2017年8月29日 (火)

カール・ベームの《ドン・ジョヴァンニ》を聴き比べる

Don_giovanni_1

Wolfgang Amadeus Mozart:
Don Giovanni

George London (Don Giovanni)
Ludwig Weber (Commendatore)
Lisa Della Casa (Donna Anna)
Anton Dermota (Don Ottavio)
Sena Jurinac (Donna Elvira)
Erich Kunz (Leporello)
Irmgard Seefried (Zerlina)
Walter Berry (Masetto)

Chorus of the Wiener Staatsoper
Orchestra of the Wiener Staatsoper
Karl Böhm
1955年ライブ録音
歌唱:ドイツ語

1955年、ウィーン国立歌劇場再建こけら落しでのライブであるということで、祝祭的で迫力あるが、ベームの指揮はきめ細かくもある。そして、歌劇《ドン・ジョヴァンニ》が持つ悪魔的性格においては『Metropolitan 1959年ライブ盤(下記)』に勝ると思う。
歌手陣はドリームチーム:どの歌手も「主役を歌うことができる実力者たち」である・・・が、それらの歌手たちは、皆、歌が上手過ぎるし、それらの歌手たちの歌は聴き慣れているから、意外性がなく・・・面白くない。←極めて贅沢な不満。

録音は悪くない。

ちなみに私は、リーザ・デラ・カーザはドンナ・アンナに合ってないと思う。すなわち:

【最終幕最終場】

ドン・オッターヴィオ:私をもうこれ以上苦しめないでください
ドンナ・アンナ:待って下さい 愛しい人 あと一年

オッターヴィオのアンナへの「すぐに結婚して欲しい」という求めに対してアンナはそれを断る。私は、ドンナ・アンナという人は謎めいた人だと思う。デラ・カーザのある意味清楚な歌唱はドンナ・アンナに合わないと思う。
それよりも、デラ・カーザに愛に狂うエルヴィーラを歌わせると脇がしまると思う。




Don_giovanni_2

Wolfgang Amadeus Mozart:
Don Giovanni

George London (Don Giovanni)
William Wilderman (Commendatore)
Eleanor Steber (Donna Anna)
Cesare Valletti (Don Ottavio)
Lisa della Casa (Donna Elvira)
Ezio Flagello (Leporello)
Laurel Hurley (Zerlina)
Theodor Uppman (Masetto)

Orchestra and Chorus of the Metropolitan Opera House
Karl Böhm
1959年ライブ録音

音はあまり良くないが鑑賞に耐える。ベームにしては例外的にテンポが速く、微妙なテンポ・ルバートが緊張感・迫力を高めている。レチタティーヴォ(朗唱)もテンポが速く推進力がある。
アメリカ出身のエレナー・スティーバーがドンナ・アンナを怪演している。スティーバーだけではなく他の歌手も古臭い歌唱・・・だがドラマティック。そして、さすが、リーザ・デラ・カーザ(ドンナ・エルヴィーラ)・・・彼女の一頭地を抜く歌唱が、脇を固めている。この演奏はベームにしては例外的にスピーディーな演奏がリスナーの感覚を刺すだろう。ただ、歌劇《ドン・ジョヴァンニ》が持つ悪魔的性格においては『Wiener Staatsoper 1955年ライブ盤(上記)』に劣るだろう。

なお、この CD-DA には、オットー・クレンペラー指揮、ジョージ・ロンドン歌唱の『マーラー:亡き子をしのぶ歌』がオマケについている(1955年録音)。




Don_giovanni_3

Wolfgang Amadeus Mozart:
Don Giovanni

Dietrich Fischer-Dieskau (Don Giovanni)
Birgit Nilsson (Donna Anna)
Peter Schreier (Don Ottavio)
Martti Talvela (Il Commendatore)
Martina Arroyo (Donna Elvira)
Ezio Flagello (Leporello)
Alfredo Mariotti (Masetto)
Reri Grist (Zerlina)

Orchester des Nationaltheaters Prag
Karl Böhm
1967年セッション録音

これは以上3つのベームの《ドン・ジョヴァンニ》の中で最も精密な演奏。
ただし、フィッシャー=ディースカウはセクシーではないし、ビルギット・ニルソンはやはりブリュンヒルデを思い出させる。
一方、シュライアーは完璧。そして、Ezio Flagello (Leporello) と Reri Grist (Zerlina) まさに適役だ。




【関連記事】

Wolfgang Amadeus Mozart: Don Giovanni Dietrich Fischer-Dieskau, Ezio Flagello, Birgit Nilsson, Peter Schreier, Martina Arroyo, Martti Talvela, Reri Grist, Alfredo Mariotti, Orchester des Nationaltheaters Prag / Karl Böhm

2017年8月16日 (水)

(C) Apple Music にて、カール・ベーム指揮の『ドン・ジョヴァンニ』を物色する

下記(1959年録音)はベームの指揮とは思えないぐらい演奏も歌唱も荒くテンポが速い。私のお目当てはリーザ・デラ・カーザのドンナ・エルヴィーラ。←さすがにうまい。
デラ・カーザはドンナ・アンナよりドンナ・エルヴィーラのほうがあっていると思う。←買おうかな。

(キャスト等は下記画像参照のこと)

Don_giovanni_bohm_01
(C) Apple Music 検索キーワード:Don Giovanni Böhm


Don_giovanni_bohm_02

・キャスト等





下記はもう一つの『ドン・ジョヴァンニ/ベーム盤(1955年録音)』
キャストはこちらの方が良いが・・・この盤は Apple Music にはアップロードされていないので試聴できない。

(キャスト等は下記画像参照のこと)

Don_giovanni_bohm_00

・キャスト等

2017年8月 2日 (水)

(C) Apple Music Franz Xaver Mozart/Chopin: Polonaise Yaara Tal

Mozart_yaara_tal

(C) Apple Music 検索キーワード:Mozart Yaara Tal

非常に面白そうなコンテンツでありしかも演奏うまいのだが、お金出してまでして買うものではないと思った。


【収録情報】
● フランツ・クサヴァー・モーツァルト:6つの感傷的なポロネーズ Op.17
● フランツ・クサヴァー・モーツァルト:4つの感傷的なポロネーズ Op.22
● ショパン:ポロネーズ第13番変イ長調
● ショパン:ポロネーズ第15番変ロ短調『別れ』
● ショパン:ポロネーズ第16番変ト長調

 ヤーラ・タール(ピアノ)

 録音時期:2016年12月
 録音場所:ミュンヘン、バイエルン放送第2スタジオ
 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)

(HMV.co.jp より)


2017年4月27日 (木)

【Apple Music で、またまた節約】 Wolfgang Amadeus Mozart: Don Giovanni Sherrill Milnes, Anna Tomowa-Sintow, Peter Schreier, Edith Mathis, Wiener Philharmoniker / Karl Böhm

Don_giovanni_bohm_new

Don Giovanni Karl Böhm Live Recording from the 1977 Salzburg Festival



Don_giovanni_bohm_new
(C) Apple Music 検索キーワード:Don Giovanni Bohm

ベームの1977年、ザルツブルク・ライブ録音盤(上記)は、1967年録音盤(下記)に比べると、やはり、ベームが衰えている。買わない。



Don_giovanni_bohm_old
(C) Apple Music 検索キーワード:Don Giovanni Bohm

すなわち、上記、1967年録音盤を入手できないなら、1977年、ザルツブルク・ライブ録音盤を買うけど、1967年録音盤(ただし、中古)を、既に入手したから、後者を買わない。


【関連記事】

Wolfgang Amadeus Mozart: Don Giovanni Dietrich Fischer-Dieskau, Ezio Flagello, Birgit Nilsson, Peter Schreier, Martina Arroyo, Martti Talvela, Reri Grist, Alfredo Mariotti, Orchester des Nationaltheaters Prag / Karl Böhm

2017年4月25日 (火)

Wolfgang Amadeus Mozart: Don Giovanni Dietrich Fischer-Dieskau, Ezio Flagello, Birgit Nilsson, Peter Schreier, Martina Arroyo, Martti Talvela, Reri Grist, Alfredo Mariotti, Orchester des Nationaltheaters Prag / Karl Böhm

このエントリーは http://koshiro-m.cocolog-nifty.com/blog/2017/04/apple-music-wol.html に続く。

==

Don_giovanni_2

このアルバムは火災で焼損したので、

Amazon ポイントで購入。やっと、再取得できた。


Don_giovanni

Wolfgang Amadeus Mozart:
Don Giovanni (Complete)
Orchester des Nationaltheaters Prag
Karl Böhm
1967年録音

Dietrich Fischer-Dieskau (Don Giovanni)
Birgit Nilsson (Donna Anna)
Peter Schreier (Don Ottavio)
Martti Talvela (Il Commendatore)
Martina Arroyo (Donna Elvira)
Ezio Flagello (Leporello)
Alfredo Mariotti (Masetto)
Reri Grist (Zerlina)


私の評価:Stars10

2017年4月25日現在、廃盤! しかし、ベームの硬質な指揮は別格! キャストも素晴らしい!

私事で恐縮ですが、このベームのドン・ジョヴァンニは、私が精神的に一番苦しかった頃に(約20年前。38才頃に)、これを聴いて大いに慰められた。思い出の品。

私は、訳あって、モーツァルトを聴かなくなったが、これだけは別!

なんと言っても、HMV.co.jp の商品説明が面白い!(下記)

・商品説明

モーツァルト:歌劇“ドン・ジョヴァンニ”全曲
F=ディースカウ、ニルソン、シュライヤー、タルヴェラ、ほか
ベーム指揮プラハ国立歌劇場管弦楽団&合唱団
1967年ステレオ録音。ちょっと驚くキャスティングですが、オペラ・マニアにはけっこう人気のある演奏です。F=ディースカウのいかにも真面目そうなドン・ジョヴァンニに、ニルソンの全然しとやかではないドンナ・アンナ、そもそも決闘で負けそうもないタルヴェラの騎士長、やたらに濃厚で貴婦人とは思えないアーロヨのエルヴィラなど、とにかく楽しめます。むろんシュライヤーはきちんとしてますが。
(HMV.co.jp より)



Variations in B-flat on "Là ci darem la mano" from Mozart's "Don Giovanni" for piano and orchestra, Op. 2

【Apple Music で、またも節約】 Mozart: Opera & Concert Arias / Elīna Garanča Camerata Salzburg Louis Langrée

Garanca
(C) Apple Music 検索キーワード:エリーナ・ガランチャ

モーツァルト:アリア集 エリーナ・ガランチャ
この歌手、歌はうまいんですが、単調に聞こえる。
この音盤は、2005年発売なので、現在は、もっと上手くなっているかも知れないが・・・。


でも買わない!(←下記最新アルバムを!)

Garanca_2

2016年10月10日 (月)

Sophie-Mayuko Vetter plays Mozart: Piano Concertos etc.

Vetter

Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
Klavierkonzert Nr. 27 B-Dur, KV 595
Klavierkonzert Nr. 17 G-Dur, KV 453
Fragment, KV Anh. 56
Fantasie, KV 396
Sophie-Mayuko Vetter, Klavier
Rainer Kussmaul, Violine *
Hamburger Symphoniker
Peter Ruzicka, Dirigent
2015年録音
OehmsClassics

・・・

Klavierkonzert Nr. 27 B-Dur, KV 595
1. Allegro 15:04
2. Larghetto 7:55
3. Rondo, Allegro 9:09

Klavierkonzert Nr. 17 G-Dur, KV 453
4. Allegro 12:11
5. Andante10:44
6. Allegretto, Presto 7:54

7. Konzert in D-Dur für Klavier, Violine und Orchester KV Anh. 56 (315f)
Fragment des 1. Satzes ergänzt von Robert Levin * 4:01

8.Fantasie c-Moll, KV 396 (385f) *, ergänzt von Maximilian Stadler 9:50

Total: 01:16:48

・・・

【収録情報】
モーツァルト:
1. ピアノ協奏曲第27番変ロ長調 K.595
2. ピアノ協奏曲第17番ト長調 K.453
3. ピアノとヴァイオリンのための協奏曲ニ長調 K.Ank.56(315f)より第1楽章の断章(ロバート・レヴィン補筆版)
4. 幻想曲ハ短調 K.396(385f)(マクシミリアン・シュタードラーによる補筆版)

 ゾフィー=マユコ・フェッター(ピアノ)
 ライナー・クスマウル(ヴァイオリン:3,4)
 ハンブルク交響楽団(1,2)
 ペーター・ルジツカ(指揮:1,2)

 録音:2015年9月29,30日、10月1日
 録音場所:ハンブルク、フリードリヒ・エーベルト・ハレ
 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)

(HMV.co.jp より)

・・・

【2016−10−14 追加 評価&結論】

私の評価:微妙。星4つ。否、やっぱり、星3.5・・・だろうな。

私は、ゾフィー=マユコ・フェッターというピアニストを追っかけない事にする。彼女は、微妙に外していると思う。

・・・

Apple Music で、ゾフィー=マユコ・フェッターのブラームスを試聴し、それが良かったので、このアルバムを購入。はたして(第一印象は)素晴らしかった。
↑私、ブラームスは苦手なので、そのブラームスは買わなかった。

● ピアノ協奏曲第27番変ロ長調 K.595
もう随分昔のことだが、私は、久元祐子さんと「モーツァルト」について論じ合ったことがある。久元祐子さんは、晩年のモーツァルトは「行き止まりの音楽」であるとした。その意見に私は同意した。また、久元さんは晩年のモーツァルトを「枯れた音楽」と言ったと記憶している(←私の記憶違いかも知れない)。
だが、行き止まりではあっても、枯れていても、ゾフィー=マユコ・フェッターの弾く「K.595」には味がある。

第1楽章は移調が美しい。フェッターの弾く第1楽章は、テンポが遅いが、カデンツァは速い。この第1楽章は例によって面白いソナタ形式だと・・・いまさら思った(ウィキペディアには「型どおりの古典派の協奏ソナタ形式」と書いてあるが…)。

Mozart_595_1_2
↑この後、転調する(midi)。

第2楽章の気品。
第3楽章の彼女の技巧は、第1、2楽章の「モーツァルトの最後の年に完成された、最後の Pf 協奏曲(K.595)の恍惚(!)」に花を添える。←「恍惚」とは言い過ぎかも知れないが…
HMV.co.jp によると、フェッターは「ドイツ人の父と日本人の母を持つ女性ピアニスト」
さらに、HMV.co.jp によると、「チェンバロなど歴史的鍵盤楽器の演奏法の指導を受けていたという彼女」←そういうピアニストならでは(!)なのであろう・・・フェッターというピアニストはモーツァルトの時代のピアノ演奏を研究し身につけた人だと思う。

ただし、フェッターの K.595 は、見通しが良くないのが欠点だ(ちなみに、モーツァルトの『マイステリン(マイスターの女性形)』と言ってもいいイングリット・ヘブラーの K.595 でさえ、特に見通しの良い演奏に聞こえなかった。不思議だ。やっぱり行き止まりなのか。枯れているのか。それとも私の間違いか)。
そして、フェッターの K.595 は小音量で聴かないと美しくない。

● ピアノ協奏曲第17番ト長調 K.453
第2楽章が美しい。
全楽章を通して、多少の陰りがあったほうが面白かったかも知れない。
そして、この K.453 も、見通しの良さが欲しかった。

● ピアノとヴァイオリンのための協奏曲ニ長調 K.Ank.56(315f)
《もう飛ぶまいぞ(フィガロ)》のリズムで始まる行進曲。
突然、音楽が止まるので、オーディオが壊れたのかと思った。

● 幻想曲ハ短調 K.396(385f)
これは、素晴らしくて、ユニークな「ファンタジー」である。
ほとんど、ピアノ独奏。ヴァイオリンは、ちょっとだけ。管弦楽なし。
旋律が、バッハの「パルティータ6番」の「トッカータ」に少しだけ似ている。
ベートーヴェン:第7番第1楽章の第1主題のようなフレーズもある(2分13秒〜)。

追記)der Vetter には、ドイツ語で「従兄弟」の意味がある。

2016年8月 5日 (金)

Klavierkonzerte von Mozart und Mendelssohn Danae Dörken Lars Vogt

Dorken

Klavierkonzerte von Mozart und Mendelssohn
Danae Dörken, Klavier
Royal Northern Sinfonia
Lars Vogt, Dirigent
Aufnahme: 2014
Ars Produktion

Wolfgang Amadeus Mozart
21. Klavierkonzert in C-Dur KV 467
1 Allegro maestoso | 14 : 04
2 Andante | 6 : 22
3 Allegro vivace assai | 7 : 09

Felix Mendelssohn
2. Klavierkonzert d-Moll op. 40
4 Allegro appassionato | 9 : 40
5 Adagio. Molto sostenuto | 6 : 41
6 Finale. Presto scherzando | 6 : 53

●ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト:ピアノ協奏曲 第21番 ハ長調 KV 467
●フェリックス・メンデルスゾーン:ピアノ協奏曲 ニ短調 作品40

 ダナエ・デルケン(ピアノ)
 ロイヤル・ノーザン・シンフォニア
 ラルス・フォークト(指揮)
 2014年録音

・・・

辛いが私の評価:星2つ

・・・

【前置き】

1785年に生まれた3つの協奏曲(注:第20〜22番)のうちの第2作。第1作 K. 466 からわずか1か月後、やはり自分が主催する予約演奏会でみずから独奏パートを受け持つつもりで書いたもの。ともに旧来の協奏曲の域を脱した「交響的統一性」としての内容を備え、充実した編成で巧妙なオーケストレーションを展開するなど、両曲に共通する面もいくつかあるが、しかしこの K. 467 から受ける印象は、K. 466 のそれとはかなり異なっている。なかば行進曲風な開曲な雰囲気、沸き立つようなブッフォの精神がみなぎるフィナーレ、間にはさまれて、あくまで美しいカンタービレに徹するアンダンテ ----- 。そればかりではない。曲の重心を再び独奏者の演奏技巧に移動させるなど、せっかく脱け出した社交的機会音楽の領域にまた後退したかにも感じられる。ニ短調の、あの息づまるような暗い激情から解放され、ハ長調という清朗な調性を選んだモーツァルトはここで、自分の楽器を存分に遠慮なく鳴らしてみたかったのかもしれない。とはいえ、そうした技巧の誇示も決して極端に陥ってはいないし、作曲家のあの無類の平衡感覚によって、オーケストラと独奏楽器の協調が破綻なく達せられていることもまた、事実なのである。
(中略)
第1楽章
(中略)
ここ(注:第1楽章展開部)では、まずホ短調に始まり、他のさまざまな短調に分け入りつつ、もっぱら絢爛たるピアノ演奏技巧の誇示に終始するが、直前の呈示部末ですでに、オーケストラによるかなり入念な動機の展開が行われていたから、結果的にこれでバランスがとれていることになる。再現部はいささか変則的な構成を示す。第1主題に続いてすぐに第2主題も再現され、今一度第1主題に基づく経過部を終えると、ここへトゥッティによる呈示部で第1主題のすぐあとに置かれている副主題(譜例5)が、第2主題と順序を入れ替えて再現を果たすのである。

Photo
譜例5
midi

(「作曲家別名曲解説ライブラリー モーツァルト I」の227ページより)

【本文】

・モーツァルト:ピアノ協奏曲 第21番 ハ長調 KV 467
フリーメーソン的なロマン主義の作品である「ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 KV 466」の反動で、モーツァルトは、この、よりシンプルな作品を書いたのだろう。第1楽章副主題(譜例5)は、第1楽章呈示部では、平凡な「反復」だが、やっぱり、例によって、その「反復」、再現部に仕掛けがあった。
第2楽章はシンプルだが、やはり仕掛けがある(テーマが主調のへ長調ではなく、3度上の変イ長調で再現される)。
私は、イングリット・ヘブラーのクールでノーブルな演奏(協奏曲)に、絶対的信頼を置いているのだが、やっぱり、ヘブラーは(第1楽章アインガングからして、さりげなく)上手い。そして、ヘブラーの演奏では上記の仕掛けも、クールに、ちゃんと聞こえる(ラルス・フォークト&デルケンの演奏においては如何に?)。

・デルケンのモーツァルト:ピアノ協奏曲 第21番
ラルス・フォークト(指揮)は、もともと、ピアニストなので、デルケンに合わせようとしているのは分かるが、粗い。
第2楽章のヴァイオリンは、ノン・ヴィブラートで奏される。
ラルス・フォークト&デルケンの演奏は、第3楽章の3分09秒などで、音が止まる。その2人の演奏には、ルバート、オケとソロの掛け合い、デュナーミク、アーティキュレーション、カンタービレ、微妙な音価の揺れに工夫が見られるが(それらはヘブラーにも聴かれる)、ヘブラーは、モーツァルトを研究し尽くしているので一音一音に狂いがなく快い(←語り口、流れ、対位法あるいは和声、デュナーミク、テンポ、テクスチュア、音色、アンサンブルが正確。指揮者 Witold Rowicki が上手い)。それに対し、デルケンは明らかに研究不足。ラルス・フォークト&デルケンは、良くも悪くも若々しく、元気が良く、技巧的で、チャレンジしているが、変則的に聞こえる・・・いや、はっきり書こう・・・ラルス・フォークト&デルケンは、下手に聞こえる。聴いてて疲れる。まぁ、ヘブラーとデルケンを比較するのは、デルケンには気の毒だが。

・デルケンのメンデルスゾーン:ピアノ協奏曲 ニ短調 作品40
わたくし、メンデルスゾーンは苦手なので、ノーコメント

【ところで】

「Dörken」というピアニストの名前は、デールケンではなく、やっぱり、デルケンなのだろうか。

【あとがき】

それにしても、私は、モーツァルトを聴きたいという意欲がなくなった。私は、モーツァルトとワーグナーをまったく(ではないが)聴かなくなった。
久しぶりに、モーツァルトをじっくり聴いた〜。

2016年7月30日 (土)

突然ですが「モーツァルト:ミサ曲ハ短調 K427」私の一番のお気に入り

C_moll

Mozart
Missa in C Minor K427
Solistenvereinigung des Berliner Rundfunks
Berliner Rundfunk-Sinfonie-Orchester
Helmut Koch, conductor
録音:1964年

モーツァルト:ミサ曲ハ短調 K427
イングリット・チェルニー(ソプラノ)
インゲボルク・ヴェングロール(ソプラノ)
ロルフ・アプレック(テノール)
テーオ・アーダム(バス)
ベルリン放送合唱団
ベルリン放送交響楽団
ヘルムート・コッホ(指揮)、
録音:1964年4月 東ベルリン

イングリット・チェルニー(Ingrid Czerny, soprano)と、インゲボルク・ヴェングロール(Ingeborg Wenglor, soprano)の声の明るさは、他の演奏では聴けない。
これは、私が高校生のとき、ラジオで初めて聴いた「ミサ曲ハ短調」です。しかし、私が、大人になっとき、かつて、ラジオで聴いた演奏が誰の演奏だったか記憶が定かではなかったので、それが、ヘルムート・コッホ盤であったことは、長くわからなかった。

・・・

【Apple Music】

Koch

(C) Apple Music Mozart Helmut Koch

2016年6月25日 (土)

【Apple Music】 レイチェル・バートン・パイン(Rachel Barton Pine)のアルバムを複数試聴/毎度、例によって、Apple Music は、CD購入費の節約になる!

・モーツァルト:Vn 協奏曲全曲&協奏交響曲 K.364
全曲を丹念に聴いた訳ではないが、いまいち、魅力なかった。買わない。

※ただし、私はいま、モーツァルトという作曲家の作品を聴きたいという気持ちをまったくと言っていいほど失っている。

・クレメント&ベートーヴェン:Vn 協奏曲
特に魅力なし。買わない。

・ヨアヒム&ブラームス:Vn 協奏曲
これは、面白そう。買うことにした。

※毎度、例によって、Apple Music は、CD購入費の節約になる!


Pine
(C) Apple Music
検索キーワード:Rachel Barton Pine

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