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2016年4月 3日 (日)

トマ・ピケティ著「21世紀の資本」を読んで(11)この世から、タックス・ヘイヴンがなくなっても、お金持ちたちは、屁とも思わないだろう/なぜなら、生涯一日たりとも働いたことがなくても世界一のお金持ちになった、リリアンヌ・ベタンクール(1922生、世界最大の化粧品会社ロレアルの創業者の娘)のような世襲(相続)によるお金持ちの存在自体、今日の相続税は貧富の格差を是正させる機能が機能してない証拠じゃないかな(?)/【メモ】 “パナマ文書”問題

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Piketty

21世紀の資本 単行本 - 2014/12/9
トマ・ピケティ

資産ランキングに見る相続人たちと起業家たち

 『フォーブス』ランキングの最も印象的な教訓のひとつは、ある閾値を超えると巨額の財産は総じて、それが相続財産であろうと起業的な由来のものであろうと、所有者が働いていようといなかろうと無関係に、成長率がきわめて高いことだ。たしかに、これらのデータから下せる結論の正確さを過大評価しないほうがいい。これらのデータは少数の観測をもとにしており、やや杜撰で断片的なやり方で集められているのだから。それでもこの事実は興味深い。
 特にわかりやすい例として、世界的な富の階層のてっぺんを見てみよう。1990−2010年はビル・ゲイツ --- OSの世界的リーダーであるマイクロソフト社の創業者 --- で、起業による富を体現する人物だ。かれは10年以上『フォーブス』ランキングの第1位に君臨したが、その財産は40億ドルから500億ドルに増加している。一方、リリアンヌ・ベタンクール(Liliane Bettencourt、1922年10月21日 - )は化粧品の世界的リーダー、ロレアルの創業者であるウージェンヌ・シュエレールの女性相続人だ。シュエレールは1907年にさまざまな髪染めを開発し、セザール・ビロトー(当ブログ開設者の注:バルザック「人間喜劇」の登場人物)が1世紀前に香水で儲けたのを彷彿とさせる成功をおさめた。ベタンクールの財産は、20億ドルから250億ドルに増加している(こちらも『フォーブス』より)。どちらの財産(当ブログ開設者の注:すなわち、ビル・ゲイツの財産は40億ドルから500億ドルに増加、ベタンクールの財産は20億ドルから250億ドルに増加)も、1990−2010年の年間成長率は13パーセント超で、インフレ調整後の実質資本収益は10、11パーセント相当だ。
 つまりリリアンヌ・ベタンクール(生涯に一日たりとも働いたことはない)は、ハイテク分野のパイオニアであるビル・ゲイツ並みの勢いで財産を増やしたのだ(ちなみにビル・ゲイツの財産は、かれの引退後も同じ勢いで増え続けている)。ひとたび築かれた財産は、資本の動学にしたがって増加して、ただその規模ゆえに、数十年にわたって急速度で増加を続けられる。特に、財産の規模がある閾値を超えると、ポートフォリオとリスク管理における規模の経済によって、規模効果が強まることに注目。資本所得のほぼすべてを再投資にまわせるからだ。この水準の財産を持つ人たちは、毎年その資本の0.2−0.3パーセントに等しい額で、たやすく豊かな生活を送ることができるし、所得のほぼすべてを再投資できる。これは基本的だが重要な経済メカニズムで、長期的な蓄積の動学と富の分配にめざましい結末をもたらす。お金は、自分を再生産する傾向がある。この厳しい現実をバルザックは見逃さなかった。かれはパスタづくりを生業とする自作登場人物の抑えがたい台頭を、次のように表現している。「市民ゴリオが貯め込んだ資本は、巨額のお金がその持ち主に与えてくれる優位性のすべてをもって後に事業を行えるだけのものだった」(←意味が分からん。←2016−4−4。当ブログ開設者による追加)
(「21世紀の資本」456ページより)

>どちらの財産(当ブログ開設者の注:すなわち、ビル・ゲイツの財産は40億ドルから500億ドルに増加、ベタンクールの財産は20億ドルから250億ドルに増加)も、1990−2010年の年間成長率は13パーセント超で、インフレ調整後の実質資本収益は10、11パーセント相当だ。
> つまりリリアンヌ・ベタンクール(生涯一日たりとも働いたことはない)は、ハイテク分野のパイオニアであるビル・ゲイツ並みの勢いで財産を増やしたのだ。ひとたび築かれた財産は、資本の動学にしたがって増加して、ただその規模ゆえに、数十年にわたって急速度で増加を続けられる。

【当ブログの開設者より】

 金持ちどもは、相続税で財産を持って行かれないようにタックス・ヘイヴンにお金を隠さなくても《お金持ちであり続けられるだろう》。例えば、私が、20円の財産を相続し、相続税14円(70%)持って行かれても、残りの6円は、20年後に(生涯に一日たりとも働いたことなくても)約6.73倍(1.1の20乗は6.73)、つまり、資産6円が40.38円になる

(10年後だと、1.1の10乗は2.59であり、6円×2.59=15.54円。資産6円が15.54円になる。←ただし、親が死んで我が子に遺産を残したあと、その子の平均余命は20年ぐらいあるだろう・・・だから、その子は10年以上生きるだろう:おのれの富を誰にも相続させることなく・・・)。

それが、世襲されれば、金持ちどもは、相続税70%を払っても、ますます、富を増やせる。
相続税70%は、貧富の格差を縮めるのに、役に立たないだろうし、また、この世から、タックス・ヘイヴンがなくなっても、お金持ちたちは、屁とも思わないだろう。
 リリアンヌ・ベタンクールは、相続税を脱税するために、タックス・ヘイヴンを悪用したかも知れないし、または、しなかったかも知れない。
 これは余談だが、私がベタンクールだったら、タックス・ヘイヴンを悪用して脱税するより、きちんと相続税を払うだろう。←あとになって、脱税容疑で逮捕されたくないし、あとになって、本税+加算税+延滞税、払うのはきついし・・・(え〜っと、あの〜、話は前後しますが、そもそも今は世界的に相続税を安くする傾向にあるのでは・・・)。

【2016−4−4 追加】

考えてみたら、そもそも、生涯一日たりとも働いたことがなくても世界一のお金持ちになった、リリアンヌ・ベタンクール(1922生、世界最大の化粧品会社ロレアルの創業者の娘)のような世襲(相続)によるお金持ちの存在自体、今日の相続税は貧富の格差を是正させる機能が機能してない証拠じゃないかな(?)
 

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【2016−6−3 追加】

「タックスヘイブンはもう古い」と金融のプロはせせら笑った 租税回避とマネーロンダリングの主流はいま…

(前略)
マネロンで典型的な手口は、例えば計画倒産だという。日本で得た犯罪収益を海外の国に移転する際、対象国に工場を設立したことにして、そこに投資として資金を移動。工場の操業がうまくいかなかったとして、倒産させ、残った資金を外部に環流させれば、できあがりというわけだ。

 他にも直接関係しない第三者を通じて資金をやり取りするなどやり方はいくらでもあるといい、「タックスヘイブンの会社を何社も通せば隠せるという時代は大昔に終わった」とベテラン金融関係者はいう。
(後略)

(2016.5.16 08:00 産経ニュースより)

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【関連記事】

トマ・ピケティ著「21世紀の資本」を読んで(4)相続税/富裕税/相続税・贈与税とタックス・ヘイブン

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【メモ】

“パナマ文書”問題

(下に続く)

(上の続き)

エリートの資産隠し暴いたパナマ文書 ピケティ氏が警鐘

 タックスヘイブン(租税回避地)や金融の不透明さに関わる問題が、何年も前から新聞の1面をにぎわしている。この問題に対する各国政府の声明は自信に満ちたものだ。だが、残念ながらその行動の実態とはかけ離れている。ルクセンブルク当局が多国籍企業の租税回避を手助けしていたことが暴露された2014年のルクセンブルク・リークで、多国籍企業が子会社を利用して欧州にほとんど税を納めていないことが明るみに出た。16年の「パナマ文書」が明らかにしたことが何かというと、先進国と発展途上国の政治・金融エリートたちが行う資産隠しの規模がどれほどのものかということだ。ジャーナリストが自らの任務を果たしているのは喜ばしい。一方で、政府が果たしていないのが問題なのだ。08年の金融危機以来、何もなされてこなかった。ある面では事態は悪化してしまっている。

 順を追って見ていこう。欧州では税の引き下げ競争の結果、大企業の利益に対する課税の税率がこれまでにないレベルになった。例えば英国は課税率を17%まで引き下げようとしている。主要国では先例のない水準だ。しかもバージン諸島や王室属領にある他のタックスヘイブンを保護したままである。何もしなければ最終的にどの国もアイルランドの課税率12%に並ぶだろう。0%になることもありうるし、投資に対する補助金まで出すはめになるかもしれない。そんなケースがすでに見られている。

 一方米国では利益に対して連邦税が課され、税率は35%だ(さらに5〜10%の州税がかかる)。欧州が民間の利権に振り回されるのは、欧州は政治的に細分化されており、強力な公権力が存在しないからなのだ。この袋小路から抜けだすことは可能だ。ユーロ圏のGDP(国内総生産)と人口で75%以上を占めるフランス、ドイツ、イタリア、スペインの4カ国が民主主義と税の公平性に基づいた新条約を結び、大企業への共通法人税という実効性のある政策を取れば他国もそれにならうほかなくなるはずだ。そうしなければ世論が長年求めてきた透明性の確保につながらず、しっぺ返しをうけることになるかもしれない。

 タックスヘイブンに置かれている個人資産は不透明性が非常に高い。08年以降、世界のあちこちで巨額の財産が経済規模を上回る速度で成長し続けた。その原因の一端は、他の人々よりも払う税が少なくてすんだことにある。フランスでは13年、予算相がスイスに隠し口座は持っていないとうそぶき、省内でその事実が発覚する懸念はなかった。ここでもまた、ジャーナリストたちが真実を明らかにしたのだった。

 スイスは、各国間で金融資産情報を自動的に交換することに公式に同意した。パナマは拒否しているが、この情報交換で将来的に問題が解決されると考えられている。だが、情報交換は18年になってようやく始まることになっているのに加え、財団などの保有株には適用されないといった例外まで設けられている。しかもペナルティーは一切設定されていない。つまり、私たちは「お行儀よくしてください」と頼めば、各国が自発的に問題を解決してくれる、そんな幻想の中にいまだに生きているのだ。厳格なルールを順守しない国には、重い貿易制裁と金融制裁を科すということを実行に移さなければならない。ここではっきりさせておこう。どんなわずかな違反に対しても、その都度こうした制裁を繰り返し適用していくのだ。もちろんその中にはフランスの親愛なる隣国スイスやルクセンブルクの違反も含まれるだろうが。こうした繰り返しがシステムの信頼性を確立し、何十年にもわたって罰を免れてきたことで生み出された、透明性が欠如した雰囲気から抜け出すことを可能にするだろう。

 同時に、金融資産を統一的な台帳に登録するようにしなければならない。欧州のクリアストリームや米国の証券預託機関(DTC)などといった金融市場で決済機能を果たす機関を、公的機関が管理できるようにする。こうした仕組みを支えるため、共通の登録料を課すことも考えられる。得られた収入は、気候対策などの世界全体に関わる公益の財源にあてることもできよう。

 疑問がまだひとつ残っている。不透明な金融と闘うために、各国政府は08年からずっとほとんど何もしてこなかった。なぜなのか。簡単に言えば、自ら行動する必要はないという幻想の中にいたからだ。中央銀行が十分な貨幣を発行することで、金融システムの完全な崩壊を免れ、世界を存亡の危機に追いやる過ちを避けることができた。その結果、たしかに景気後退の広がりを抑えることはできた。しかしその過程で、必要不可欠だった構造改革、行政改革、税制改革をせずにすませてしまった。公的セクターと民間とが持っている金融資産は全体で、国内総生産(GDP)のおよそ1千%、英国では2千%にあたる。それに比べれば、主要中央銀行の金融資産の規模は、GDPの10%から25%に上がったとはいえ小さいままで、必要が生じれば、より増やすことができる水準であることは安心材料だろう。

 しかしここからわかるのは、とりわけ民間部門のバランスシートが膨張し続けていることと、システム全体が極めて脆弱(ぜいじゃく)であるということなのだ。願わくば「パナマ文書」の教訓に世界が耳をかたむけ、いよいよ金融の不透明さに立ち向かわんことを。新たな危機を招かぬうちに。

(〈C〉Le Monde,2016)

(仏ルモンド紙、2016年4月10-11日付、抄訳)

(2016年4月20日05時02分 朝日新聞デジタルより)

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モディリアーニの不明絵画 パナマ文書から突き止め押収

Modigliani
(C) NHK

租税回避地、いわゆるタックスヘイブンとされる国の1つ、パナマの法律事務所から文書が流出した問題で、スイスの検察当局は文書を基に、行方が分からなくなっていたイタリアの画家モディリアーニの作品の在りかを突き止めて押収し、作品を巡る不透明な資金の流れについて解明を進めています。

この問題は、タックスヘイブンとされる国の1つ、パナマの法律事務所の文書が流出し、各国の首脳などがパナマの企業を通じて金融取り引きを行っていたことが明らかになったものです。
スイスのメディアなどによりますと、スイスの検察当局は先週、文書から、この法律事務所が設立した企業のオーナーがイタリアの画家モディリアーニの作品を実質的に所有し、ジュネーブの倉庫に保管していることを突き止めて押収したということです。
押収された作品は少なくとも2500万ドル(およそ27億円)の価値があるとみられ、1996年にロンドンで競売にかけられて落札されましたが、その後、所有者や行方が分からなくなっていました。
検察当局は、美術品を巡る不透明な資金の流れの解明を進めています。
(2016年4月12日 19時00分 NHK オンラインより)

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パナマ文書巡り仏当局が大手銀行を家宅捜索

租税回避地、いわゆるタックスヘイブンとされる国の1つ、パナマの法律事務所から文書が流出した問題で、フランスの捜査当局が12日までに、脱税などの疑いで大手銀行ソシエテ・ジェネラルを家宅捜索して関連資料を押収したことが明らかになり、各国で文書を巡る捜査が進められています。

この問題は、タックスヘイブンとされる国の1つ、パナマの法律事務所の文書が流出し、各国の首脳などがパナマの企業を通じて金融取引を行っていたことが明らかになったものです。
大手銀行ソシエテ・ジェネラルは、この文書に関連して、12日までにフランスの捜査当局の家宅捜索を受けて、関連資料が押収されたことを明らかにしました。
流出した文書を分析しているフランスの新聞、ル・モンドはこの銀行がパナマの法律事務所の主要な顧客の1つで、この法律事務所を通じて979に上る企業を、海外に設立していたと指摘しています。
これについて、議会上院の財務委員長は12日に銀行のウデアCEO=最高経営責任者を呼んで説明を求めたあと、AFP通信に対して、ことし5月初めに委員会で公聴会を開き、脱税などの不正がなかったか改めて追及する考えを明らかにしました。
これに対して、ウデアCEOは「すべて誠実に答えた。パナマ文書に関して納得できる説明ができたはずだ」と述べ、不正は行っていないと改めて強調しました。
(2016年4月12日 20時44分 NHK オンラインより)

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NHK BS1 ワールドウォッチング 徹底分析 “タックスヘイブン問題”

先週、世界中のメディアが大きく伝えた「パナマ文書」。
課税が免除、もしくは軽減される国や地域、いわゆる「タックスヘイブン」が舞台となった今回のスキャンダルに、多くの国の首脳らが関わっていると指摘しています。
タックスヘイブン自体は違法ではないものの、一般的には資産隠しとも見なされており、税金の徴収を監督する立場の各国首脳らには、道義上の責任が厳しく追及されています。

辞任に追い込まれたアイスランドのグンロイグソン首相。

習近平国家主席を含む最高指導部3人の親族の名前が挙がった中国では、「パナマ文書」の報道に厳しい規制を敷いています。

中国 洪磊報道官
「雲をつかむような話にはコメントしない。」

イギリスのキャメロン首相は、あくまでも過去の話だと強調。

イギリス キャメロン首相
「首相になるにあたって、株式は全て売却した。」

特集「ワールドEYES(アイ)」、けさは、パナマ文書をきっかけに世界が注目するタックスヘイブンの実態と今後のあり方について考えます。

「パナマ文書」 広がる波紋

山澤
「特集『ワールドEYES』。
けさは、スタジオにゲストをお招きしています。
公認会計士で、早稲田大学大学院教授の西山茂さんです。
先週、中米・パナマの法律事務所から流出した内部文書のデータから、各国の首脳や著名人の『隠れた資産運用』が明らかになり、大きな反響を呼んでいますが、このパナマ文書の流出、西山さんどうご覧になりましたか?」

早稲田大学大学院 教授 西山茂さん
「1970年代からほぼ現代、今の時点まで含めまして、かなり多くの公人の皆さん、また著名人の皆さんの情報が出てきたということについては、かなりインパクトが大きい出来事ではないかなと思っております。
また、以前から私も実務をやっていたものですから、タックスヘイブンを利用した資産運用はあるということはお伺いしてましたけれども、改めてその実態が明らかになったなと実感していますし、また、これをきっかけに、タックスヘイブンに対する規制がかなり強まってくる可能性もあるのではないかと感じています。」

山澤
「そもそもタックスヘイブンとは、どのようなものなのでしょうか。
丹野さんに説明してもらいます。」

丹野
「タックスヘイブンとは、文字どおり『租税を回避するための場所』のことで、所得に対し税金を掛けないか、掛けても、税率が極端に低い国や地域をいいます。

その特徴はこちらです。
本来、ある国で経済活動を行うと所得に見合った税金が課せられますが、タックスヘイブンに資金を移動させることで、本国での課税を技術的に回避するものです。
この行為自体は『脱税』とは異なり、違法とはされていません。

その国や地域がタックスヘイブンだとみなされる定義として、OECD=経済協力開発機構はこちらの3点を挙げています。
『厳格な秘密保護法の下、ほかの国と企業情報や資金の流れなどの情報交換をしない』。
『税制や税の管理監督に透明性がない』。
『設立された企業、誘致した投資などに実質的な活動を求めない』。
これは、ペーパーカンパニーや架空の投資などを指しています。

この定義に基づき、OECDは2009年、こちらのように、世界28か所がタックスヘイブンだとしています。」

タックスヘイブン 広がりの理由

山澤
「今の説明ですと、『タックスヘイブンは違法ではない』ということでしたけれども、なぜここまで世界各地に広まったのでしょうか?」

早稲田大学大学院 教授 西山茂さん
「まず税金が非常に優遇されている地域に会社を作って、また、資産運用するということ自体は、経済的には非常に合理的な行動と言うことができると思います。
また、特に企業などの場合は、私の以前の経験の中でも、欧米の企業は税金をコストの一部と考える傾向がかなり強くなっていまして、もうけをできるだけ増やしたい、また、株主も『もうけを増やして頂きたい』という要請をしますけれど、その中で『税金を減らす』ということについては、ある意味、株主も認めているということだと思いますし、また、経営陣の皆さんももうけを上げるという一環の中で、やはり税金を減らしていこうと、そういう行動をしてきたところはあるかなと思います。
それから投資ファンドなんかにつきましても、結局、運用資金というのは年金などからくるということでございまして、一般の皆さんは年金の価値を増やすということで、やはり税金の節約も1つのポイントだと、それを含んできたという傾向もあるかなと思います。
その延長上に個人の方の、そういう地域を使った『節税』ということが出てくるんだと思います。」

タックスヘイブン その起源は

山澤
「企業からすると非常に合理的な仕組みだということなんですが、この仕組みはどのようにして作られたものなんでしょうか?」

早稲田大学大学院 教授 西山茂さん
「地域としては、先ほどもちょっと出ておりましたけれども、全世界にタックスヘイブンは広がっておりますが、中でもイギリス領、しかもカリブ海の地域のところが結構多くなっているんです。
この辺の地域というのは、もともとイギリスと接点があった地域ということで、そこに『シティ』をはじめとする地域から資産が移転していったということだと思うんですが、イギリスというのは結局、イギリスが経済的に徐々に弱体化するという背景の中でなかなか支援ができない、そういう地域であった。
そしてその地域があまり豊かではなくて、何とか産業振興したいということで、そちらのほうにシフトしていったということが背景にあると思うんですね。
また同時に、イギリス領ということであれば、『イギリス法』がある程度ベースでございますから、先進国からすると非常に信頼度も高いということで、そこに金融、あるいは法律の専門家に入って頂いて、アドバイスを頂きながら、使いやすい会社法であるとか、非常に優遇された税制であるとか、秘匿性が加わって発展してきたというのがあるのかなと思います。」

タックスヘイブン 常識を超える実態

山澤
「今のお話ですと、タックスヘイブンは小国の、いわば産業の1つとして広がっていったというお話だったと思うんですが、このタックスヘイブンの1つ、ケイマン諸島に西山さんは行かれたことがあるそうですね?」

早稲田大学大学院 教授 西山茂さん
「たまたま2014年の9月、1年半ほど前ですけれども、調査研究ということで現地へ行って参りました。

そのときの印象なんですが、その地域の人口は5万人くらいということで、3つの島があるんですけれども、広さは全体でも東京23区の半分弱くらいの地域なんですが、いわゆる高層ビルがあるような金融街ということではなく、きれいではありますけれども、『こじんまりとした島』というイメージです。
そのときも、金融機関や会計事務所をまわらせて頂いたんですが、そこにいらっしゃる専門家のみなさんは、海外から来た白人の方が圧倒的に多いと。

中でも、こんなにいらっしゃるのかと思ったんですが、5万人くらいの人口の中で、公認会計士の方が約1,000名弱、それから弁護士の方が700名弱ということで、日本に比べても、ものすごく比率が多くなっているという感じですね。
人口1人あたりということで言うと、かなり多くの方がいらっしゃるということです。

また同時に税制についても、タックスヘイブンですから、所得税・法人税、株の売買からくる『キャピタルゲイン』、これも税金はゼロということになっています。
ただそうしますと、どうやって国を運営しているのかということに関心があったんですが、『間接税』と言われている、例えば関税であるとか、あるいは宿泊・観光のための税金であるとか、自動車税、あるいは会社が存在することによって手数料をとったり、金融の関係での手数料をとったり、また海外から来る弁護士・会計士なんかを含めた労働者の方からまた手数料をとると。
こういうことで運営をしているということで、またその合計の歳入金額が、日本円で言うと、当時のレートでいうと大体900億円くらいはあると。
1人あたまでも日本に比べると約4倍、地方税まで入れても、おそらく2倍くらいの規模の歳入は得ていると思います。
結構豊かな国ということになっているかなと思います。」

タックスヘイブン 議論の焦点は

山澤
「タックスヘイブン、違法ではないにせよ活動の実態がないペーパーカンパニーができたり、またその企業の基本情報が公開されないといった問題点が指摘されています。
このタックスヘイブンに関する今後の議論の焦点は、どこにあると思いますか?」

早稲田大学大学院 教授 西山茂さん
「やっぱり今の公人の方のペーパーカンパニーの話が出てきておりますけれども、公人の方がそういったところに、そういうものをお作りになることについての道義的問題があるかなと感じております。
また一方、企業や投資ファンドがそこで節税をするということについては、結果、見返りというのが多くの皆さんに返っていくということでいうと、一概にダメということも言い切れないのかなということだと思いますけれども、ただ一方で、欧州をはじめとした各国が税収の問題ではかなり課題を抱えておりますので、それを含めて改めて情報公開、あるいはまた国の間の情報公開をしっかりすると同時に、特に公人の方なんかにつきましては、どんな資産状況になっているのかについての情報がしっかりしていくと、こういった流れができてくるのではないかと感じております。」

山澤
「今後、規制強化が進んでいくとすれば、課題は何でしょうか?」

早稲田大学大学院 教授 西山茂さん
「タックスヘイブンはすぐなくならないということだと思いますけれども、各国でしっかり公平な課税をしていくということが重要だと思いますし、タックスヘイブンのほうでも、それに対してしっかり受け止めて改めて透明度を上げていく、また一方で、金融サービス業以外でしっかりとした財政を固めていくような方向を考えていく必要もあるのではないかなと感じております。」
(2016年4月11日 NHK オンラインより)

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NHK NEWS WEB「パナマ文書」何を明らかに

今、世界で大きな話題となっている「パナマ文書」。中米パナマにある法律事務所から流出した膨大な顧客データのことです。この「パナマ文書」をもとにした調査報道が、世界各国の首脳や著名人の「隠れた資産」を次々と指摘しています。
北欧アイスランドで首相が辞任に追い込まれるなど、各国の政治にも影響が出ていて、来月、G7の首脳が集まる「伊勢志摩サミット」でも議題に上がるといわれています。
この「パナマ文書」について、国際部の小原健右デスクが解説します。

パナマ文書とは

「史上最大の流出だ」。

今月3日、CIA=中央情報局のエドワード・スノーデン元職員が自身のツイッターで、そうつぶやきました。

アメリカの情報機関による大量の個人情報の収集を告発し、世界を震撼(しんかん)させたスノーデン氏をして、ジャーナリズムがこれまで扱ったデータの中でも類を見ないほど膨大で、汚職と腐敗を暴くものだと言わしめた「パナマ文書」。

最初に入手したのは、南ドイツ新聞に勤める2人の記者でした。

2人はおよそ1年前、ある人物から「見せたい情報がある。関心はあるか」との連絡を受けました。

数か月に及ぶやり取りの結果、分量にして2.6テラバイト、ファイルにすると1150万件という、実に膨大な量のデータを入手することになりました。

データは中米パナマにある法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出したものでした。

会計書類や電子メール、パスポートの写しなどのほか、会話を録音した音声ファイルなど、1977年から去年までの40年近くの活動を赤裸々に記録していました。

データは200の国と地域、21万4000の企業に及び、南ドイツ新聞は、世界各国の記者で作る団体、ICIJ=「国際調査報道ジャーナリスト連合」と連携して分析に乗り出したのです。

疑惑の「モサック・フォンセカ」

データが流出した法律事務所「モサック・フォンセカ」は、大きな資産がある個人や団体、それに企業の間では、世界的に有名な法律事務所とされています。租税の回避、すなわち、支払う税金の額をできるだけ少なくする方法を教えてくれるからです。

世界には、所得にかかる税率などが著しく低い国や地域があります。いわゆる「タックスヘイブン=租税回避地」と呼ばれるところです。

この法律事務所は、顧客にとって最も税金がかからない国や地域などを選び出し、そこに企業などをつくるのを手助けしていたといいます。

「パナマ文書」の流出前から、ブラジルの捜査当局などは、この事務所がマネーロンダリングといった不正な手法で得られた資金を隠すことに加担しているのではないかという疑惑を指摘してきました。

疑惑に対して、「モサック・フォンセカ」は、不正は一切無いと、一貫して主張してきました。

しかし、今回流出した「パナマ文書」は、その主張に強い疑問を抱かせるものです。

次々と明らかになる「首脳」の疑惑

ICIJによりますと、「パナマ文書」には、アメリカがテロや麻薬取引などに関わる犯罪組織との関連が疑われるとしてブラックリストに指定した、少なくとも33の人物や団体の名前が含まれていました。

また、ICIJのメンバーとして調査に関わったイギリスのガーディアン紙は、北朝鮮の核兵器開発に関わる不正送金に関与した疑いで、先月、国連が制裁対象に指定した銀行が、この法律事務所の手助けを得てタックスヘイブンに企業を設けていたと指摘しています。

そして、最も大きな衝撃をもたらしたのが、世界各国の首脳や政府関係者などに関わる「隠れた資産運用」の詳細です。

皮切りとなったのは、北欧アイスランドの首相の「隠れた資産」です。

ICIJによりますと、グンロイグソン首相は2007年、タックスヘイブンとされるイギリス領のバージン諸島に、夫婦で購入した会社を通じて、自国の3つの銀行の債券に日本円で数億円の投資をしていました。しかし、この事実は、これまで公表されていませんでした。

アイスランドは、2008年のリーマンショックの影響で財政が破綻し、グンロイグソン首相が投資をしていた3つの銀行も破綻しました。問題とされたのは、首相が投資の事実を隠しながら、これらの銀行の債務処理に当たっていたことでした。国民からの批判の声の高まりでグンロイグソン首相は7日、辞任しました。

中国の指導層に近い人物たちの関わりも明らかになりました。

ICIJによりますと、習近平国家主席の姉の夫をはじめ、中国共産党で序列5位の劉雲山政治局常務委員の親族、それに序列7位の張高麗副首相の親族が、それぞれイギリス領バージン諸島の企業の株主になっていたとされています。

さらに、ロシアのプーチン大統領に関する疑惑も指摘されました。

ICIJは、大統領の古くからの友人とされる音楽家がいわゆるタックスヘイブンにある複数の企業に関わっていて、これらの企業がおよそ2200億円の資産を運用していたとしています。

運用は複数の企業の間で頻繁に行われていて、その複雑な企業ネットワークの構築には、プーチン大統領と関係が深いとされる「ロシア銀行」が関わったとしています。

ICIJは、この銀行について、アメリカが「まるで大統領の個人口座だ」と指摘していたことも挙げています。

ただ、ICIJは、ここで紹介した中国、そしてロシアの首脳について、企業を直接所有していたことなどを示す記載はないとし、資産の運用に違法性があるかどうかについても詳しく言及していません。

このほか、サウジアラビアのサルマン国王、シリアのアサド大統領、イギリスのキャメロン首相、そしてウクライナのポロシェンコ大統領もタックスヘイブンにある企業との関わりを指摘されています。
何が悪いのか

タックスヘイブンを活用して資産を運用することは、関係する国や地域の法律や規制、それにルールを守るかぎり、問題ないという主張もあります。

「モサック・フォンセカ」は、複数の国にまたがる企業どうしが合併するときや、各国の投資家から資金を集めるときなど、より効率的で競争力のある経済活動を行う必要がある場合、租税を回避できる国に関連の企業を設立することは合法的な活動だと反論しています。

しかし、ICIJが問題としているのは、こうしたタックスヘイブンを使って行われているマネーの流れが想像もできないほど巨額であるにもかかわらず、顧客のプライバシーなどを理由に、世界の一般の市民にはほとんど公表されていないことです。

NHKのインタビューに答えたICIJの担当者は「ガラス張りにすることが重要だ。政治家がなぜ会社を保有して外国に登録するのか。その会社がなぜ多額の資産を持っているのか。市民が聞きたいと思うのは当然だ」と指摘しています。

タックスヘイブンを使っていること自体を直ちに犯罪だとしているわけではなく、なぜ使っているのかを明らかにし、それに問題はないのかを問うのが目的だというのです。

注目は日本、そして各国の動き

ICIJの担当者は「世界各地で今も記者たちが新しい事実を掘り起こしている。今後、数か月にわたって文書をめぐる報道が続くだろう」と述べています。

気になるのは、やはり日本です。

調査に関わった報道機関などによりますと、「パナマ文書」には、日本国内を住所とするおよそ400の人や企業の情報が含まれているということです。

今回の流出と一連の調査報道を受けて、すでに各国は動き出しています。

問題の中心にあるパナマでは、バレーラ大統領が、海外の専門家などで作る独立した委員会を設置して、国内で行われている金融取引の実態を調査する考えを明らかにしました。

EU=ヨーロッパ連合は、加盟28か国共通のタックスヘイブンのブラックリストを作成し、不正が見つかった場合は厳格な制裁を科す制度の設立を目指すことになりました。

メキシコの税務当局は、パナマ文書で明らかになった国内の33人について、申告に問題がなかったか調査するとしています。

世界各国のジャーナリストが結集して発揮した調査報道の力が、隠れた巨額のマネーの流れに透明性を確保するのか。目を離せない状況が続きます。(2016年4月9日 0時55分 NHK オンラインより)

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NHK 解説アーカイブス「『パナマ文書』"パンドラの箱"の中身は?」(ここに注目!)/髙橋 祐介 解説委員

中米パナマにある法律事務所から内部文書が流出し、各国の政治家やその関係者それに大企業などによる不透明な金融取引をめぐる疑惑が明るみに出て、波紋を広げています。

Q:いわゆる“パナマ文書”と呼ばれる問題の影響は?

A:インパクトは絶大です。パナマのように、法人税がまったくない、あるいは税率が極端に低い国や地域のことを“タックスヘイブン=租税回避地”と言います。そこに世界じゅうの大富豪や大企業が、実態のない会社を設けることで、資産を隠したり、利益や損失を飛ばしたり、“マネーロンダリング”を行ったりしているのではないか?そうした疑惑は、これまでにも半ば公然と囁かれてきましたが、真相は“秘密のベール”に覆われていました。ところが、今回そうした取引を手助けする法律事務所から、過去40年分の顧客をめぐる膨大な文書が、何者かによってメディアに持ち込まれたからさぁ大変!
いわば“パンドラの箱”の蓋が開いたのです。たちまち“疑惑の煙”がもくもく噴き上がり、すでに北欧アイスランドの首相は、疑惑発覚からわずか2日後、世論の厳しい批判を浴びて辞任に追い込まれてしまいました。

Q:すると煙の出所となった箱の中味が気になりますね?

A:欧米各国の税務当局も重大な関心を寄せています。しかし、名前が挙げられた関係者や企業は一様に、疑惑を真っ向から否定しています。中には、このニュースをインターネット上で遮断して、疑惑そのものに耳を塞いでいる国もあるのです。
と言うのも、海外に資産を移すこと自体は、日本も含めて大半の国々で“違法”ではありません。ただ、課税の網の抜け穴を利用した“脱法行為”と批判されているのです。
しかも、こうした世界のタックスヘイブンで保有されている金融資産は、少なく見積もっても日本円で2300兆円に上るという試算もあります。巨額の資産が課税を逃れることで、財政上のしわ寄せを受けるのは一般市民です。この問題は、貧富の格差とも密接に絡むのです。公平で公正な税負担を徹底するためにも、国際的な規制強化が欠かせません。

Q:今後どれぐらい影響は広がりそう?

A:実は、いま明るみに出てきたのは“疑惑の全容”ではありません。いわば“氷山の一角”に過ぎないというのです。決して開くことのないはずだった“疑惑の箱”を開けた“パナマ文書”。今後も釈明に追われる人物や企業が出てくることは間違いなさそうです。
(2016年04月08日 NHK オンラインより)

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アイスランド首相が辞任 租税回避地利用を非公表

パナマの法律事務所から流出した文書を巡る報道で、夫婦で租税回避地、いわゆるタックスヘイブンを利用していたことを公表してこなかったと批判されていた北欧アイスランドのグンロイグソン首相が、7日、正式に辞任しました。

アイスランドのグンロイグソン首相は、2007年にタックスヘイブンのイギリス領バージン諸島に夫婦で購入した会社を通じて、自国の3つの銀行の債券に日本円で数億円の投資をしていながら、これを公表してこなかったと国際的な記者の団体ICIJから指摘されていました。3つの銀行は、金融危機で破綻しましたが、グンロイグソン首相は、首相に就任した2013年以降、首相の立場で銀行の債務処理に当たっており、これについても不適切だったと辞任を求める声が国民の間で高まっていました。
グンロイグソン首相は7日、正式に辞任しましたが、アイスランドでは金融危機の際に銀行や国家財政の破綻を防げず国民生活の混乱を招いた既存の政党への不満が高まっています。
パナマの法律事務所から流出した文書をきっかけにした一連の報道で、首脳が辞任するのは、これが初めてです。
(2016年4月8日 8時49分 NHK オンラインより)

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中国最高指導部3人の親族も租税回避か

各国の首脳などが租税回避地、いわゆるタックスヘイブンを利用していたと指摘されている問題で、中国の最高指導部7人のうち習近平国家主席を含む3人の親族についても、名前が挙がり、中国国内で批判が強まる可能性が出ています。

この問題は、中米パナマにある法律事務所の文書が流出し、各国の首脳らがいわゆるタックスヘイブンにある企業を通じて金融取り引きを行っていたことなどが明らかになっているものです。
各国の記者で作る団体、ICIJによりますと、文書を調べた結果、中国の習近平国家主席の親族に加えて、中国共産党で序列5位の劉雲山政治局常務委員と、序列7位の張高麗副首相の親族についても、それぞれ、タックスヘイブンとして知られるイギリス領バージン諸島の企業の株主になっていたことが分かったということです。
この問題について、中国国内では報道が厳しく規制されているほか、7日朝も、インターネット上で関係することばの検索ができなくなっていて、当局が神経をとがらせていることがうかがえます。
習近平指導部は、徹底した汚職の撲滅を進めているだけに、最高指導部7人のうち3人の親族がタックスヘイブンを利用していた問題が浮上したことに対し、中国国内で批判が強まる可能性が出ています。

中国では厳しい報道規制

各国の首脳などが租税回避地、いわゆるタックスヘイブンを利用していたと指摘されている問題について、中国では国営のテレビや通信社を含む主要メディアがニュースとしてほとんど取り上げていません。報道が厳しく規制されているものとみられます。
中国共産党の機関紙「人民日報」傘下の新聞「環球時報」は、7日朝の紙面で、この問題で名前が挙がったアイスランドの首相が辞任を表明したことや、ヨーロッパのサッカー界で波紋が広がっていることなどは伝えていますが、中国の指導者に関する記述は一切ありません。
また、中国ではインターネットの検索サイトで、「パナマ文書」などと今回のニュースのキーワードを入力すると検索ができない状態が続いています。
一方で、中国版ツイッター「ウェイボー」には、「情報が完全に封鎖されているようだ」とか、「削除すればするほど、問題があるのではないかと疑う」などといった書き込みがあり、市民のなかに当局による情報統制を批判的に捉えている人がいることが分かります。ただ、中国の指導者を直接、批判するような書き込みは見当たりません。

コメントしない

この問題は、7日も中国外務省の記者会見で海外のメディアから質問が相次ぎましたが、陸慷報道官は「コメントしない」という答えを繰り返しました。また、「中国の国営メディアはなぜこの問題を報じないのか」という質問に対しては、「それは私ではなく、メディアに聞いてほしい」とかわしました。

NHKの海外向けニュース 該当部が中断

中国本土では、NHKが海外向けテレビ放送「ワールドプレミアム」で日本時間の7日正午すぎ、この問題に関するニュースを伝えた際、画面が真っ黒になり、放送が1分20秒にわたって中断されました。
中国本土では6日も、NHKがタックスヘイブンに関するニュースを放送した際、少なくとも8回にわたって放送が中断されていて、中国当局が海外メディアの報道にも神経をとがらせていることを示しています。
(2016年4月7日 19時09分 NHK オンラインより)

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パナマ文書「情報提供は犯罪行為止めたくて」

各国の首脳などが租税回避地、いわゆるタックスヘイブンを利用していたと指摘されている問題で、調査報道に取り組んでいる団体の責任者が、NHKのインタビューに答え、この問題が明るみに出るきっかけとなる情報をもたらした人物が、その動機について「犯罪行為を止めたいからだ」と話していたことを明らかにしました。

この問題は、中米パナマにある法律事務所の文書が流出し、各国の首脳らが租税回避地、いわゆるタックスヘイブンにある企業を通じて金融取り引きを行っていたことなどが明らかになったもので、名前の挙がったアイスランドのグンロイグソン首相が批判を受けて辞任するなど影響が広がっています。
この問題に取り組んでいる調査報道を行う世界各国の記者で作る団体、ICIJの記者のウィル・フィッツギボンさんが、6日、NHKのインタビューに答えました。フィッツギボンさんはこの問題の調査を始めたきっかけについて、ドイツの有力紙「南ドイツ新聞」の記者に去年、ある人物が「見せたい情報がある。関心はあるか」と接触を図ってきたことを明らかにしました。
そのうえで、この人物に記者が、「なぜこのようなことをするのか」と尋ねたところ、「犯罪行為を止めたいからだ」と答えたということです。
記者はこの人物から膨大な量のデータを提供されたため、ICIJに連絡したということで、その後、世界各国のおよそ400人の記者が、分担して1年がかりで分析を進め、報道につなげたとしています。データは、会計書類や電子メール、パスポートの写しのほか、会話の録音などの音声ファイルもあるということで、分量は2.6テラバイト、ファイルの数は1100万を超え、その規模は、「ウィキリークス」がインターネット上で公表している政府の内部文書などのデータの量と比べても、はるかに大きいとしています。
フィッツギボンさんは「世界各地で、今も記者たちが新しい事実を掘り起こしている。今後、数か月にわたって、文書を巡る報道が続くだろう」と述べました。今回の調査の意義について、フィッツギボンさんは「権力や金を持っていれば、異なるルールの中で生きることを決められる。二つの世界が存在していることを示している。不公平だと感じる」と述べました。
そして、「ガラス張りにすることが重要だ。年収10万ドルの政治家が、なぜ会社を保有して、外国に登録するのか、その会社がなぜ多額の資産を持っているのか。市民が聞きたいと思うのは当然だ」と述べ、世界各国の首脳などを対象に不透明な資金の動きがないか、調査を続ける考えを示しました。
一方、流出したデータの公開に、法的な問題はないのかという問いに対しては、「対象は、権力者とその関係者が中心だ」と述べ、問題はないという認識を強調しました。

パナマ大統領 調査委員会設置を

各国の首脳などが租税回避地、いわゆるタックスヘイブンを利用していた疑惑で、その発端となった文書が流出した法律事務所があるパナマのバレーラ大統領は6日、パナマで行われている金融取引の実態を調査するため、独立した委員会を設置する考えを明らかにしました。
そして、現地で開いた会見で、「パナマの国やその金融システムのイメージが損なわれようとしている。われわれは、パナマの法律に基づいて調査に協力し、情報交換にも応じるつもりだ」と述べ、各国から協力を要請されれば応じる姿勢を強調しました。パナマの司法当局は、4日に出した声明で、「いわゆる『パナマ文書』については犯罪行為や被害の有無、それに関わった人物の特定などが捜査の対象だ。法律の枠組みの中であらゆる手段を用いて調べる」として捜査に乗り出す方針を明らかにしています。

顧客リスト流出 過去にも

いわゆるタックスヘイブンの顧客リストが流出したケースは過去にもあります。
2006年には、ヨーロッパのリヒテンシュタインの銀行員が持ち出した顧客の口座のリストをドイツの連邦情報局が買い取り、郵便事業を行う会社の会長の脱税事件に発展したほか、日本の国税庁もドイツからの情報提供を受けて15億円に上る遺産相続の申告漏れを見つけ、追徴課税しました。
また、2013年にはシンガポールやケイマン諸島、英領バージン諸島などにある信託財産やペーパーカンパニーの所有者のリストをオーストラリアの税務当局が入手したことが明らかになり、日本も資料の提供を受けました。
タックスヘイブンは、各国の税務当局に対しても守秘義務を理由に銀行などの顧客情報を簡単には開示しないため、こうしたリストは税務当局にとって貴重な情報となっています。一方、情報が古かったり、合法的に資金や財産を移したりしている場合が少なくなく、課税にいたるケースは必ずしも多くありません。

タックスヘイブン その実態は

いわゆるタックスヘイブンは、銀行の顧客の秘密を守ることで知られ、脱税やマネーロンダリングの温床になっているとして、先進各国とのせめぎ合いが続いてきました。
OECD=経済協力開発機構は、2000年に初めてリストを公表し、カリブ海のケイマン諸島やパナマ、英領バージン諸島など35の国や地域をタックスヘイブンに当たると名指ししました。
こうした国や地域の多くに共通するのは、経済規模が比較的小さく目立った産業がないという点です。
このうちケイマン諸島は、人口5万5000のイギリス領の島ですが、法人税や所得税がないため世界中の富裕層や企業の資金が集まっています。島の中には、外資系の会計事務所や銀行が建ち並び、数万社に上るペーパーカンパニーが登記されている建物もあります。
財務省によりますと、日本とケイマン諸島の間では去年、1兆3000億円を超える資金がやり取りされていて、ケイマン諸島は金融機関に課す手数料などで財政を賄っています。
こうしたタックスヘイブンに対して先進各国は圧力を強めていて、今では各国の税務当局の求めに応じて銀行などの顧客情報を開示するようになってきています。

ムヒカ氏「ばかげたことで悲惨なこと」

来日している「世界で一番貧しい大統領」として知られるウルグアイの前の大統領、ホセ・ムヒカ氏は、都内の大学で開かれた講演会で、いわゆるパナマ文書について言及し、「自分の資本を増やすために行動するのは、ばかげたことで悲惨なことだ」と述べ、名前が挙げられている各国の首脳や企業などを批判したうえで、「このような行動をやめるために、若者が戦わないといけない。組織すれば戦えるし、そうすることこそ人類の団結だ」と述べました。(2016年4月7日 18時56分 NHK オンラインより)

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パナマ文書流出 スイス当局がヨーロッパサッカー連盟を捜索

パナマの法律事務所の文書が流出し、各国の要人や企業などの金融取引を巡る疑惑が明らかになった問題で、スイスの捜査当局がヨーロッパサッカー連盟の本部を捜索したほか、フランスの財務相が大手銀行のトップから説明を求めるなど各国に影響が広がっています。

この問題は、タックスヘイブンの国の1つ、パナマの法律事務所の文書が流出し、各国の首脳らがパナマの企業を通じて金融取引を行っていたことなどが明らかになっているものです。
欧米のメディアは、ヨーロッパサッカー連盟が、ヨーロッパチャンピオンズリーグの放映権を巡って不自然な契約を行っていたことがこの文書で明らかになったと報じていて、スイスの捜査当局は6日、不正な取り引きを行っていた疑いがあるとして連盟の本部を捜索したことを明らかにしました。
一方、フランスのメディアは、大手銀行の「ソシエテ・ジェネラル」がパナマの法律事務所の主要な顧客の1つであり、不正な取り引きに関与した可能性があるとして、フランスのサパン財務相が銀行のトップから説明を求めたと伝えています。
また、ドイツのメディアは、ドイツ国内の少なくとも14の銀行がこの法律事務所を通じて1200を超えるペーパーカンパニーを管理するなどしていて、検察がこの法律事務所の幹部2人について、脱税のほう助の疑いで捜査を始めたと伝えています。
さらに、イギリスでも金融監督当局が監視を強化する動きを見せており、流出した文書を巡って影響がヨーロッパ各国に広がっています。

英NGO「氷山の一角」

租税回避地、いわゆるタックスヘイブンの企業を通じ、各国の首脳らが金融取引をしていたとされる問題について、イギリスを拠点に政治家の汚職や課税逃れなどの調査を行っているNGOの担当者、レイチェル・オーウェンズさんは、「リークされた文書は、多くの国の首脳を含む人たちが監視をすり抜けて取り引きを行っていたことを示していて、それが何より衝撃的だ」と述べました。また、オーウェンズさんは「今回明らかになったのは1つの法律事務所の話で氷山の一角だ。私たちはタックスヘイブンの問題にさらに真剣に取り組む必要がある」と述べました。
そのうえで、オーウェンズさんは、「タックスヘイブンで登録される会社の所有者をきちんと公表するような公的な登録制度を求めたい」と述べ、G20=主要20か国や、OECD=経済協力開発機構の加盟国などが連携して問題に取り組む必要があるという認識を示しました。

パナマ大統領 調査委設置を表明

各国の首脳などが租税回避地、いわゆるタックスヘイブンを利用していた疑惑で、その発端となった文書が流出した法律事務所があるパナマのバレーラ大統領は6日、パナマで行われている金融取引の実態を調査するため、独立した委員会を設置する考えを明らかにしました。
そして、現地で開いた会見で、「パナマの国やその金融システムのイメージが損なわれようとしている。われわれは、パナマの法律に基づいて調査に協力し、情報交換にも応じるつもりだ」と述べ、各国から協力を要請されれば応じる姿勢を強調しました。パナマの司法当局は、4日に出した声明で、「いわゆる『パナマ文書』については犯罪行為や被害の有無、それに関わった人物の特定などが捜査の対象だ。法律の枠組みの中であらゆる手段を用いて調べる」として捜査に乗り出す方針を明らかにしています。
(2016年4月7日 6時00分 NHK オンラインより)

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習主席親族が租税回避地に会社所有か 当局は情報削除

中国の習近平国家主席の親族が租税回避地、いわゆるタックスヘイブンのペーパーカンパニーのオーナーになっていたと、各国の記者で作る団体が発表したことについて、中国当局はインターネット上から関係する情報を削除するなど神経をとがらせています。

これは、調査報道を行う各国の記者で作る団体、ICIJが租税回避地、いわゆるタックスヘイブンの国の1つ、パナマの法律事務所の内部文書を入手したとして、今月3日、発表したものです。
それによりますと、中国の習近平国家主席の姉の夫が、タックスヘイブンとして知られるイギリス領バージン諸島の2つのペーパーカンパニーのオーナーになっていたことが分かったということです。ICIJは、この2つの会社は習氏が国家主席に就任した2013年までには休眠状態になったとしています。
この発表について、中国外務省の洪磊報道官は5日の記者会見で「雲をつかむような話にはコメントしない」と不快感を示したほか、中国のインターネット上からは関係する情報が当局によって次々と削除され、見ることができなくなっています。
タックスヘイブンは、不当に得た資金を隠すマネーロンダリングの温床になっているとも指摘されています。中国では習主席が先頭に立って政治家や官僚の腐敗撲滅に取り組んでいるところで、当局が神経をとがらせていることがうかがえます。

中国でワールドプレミアムの放送中断

中国本土では、NHKが、海外向けテレビ放送「ワールドプレミアム」で日本時間の6日午後7時すぎ、習近平国家主席の親族が租税回避地、いわゆるタックスヘイブンのペーパーカンパニーのオーナーになっていたと指摘されたニュースを伝えた際、画面が真っ黒になり、映像や音声が中断されました。放送の中断は3回にわたり、タックスヘイブンに関するニュースのほぼすべて、合わせて4分余りが中断されました。中国当局が、海外メディアの報道にも神経をとがらせているものとみられます。(2016年4月6日 20時33分 NHK オンラインより)

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“パナマ文書” 匿名人物が情報提供か

租税回避地、いわゆるタックスヘイブンの企業を通じ、各国の首脳らが金融取り引きをしていたとされる問題について、ドイツの有力紙「南ドイツ新聞」は1年以上前に匿名の人物から情報提供を受けたことが問題が発覚するきっかけだったと明らかにしました。

租税回避地、いわゆるタックスヘイブンの国の1つ、パナマの法律事務所の文書が流出し、この中で、各国の首脳らが企業を通じて金融取り引きを行っていたとされる問題で、アイスランドのグンロイグソン首相が辞任を表明するなど、影響が広がっています。
これについて、ドイツの有力紙、南ドイツ新聞は、問題が発覚するきっかけは、1年以上前に匿名の人物がパナマの法律事務所の内部文書を持ち込んできたことだったと明らかにしました。
南ドイツ新聞は、身の危険を訴えていたこの人物と数か月間にわたってインターネットのチャットを通じてやり取りをし、1150万件に上る文書データを受け取った後、調査報道を行う国際的なジャーナリストの団体に連絡をし、共同でデータの分析を行ったということです。
一方、この法律事務所はロイター通信などに対し、「違法行為はしていない」と説明したうえで、「外部からハッキングされてデータが流出したもので、被害者はわれわれだ」と述べ、検察当局に告訴したことを明らかにしました。

中東各国の首脳や親族の名前も

パナマの法律事務所から流出した内部文書には、中東各国の首脳や首脳経験者、そしてその親族も多く含まれていました。
内部文書を公表した調査報道を行う各国の記者で作る団体ICIJによりますと、このうち、シリアのアサド大統領のいとこで、石油や通信部門などシリア経済に強い影響力を持つラミ・マフルーフ氏について、タックスヘイブンであるイギリス領バージン諸島にあるラミ氏の企業が、オーストリアのウィーンやスイスのジュネーブの銀行に多額の資金を預けていたと指摘しています。
さらに、その弟でシリアの情報局の元幹部、ハーフェズ氏も兄のラミ氏に加担していた疑いがあるとしています。
また、内部文書では、サウジアラビアのサルマン国王の名前も上がっています。ICIJによりますと、イギリス領バージン諸島にある2つの企業が、2009年、ロンドン中心部に豪邸を購入するため、合わせて3400万ドル(日本円で37億円余り)の住宅ローンを設定していたということです。サルマン国王の具体的な役割は明らかになっていませんが、ICIJはサルマン国王がこの企業とローンに関わっていた疑いがあると指摘しています。
このほか、UAE=アラブ首長国連邦のハリファ大統領やイラクのアラウィ元首相、それにエジプトのムバラク元大統領の息子など、中東各国の首脳や首脳経験者、それにその親族の名前が多く含まれていました。

スノーデン氏「史上最大のリーク」

世界中に影響が広がっているパナマの法律事務所から流出した内部文書について、アメリカの情報機関による大量の個人情報の収集を告発し、ロシアに亡命しているCIA=中央情報局のスノーデン元職員は3日、自身のツイッターで「データジャーナリズムの歴史で最大のリークだ」とコメントしました。
スノーデン元職員は、その後もアイスランドの首相の辞任の表明を巡る動きなどこの問題について、繰り返しツイッターでコメントしていて、高い関心を示していることがうかがえます。
(2016年4月6日 16時41分 NHK オンラインより)

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アイスランド首相 辞任表明 「租税回避地」批判高まる

北欧アイスランドのグンロイグソン首相は、租税回避地、いわゆるタックスヘイブンに夫婦で購入した会社を通じ多額の投資をしていたことを公表してこなかったなどと各国の記者で作る団体に指摘され、批判が高まったことを受け、5日、辞任を表明しました。

調査報道を行う各国の記者で作る団体ICIJは、租税回避地、いわゆるタックスヘイブンの国の1つ、パナマの法律事務所の内部文書を入手したとして、今月3日、公表しました。
この中で、アイスランドのグンロイグソン首相について、2007年にタックスヘイブンのイギリス領バージン諸島に妻と共に購入した会社を通じて自国の銀行の債券に日本円で数億円の投資をしていたと指摘しました。グンロイグソン首相は2009年に会社を妻名義に切り替え、銀行の債券を保有していたことはこれまで公表してこなかったということです。
これについて議会の野党は4日、首相として不適切だとして不信任決議案を提出し、国民の批判も高まったことから、グンロイグソン首相は5日、辞任を表明して、漁業・農業相が新たな首相に就任することになりました。
一方、ICIJは、内部文書の中に、イギリスのキャメロン首相の亡くなった父親がパナマに登記された投資ファンドの設立や運営に関わっていたとする記録が残されていたと指摘しました。これについてキャメロン首相は5日、「私は株式や海外ファンドのようなものは保有していない」と述べましたが、今後、家族名義の資産など詳しい説明を求める声が強まりそうです。

米大統領「租税回避は大問題」

租税回避地を通じて各国の首脳らが金融取引をしていたことが明らかになったことについて、アメリカのオバマ大統領は5日の記者会見で、「国際的な租税回避が大問題であることは間違いない」と述べました。
そのうえで、「世界中で常に資金の不正な流れがあるが、それを簡単にできるようにすべきでない」と強調し、厳しく監視していく考えを示しました。
(2016年4月6日 8時00分 NHK オンラインより)

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各国首脳ら タックスヘイブンの企業通じ金融取引か

脱税や犯罪で得た資金を隠すマネーロンダリングの温床とも指摘される租税回避地、いわゆるタックスヘイブンの企業を通じて各国の首脳や首脳と関係が深い人物が金融取引をしていたことなどが、パナマの法律事務所から流出した内部文書で明らかになり、問題がなかったか調査を求める声が上がっています。

これは調査報道を行う各国の記者で作る団体、ICIJが租税回避地いわゆるタックスヘイブンの国の1つ、パナマの法律事務所の内部文書を入手したとして3日、発表しました。
それによりますと、内部文書にはタックスヘイブンにある21万4000の団体の情報が記載され、分析した結果、各国の首脳や首脳経験者12人を含む政治家など140人がタックスヘイブンを利用して金融取引などを行っていたということです。
このうち、北欧のアイスランドのグンロイグソン首相は2008年のリーマンショックで自国が金融危機に陥るなか、夫婦で株主に名を連ねるタックスヘイブンのイギリス領バージン諸島の企業を通じて、国内の銀行の債券を数百万ドル(日本円で数億円)保有していたということです。
また、ウクライナのポロシェンコ大統領やサウジアラビアのサルマン国王などもタックスヘイブンを利用していたと指摘しています。
このほか、ロシアのプーチン大統領の古くからの友人らも、2008年から2013年にかけバージン諸島に設立した企業を通じて、少なくとも20億ドル(日本円で2200億円)に上る金融取引を行っていたということです。
タックスヘイブンでの取り引きを巡っては、脱税や犯罪で得た資金を隠すマネーロンダリングの温床になっているとも指摘され、各国の首脳や周辺による取り引きに問題がなかったか、調査を求める声が上がっています。

各国首脳らは反論

今回の報道を受けてアイスランドの議会では、野党4党が4日、グンロイグソン首相に対する不信任決議案を提出し、議会の前では市民が首相の辞任を求めてデモを行いました。不信任決議案の採決は5日以降に行われる見通しですが、議会では与党2党が過半数を占めており、決議案が可決されるかどうかは不透明です。
一方、グンロイグソン首相は4日、ロイター通信の取材に対し「私は常に国民の利益を最優先にしてきた」と述べるとともに、妻も適正に税金を払ってきたとして、辞任する考えはないと強調しました。

ウクライナのポロシェンコ大統領は、租税回避地タックスヘイブンを利用していたと伝えられたことについて、インターネット上で「資産の運用はコンサルタント会社に一任していて、関与していない」と述べました。そのうえで、「私は資産を申告し、税金を支払ってきた」と述べ、脱税などは行っていないと主張しました。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は、プーチン大統領の古くからの友人らがタックスヘイブンの企業を通じて金融取引を行っていたと伝えられたことについて、「今回の報道は大統領個人とロシアの政治的な安定を標的にしたものだ」と述べ強く反発しました。そのうえで、ことし9月の下院選挙と再来年の大統領選挙を前に意図的に情報が流され、プーチン大統領を中傷して政権基盤に揺さぶりをかけるねらいがあるという見方を示しました。

フランス スペインは捜査開始

フランスの捜査当局は4日、声明を発表し、文書で指摘されたフランス人について脱税の疑いがあるとして、捜査を開始したと発表しました。
また、この発表に先立ち、フランスのオランド大統領は4日、記者団に対し「すべての情報が分析され、必要な捜査や裁判が行われるだろう」と述べ、問題がないか追及すべきだという考えを示しました。そのうえで、各国の記者で作る団体、ICIJがパナマの法律事務所の内部文書を入手したことについて、「危険を冒しながらも国際社会にとって有益な役割を果たした内部告発者は保護されるべきだ」と指摘し、文書の告発者が不利益を被ることがないよう訴えました。

また、スペインの当局も4日、声明を発表し、内部文書で指摘されたスペイン人について、マネーロンダリングの疑いがあるとして捜査を開始したことを明らかにしました。

文書流出の法律事務所が声明

内部文書の内容が報じられたパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」は4日、声明を発表しました。
この中で事務所は「メディアの報道は私たちが提供するサービスを不正確に表現し、世界の金融市場における私たちの役割をねじ曲げて伝えている」としています。そのうえで、「私たちは常に国際的な取り決めやアメリカの法律に従い、法人化した会社が税金逃れや資金洗浄、それにテロ活動への資金提供など、違法な目的に使われていないことをできるかぎり確認している」として違法な行為はしていないと強調しました。
(2016年4月5日 5時22分 NHK オンラインより)

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