« 児玉麻里の「ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ Nos. 28, 29 Hammerklavier」 | トップページ | イヴァーナ・ガヴリクの「グリーグ:ピアノ独奏曲集」 »

2013年10月 3日 (木)

ケント・ナガノの「ブルックナー8番」(1)

このエントリーは、http://koshiro-m.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-eaf7.htmlに続きます

--

【ケント・ナガノの8番に触れる前に】

Karajan

カラヤン/Vpo
1890年ハース版
1988年セッション録音
16'56 + 16'25 + 25'13 + 23'59 = 82'49

Wand

ヴァント/Bpo
ハース版
2001年ライヴ録音
17'03 + 16' 07 + 27'36 + 26'21 = 87'07

買い戻して久しぶりに聴いてみた。

上は、トロンボーン吹きさんが、高く評価していた2つの演奏だと思う。

私は、ヴァント盤に軍配が上がると思う。

カラヤン盤は、芸が細かい。押さえるべきところはすべてちゃんと押さえている。欠点がない。美しさという点では、ヴァント盤をしのぐと思う。しかし、カラヤン盤はリスナーに「解釈」を強いると思う。

ブルックナーの8番は「Apocalypse(黙示録)」というニックネームを持つ。それは、ブルックナーが付けた題名ではない。第1楽章の終わりに、トランペットが強く演奏されるところが「最後の審判」のラッパを思わせるので、そういうニックネームが付いたのだろう。

私は小学生の時、天文学の本で読んだ・・・何億年後か分からないが、いずれ太陽が赤色巨星になり地球の軌道を飲み込む時、人類はそれまでに他の惑星に移住しないと絶滅する。

ブルックナー8番、第4楽章コーダの始めで第1楽章第1主題が再現するところは「終末」を感じさせて欲しい。その「終末」の意味は「失恋」「病」「死」「巨大災害」「小惑星の衝突や太陽の膨張による人類の絶滅」・・・何でも良い。

カラヤンのブル8は古いタイプの演奏であると思う。第1楽章のトランペット(最後の審判)、第4楽章の第1楽章の再現(終末)、カラヤンの演奏において、それらはいずれも明快である。しかし、カラヤンの演奏は表現・スタイルが古いと思う。楽器の鳴らし方が古い。簡単に言ってしまえば、カラヤンの音は20世紀の音である。「カラヤンよりヴァントの演奏のほうがモダンだ」というと(異論もあろうが)私はそう思う。

カラヤンのブル8は、聴きたいところだけ聴けば十分。ヴァントの演奏は全曲を通して聴いてみたくなる(後者のほうが、長い演奏なのに・・・)。その理由は、古い演奏法と新しい演奏法の違いだと思う。カラヤンの演奏が「ウィーンフィルの音」であるのに対し、ヴァントの演奏は、たとえば、弦と管のバランス・アンサンブル、管の鳴らし方が、カラヤンの音より荒々しい・・・そして、美しくない・・・が、強烈で新鮮だと思う。そして、ヴァントの演奏のほうが、現代人のフラストレーションを解消する演奏だと思う。

(続く)

« 児玉麻里の「ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ Nos. 28, 29 Hammerklavier」 | トップページ | イヴァーナ・ガヴリクの「グリーグ:ピアノ独奏曲集」 »

ブルックナー」カテゴリの記事

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/276661/53475158

この記事へのトラックバック一覧です: ケント・ナガノの「ブルックナー8番」(1):

« 児玉麻里の「ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ Nos. 28, 29 Hammerklavier」 | トップページ | イヴァーナ・ガヴリクの「グリーグ:ピアノ独奏曲集」 »

2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

最近の記事

カテゴリー

無料ブログはココログ