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2014年6月12日 (木)

ダナエ・デルケン(デールケン)の「C.P.E.バッハ、シューベルト、シューマン」

※下記「お知らせ」をココに掲示します

【お知らせ このアルバムは、Amazon.co.jp にて発売されるようだ。発売予定日は2014年7月29日。いまなら¥2,234】

Fantasy Danae Dörken

(2014−6−13)

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Dorken

Fantasy [Hybrid SACD]
Schumann: Fantasie C-Dur op. 17
C. P. E. Bach: Fantasia fis-Moll
Schubert: Fantasie C-Dur op. 15 "Wanderer"
Danae Dörken, piano
Recording: 2014
ARS Produktion

--

【収録情報および演奏時間】

Robert Schumann:
Fantasie C-Dur op. 17
1. Durchaus phantastisch und leidenschaftlich vorzutragen 13:59
2. Mäßig. Durchaus energisch 8:26
3. Langsam getragen. Durchweg leise zu halten 12:05

Carl Philipp Emanuel Bach:
4. Fantasia fis-Moll 14:45

Franz Schubert:
Fantasie C-Dur op. 15 "Wanderer"
5. Allegro con fuoco, ma non troppo 6:29
6. Adagio 7:08
7. Presto 5:40
8. Allegro 4:00

--

英国アマゾンにて購入。高かった。このアルバムは、2014/6/11現在、日本では売ってない。

Item(s) Subtotal: GBP 13.73
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ダナエ・デルケン(あるいは、デールケン)。1991年、ドイツ=ギリシャ系の両親の間に生まれる。ドイツ、ヴッパータール(Wuppertal、ノルトライン=ヴェストファーレン州)出身。彼女のデビュー・アルバムにおける「美しい音と技巧」が気に入ったので、このセカンド・アルバムを購入。

ダナエ・デルケンのセカンド・アルバム。このアルバムの魅力は、彼女の若さ、ういういしさだと思う。
たとえば、デルケンの「シューマン:幻想曲 ハ長調」は、安定感・表現力において、マリラン・フラスコーヌに負ける。

(注:私は、フラスコーヌの「シューマン:幻想曲」について、「全然面白くない」と書いたが、改めて聴いてみると、フラスコーヌの同曲は、ユニークな解釈、秀でた技巧(運指)と表現力を聞かせる名演奏だった)

そして、解釈、繊細さ、貫禄、その他すべてにおいて、デルケンは、アルゲリッチに負ける(アルゲリッチはうますぎる)。

(デルケンの「シューマン:幻想曲」と、ポリーニ、および、「1965年 カーネギー・ホール ザ・ヒストリック・コンサート」におけるホロヴィッツの同曲とは、比較できない。なぜなら、私は、同曲、ポリーニ盤とホロヴィッツ盤を火災で失ったからだ)

だが、このアルバムの録音時(2014年1月)、デルケンはまだ、22または23才だった。
デルケンの若々しさ。

--

・シューマン:幻想曲 ハ長調
この作品について、感想文を書くには、スコアが必須・・・というか、私はこの曲は好きだが複雑な曲なので苦手(「作曲家別名曲解説ライブラリー シューマン」によれば、第1楽章、自由なソナタ形式。第2楽章、ロンド形式。第3楽章、自由なソナタ形式とあるが、私はさっぱり分からない)。
この作品は、「子どもの情景」や「クライスレリアーナ」よりも人気がある作品かも知れない。私は、冒頭の気持ち悪い左手の伴奏を聴いただけで、この作品にノックアウトされてしまう。

Schumann_fantasie_c_dur_2_2
(二分音符=80の場合(シューマンの指示)midi、二分音符=50の場合(遅いテンポ)midi <--- ココをクリックすると音が出ます。)

デルケンの演奏(録音)では、第1楽章、上記譜例の青色の矢印で示した「ソ」の音、およびその音域がよく響く。<==録音技師が彼女の音を録るときに低音域を強調したのか、それとも、デルケンが、意図的にそう弾いているのかは、分からない。

アルゲリッチとフラスコーヌは、多分、赤の矢印の「全音符」がうまいんじゃないか(結局、「主旋律」「伴奏」「赤の矢印の全音符」は、3つのパートを成しているのだろう)。それに対して、デルケンは、その「全音符」に無頓着であるように聞こえる。デルケンの良いところは素直さ。そして、デルケンの演奏では「シューマン:幻想曲」の形式的美が知的ではなく感覚的に聞こえる。たとえば同じ主題の繰り返しが散漫。だが、第1楽章の3分04秒、11分03秒のレチタティーヴォで音楽が停滞するのは美しく新鮮。第1楽章の終わり方は丁寧であり、第3楽章は、たっぷり歌われているのは良い。アルゲリッチの的確かつ繊細なコントロールよりも、デルケンの「あいまいさ」「つかみどころの無さ」「きまぐれ(?)」「うまいのかどうか分からない技巧(?)」のほうが、文字通り“幻想”という性格には合っているかも知れない。彼女はそれを意図的にやっているのかどうか不明であるが、その不明であること、そのこと自体が良い(つまり、自然体だ!)。ただし、それを好むか否かはリスナーの嗜好に依存する。私は、「シューマン:幻想曲」におけるデルケンの「歌」「叙情性」「スローテンポ」「したたかでないこと」が好きだ。第3楽章の最後の結びは、しっかり間を置いている・・・それは、メジューエワ的はったりを思わせるのが良い・・・メジューエワは、この曲を録音していない・・・(訂正:録音してました。コメント欄参照のこと)。

シューマン:幻想曲 ハ長調 演奏時間比較

アルゲリッチ 11:17 6:52 9:30
フラスコーヌ 12:22 7:41 9:51
デルケン 13:59 8:26 12:05

以上、私のシューマンについて研究不足のため、デルケンのシューマンの良さを具体的に書けなかった(中途半端になってしまった)。デルケンのシューマンに、アルゲリッチらのうまさは、はっきり言って、無い・・・が、彼女の演奏は新しいと思う。

(追加)それにしても、シューマンの「幻想曲 ハ長調」は、何度聴いても訳がわからない作品だ。

(2014−6−12)

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【お知らせ このアルバムは、Amazon.co.jp にて発売されるようだ。発売予定日は2014年7月29日。いまなら¥2,234】

Fantasy Danae Dörken

(2014−6−13)

(つづく)

==

・カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ Carl Philipp Emanuel Bach(1714 - 1788):幻想曲 嬰ヘ短調
晩年の作品(1787年)。トッカータっぽい。冒頭は、「平均律第2巻 ヘ短調」の前奏曲に似ている。3分08秒は「パルティータ BWV 836」の第1曲「トッカータ」に似ている(大バッハへのオマージュか)。2分38秒でテンポが速くなるところの鮮やかさ、および、そこに行くまでの感傷が微妙な熱を持っていて良いと思う・・・その乗りの良さが最後まで持続する・・・繰り返される。9分30秒あたりに山がある(その緊張感が良い)〜ダ・カーポ(感傷的、微熱)〜11分50秒あたりにまた山がある(緊張感)。その繰り返しはイレギュラで不安定に聞こえる。この作品は、エマヌエル・バッハ晩年の作品である。にもかかわらず「不安」。その「不安」が、若いデルケンに合っていると思う。

・シューベルト:幻想曲 ハ長調 D760《さすらい人》
私は、この曲は嫌い。それに、この曲は名曲だと思わない。高橋アキとメジューエワ盤を改めて聴いてみたが、やはり、名曲であるとは思わなかった。ということは、デルケンの演奏によって、「D760 が名曲である」と思うことができれば、その演奏は名演だということになる。果たして、良い演奏だった。が、やはり、この曲は「名曲」だとは思わない。多分、この曲は、名曲ではないんだろう。
第1楽章、悪く言えば大味。良く言えば、豪快&恣意的でない。
第2楽章、「リート」がよく歌われ、次第に細分化されていくリズムが丁寧というより「ゆきあたりばったり」、つまり、これまた恣意的でない(だが自然体とは言えないだろう)。
デルケンは全体的に素朴・・・というより、(この作品の)複雑さを嫌っているという感じがする・・・複雑な作品を精密に弾かない、その裏切りが良い・・・そして、何と言っても、これまた、若々しく、ういういしい。

高橋アキ 7:11 8:02 5:35 4:18
メジューエワ 6:13 6:49 5:02 3:47
デルケン 6:29 7:08 5:40 4:00

デルケンのテンポは、高橋の演奏のような遅いテンポではないので退屈しない。メジューエワの演奏時間とは、あまり変わらないが、デルケンのほうが、幻想曲的な不安定感が生きていると思う。結果的に、上記3つの中で一番気に入った。

・録音について
「ヤナーチェク:ピアノ独奏曲聴き比べ」で書いた)彼女のデビュー・アルバムは「オーディオ的に」音が良かったと思う。彼女のデビュー・アルバムであるヤナーチェク作品集は、静かな曲が多かった。それに対して、このアルバムに収められたシューマンとシューベルトは、「サウンド」が物を言う作品だ・・・それで、私は、最初、このアルバムを、ついつい大音量で聴いてしまった。そして「これは必ずしも録音が良くない」「ノイジーだ」と、思ってしまった。が、このアルバムは、本当は、「オーディオ的に」良い音なのかも知れない・・・というのも、私のオーディオ環境は骨董品のような機器「Stirling HW & Lux L-560」。だから、この録音の本当の美しさがわからないのかも・・・。したがって、もし、このアルバムが本当に良い音であれば、あなたが、この音盤をよく鳴らすために、最新の機器を駆使するのは楽しいことだろう。

(追加)シューベルトのピアノ・ソナタは、「D850」と「D894」が私は好きだ。「D850」は、アリス=紗良より、メジューエワのほうが、良かった、と、記憶する。

(2014−6−24)

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コメント

KMさま。いつも興味深く読んでおります。メジューエワはベートーヴェン17番「テンペスト」とのカップリングで、シューマン「幻想曲ハ長調」を録音しております(若林公房 WAKA-4104)。今でも購入可能なはずです。2003年と2004年の録音で、メジューエワ節全開となっています。

コメントありがとうございます。また、いつも読んで下さっている、とのこと、うれしいです。

さて、

>メジューエワはベートーヴェン17番「テンペスト」とのカップリングで、シューマン「幻想曲ハ長調」を録音しております

あらっ! メジューエワは、「幻想曲ハ長調」録音してますね。

しかも、それを、私、持ってました。

メジューエワはシューマンがうまい、という評価があるので、「幻想曲ハ長調」もあるはずだと思いましたが、やっぱりありましたね。

いずれ、感想を書きたいと思ってます。

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