« ゲオルク・ティントナーの「ブルックナー:交響曲全集」を、少しずつ聴く(第3、5番) | トップページ | ジョン・ケージの「ONE - ONE2 - ONE5」 »

2014年5月 4日 (日)

アラベラ・シュタインバッハーの「モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 Nos 3, 4 & 5」

Stainbacher

Mozart - Violin Concertos Nos. 3, 4 & 5
Arabella Steinbacher, violin
Festival Strings Lucerne
Daniel Dodds, leader
Recording 2013

Violin Concerto No. 3 in G, K.216
Cadenzas by Wolfgang Schneiderhan

Violin Concerto No. 4 in D, K. 218
Cadenzas by Joseph Joachim

Violin Concerto No. 5 in A, K. 219
Cadenzas by Joseph Joachim

硬派のモーツァルト。

アラベラ・シュタインバッハーが「ブラームスの協奏曲」で聞かせた、人を酔わせるボーイング(特に展開部、トラック1の12分46秒あたり)が、私のお気に入りだった。彼女のモーツァルトにも、私は、それを期待したが、彼女はもうそれを卒業していた。私は、シュタインバッハーの「プロコフィエフ:協奏曲集」に対するレビューに、「この演奏はシュタインバッハーがこれまで発表したアルバムのなかで最も出来が良いものかも知れない」と書いたが、シュタインバッハーの現時点における最新アルバム「モーツァルト:協奏曲集」は、上記プロコフィエフを超えていると思うし、より深化したと思う。このモーツァルトは、HMV のレビュー:

「のびやかなフレージングと温かみを失わない音色で情感豊かに弾き上げており、音楽がギスギスしたり、縮こまったりしていないのがよい(Berg: Violin Concerto Steinbacher Deadman returns さん HMV より)」

すなわち(このモーツァルトは)ベルクの協奏曲、ブラームスの協奏曲でシュタインバッハーが聞かせたフレージングを知っている人には、禁欲的であるとさえ思えるだろう・・・細かいことを指摘すると、きりがないが・・・「第3番の再現部の入り」「同再現部の第2主題」「第5番第1楽章のヴァイオリンソロの入り」そして「第5番の終楽章は『トルコ行進曲』までモチベーションが高い(私は、第5番のトルコ行進曲は余計なものと思っていたが、シュタインバッハーの演奏では、珍しく、それが、生きている)」・・・など、すべてがクール(カッコいい)、また、なべてツボを押さえた演奏である。そして、どの曲も「カデンツァ」が良い(「カデンツァ」が良いということは、シュタインバッハーがモーツァルトを、自己主張のための素材として扱っているのではないか、とさえ思わせる・・・)。

モーツァルトのヴァイオリン協奏曲は、いままでに、多くの名ヴァイオリニストによって演奏・録音されてきた。そして「もうこれ以上新しい弾き方をするのは難しい」と私には思われた・・・その中で、新しい演奏の可能性として、シュタインバッハーが提起したのは「さらに手堅く、さらに正攻法に」であった(Festival Strings Lucerne & Daniel Dodds のアンサンブルが、あまり良くないので、かえってそう思わせられる)。その点において、ユリア・フィッシャーの未熟さに差をつけた。「It was finally time for Mozart」(満を持して)というシュタインバッハーの言葉は、このアルバムにぴったりだ。

「彼女の楽器を大音量で聴くに耐える」ペンタトーンの録音技術に快感を感じる。

・最後に
シュタインバッハーのモーツァルトが、「これまでの彼女に比べると冷静であり、禁欲的に聞こえる」という私の意見に異議がある人は、Amazon.co.jp にて「このレビューは参考になりましたか? いいえ」をクリックして下さい。

【Amazon.co.jp へのリンク】
Mozart - Violin Concertos Nos. 3, 4 & 5 Arabella Steinbacher

« ゲオルク・ティントナーの「ブルックナー:交響曲全集」を、少しずつ聴く(第3、5番) | トップページ | ジョン・ケージの「ONE - ONE2 - ONE5」 »

モーツァルト」カテゴリの記事

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/276661/56059831

この記事へのトラックバック一覧です: アラベラ・シュタインバッハーの「モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 Nos 3, 4 & 5」:

« ゲオルク・ティントナーの「ブルックナー:交響曲全集」を、少しずつ聴く(第3、5番) | トップページ | ジョン・ケージの「ONE - ONE2 - ONE5」 »

2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

最近の記事

カテゴリー

無料ブログはココログ