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2017年4月 9日 (日)

「ワルキューレ」第2幕第1場&「ジークフリート第3幕」/シモーネ・ヤング vs. ピエール・ブーレーズ

http://koshiro-m.cocolog-nifty.com/blog/2017/04/post-4b01.html に続く

==

Young

Wagner: Der Ring des Nibelungen
Philharmoniker Hamburg
Simone Young
2008/2010年録音


私は《指輪》において、劇的場面だけでなく、劇的ではないが重要な場面を聴くのが好きだ。たとえば、「ワルキューレ」第2幕第1場のフリッカがヴォータンを説教する場面:すなわち、フリッカがヴォータンに「フンディングとジークムントとの決闘において、フンディングを勝たせなさい」と説く場面・・・シモーネ・ヤング盤のその場面は、最初に聴いた時、一本調子の棒読みに聞こえた・・・が、改めて聴いてみると、それは特に悪くはない(良くもないけど(笑))。

しかし、ピエール・ブーレーズ盤におけるフリッカ(ハンナ・シュヴァルツ、Hanna Schwarz 私はこの歌手が好き!)の歌唱は強烈で良いと思う。それは「フリッカがヴォータンを説得するのではなく、まさにヴォータンがフリッカを説得する」ように聞こえる。ヴォータンはフリッカをなだめ、落ち着かせ、おのれの考えを理解するよう彼女に求めるが、ヴォータンの説得は失敗する。そして、ヴォータンの自己矛盾があらわになる。

同第2幕第1場におけるヴォータンの苦悩は、ブーレーズ盤、ヴォータン役のドナルド・マッキンタイヤーの歌唱よりもフリッカ役のハンナ・シュヴァルツの歌唱(の強烈さ)によって強調される。フリッカはヴォータンを攻撃し追いつめていく。


【余談】

ところで、

私は《指輪》において、神々は不老不死であるが、その代わり、(神々は)生殖能力を持たないような気がする。ブリュンヒルデもジークムントも生殖によって生まれた個体ではなく、ヴォータンの DNA を埋め込まれたクローン人間のような気がする。
繰り返すが《指輪》における神々は、子孫を作ることができない。自分の分身を作ることだけしかできない。そもそも、神々の一族自体がクローン人間たちのように思える。

(下に続く)

(上の続き)

しつこいですが、

私が、「ジークフリート第3幕」を、好きな理由:

・ブリュンヒルデが、永遠の若さを失う(つまり、彼女は年を取ればお婆ちゃんになる)。
・ブリュンヒルデが、永遠の処女性を失う。
・ブリュンヒルデが、ジークフリートのなかば強引な求婚に戸惑う。
・ブリュンヒルデが、指輪の呪いを忘れてしまう。
・神々の滅亡が決定的になる。

という訳で、シモーネヤング指揮「ジークフリート第3幕」を聴いてみた(以下、箇条書き)。

1. 同指揮「ジークフリート第3幕」はおそらく音がいい・・・私のオーディオシステムは大規模なオーケストレーションの音には対応できない場合があるが、このジークフリート第3幕は違う。←テクスチュアはよく聞こえると思う。←大音量で聴いてもノイズがない。
シモーネ・ヤングの《指輪》←これを買って良かった。

2. シモーネ・ヤング盤は「ジークフリート第3幕第3場」への間奏曲(ジークフリートが角笛を吹きながら炎さかまく岩山に突っ込みその頂上にたどり着く場面)の後半の弦のみによる静かな合奏が美しく、ブリュンヒルデとジークフリートの出会いが結果的に神々の黄昏をもたらすという筋書き(=すなわち、2人の出会いの裏に隠されたネガティブだが発展的展開)を上手く捕らえて表現していると思う(と、言ったら言い過ぎか・・・)。

3. ジークフリートがブリュンヒルデのよろいをとったとき「これは男ではない!(Das ist kein Mann ! )」と気づく部分は、もっと強調して指揮している指揮者が多いので、ヤングの指揮は弱いかと思ったが、悪くなかった。

♪あたりが浮かび上がりぐらつきぐるぐる回ってる! あこがれがおれを傷つけ、おれの感覚を蝕む。
(中略)
♪彼女の花咲く口の甘い震え。
♪その口の、なんと柔らかくうち震え、おれのためらいを魅惑することか!
♪ああ、この吐息の、温かい至福の香りよ!

4. 上記の歌唱のあとは、乙女チック・なよやか・やわらか・弱い・・・ヤングの指揮はテンポが遅めで、表現は控えめ。だが、オケはよく鳴らされている(女性指揮者らしい演奏と書いたら女性差別か(汗;;)

5. しかし、ブリュンヒルデがジークフリートを拒む「神でさえ、私に近づくことはなかった!(Kein Gott nahte mir je ! )」のあたりから当然のことながら表現が強くなり・・・

6. 例の「ジークフリート牧歌」の旋律が出てくるところからフィニッシュまでは他の指揮者の指揮を踏襲していると思うが、フィニッシュは迫力ある。


【歌詞対訳(ジークフリート第3幕 幕切れ)】

BRÜNNHILDE
ブリュンヒルデ

(im höchsten Liebesjubel wild auflachend)
(最高の愛の喜びに浸り、急に笑いながら)
O kindischer Held!
O herrlicher Knabe!
Du hehrster Taten töriger Hort!
Lachend muß ich dich lieben,
lachend will ich erblinden,
lachend laß' uns verderben,
lachend zugrunde gehn!
ああ、子どもらしい英雄よ!
ああ、美しい若者よ!
気高い行いをした、愚かなる宝!
笑いながら、私は、あなたを愛さなければならない、
笑いながら、私は盲目になりたい、
笑いながら、私たちは、滅びましょう!
笑いながら、没落しましょう!

SIEGFRIED
ジークフリート

Lachend erwachst du Wonnige mir:
笑いながら、あなたは目覚める、魅惑の人よ、

BRÜNNHILDE
ブリュンヒルデ

Fahr' hin, Walhalls leuchtende Welt!
さらば、ヴァルハラの輝ける世界よ!

SIEGFRIED
ジークフリート

Brünnhilde lebt, Brünnhilde lacht!
ブリュンヒルデは生きている、ブリュンヒルデは笑っている!

BRÜNNHILDE
ブリュンヒルデ

Zerfall in Staub deine stolze Burg!
ちりとなれ、汝(ヴォータン)の誇らしき城よ!

SIEGFRIED
ジークフリート

Heil dem Tage, der uns umleuchtet!
万歳! おれたちを照らす昼に!

BRÜNNHILDE
ブリュンヒルデ

Leb' wohl, prangende Götterpracht!
さらば、見せかけの神々の華やかさよ!

SIEGFRIED
ジークフリート

Heil der Sonne, die uns bescheint!
万歳! おれたちを照らす太陽に!

BRÜNNHILDE
ブリュンヒルデ

End' in Wonne, du ewig Geschlecht!
歓喜して果てよ、汝(ヴォータン)、永劫の族よ!

SIEGFRIED
ジークフリート

Heil dem Licht, das der Nacht enttaucht!
万歳! 夜から浮かび上がる光に!

BRÜNNHILDE
ブリュンヒルデ

Zerreißt, ihr Nornen, das Runenseil!
引きちぎれ! 汝らノルンよ、ルーネの縄を!

SIEGFRIED
ジークフリート

Heil der Welt, der Brünnhilde lebt!
万歳! ブリュンヒルデが住む世界に!

BRÜNNHILDE
ブリュンヒルデ

Götterdämm'rung, dunkle herauf!
神々の黄昏よ! 暮れよ!

SIEGFRIED
ジークフリート

Sie wacht, sie lebt,
彼女は目覚め、彼女は生きる、

BRÜNNHILDE
ブリュンヒルデ

Nacht der Vernichtung, neble herein!
壊滅の夜よ、霧に包まれよ!

SIEGFRIED
ジークフリート

sie lacht mir entgegen.
彼女はおれに笑顔を見せる。

BRÜNNHILDE
ブリュンヒルデ

Mir strahlt zur Stunde Siegfrieds Stern;
私にはいまや、ジークフリートの星が輝き、

SIEGFRIED
ジークフリート

Prangend strahlt mir Brünnhildes Stern!
Sie ist mir ewig, ist mir immer,
Erb' und Eigen, ein' und all':
おれには、きらびやかに、ブリュンヒルデの星が輝く、
彼女は、おれにとって永遠にして、いつまでも変わらない、
わが遺産にしてわが財産、唯一にしてすべて、

BRÜNNHILDE
ブリュンヒルデ

Er ist mir ewig, ist mir immer,
Erb' und Eigen, ein' und all':
彼は、私にとって永遠にして、いつまでも変わらない、
わが遺産にしてわが財産、唯一にしてすべて、

BEIDE
二人

leuchtende Liebe, lachender Tod!
輝ける愛よ! 笑う死よ!

(Brünnhilde stürzt sich in Siegfrieds Arme)
(ブリュンヒルデは、ジークフリートの腕に飛び込む)

(Der Vorhang fällt.)
(幕が下りる)


・ブーレーズの「ジークフリート第3幕」は良くない(溜息

ブーレーズという人は「ブリュンヒルデが神格(神聖)を失い人格(人間)になる」ことによる「ブリュンヒルデの不安や乙女チックな可愛らしさを表す」クールでデリケートな表現力がないか・・・。ギネス・ジョーンズも良くない。


【参考】

「ジークフリート第3幕」歌詞対訳

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