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2017年3月26日 (日)

シモーネ・ヤングの「ブルックナー:交響曲全集」を総括する

Bruckner_2

Anton Bruckner (1824-1896)
Sämtliche Sinfonien [12 CDs] Box-Set
Simone Young
Philharmoniker Hamburg

Nr. 00 in f-Moll "Studiensinfonie" (1863) WAB 99 / 2013年ライブ録音
Nr. 0 in d-Moll "Nullte" (1869) WAB 100 / 2012年ライブ録音
Nr. 1 in c-Moll "Linzer" (Urfassung 1865/66) WAB 101 / 2010年ライブ録音
Nr. 2 in c-Moll (Urfassung 1872) WAB 102 / 2006年ライブ録音
Nr. 3 in d-Moll (Urfassung 1873) WAB 103 / 2006年ライブ録音
Nr. 4 in Es-Dur "Romantische" (Urfassung 1874) WAB 104 / 2007年ライブ録音
Nr. 5 in B-Dur (1873-1875) WAB 105 / 2015年ライブ録音
Nr. 6 in A-Dur (1881) WAB 106 / 2013年ライブ録音
Nr. 7 in E-Dur (1883) WAB 107 / 2014年ライブ録音
Nr. 8 in c-Moll (Urfassung 1887) WAB 108 / 2008年ライブ録音
Nr. 9 in d-Moll (1887-1894) WAB 109 / 2014年ライブ録音

【録音順に並べる】

Nr. 2 in c-Moll (Urfassung 1872) WAB 102 / 2006年ライブ録音
Nr. 3 in d-Moll (Urfassung 1873) WAB 103 / 2006年ライブ録音
Nr. 4 in Es-Dur "Romantische" (Urfassung 1874) WAB 104 / 2007年ライブ録音
Nr. 8 in c-Moll (Urfassung 1887) WAB 108 / 2008年ライブ録音
Nr. 1 in c-Moll "Linzer" (Urfassung 1865/66) WAB 101 / 2010年ライブ録音
Nr. 0 in d-Moll "Nullte" (1869) WAB 100 / 2012年ライブ録音
Nr. 00 in f-Moll "Studiensinfonie" (1863) WAB 99 / 2013年ライブ録音
Nr. 6 in A-Dur (1881) WAB 106 / 2013年ライブ録音
Nr. 7 in E-Dur (1883) WAB 107 / 2014年ライブ録音
Nr. 9 in d-Moll (1887-1894) WAB 109 / 2014年ライブ録音
Nr. 5 in B-Dur (1873-1875) WAB 105 / 2015年ライブ録音

【総括】

このボックスセットは、決して短期間に録音されたものではない(2006年〜2015年録音)。←ちなみに、ヤングの《指輪》全曲録音は、2008年〜2010年である。この全集は、全曲、初稿版。HMV.co.jp によれば『彼女の待望のシンフォニー初録音は、味な旋律に彩られた隠れ名作のブルックナー交響曲第2番』。すなわち「シモーネ・ヤングの交響曲初録音」は、他でもないブルックナー第2番であった。また、この全集は SACD 盤であるのが魅力。このチクルスは、言わば、シモーネ・ヤング出世作である。

・第00番
「同全集」の第00番から第2番までの4曲を私は連続して聴いたが、意外にも、ヤングの演奏4曲中(第00〜2番)、私は、彼女のこの第00番を、一番気に入った。
第00番は、全曲を通して、なんとなく、おおらかなのが良い(ブルックナー39才頃の作品)。

・第0番
私が「シモーネ・ヤングのブルックナー:交響曲全集」を購入したきっかけ。←そもそも、そのきっかけは、シモーネ・ヤングによるブルックナー:交響曲第0番第1楽章第1主題の遅めのテンポが気に入ったことだった(アマゾンにて試聴)。同第1楽章の第1主題の遅いテンポは、ドスが効いている。そして、この演奏は精密であり大音量で聴くに耐える。また、休止が効いている。

・第1番
この交響曲についてブルックナーは次のように語っている:「これほど自分が大胆で、生意気だったことはことはない。まさしく恋した馬鹿者のように作曲した(作曲家別名曲解説ライブラリー5「ブルックナー」36ページより)←ヤングの演奏は、大胆さや迫力があるのは良い。
しかし、「この交響曲はブルックナーの交響曲様式と呼ばれるものの本質的特徴もすでにみせている(同36ページより)←ヤングの指揮は粗い。精密ではない。

・第2番
第1楽章〜第3楽章は、少し粗いが、終楽章は丹念に演奏してるように聴こえる。ヤングの第2番は、70分を超える長い演奏だが、かろうじて退屈させない。

・第3番
スケールは大きいが、粗いと思う。力不足は否めない。退屈する。

・第4番
まさに、フレッシュ&ニュー。初稿版の良さが生きている。非常に良い。非常に気に入った。演奏時間、約70分。

・第5番
これは必ずしもベスト・名演ではない(終楽章のフィニッシュが美しくない)。
私は、シモーネ・ヤングの「ブルックナー:交響曲」について、これまで、何度も、同じことを指摘してきたが、ここでも同じことを指摘しなければならない:彼女はしたたかだ。そして、彼女のしたたかさ&クールさが、良くも悪くも大人しい(同曲)第2、3楽章の弱さをさらけ出すのかも知れない。

ベートーヴェンの《第九交響曲》終楽章の「回想」&「2重フーガ」は同交響曲の第1〜3楽章を止揚するが、一方、シモーネ・ヤングが指揮するブルックナー5番終楽章の「回想」&「2重フーガ」は《第1楽章、および、良くも悪くもフツーな第2、3楽章》を止揚しない。とは言え、ヤングが指揮したブルックナー:第5番終楽章の大団円はこの「彼女の演奏会(彼女のライブ)」に居合わせた聴衆の「居眠り」を、たたき起すに十分な大音量(!)

・第6番
第2楽章が良い。
彼女の指揮する第2楽章の、おそらく展開部(8分19秒の休止から10分00秒あたりまで)のエクスタシーが美しい。さらに、その後の、第2楽章第2主題の再現も美しい。ただし、この第6交響曲第4楽章は、シモーネ・ヤングのスキルをもってしても、ブルックナーの言いたいことは、私には分からなかった。

・第7番
ヤングのブル7は、解釈、引出しの多さ(表現の多様性)、安定感、美において、ティーレマン盤より格下。

・第8番
「シモーネ・ヤングは第4楽章の大団円にて第1楽章の第1主題が再現されるところをもう少し思い入れたっぷりに演奏していてくれたら彼女のブル8は完璧」と思っていたが、改めて、彼女のブル8を聴いてみたら、上記の点も含めてベストだった。

・第9番
ブルックナーの第9番は複雑な作品であり私は苦手。だが、あえて言えば、ヤングの第9は重いか。はっきり言って、彼女の第3楽章は少し退屈する・・・と思ったが、同楽章の最後の4分あたりの盛り上がりは良かった。やっぱり、ブルックナーの交響曲は、最後まで聴かないと分からない。
演奏時間 24:32+11:50+22:36=58:58

Bruckner_9

ブルックナー:第9番第3楽章(作曲家別名曲解説ライブラリー5「ブルックナー」119ページより)

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