でテンポが速くなるところの鮮やかさ、および、そこに行くまでの感傷が微妙な熱を持っていて良いと思う・・・その乗りの良さが最後まで持続する・・・繰り返される。9分30秒あたりに山がある(その緊張感が良い)〜ダ・カーポ(感傷的、微熱)〜11分50秒あたりにまた山がある(緊張感)。その繰り返しはイレギュラで不安定に聞こえる。この作品は、エマヌエル・バッハ晩年の作品である。にもかかわらず「不安」。その「不安」が、若いデルケンに合っていると思う。

・シューベルト:幻想曲 ハ長調 D760《さすらい人》
私は、この曲は嫌い。それに、この曲は名曲だと思わない。高橋アキとメジューエワ盤を改めて聴いてみたが、やはり、名曲であるとは思わなかった。ということは、デルケンの演奏によって、「D760 が名曲である」と思うことができれば、その演奏は名演だということになる。果たして、良い演奏だった。が、やはり、この曲は「名曲」だとは思わない。多分、この曲は、名曲ではないんだろう。
第1楽章、悪く言えば大味。良く言えば、豪快&恣意的でない。
第2楽章、「リート」がよく歌われ、次第に細分化されていくリズムが丁寧というより「ゆきあたりばったり」、つまり、これまた恣意的でない(だが自然体とは言えないだろう)。
デルケンは全体的に素朴・・・というより、(この作品の)複雑さを嫌っているという感じがする・・・複雑な作品を精密に弾かない、その裏切りが良い・・・そして、何と言っても、これまた、若々しく、ういういしい。

高橋アキ 7:11 8:02 5:35 4:18
メジューエワ 6:13 6:49 5:02 3:47
デルケン 6:29 7:08 5:40 4:00

デルケンのテンポは、高橋の演奏のような遅いテンポではないので退屈しない。メジューエワの演奏時間とは、あまり変わらないが、デルケンのほうが、幻想曲的な不安定感が生きていると思う。結果的に、上記3つの中で一番気に入った。

・録音について
「ヤナーチェク:ピアノ独奏曲聴き比べ」で書いた)彼女のデビュー・アルバムは「オーディオ的に」音が良かったと思う。彼女のデビュー・アルバムであるヤナーチェク作品集は、静かな曲が多かった。それに対して、このアルバムに収められたシューマンとシューベルトは、「サウンド」が物を言う作品だ・・・それで、私は、最初、このアルバムを、ついつい大音量で聴いてしまった。そして「これは必ずしも録音が良くない」「ノイジーだ」と、思ってしまった。が、このアルバムは、本当は、「オーディオ的に」良い音なのかも知れない・・・というのも、私のオーディオ環境は骨董品のような機器「Stirling HW & Lux L-560」。だから、この録音の本当の美しさがわからないのかも・・・。したがって、もし、このアルバムが本当に良い音であれば、あなたが、この音盤をよく鳴らすために、最新の機器を駆使するのは楽しいことだろう。

(追加)シューベルトのピアノ・ソナタは、「D850」と「D894」が私は好きだ。「D850」は、アリス=紗良より、メジューエワのほうが、良かった、と、記憶する。

(2014−6−24)

2013年4月23日 (火)

エリザベス・ワッツ(ウォッツ)のシューベルト

Watts

SCHUBERT: LIEDER
Elizabeth Watts, soprano
Roger Vignoles, piano
2008 年録音

1. An den Mond, D 193
2. Suleika I, D 720
3 . Im Abendrot, D 799
4. Sei mir gegrüßt, D 741
5. Die Forelle, D 550
6 . Heimliches Lieben, D 922
7. Der Sänger am Felsen, D 482
8. Thekla: eine Geisterstimme, D 595
9. An die Sonne, D 270
10. Aus "Diego Manzanares" : Ilmerine, D 458
11. Nacht und Träume, D 827
12. Frühlingsglaube, D 686
13. Die Blumensprache, D 519
14. Nähe des Geliebten, D 162
15. An die Nachtigall, D 497
16. Liane, D 298
17. Des Mädchens Klage, D 191
18. Nachtviolen, D 752
19. Marie, D 658
20. Lambertine, D 301
21. Die Männer sind méchant, D 866/3

往年のシュワルツコップや、ルチア・ポップのシューベルトを聴くと、典型的腹式呼吸で歌っているように聞こえる。それは、二人が歌う「糸を紡ぐグレートヒェン」を聞けば分かる。
腹から空気を出して、喉で調節するほうが、ドイツ語を美しく発声でき、より表現豊かに歌えるような気がする。

エリザベス・ワッツは「腹」からではなく、もっと「喉」に近いところから声を出しているように聞こえる。それは近年の歌手たちの歌い方の傾向であろう。

デジタル録音の録音技術、コンサート・ホールの音響効果、それらの進歩が、昨今の歌手の歌唱法を変えたのかも知れない。
それにつられて、リスナーである私たちも、優れた録音技術による新しい音源は長時間繰り返し聴くが、それに対し、たとえば、ルチア・ポップの歌唱、一発でリスナーをノックアウトするルチア・ポップの歌唱を聴くとき、リスナーは彼女の同一音源を長時間繰り返し聴くことはしまい。つまり、ルチア・ポップの歌唱は乾坤一擲(?)なので何度も聴くと疲れる。

エリザベス・ワッツのこのシューベルト歌曲集は、意外に良かった。

収録曲は「ます」「ズライカ1」「ハナダイコン」以外は知らない曲ばかり・・・。ネット上に『シューベルト歌曲対訳集』がアップロードされているので、このアルバムの収録曲の半数以上は日本語歌詞対訳を見ながら聴くことができる。彼女の表現力を聴くために、歌詞を追うのは楽しい(移調。伴奏者との合わせ方など)。

エリザベス・ワッツは、次のバッハ:カンタータ集で飛躍したと思う。
今後、無理な発声で声を痛めて短命に終わらないで欲しい。

2013年1月29日 (火)

アリス=紗良・オットの「展覧会の絵」「シューベルト:ピアノ・ソナタ D 850」

Ott

MODEST MUSSORGSKY
Pictures at an Exhibition
Original piano version

FRANZ SCHUBERT
Piano Sonata in D major op. 53 D 850

Alice Sara Ott
Live recording 2012

アリス=紗良・オットの「ワルトシュタイン」を聴いて、彼女は楽曲を、焦点を一点にしぼって演奏するタイプではないかと私は思った。「ワルトシュタイン」では第3楽章が良い。「展覧会の絵」では「キエフの大門」が良い。

アマゾンのカスタマーレビューに「左手のアタックで、ピアノの弦が『ビーン』と唸るのを始めて聴きました」と書いてあるのに共感!

このアルバムは大音量で聴くと心地よい。ライヴレコーディングでありながら録音が良い。リーフレットの最後のページに「Recorded and mastered by BKL Recording Group GmbH, Lüneburg」と書いてあるが、この「BKL Recording Group GmbH」というのをグーグルで調べてみたが得体の知れない会社だった。しかしすぐれた技術を持つ会社と思われる。

【参照】 Bkl Recording Group

--

たまげたのは、シューベルトの D 850 である。

シューベルトの D 850 のほうは焦点を一点にしぼってない。最初の和音と主題からして良い。

第1楽章は大音量で聴くと迫力あり。そして終楽章を締めている。

「この人は、いつの間にこんなに成長したのか」と思って、アリス=紗良・オットのプロフィールをウィキペディアで調べてみたら、生年1988年8月とある。ということは、現在満24才! 録音当時満23才!

私は、ベートーヴェンのピアノ・ソナタは(聴くのが)得意だが、シューベルトは非常に苦手で、シューベルトの長大なピアノ・ソナタの良さが分からなかった。ベートーヴェンのピアノ・ソナタは「第1楽章で一発ぶちかましておいて、中間楽章でひと呼吸おいて、最終楽章で締めくくる」というパターンが多いが、シューベルトは D 850 においてベートーヴェン「後期ソナタ」における上記パターンを打ち破った。この作品においてシューベルトはベートーヴェンを超えている。そのことを、彼女の演奏は、私にはじめて教えてくれた。

シューベルトの D 850 の第2楽章は変奏曲かと思ったがソナタ形式とウィキペディアに書いてある。第3楽章はスケルツオのくせに長い。この作品は第2、第3楽章が核であることが分かった(第2、第3楽章は長いし・・・)。アリスは、もったいぶらない。彼女の演奏に、耳障りな饒舌はない。そして、ストレートに、しかも余裕をもって、この「ベートーヴェンを超えたソナタ」を、23才の「若さ」で弾いている・・・すごい。

【2013−2−8 追加】
それにしてもこの作品は、第4楽章ロンドのエピソードで、おそらく、G から g-moll (?) に行くところで(アリス盤で、4' 49 あたり)「もうやめてくれ!」と思わせられる。村上春樹氏は「二律排反」と言っているが私は演奏者の体力を無視しているという意味で「破綻」だと思う。それをライヴ録音したアリスはすごい・・・この録音は意義あると思う。

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