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2014年9月30日 (火)

リヒャルト・シュトラウス「ピアノ伴奏付き歌曲全集(9CDs)」を少しずつ聴く(CD 1)

このエントリーは、http://koshiro-m.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-0fda.htmlに続きます。

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Strauss

Richard Strauss (11 June 1864 – 8 September 1949)
Complete Works for Voice and Piano
Release: 11 June 2014
Cat. #: TP1039312 | 9CD Set
Label: TwoPianists Records
Recorded at: Garmisch-Partenkirchen - Germany, November 1-30, 2013

CD 1
1. Weihnachtslied TrV 2 12/1870 Michelle Breedt Nina Schumann クリスマスの歌 6才
2. Einkehr TrV 3 vor 8/1871 Michelle Breedt Nina Schumann 宿屋 7才
3. Winterreise TrV 4 1871 Manuel Walser Nina Schumann 冬の旅 7才頃
4. Der müde Wanderer TrV 16 ?1873 Michelle Breedt Nina Schumann 疲れた旅人 9才頃
5. Husarenlied TrV 42 12/1876 Manuel Walser Nina Schumann 軽騎兵の歌 12才
6. Der Fischer TrV 48 12/1877 Lucian Krasznec Nina Schumann 猟師 13才
7. Die Drossel TrV 49 12/1877 Michelle Breedt Nina Schumann つぐみ 13才
8. Lass ruhn die Toten TrV 50 12/1877 Michelle Breedt Nina Schumann 死者よ、やすらかに眠れ 13才
9. Lust und Qual TrV 51 12/1877 Manuel Walser Nina Schumann 歓喜と苦悩 13才
10. Spielmann und Zither TrV 58 1/1878 Brenden Gunnell Malcolm Martineau 役者とツィター 13才
11. Wiegenlied TrV 59 1/1878 Christiane Libor Nina Schumann 子守歌 13才
12. Abend-und Morgenrot TrV 60 ?1878 Christiane Libor Nina Schumann 夕焼けと朝焼け 13才頃
13. Im Walde TrV 62 6/2/1878 Christiane Libor Nina Schumann 森の中で 13才
14. Alphorn TrV 64 ?1878 Michelle Breedt Nina Schumann Chrisph Eß (Horn) アルペンホルン 14才頃
15. Nebel TrV 65 1878 Christiane Libor Nina Schumann かすみ 14才頃
16. Soldatenlied TrV 66 1878 Andreas Mattersberger Malcolm Martineau 兵士の歌 14才頃
17. Ein Röslein zog ich mir im Garten TrV 67 1878 Michelle Breedt Nina Schumann 庭で野ばらをつんできた 14才頃
18. Waldesgesang TrV 75 9/4/1879 Christiane Libor Nina Schumann 森の歌 14才
19. Herbstabend TrV 226 ? 1879 Michelle Breedt Nina Schumann 秋の夕暮れ 15才頃
20. Aus der Kindheit ? 1879 Michelle Breedt Nina Schumann 子ども時代より 15才頃
21. In Vaters Garten heimlich TrV 88 24/12/1879 Manuel Walser Nina Schumann ひそかに父の庭で 15才
22. Die erwachte Rose TrV 90 12/1/1880 Michelle Breedt Nina Schumann 咲きかけのばら 15才
23. Begegnung TrV 98 18/12/1880 Michelle Breedt Nina Schumann 出会い 16才

24. John Anderson mein Lieb TrV 101 31/12/1880 Michelle Breedt Nina Schumann ジョン・アンダーソン、わが愛しき人 16才
25. Rote Rosen TrV 119 11/9/1883 Christiane Libor Nina Schumann 赤いばら 19才

【上記収録曲の表記について】
ドイツ語題名。"TrV":Franz Trenner、Florian Trenner 父子によって編纂されたリヒャルト・シュトラウスの作品番号。作曲年月。演奏歌手名。ピアノ伴奏者名。日本語題名。作曲年齢。赤字は、ルチア・ポップの「シュトラウス歌曲集」に収録されている曲。

*「?」は不明の意。
ちなみに英語版ウィキペディアの作品リスト「List of compositions by Richard Strauss」の「年 (Year)」は、初演の年になっている:The year shown is the year of the first performance, unless there is a large gap between the dates of composition and premiere(作曲年と初演年に著しい隔たりがある場合を除き、初演年を示す)

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私が、コノボックスセット(9CDs)を購入後、最初に、最初の数枚を聴いた時、その時の私の第一印象:「古くさい。大声で、オペラみたいに歌っている・・・やっぱり監修者のブリギッテ・ファスベンダーがオペラ歌手だからだろうか。リヒャルト・シュトラウスの歌曲にはもっと繊細な歌唱・表現が望ましい。たとえば、シュワルツコップやフィッシャー=ディースカウのような歌唱力・表現力が要る。もし、「シュワルツコップ&フィッシャー=ディースカウ」が、コノ企画を遂行したなら、ベストだったろうに・・・」と思ってしまった(ガッカリした私)。**

また、私は、ルチア・ポップの「シュトラウス歌曲集」を聴き慣れている。そして、ポップの「シュトラウス歌曲集」の繊細さに慣れている・・・それに比べると、「コノボックスセットの歌唱は繊細じゃない!」と思ってしまった。

しかし、「全9CDs」を聴き終え、そしてコノボックスセットの最初の1枚を聴き直すと、「悪くない」と私は思い直した。何故か? その訳は、要するに、「シュトラウスの時代、彼の歌曲は、コノヨウニ歌われたのではなかろうか」と私が感じたこと。そして思うに、「シュトラウス歌曲集に、シュワルツコップ、ディースカウの《現代的洗練・繊細・技巧》はなくても良い(あっても良いが)」「コノ歌曲集は《技巧的すぎない》のが良い」「飾り気がないところが良い」さらに「コノ歌曲集には素人の集まり:サロンの雰囲気がある」「親しみやすい」「聴いてて疲れない」etc。

なお、
コノボックスセットは録音が良い。ピアノの音は迫力あり(Steinway model D)。
ピアノ伴奏が上手い。
歌唱は、ドイツ語がきれい。

**ディースカウの「R. シュトラウス:歌曲集/ボックスセット」ありました。

リヒャルト・シュトラウス:歌曲集 フィッシャー=ディースカウ、ムーア(6CD)

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【CD1 について】

とにかく、シュトラウスは早熟だ。CD1 には、12/1870から11/9/1883までの作品(シュトラウス6才から19才まで)が収められている。それらは、一言で言って大人の歌だ。たしかに、初期の作品にはシューベルト・モーツァルトを真似た作品もあり、背伸びしたういういしさもあるが、それらにはドイツリートの伝統を受け継ぐ、いや、受け継ぐだけでなく、未来に向け発展・継承させようという野心のようなものも感じられる。

以下、ネタバレ(第4、14曲)。

・第4曲「疲れた旅人(Der müde Wanderer TrV 16 ?1873)」
歌詞大意:日も暮れた遅い時刻、岩道を影のようにさすらう男。故郷を思いながら。若き日のことを思いながら。しかし、彼に若い日は戻ってこない故郷も遠い。その時、彼は遠くから鐘が鳴るのを聞いた。それは彼に呼び掛けるかのようだだった。休らえと。その時、彼はめまいがし、よろめき、山道から落ちた。深い渓谷へと。彼は自らの墓を見つける。夕べの鐘は途絶え、かすかに聞こえる小川のせせらぎ、黒い水が落ちていく、苦痛と悲しみが落ちていく。

9才頃書かれたこの作品はユニーク。上の「歌詞大意」の太字のところ(Da schwindelt's ihn, er stürzet / Vom Pfade gäh hinab, / Tief unten in den Schluchten, / Da findet er sein Grab.)は、突然、曲想が変わる。すなわち、突然のピアノの激しさがリスナーを驚かせる。コノ部分は、9才の男の子がただ大人を驚かせるために書いた《遊び》ではない・・・古典的な歌曲・・・その良さに飽き足らぬシュトラウス少年。彼は、コノ曲に「新しさ」を付加しようとした、と、思える。

・第14曲「アルペンホルン(Alphorn TrV 64 ?1878)」
歌詞大意:アルペンホルンの音が聞こえる。それは私に届き、彼方へと飛んで行く。それは森のざわめきからか? 青い大気からか? 山頂からか、花咲き誇る谷からか? 私がどこへ行こうとも、私は甘い心痛にさいなまれそれを聞く。戯れ楽しく踊るときも孤独なときも、止むことなく私の心深くに響く。その音が鳴る場所を私はまだ知らない。そして、我が心は、その音が消え行くまで、癒えることはない。

14才頃の作品。
ホルン独奏が、前奏に現れ、さらに歌と掛け合い歌に絡む。コノ曲も、第4曲と同様の手法が使われている。しかし、第4曲と違って、何故、上の太字のところはフォルテで、しかも短調で強調されなければならなかったのか、私は分からない。

【第4、14曲以外の曲】

・第6曲「猟師(Der Fischer TrV 48 12/1877)」
ゲーテの詩に作曲している。ピアノ伴奏が凝っている。

・第7曲「つぐみ(Die Drossel TrV 49 12/1877)」
長く可愛らしいピアノの前奏が付いている。歌自体は、短く美しい。

・第21曲「ひそかに父の庭で(In Vaters Garten heimlich TrV 88 24/12/1879)」
ハイネの詩に作曲している。

・第22、23、25曲は、ルチア・ポップの「シュトラウス歌曲集」に収録されている。第22曲「咲きかけのばら(Die erwachte Rose TrV 90 12/1/1880)」を、Michelle Breedt は、ルチア・ポップより丁寧に歌っている・・・曲の終わりを、たっぷり歌っている。

【CD 1 まとめ】
やはり、女声のための作品が多い(第1, 2, 4, 7, 8, 11, 12, 13, 14, 15, 17, 18, 19, 20, 22, 23, 24, 25曲:25曲中17曲)。

【追加】
このボックスセットには、二つのブックレットが付いている。一つは歌詞対訳(英語訳、30数ページぐらい)。もう一つは、「詳細データ/演奏者たち(Facts and Figures / The Artists)」<これも英語訳付き、30数ページぐらい。
後者には、収録作品データとその演奏者名の一覧表、ブリギッテ・ファスベンダーと Jürgen May のコメント、リヒャルト・シュトラウス全作品の年表、および、演奏者紹介が記載されてある。
それら2冊のブックレットは充実している。それら2冊のブックレットを見ると、英語が堪能な人がうらやましくなる。日本語訳が付いてなくても読めるから・・・特に歌詞対訳は日本語対訳が欲しい・・・。

【参考】
ルチア・ポップの「R. シュトラウス歌曲集」歌詞対訳

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