2016年6月13日 (月)

Elizabeth Joy Roe plays BRITTEN/BARBER: Piano Concertos and Nocturnes

Roe

BRITTEN/BARBER: Piano Concertos and Nocturnes
Elizabeth Joy Roe, piano
London Symphony Orchestra
Emil Tabakov, conductor
Recording: Cadogan Hall, London, September 20-22, 2013
Piano: Steinway & Sons
DECCA

Benjamin Britten (1913 - 1976)
Piano Concerto op. 13 (revised version 1945)
01 1. Toccata. Allegro molto e con brio 12:56
02 2. Waltz. Allegretto 5:04
03 3. Impromptu. Andante lento 8:11
04 4. March. Allegro moderato sempre a la marcia 8:28

Samuel Barber (1910 - 1981)
Piano Concerto, Op.38
05 1. Allegro appassionato 14:33
06 2. Canzone. Moderato 7:43
07 3. Allegro molto 6:30

Samuel Barber
08 Nocturne (Homage to John Field) op. 33 4:25

Benjamin Britten
09 Night Piece (Notturno) 5:53

・・・

【収録情報】
● ブリテン:ピアノ協奏曲 Op.13
● バーバー:ピアノ協奏曲 Op.38
● バーバー:ノクターン Op.33(ジョン・フィールドを讃えて)
● ブリテン:夜の小品(ノットゥルノ)

 エリザベス・ジョイ・ロエ(ロウ)(ピアノ)
 ロンドン交響楽団
 エミール・タバコフ(指揮)

 録音時期:2013年9月
 録音場所:ロンドン、カドガン・ホール
 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)

(HMV.co.jp より)

・・・

【前置き】

結論から書くと、ブリテンの協奏曲も良いが、なんとなく、バーバーの協奏曲のほうが私は気に入った。
そして、その2人が作曲した2つのピアノ独奏曲(ノクターン)が良い。
最初にこのアルバムの存在を私に教えたのは、アマゾンからのダイレクトメールだった。私は、そのダイレクトメールに誘導されて、このアルバムを購入したが、それは大当たりだった。私はこのアルバムを気に入った。これは私の宝物。若いアーティスト、エリザベス・ジョイ・ロエが、20世紀生まれの2人の作曲家の難曲において、新鮮な演奏を聞かせてくれたと、私は思う。もっとも、私は、このアルバムに収められた2つの協奏曲を消化できていない(それら2つの協奏曲を消化しようと努める・試みるのは、リスナーにとって非常に面白いことだろう)。

【本文】

ブリテン、バーバーの有名な Vn 協奏曲を、私は知っていたが、彼らが Pf 協奏曲を書いたことを、私は知らなかった。ブリテンってピアニストだったんですね。「ブリテン自身はピアニストでもあり、モーツァルトの協奏曲を弾き振りしたり、歌曲のピアノ伴奏を担当をしていたこともあった(ウィキペディアより)。私は、作曲家ブリテン、バーバーは好きだが、彼らの作品には疎い。そこで、「2人の作品(2つの Pf 協奏曲)」について、その解説をウィキペディアで読んだが、不十分(!)
このアルバムには、英独仏語合わせて35ページのリーフレット(しかも、エリザベス・ジョイ・ロエ自身によるライナー・ノート)が付いている・・・しかし、私は、私の語学力では、それを読めない。そして、そんな時、私が思うこと:英語の堪能な人はいいなぁ〜。解説読めるから。

● ブリテン:ピアノ協奏曲 Op.13
「この協奏曲は1938年の3月から7月にかけて作曲され(中略)1946年7月には大きな改訂を行い、第3楽章の「レチタティーヴォとアリア」を「即興曲」と題した楽章に変更した(ウィキペディアより)
第1楽章「トッカータ」は、スピード感あるアレグロ。その形式は、再現部を持たないソナタ形式じゃないかと思うが、よく分からない。「ブリテンの作品には、美しい旋律がない」という人があるが、まさにその通り。冒頭のピアノによる第1主題の旋律は美しくない(!)。それは、ユニークであるが、同時に、どこかで聞いたことあるような旋律に聞こえる。
このアルバムにおいて、第1楽章の1分14秒以降が第2主題ではないかと思うが、よく分からない。3分27秒あたりから展開部に入るのではないかと思う【注1】
長いカデンツァに入る前、オケが盛り上がる(6分31秒あたりから)。そして技巧的なカデンツァを、エリザベス・ジョイ・ロエは、豪快、かつ、シャープに弾いている【注2】。この2人(ロエとタバコフ)の第1楽章は(いや、全楽章は)、ピアノが「でしゃばる」ことなく、ピアノとオケが対等に《和》しているように聞こえる。
第2楽章「ワルツ」は、ウィキペディアの項にある「ウィンナ・ワルツ」へのノスタルジー・・・にしてはテンポが遅い部分が多い。ややオリエンタルなエキゾチシズムを私は感じるが・・・。
第3楽章「即興曲」は、第1、2楽章と違って擬古典、あるいは、ロマン的パッサカリア。これも、オリエンタルかも知れない。この楽章は少し長過ぎて退屈する。アタッカで、第4楽章へ。
第4楽章「行進曲」アレグロが、全楽章を閉めているかは、私には分からない。ウィキペディアには「様々な不安な要素を抱えた行進曲」とあるが、たしかに、この行進曲は、この協奏曲(Op.13)を、あらぬ方向に導きかねないと思う(楽想はショスタコーヴィチを思わせる。この作品は、ショスタコーヴィチ:交響曲5、6番とほぼ同じ時期に書かれている)。ロエとタバコフは、フォルティッシモで第4楽章のカタストロフィーを演出している。迫力あり。

【注1】 さらに、あえて言えば、再現部は5分28秒あたりから始まるみたいに聞こえる(第2主題で)。

【注2】 実は、私は、Apple Music にてこのアルバムを試聴。そして、エリザベス・ジョイ・ロエの弾くカデンツァが気に入ったのでこのアルバムを購入したのだった。

● バーバー:ピアノ協奏曲 Op.38
サミュエル・バーバーの意欲作。1960年〜1962年頃の作品。この作品においても、ピアノは、でしゃばってないと思う。
ヒラリー・ハーンのバーバーと比較すると・・・カーティス音楽学校出身のヒラリー・ハーンは、同音楽学校出身のバーバーの「Vn 協奏曲 Op.14」を上手く演奏しているが・・・驚いたことに、エリザベス・ジョイ・ロエの「バーバー:Pf 協奏曲 Op.38」は、爆演!
第1楽章。静と動が入り込む複雑なアレグロ。【2016−5−26 追加】 第1楽章もまた、静動の楽想の中、躍動的です。第3楽章と同様、躍動的です。
「(前略)バーバーはこれらの旋律の、反行形や逆行形などの対位法的な変形によって、楽章全体を長大なものにするとともに、その変形された旋律を後の楽章に循環させている(ウィキペディアより)。第1楽章における作曲者のこだわりが、リスナーを退屈させるかも知れない。しかし、第1楽章を(そして、全楽章を)アナリーゼできれば、その複雑さが埋没していないことが分かるだろう。そして、ロエの演奏からはバーバーのもう一つの(!)個性を聴くことができると私は思う(・・・エリザベス・ジョイ・ロエへの私のえこひいきです)。
第2楽章は、第1楽章とは打って変わって、叙情的。美しい。本来のバーバーか?
第3楽章は、5/8拍子。
これまた、第1、2楽章とは打って変わって「凄まじく速い5/8拍子の楽章で、ガンガンと打ち込まれるオスティナートもあって、どちらかといえば忌まわしい響きがする。金管楽器を重用する楽章だが、最後はピアニストが目も眩むような演奏技巧の限りを尽くし、劇的なピアノによって締め括る。(ウィキペディアより)」冒頭の躍動感は大西順子の「ザ・ジャングラー」を思わせる。
エミール・タバコフ(指揮)が上手いので、安心して聴ける。ロエは、音楽の流れと形式を保ちつつ、爆演している。こっちも、ブリテンと同様に、カタストロフィーに迫力あり(やや野蛮)。彼女は、作曲者バーバーの《意欲》に、ほぼ完璧に応えていると思う。ブラボー!

・バーバー:ノクターン Op.33(ジョン・フィールドを讃えて)
・ブリテン:夜の小品(ノットゥルノ)

上記2つのノクターンは独奏曲。それらの作品における、ロエの繊細さ、美、おおらかさ、技巧は快い。あたかも、これらが、このアルバムのメインであるかのように聞こえる。
そして、彼女のおおらかさにおいて、エリザベス・ジョイ・ロエには、今後、頑張って欲しいと、私は、思うのだが・・・。

【最後に】

ブリテン、バーバーの Pf 協奏曲は、私の好みに合う。そして「バーバー:ノクターン Op.33」のロマンティシズムに魅力ある。「(繰り返すが)ブリテンの作品には、美しい旋律がない」という人があるが「ブリテン:夜の小品」は美しい。
指揮者のエミール・タバコフは上手い(知的と言っていいだろう)。ヴィルデ・フラングが弾いた「ブリテン:Vn 協奏曲 Op.15」のジェイムズ・ガフィガンの指揮もまた上手かったが(ちなみに、エミール・タバコフは、1947年生まれ。ガフィガンは、1979年生まれ)。

・・・・・

Roe

(C) Apple Music 検索キーワード:Elizabeth Joy Roe

2015年9月 9日 (水)

アン・アキコ・マイヤースのバーバー、ジョン・コリリアーノ、メイソン・ベイツ

Meyers_1

The American Masters

Samuel Barber (1910-1081)
Concerto for Violin and Orchestra, Op. 14 (1939)

John Corigliano (b. 1938)
Lullaby for Natalie (2010)

Mason Bates (b. 1977)
Violin Concerto (2012)

Anne Akiko Meyers, violin
London Symphony Orchestra
Leonard Slatkin, conductor
Recorded September, 2013 at LSO
eOne Music

ヒラリー・ハーンが、19才のときの録音した、若々しいバーバー(1999年録音)に対して、私は、熟女アン・アキコ・マイヤースに、熟したバーバーを期待したが、マイヤースのバーバーはそれほど熟してなかった。

2曲目の「Lullaby for Natalie」は、ジョン・コリリアーノが、アキコ・マイヤースの娘ナタリーのために書いた作品だが、これもまた、うっとりさせられるほどの曲ではない。

そして、このアルバムのメインであるメイソン・ベイツの Vn 協奏曲も、パッとしない(←なんだかダラダラしている)。

このアルバムは、Apple Music で、試聴して、購入するのが良いと思う。

==

【APPLE MUSIC 検索のためのキーワード】 Anne Akiko Meyers

Meyers_2
(C) Apple Music のウィンドウ

【追加】このアルバムは、ジョン・コリリアーノが、ライナーノートを書いている(While I have written many program notes for my own CDs, this is the first time that I have done so for other composers. / 私は私自身の CD ために多くのプログラムノートを書いたが、これは、私が、初めて他の作曲家たちのために書いたプログラムノートである)。

2008年10月25日 (土)

ヒラリー・ハーンを追っかける(4)


Hahn

Samuel Barber (1910 - 1981)
Concerto for Violin and Orchestra, Op.14
I. Allegro 10:33
II. Andante 9:07
III. Presto in moto (perpetuo) 3:25
Edgar Meyer (*1960)
Violin Concerto
Movement I 10:24
Movement II 16:04
Hilary Hahn, violin
Saint Paul Chamber Orchestra
Hugh Wolff
1999年録音
SONY

「本作の録音は数多く、アイザック・スターンやイツァーク・パールマン、ギル・シャハム、ジョシュア・ベル、ヒラリー・ハーン、ジェイムズ・エーネスといった演奏家によって取り上げられてきた。スターンがレナード・バーンスタインの指揮とニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団との共演で1964年に行なった録音は、ロマン主義的な解釈で定評があるのに対して、ヒラリー・ハーンがヒュー・ウルフの指揮するセントポール室内管弦楽団と共演した1999年の録音は、「醒めた新古典主義的な見方」によって高い称賛を浴びた。」

「ハーバート・ボーメルは、1939年から1940年のシーズンにソリストとして、カーティス音楽院交響楽団と共演してこれを演奏したのである。指揮はフリッツ・ライナーだった。この演奏に興味を惹かれたユージン・オーマンディは、1941年2月にフィラデルフィア音楽院においてアルバート・スポールディングを独奏に迎え、フィラデルフィア管弦楽団を指揮して公開初演を行なう予定を立てた。(実際の初演は2月7日であった。)これらに続いて、2月11日にカーネギーホールで再演が行なわれると、その頃からたちまちヴァイオリンと管弦楽との定番の楽曲になった。実際バーバーの協奏曲は、あらゆる20世紀の協奏曲の中で最も演奏回数の多い作品の一つである。— ヒラリー・ハーンによる2000年の録音への解説文」

上記は、バーバーのヴァイオリン協奏曲作品14について、wikipedia からコピペしたもの。wikipedia に、ハーンによるライナー解説文が載ってるということは、ハーンの書く文章は、良いと見なされているのだろう。

彼女は自分のアルバムのライナーを自分で書いている。昔で言えば、グールドみたいなことをやっている。彼女は「目立ちたがりの書きたがり」でライナーを書いているというより、それらを書くだけの知性なり文才を持ち合わせているのだろう。

バーバーとカップリングされているエドガー・メイヤー Edgar Meyer は、現代アメリカの作曲家というよりコントラバス奏者で、世代的には(19才も年齢が離れているので)ハーンと同世代とは言えないが、それはハーンが若すぎるからであり、ハーンの仲間と言っていい人(出会いのいきさつやこのヴァイリン協奏曲作曲のいきさつもライナーに書かれてある)。ハーンに捧げられたこのヴァイリン協奏曲は、バーバーよりむしろこちらがメインと言ってもよいぐらい聞きやすく風情がある佳作。エドガー・メイヤーの作曲家としての実力が、ハーンによって証明されていると言って良い。

バーバーもメイヤーも超名曲ではないし超熱演ではないが、時々取り出して聴いてみたくなる不思議な魅力を持つアルバムに仕上がっている。そういう魅力が彼女の人気の秘密かも。

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