« 2014 年(前半)に私が購入した CD ベスト10 | トップページ | NHK スペシャル「シリーズ東日本大震災 救えたかもしれない命〜災害死・4年目の検証〜」(2014年6月27日放送)/避難所生活 12万4400人/壊れた自宅へ 9500人余も/あなたは被災者の苦しみを理解できていない(2011年5月4日) »

2014年7月 1日 (火)

煮ても焼いても食えない作品「ウストヴォーリスカヤ:ピアノ・ソナタ全曲」その2(聴き比べ)

Malov
Galina Ustvolskaya:
Piano Sonatas 1-6 Oleg Malov 1993年録音

Schroeder
Piano Sonatas 1-6 Marianne Schroeder 1994年録音

Denyer
Complete Piano Sonatas Frank Denyer 1995年録音

Sokolov
Piano Sonatas 1-6, 12 Preludes Ivan Sokolov 1995年録音

Hinterhauser
Piano Sonatas 1-6 Markus Hinterhäuser 1998年録音

Liebner
Piano Sonatas 1-6, 12 Preludes Sabine Liebner 2008年録音

Formenti
Piano Sonata 6 のみ
Marino Formenti, piano
2010年録音

--

ウストヴォーリスカヤのピアノ・ソナタは、つかみどころがない・・・というか、いま第何番の第何楽章を演奏してるのかも、わからなくなる。下記は、ザビーネ・リープナー盤(2枚組)の全トラックとタイミングを、NEOS のオフィシャル・ホームページからコピーして貼付けたもの。CD 1 の最初の12曲は、言うまでもなく「12の前奏曲」である。CD 1 のトラック13から、ソナタ第1番が始まる。
全トラック(ソナタの各楽章)が区切られてある音盤は、リープナー盤以外には、Frank Denyer 盤、および Ivan Sokolov 盤だけ。

--

Galina Ustvolskaya (1919-2006)

SACD 1
total time 40:28

12 Preludes (1953) 20:54
[01] No. 1 02:31
[02] No. 2 01:21
[03] No. 3 02:11
[04] No. 4 01:31
[05] No. 5 01:30
[06] No. 6 03:49
[07] No. 7 01:06
[08] No. 8 01:03
[09] No. 9 00:54
[10] No. 10 02:24
[11] No. 11 01:10
[12] No. 12 01:25

Piano Sonata No. 1 (1947) 09:12
[13] I 01:15
[14] II 01:28
[15] III 02:55
[16] IV 03:35

Piano Sonata No. 2 (1949) 10:03
[17] I 03:29
[18] II 06:34

SACD 2
total time 49:44

[01] Piano Sonata No. 3 (1952) 17:20

Piano Sonata No. 4 (1957) 09:44
[02] I 02:01
[03] II 02:28
[04] III 01:01
[05] IV 04:15

Piano Sonata No. 5 (1986) 16:00
[06] I 01:05
[07] II 01:55
[08] III 01:09
[09] IV 00:52
[10] V 02:41
[11] VI 01:01
[12] VII 02:22
[13] VIII 01:09
[14] IX 01:57
[15] X 01:50

[16] Piano Sonata No. 6 (1988) 06:09

Sabine Liebner, piano

--

第1番の第1楽章をユーチューブから写譜した:


Ustvolskaya - Piano Sonata No. 1 (Part 1/2)

Ustvolskaya_1_1_small

ちょっと弾いてみたのだが、この楽章は、アクセント(>)が鍵。アクセントしないと、全然雰囲気でない。

--

各楽曲の簡単な解説は英語版ウィキペディアにある。
ソナタ第1番については、「repeated use of single-note values 単音価がリピートされる」とある。

・第1楽章
上記、譜例では、冒頭の音型(5音)が、第6小節の左手、第12小節(4音)、19小節に繰り返される。それらの中、第6小節のみがフーガっぽく奏されるが、その他は、ただのリピートだと思う。

・第2楽章
ソナタ第1番は、おおむね、緩急緩急(四分音符=56 - 92 - 42 - 56)からなる。第2楽章は、第1楽章のドゥーブル(変奏)のように聞こえる。

・第3楽章
静寂の楽章。第1楽章の音型が使われてあるかどうか、わからないが、主な音型は、多分、新たに提示される。

・第4楽章
静かに始まり、そのあと、自由な発想で音楽が展開される。

--

・演奏比較
ザビーネ・リープナー(Sabiene Liebner)
繊細な演奏だが、この作品(第1番)が持つ、静けさと激しさのコントラストをもっと強くしたほうが良かったと思う。
その他の曲も、だらだらしてるように聞こえる。

Frank Denyer
英語版ウィキペディアに、「Frank Denyer, Ivan Sokolov, Markus Hinterhäuser による録音が、ウストヴォーリスカヤのお気に入りである」と書いてある。
Frank Denyer の演奏は力強い。はっきりした輪郭が、各楽章を性格付ける。たしかに、作曲者自身が気に入った演奏だけあって、作品に忠実な演奏:静かな楽章はリープナーの繊細さに劣るが、激しい部分(楽章)において、このつかみどころない作品群の魅力を聞かせる。
私の主観では、リープナーと Frank Denyer の演奏は両極であって、(大雑把に言って)その他の演奏者による演奏はリープナーと Frank Denyer の両者のいずれかに近い、と、私には聞こえる。すなわち表現力において細やかな技巧を聞かせる繊細なリープナーと、少々粗いが激しくストレートに作品の魅力を聞かせる Frank Denyer。

Marianne Schroeder
最後まで聴き通すのはきつい。第1番 第1楽章の「第6小節〜」の左手(冒頭の主題)がよく鳴り、かっこいい。そのテンションを最後までキープしてほしかった・・・彼女の演奏は、ウストヴォーリスカヤの「ピアノ・ソナタ全曲」に対するアプローチが、明確じゃないのか・・・。
やっぱり、英国アマゾンのカスタマーレビューが、うなずける(「ウストヴォーリスカヤ:ピアノ・ソナタ全曲」その1参照)。

Ustvolskaya_1_2_small
第1番 第1楽章の「第6小節〜」(midi <--- ココをクリックすると音が出ます)

(2014−7−1)

(下に続く)

Ivan Sokolov
・録音
この音盤(PIANO CLASSICS)は編集ミスがある。たとえば、第1番の各楽章はアタッカでつながっているが・・・つまり、それらは続けて演奏されなかればならないが、第1〜2楽章、第2〜3楽章、第3〜4楽章の間、音楽が途中で切れる。
・演奏
テンションが高い。メリハリがある。おおむねテンポが速い(リープナーも速いが)。しかし、たとえば、「第1番 第4楽章」の静と動のコントラスト、および、「第2番 第2楽章」のウストヴォーリスカヤのスローなテンションと雄弁さは、打鍵が強すぎて、うるさいと聞こえるかも知れない(Frank Denyer の打鍵も強いが許容範囲内か。一方、Sokolov の打鍵は強すぎるか)。
・演奏時間比較
Sabiene Liebner 第1番 1:15/1:28/2:55/3:35 第2番 3:29/6:34 第3番 17:20
Frank Denyer 第1番 1:26/1:23/4:06/3:40 第2番 3:10/7:00 第3番 19:45
Ivan Sokolov 第1番 1:13/1:23/3:04/3:33 第2番 3:44/5:47 第3番 16:39

Oleg Malov
「Symphonies 2, 3, 4 & 5」が良かったので期待したが、下のヒンターホイザーより面白くない。ただし、聞きやすい。つまり、テンポが速く、あっさりした演奏、と、言ってもいいだろう(全曲を67分あまりで演奏している。コレは、Ivan Sokolov の演奏のトータルタイムとほぼ同じ)。

マルクス・ヒンターホイザー(Markus Hinterhäuser)
マルクス・ヒンターホイザーのモートン・フェルドマン(Palais de Mari, Triadic Memories, For Bunita Marcus)は全然面白くない。彼の「ウストヴォーリスカヤ:ピアノ・ソナタ集」も面白くはないが、傷がないという点で、コレを決定盤と見なしていいかも知れない(ただし、私は面白いとは思わない。コノ人のピアノの音は美しいと思わない)。私の主観では、ヒンターホイザーは、ウストヴォーリスカヤのピアノ・ソナタの多様な性格を弾き分けている、と、聞こえる。第2番の第2楽章における「熱い」クライマックス(対位法)、第3番(第3番は単一楽章でありながら、ウストヴォーリスカヤの6つのピアノ・ソナタの中で一番長い。ヒンターホイザーの演奏で17分23秒)の秀でた、あるいは、巨匠的作曲技法、第4番の「荒涼」たるコントラスト(mixed with stark contrasts)、それらは、ヒンターホイザーの冷静さ、クリティカルな態度、無難さをもって、うまく料理されていると思う。しかし、それ以上でもそれ以下でもないと思う。


Ustvolskaya - Piano Sonata No. 2


Galina Ustvolskaya ~ Sonata No. 3


Ustvolskaya - Piano Sonata No. 4

ウストヴォーリスカヤ:ピアノ・ソナタ集は、どれがいいのかわからない。結局、米国アマゾンのレビューにあるが如くか;

Marino Formenti's 6th Sonata is edgy and violent which tells it from the other great performances by Markus Hinterhauser, Frank Denyer, Ivan Sokolov. -- Marino Formenti の第6ソナタは鋭く暴力的だ。その点、彼の演奏は、他の偉大な演奏家たち、マルクス・ヒンターホイザー、Frank Denyer, Ivan Sokolov の演奏とは違う。

(2014−7−7)


« 2014 年(前半)に私が購入した CD ベスト10 | トップページ | NHK スペシャル「シリーズ東日本大震災 救えたかもしれない命〜災害死・4年目の検証〜」(2014年6月27日放送)/避難所生活 12万4400人/壊れた自宅へ 9500人余も/あなたは被災者の苦しみを理解できていない(2011年5月4日) »

ウストヴォーリスカヤ, ガリーナ」カテゴリの記事

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/276661/56176029

この記事へのトラックバック一覧です: 煮ても焼いても食えない作品「ウストヴォーリスカヤ:ピアノ・ソナタ全曲」その2(聴き比べ):

« 2014 年(前半)に私が購入した CD ベスト10 | トップページ | NHK スペシャル「シリーズ東日本大震災 救えたかもしれない命〜災害死・4年目の検証〜」(2014年6月27日放送)/避難所生活 12万4400人/壊れた自宅へ 9500人余も/あなたは被災者の苦しみを理解できていない(2011年5月4日) »

2017年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

カテゴリー

無料ブログはココログ