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2016年6月13日 (月)

オットー・フリードリック著「グレン・グールドの生涯」に書いてある、私の好きな逸話など(1)ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第1番 ハ長調 Op.15

Gould_friedrich

オットー・フリードリック著「グレン・グールドの生涯」


グールドの監禁状態をさらによいものにすることができたであろう唯一のこととは、外の世界を賞讃する感覚だった。しかし、その感覚も、最新の録音、つまりベートーヴェンの第一協奏曲のきらめくような演奏のレコードのおかげで知ることができたのである。このレコードでグールドは自作のかなり重厚な対位法的なカデンツァを弾いていた。「ここ二日間というもの、私は有頂天になりっぱなしです。送られてきた、私たちのベートーヴェンの第一番を聴いているのです」と彼は、オーケストラの伴奏をしてくれた指揮者のヴラディミール・ゴルシュマン(一八九三〜一九七二)に手紙をしたためた。「もうすでにお聴きになっていて、私と同様、これに誇りを抱いていらっしゃるとよいのですが。この演奏には最初から最後に到るまで、真の生きる喜び(ジョワ・ドゥ・ヴィヴル)があります」(一九五八年十一月)。そしてそれから、素敵な光景がホテルで生まれた。グールドが病室(グールドは当時、ハンブルクで療養中であった。ブログ開設者より)でこのベートーヴェンの協奏曲の新しいレコードをかけていたら、部屋のメイドが耳を澄ませて立ち止まったのである。「メイドは戸口に足を踏み入れたまま、モップを両手に持って立っています。プレーヤーからから聞こえてくる第一楽章のカデンツァに釘づけになっているのです。--- 今終わりました。彼女はお辞儀をしたたけで、隣の部屋へ行ってしまいました。」(「グレン・グールドの生涯」138ページより)

そのメイドさんが、クラシック音楽の愛好者であったかどうかは定かではない。が、とにかく、グールド自作のカデンツァ(ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番)は(もしかしたらクラシック音楽をほとんど聴かない)そのメイドさんに気に入られた。

>>今終わりました。彼女はお辞儀をしたたけで、隣の部屋へ行ってしまいました。

グールドにとって、100人の音楽批評家がグールドの演奏を「良い」と評価するよりも、そのメイドさん反応のほうがよっぽど喜ばしく嬉しかったに違いない。

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