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2014年4月 8日 (火)

ゲオルク・ティントナーの「ブルックナー:交響曲全集」を少しずつ聴く(第7番)

Tintner

Anton Bruckner (1824-1896)
The Complete Symphonies (12-CD Boxed Set)
Royal Scottish National Orchestra
* National Symphony Orchestra of Ireland
** New Zealand Symphony Orchestra
Georg Tintner
Recorded 1995/98

CD 1
Symphony No. 1 in C Minor, WAB 101 (orig. 1866 unrevised Linz version, prep. W. Carragan)
Symphony No. 3 in D Minor, WAB 103: II. Adagio (1876 version, ed. L. Nowak)

CD 2
Symphony No. 2 in C Minor, WAB 102 (1872 first version, ed. W. Carragan) *

CD 3
Symphony No. 3 in D Minor, WAB 103 (original 1873 version, ed. L. Nowak)

CD 4
Symphony No. 4 in E-Flat Major, WAB 104, "Romantic" (1881 version, ed. R. Haas)

CD 5
Symphony No. 5 in B-Flat Major, WAB 105

CD 6
Symphony No. 6 in A Major, WAB 106 (ed. R. Haas) **

CD 7
Symphony No. 7 in E Major, WAB 107 (original 1885 version, ed. R. Haas)

CD 8
Symphony No. 8 in C Minor, WAB 108 (original 1887 version, ed. L. Nowak) *

CD 9
Symphony No. 8 in C Minor, WAB 108: IV. Finale (original 1887 version, ed. L. Nowak) *
Symphony No. 0 in D Minor, "Nullte", WAB 100 *

CD 10
Symphony No. 9 in D Minor, WAB 109 (original 1894 version, ed. L. Nowak)

CD 11
Symphony No. 00 in F Minor, "Study Symphony", WAB 99
Symphony No. 4 in E-Flat Major, WAB 104, "Romantic": IV. Finale, "Volksfest" (1878 version, ed. L. Nowak)

CD 12
Tintner on Bruckner: A lecture given to the National Youth Orchestra of Canada in August 1974

【HMV.co.jp へのリンク】
ブルックナー:交響曲全集 ティントナー&スコティッシュ・ナショナル管、アイルランド国立響、ニュージーランド響(12CD)

【前書き1】

例によって、2009年の私の自宅の火災の話。私は火事のことばかり書く。「それを読むのはもうイヤだ」と思われる読者もいらっしゃると思いますが、一応書いておかないと、他の演奏との「聴き比べ」ができるかできないか、ということ、つまり、私のこの感想文の「前提条件」に関係あることなので、ココに書きます。
私は、火災の前、ショルティのブルックナー全集、シャイーの全集、シモーネ・ヤングのブルックナーの一部、ティントナーによる全集の約半分、その他、シノーポリ盤などを持ってました。(カテゴリー:ブルックナーを参照してください)

【前書き2】

私は、ブルックナーの交響曲は苦手・・・。実は私はマーラーの交響曲も自信ない。そしてショスタコーヴィチの交響曲も苦手。ショスタコについては、バーンスタインが録音したもの以外は、私、「作品そのもの」をよく知りません。

--

まずは、私がよく知っている「ブルックナー:交響曲第7番」です。
彼の交響曲の中で最も人気があると言ってもいい「第7番」から書きます。

ゲオルク・ティントナー指揮「ブルックナー:交響曲第7番」を「大音量」で聴いての感想。

Anton Bruckner (1824-1896)
Symphony No. 7 in E Major, WAB 107 (original 1885 version, ed. R. Haas)
Royal Scottish National Orchestra
Georg Tintner
Recorded 1997

第1楽章 22:12
第2楽章 21:57
第3楽章 10:49
第4楽章 12:54
合計   65:54

これは、ティントナーのブルックナー全集の中では、私が気に入ったものの一つ。

ヴァイオリン対向配置だと思うけど、その効果は、たとえば、シノーポリ盤ほどは効いてないような気がする(多分、録音の問題)。

録音は良いと思う。ただし、若干、音が乾いていて、オーディオ環境によってはキンキン聞こえるところがあるかも知れない。それは、NAXOS 特有の音か?
私は気にならない。

この演奏の特徴は、何と言っても、Royal Scottish National Orchestra という超一流ではない、しかも、多分、ブルックナーに強くないオーケストラから、過不足ないサウンドを引き出していることだと思う。

第1楽章の開始〜第1主題【注】からして、素晴らしい(2オクターブの飛翔。ミーシーミシミ#ソシー。これは、ブルックナーが書いた最もスケールが大きい主題ではなかろうか・・・と、ブルックナーが苦手な私が言う)。ティントナーの指揮する第1主題はおおらかだ。否、「おおらか」というより、ドイツ語の、ゲナウ(genau 正確な)という言葉が当てはまるかも・・・。

第2楽章。ティントナーの第2楽章を聴いて、私がこの曲を初めて聴いた頃のことを思い出した(私が、ド田舎の高校に通っていた頃のこと。その高校から帰る時に、私が、自然に囲まれた駅のホームにて一人で夢想していると、ブルックナー第7番第2楽章の第1主題が私の脳味噌の中で鳴った。目に映るのは、どんよりした雲間に最後の日を差す夕日。その夕日が沈むの見て、私は、自分も死ぬことを実感した。その実感を36年後のいま、また実感している。あの駅のホームに行きたくなった)。

「ああ、ブルックナーってすごいなあ」・・・特に、大音量で聴くと、頂点に至ったブルックナーのオーケストレーションは、さすがに、彼がワーグナーの崇拝者だけあって、かなりクールだ(カッコいい)。しかし私が強調したいのは、ティントナーのブルックナー7番が自然体であること。そして、アンサンブルの良さ。弦と管のバランス・・・弦と管がうまくミックスされていると思う(たとえば、もし、シモーネ・ヤングのブルックナーが、弦か管のどちらにかに重心が置かれ音が傾いているとしたら、ティントナーのブルックナーには、それがない)。ブルックナーの言いたいことが、ブルックナー本人によって語られているようだ。つまり、最近の指揮者と違って、ティントナーは、必要かつ十分な音しか出さない。

ただし、第1楽章の再現部と第2楽章の中間部の頂点にて、ヴァイオリンがオブリガートのようにからむ。その「オブリガート的なヴァイオリンの動きが少ししつこい」と思われるリスナーもあるだろう。また第3楽章の中間部は、ティントナーの「思い入れが過ぎる」かも知れない。つまり、ティントナーの第3楽章は、「スケルツォ」ゼア・シュネル(非常に速く)、「トリオ」エトヴァス・ラングザーマー(スケルツォよりやや遅く)の対比があるのはいいが、「スケルツォ」はゼア・シュネルなので、もっと、あっさり速く行ってもいいのじゃないかと思う。そう思いながら聴いていると・・・第3楽章の最後の一音に、私の手足や五感がピクッと反応した。

第4楽章。管の音が大きすぎる(3分19秒、9分40秒)。ここも、第1、2楽章同様に、必要かつ十分であって欲しかった。すなわち、第4楽章は少ししつこいかも知れない。そのティントナーのしつこさを嫌うリスナーもあるだろう。つまり、第1、2楽章は、むしろそのクールさに圧倒されるが、第3、4楽章は、少しエキサイトしているように聞こえる。しかし、第4楽章の最後の一音にもまた、私の手足や五感が反応する。

ティントナーのブルックナー7番は、第1、2楽章がよく、第3、4楽章はもしかしたら完璧ではない(もしかしたら緻密でない)と言えるかも知れない。

ティントナーという指揮者はブルックナーの交響曲の「版」にこだわったが、同じく「版」にこだわった「ある意味」アウトサイダー的指揮者インバルに比べると、正当的で古いタイプの指揮者だと思う。

【注】チェロを主体とするこの雄大な楽想の由来について前記のウィーン・フィルの指揮者ハンス・リヒターが尋ねたところ、ブルックナーは次のように答えたといわれる。「あれはぜんぜん私の考えついたものじゃないんです。夢のなかでドルン(キツラーがリンツを去ったのち後任としてウィーンから来た人物で、ブルックナーの友人となった)がこれを口笛で吹いて、『ブルックナーさん、このテーマで幸運をつかんでください』と言ったんです。そこで私は起きて、ロウソクに火をつけて、すぐに書き記したのです」と。(作曲家別名曲解説ライブラリー5「ブルックナー」92ページより)

(続く)

・・・

【2016−11−14 追加】

Bruckner_7_1
ブルックナー:交響曲第7番 第1楽章 第1主題(midi)←2オクターブの跳躍です。

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