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2014年11月26日 (水)

エマニュエル・アイムの「メサイア」

Haim

ヘンデル:オラトリオ『メサイア』 HWV.56

ルーシー・クロウ(ソプラノ)
ティム・ミード(カウンターテナー)
アンドルー・ステイプルズ(テノール)
クリストファー・パーヴス(バリトン)
ル・コンセール・ダストレ(合唱、オーケストラ)
エマニュエル・アイム(指揮)

Handel: Messiah
Edition by John Tobin, Bärenreiter 1966, 1972

Lucy Crowe (soprano)
Andrew Staples (tenor)
Tim Mead (counter-tenor)
Christopher Purves (baritone)
Le Concert d’Astrée Chœur et Orchestre
Chorus master David Bates
Choral consultant David Clegg
Emmanuelle Haïm
2013年録音(おそらくセッション録音)

私の評価:辛いですが、星3.5

【私事】

私は、自宅の火事の前、下記13種類の「メサイア」を持っていた。が、すべて焼損。火事の後、買い戻したのは、ヤーコプス盤とコリン・デイヴィス盤のみ。

メサイア(1972年録音),クレンペラー,フィルハーモニア管弦楽団
メサイア(1972年),リヒター,Lpo
メサイア(ドイツ語版、1974年),チャールズ・マッケラス,オーストリア放送交響楽団&合唱団
メサイア(1979年),ホグウッド,エンシェント室内
メサイア(1982年),ガーディナー,EBS
メサイア(1985年),ショルティ,Cso
メサイア(1988年),ピノック,イングリッシュ・コンサート
メサイア(1996年),マクリーシュ,ガブリエリ・コンソート&プレイヤーズ
メサイア(2004年),アーノンクール,CMW
メサイア(2006年),ヤーコプス,フライブルク・バロック
メサイア(2006年),コリン・デイヴィス,Lso
メサイア(2007年),Harry Christophers,The Sixteen
メサイア(2008年),Stephen Layton,Polyphony,Britten Sinfonia

現在、私は、メサイア/ヤーコプス盤およびコリン・デイヴィス盤のみを持っている訳だが、前者ヤーコプス盤を再取得した理由は特にない(というか、ヤーコプス盤を再取得した理由:覚えていない)。後者コリン・デイヴィス盤を再取得した理由は、ソレが SACD 盤であること、と、コノ盤が比較的ゆったり演奏されている割には、退屈させないこと・・・だ。

ヘンデルの「メサイア」は名曲だが、《退屈する演奏》が少なくない。特に、第2部は退屈する。

【閑話休題:それはさておき】

福岡女学院という高校が主催して、年末恒例「クリスマスコンサート/メサイア」をやっている。主催者は高校だが、演奏するのは高校生ではなく、福岡のプロアマ演奏家たち(?)、シニアが多い(?)、ソノ高校の生徒さんは合唱団の一部としてのみ出場する。ソレを、私は2〜3回、聴きに行ったことがある(←アマチュアの演奏であるが上手い)。←さて、福岡女学院主催「メサイア」は「抜粋版」である・・・ただし、「抜粋版」とは言っても、省略される部分は比較的少ない。彼らの「メサイア」は「ハイライト版」ではなく、オラトリオ「メサイア」の体裁をなしている。しかし、その際、やっぱり第2部の省略が多い。

【メサイア/デイヴィス盤(Handel: Messiah)について】

コリン・デイヴィスの第2部は、アイム盤よりテンポが遅く、ゆったり演奏されているのに、退屈しない。デイヴィス盤の演奏は、メサイア第2部「受難」において、←チャールズ・ジェネンズ Charles Jennens が書いた(選んだ)やや複雑な文脈からなる台本において、《語り口が上手い》、または、《きめが細かい》(←たとえば、テノール独唱「あなたがたの非難が彼の心を砕いた Thy rebuke hath broken His heart」から「しかしあなたは彼の心を地獄に置き去りにせず But Thou didst not leave His soul in hell」まで)←第2部「受難」の神学的意味をリスナーに《追いかけさせる》。また、順番は前後するが、第2部合唱「そして、彼が打たれた傷によって私たちは癒された。And with His stripes we are healed.」を、デイヴィスはアカペラで歌わせている。←そのような工夫が、リスナーに、キリスト受難の意味を考えさせる・・・すなわち、コリン・デイヴィスは「メサイア第2部」を「受難曲」となしたと思う。

【メサイア/エマニュエル・アイム盤について】

古楽器演奏(Historically informed performance)である。
合唱、20名。オケ、26名。
独唱合唱共に、アルトは男声。

本盤、メサイア/エマニュエル・アイム Emmanuelle Haïm 盤も第2部は退屈する。

全体的に、テンポが速い。

・独唱/合唱について

独唱合唱共に、華やか、祝祭的、テクスチュアが繊細。←デュナーミク、アーティキュレーションが、微妙に凝っていて、良い意味で若干癖がある。
独唱合唱共に、「メリスマ」あるいは「装飾的歌い方」が効いているのが心地よい。
第1部合唱「我々にひとりの子供が生まれた。For unto us a Child is born」のソプラノのメリスマが心地よい。←そして、ソノ合唱、および、オケの演奏は祝祭的。【追加】ワーグナーのマイスタージンガーのように聞こえる。
第1部ソプラノ独唱「大いに喜べ、シオンの娘よ! Rejoice greatly, O daughter of Zion!」におけるルーシー・クロウ(ソプラノ)の声が若々しく美しい。←これも、メリスマ(あるいはヴィブラート)が効いている。第3部冒頭ソプラノ独唱の「私を贖う方は生きておられることを私は知る。I know that my Redeemer liveth」の歌唱も同様に見事。とにかく、私は、ルーシー・クロウ Lucy Crowe (* 1978 oder 1979 in Staffordshire)(ソプラノ)と、ル・コンセール・ダストレ合唱団の女声(ソプラノ)が気に入った。

【エマニュエル・アイムが2000年に創設した「ル・コンセール・ダストレ合唱団および合奏団」】

「ル・コンセール・ダストレ合奏団」は健闘しているし、ピュアであるが、《悪い意味で》新しいと思う。←モダン楽器の豊かな表現力、たとえばコリン・デイヴィスのロンドン・シンフォニーの表現力に負けると思う。
「ル・コンセール・ダストレ合唱団」は上手いと思う。(HMV.co.jp 参照)

==

【蛇足1】

歌詞について。間違いやすい箇所、あるいは分かりにくい箇所:

Unto which of the angels said He at any time,
Thou art my Son, this day have I begotten Thee?
(Hebrews 1:5)

Let all the angels of god worship Him.
(Hebrews 1:6)

御子は天使にまさる
いったい神は、かつて天使のだれに、/「あなたはわたしの子、/わたしは今日、あなたを産んだ」と言われたでしょうか(いや、言われなかった)。
(ヘブライ人への手紙 1:5)

(更にまた、神はその長子をこの世界に送るとき、)/「神の天使たちは皆、彼を礼拝せよ」(と言われた。)
(ヘブライ人への手紙 1:6)

文字通り、主イエス・キリストは天使にまさるということ。

--

Thou art gone up on high,
Thou hast led captivity captive,
and received gifts for men;
yea, even for Thine enemies,
that the Lord God might dwell among them.
(Psalm 68:19)

(主よ、神よ)/あなたは高い天に上り、人々をとりことし/人々を貢ぎ物として取り、背く者も取られる。彼らはそこ(シナイの神の聖所)に住み着かせられる。
(詩編 68:19)

主語は「主」「神」です。

--

Why do the nations so furiously rage together?
and why do the people imagine a vain thing?
The kings of the earth rise up,
and the rulers take counsel together
against the Lord and against His anointed.
(Psalm 2:1〜2)

Let us break their bonds asunder,
and cast away their yokes from us.
(Psalm 2:3)

なにゆえ、国々は騒ぎ立ち/人々はむなしく声をあげるのか。
なにゆえ、地上の王は構え、支配者は結束して/主に逆らい、主の油注がれた方に逆らうのか
(詩編 2:1〜2)

「我らは、枷をはずし/縄を切って投げ捨てよう」と(言って彼らは逆らう)。
(詩編 2:3)

これらは、メシアに逆らう者たちの、ネガティヴな文。

--

The Kingdom of this world is become
The Kingdom of our Lord and of His Christ;
(Revelation 11:15)

この世の国は、我らの主と、/そのメシアのものとなった。
(ヨハネの黙示録 11:15)

↑これは、分かりにくくないね(汗;;

==

【蛇足2】

「メサイア」を生演奏で聴いた経験から
「メサイア」の生演奏では、合唱団が起立したり着席したりするので、CD で聴くのと違って、演奏に「間」があります。

==

【追加 2014−11−29】

・合唱指揮について 

コノ演奏「メサイア」には合唱指揮者はいないのか、と、気になって、リーフレットを見てみたら、

> Chorus master David Bates
> Choral consultant David Clegg

とある。私は、レビューに、

「(独唱合唱共に)テクスチュアが繊細。←デュナーミク、アーティキュレーションが、微妙に凝っていて、良い意味で若干癖がある。」

と書いたが、ソレは、上記2名による「歌唱指導」に負うところがあるだろう。


【2017−5−24 追加】

全曲を閉める最後の合唱「Worthy Is the Lamb That Was Slain... Amen」のフィニッシュの部分で、ティンパニ奏者が親の仇を討つように激しくティンパニを叩いているのは気持ちいい。

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