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2014年7月25日 (金)

ニーナ・コトワの「バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲」

Kotova

Johann Sebastian Bach (1685-1750)
The Cello Suites, BWV 1007-1012
Nina Kotova, cello

【収録情報】

CD 1 [62.04]

Suite No. 1 in G Major, BWV 1007 [18.48]
01 I. Prélude [2.32]
02 II. Allemande [4.49]
03 III. Courante [2.52]
04 IV. Sarabande [3.01]
05 V. Menuet I - II [3.43]
06 VI. Gigue [1.51]

Suite No. 2 in D minor, BWV 1008 [20.04]
07 I. Prélude [3.17]
08 II. Allemande [3.15]
09 III. Courante [1.59]
10 IV. Sarabande [5.51]
11 V. Menuet I - II [3.11]
12 VI. Gigue [2.31]

Suite No. 3 in C major, BWV 1009 [23.11]
13 I. Prélude [4.03]
14 II. Allemande [3.47]
15 III. Courante [3.00]
16 IV. Sarabande [4.26]
17 V. Bourrée I - II [4.43]
18 VI. Gigue [3.12]

CD 2 [75.13]

Suite No. 4 in E flat major, BWV 1010 [23.38]
01 I. Prélude [4.25]
02 II. Allemande [3.42]
03 III. Courante [3.51]
04 IV. Sarabande [3.53]
05 V. Bourrée I - II [5.19]
06 VI. Gigue [2.28]

Suite No. 5 in C minor, BWV 1011 [23.17]
07 I. Prélude [5.54]
08 II. Allemande [5.32]
09 III. Courante [2.22]
10 IV. Sarabande [3.29]
11 V. Gavotte I - II [4.55]
12 VI. Gigue [2.06]

Suite No. 6 in D major, BWV 1012 [27.16]
13 I. Prélude [4.30]
14 II. Allemande [6.32]
15 III. Courante [3.34]
16 IV. Sarabande [4.43]
17 V. Gavotte I - II [4.09]
18 VI. Gigue [3.48]

--

私の評価:7月25日現在、2094円。安いので星5つ。高ければ、星4.5。

--

 しかし、この6曲の最大の特徴は、「無伴奏」であるということである。バッハの時代の考えからすれば、旋律楽器なら必ず伴うはずの「通奏低音」がないところにその特徴があるわけだが、そこからさらに、旋律楽器であるチェロ自体が同時に「通奏低音」の役割を演ずるという、「無伴奏」ならではの特徴が生まれざるをえないことがわかる。
 しかしそれは、どのようにして可能になるのであろうか。バッハが用いた代表的な方法として2つをあげることが出来る。その第一は、ポリフォニーあるいは複数声部の進行のように機能する1本の旋律を着想する方法である。第1番のプレリュードの冒頭である譜例1は、実際には1本の旋律ながら、音楽的には譜例1aのような和声進行の意味をもっているのである。その第二は、実際に和音を弾く重音奏法の利用である。やはり第1番のサラバンドの出だしである譜例4は、バッハが重音奏法を用いているばかりか、その記譜の仕方によっても音楽をポリフォニーとして着想していたことを、読み取ることができる。以上はほんの一例であるが、このように1本の旋律によってそれに内在する和声進行を意識させるとか、和声的素材を旋律形成に役立てるとか、ある音の動きに和声的機能を、他の音の動きには純粋に旋律的機能を期待するといった手法、有名な音楽学者エルンスト・クルト(Ernst Kurth 1886 - 1946)が名づけたところの「1声部の線のポリフォニー」こそが無伴奏音楽の類いまれな特徴なのである。
(作曲家別名曲解説ライブラリー J.S.バッハ 153ページより)

Bach_cello_suite_1_1
譜例1(midi

Bach_cello_suite_1_2
譜例1a(midi

Bach_cello_suite_1_3
譜例4(midi

--

・ニーナ・コトワの「バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲」
録音は、オンマイク気味で奇麗じゃない。あるいは、この人のチェロの音自体が奇麗じゃない、優美じゃない、骨っぽい音かも知れない(第6番にてようやく柔らかい音が聞こえるような気がする)。

彼女の技巧は十分だと思う。ボーイングはやや乱暴でやや粗いと思う。第1番のアルマンド、クーラント、サラバンドは、なめらかさ、つややかさ、あざやかさ、を、欠くと思う(それらの曲はリピートを聴くのが辛い)。彼女のバッハ:無伴奏チェロ組曲第1番を聴いたとき、私は「このCDは買わなければ良かった」と、思った。

しかし、2〜3回聴いてみると、第1番のジーグあたりから、このアルバムは良くなる。このアルバムにて、曲が作品番号順に収められていることは意義がある。なぜなら、このアルバム、第2番以降、演奏が段々良くなり、第6番(彼女の技巧が冴える)で頂点に達する。

第2番以降の良い演奏は、第2番クーラント(速いテンポ)、第3番ブレー2、ジーグ(荒っぽい。その荒っぽさが私は気に入った)、第4番プレリュードの激しい動き、クーラント、第5番プレリュード(これはフランス風序曲であり、その疑似フーガは彼女の実力を聞かせると思う)、第5番アルマンド、クーラント、サラバンド、など・・・。

繰り返すが、2〜3回聴いてみると、ニーナ・コトワの「バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲」は、しっかり構成されているのがわかってきた。大胆さ荒さの中に、美の一瞬がある。「バッハの無伴奏チェロ組曲」は、パブロ・カザルス以来、多くの巨匠・名手たちによって、その美が追求されてきた。ニーナ・コトワの演奏はそれらの演奏の仲間入りをしたと思う。

--

そもそも私は、バッハの無伴奏チェロ組曲は、苦手である。過去に所有していた「音盤」の中では、唯一、リズミックなロン・カーター盤のみが良いと思っていた(ロン・カーターは、上記の赤字だけ演奏している。良い演奏である)。
私の家の火災前に所有していた下記10種は焼失し、その後、いずれも買い直してない。よって、「聴き比べ」できない・・・たとえば、ビブラートの使い方など・・・ニーナ・コトワのビブラートはほとんど聞こえない。

無伴奏チェロ組曲
カザルス 1936 - 39年録音
フルニエ 60年
シュタルケル 63, 65年
藤原真理 82年
トルトゥリエ 82年
マイスキー 84, 85年
マイスキー 99年
ヨーヨー・マ 94 - 97年
ダニエル・ミュラー=ショット 2000年
ジャクリーヌ・デュ・プレ(全曲盤ではない)

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