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2013年8月26日 (月)

「ヤナーチェク:ピアノ独奏曲」聴き比べ

Krier

LEOŠ JANÁCEK (1854-1928) - The Piano
CATHY KRIER, piano

CD 1

『草陰の小径にて』 (1900-1911)

第1集
1 われらの夕べ (03 :23)
2 散りゆく木の葉 (02 :54)
3 一緒においで (01 :28)
4 フリーデクの聖母マリア (03 :11)
5 彼女らは燕のように喋り立てた (02 :09)
6 言葉もなく (01 :58)
7 おやすみ (02 :36)
8 こんなにひどく怯えて (03 :25)
9 涙ながらに (03 :02)
10 ふくろうは飛び去らなかった (03 :04)

第2集
11 Andante (03 :50)
12 Allegretto (03 :08)

補遺
13 Più mosso (02 :39)
14 Allegro (04 :54)
15 Vivo (01 :40)

16 エイ・ダナイ! (1892) (02 :14)

モラヴィア舞曲集 (1888-1889)
17 Pilky (01:07)
18 Konope (Coufavá) (00 :25)
19 Kožušek (Krížový) (01 :32)
20 Kukacka (00 :14)
21 Starodávný (00 :48)
22 Tetka (Škrk) (00 :22)
23 Korycanský troják (00 :52)
24 Srnátko (00 :12)
25 Troják (lašský) (01 :07)
26 Celadenský (00 :56)

主題と変奏 (1880)
27 ズデンカ変奏曲 (08 :49)

Total Time CD 1 (60 :01)

CD 2

ピアノ・ソナタ 変ホ短調『1905年10月1日(街頭より)』
1 予感(コン・モト)(05 :38)
2 死(アダージョ)(07 :42)

霧の中で (1912)
3 Andante (03 :35)
4 Molto adagio (04 :27)
5 Andantino (03 :43)
6 Presto (04 :21)

小品集 (1877 - 1927)
7 Rondo (1877) (01 :36)
8 Na památku / In Remembrance / Zum Andenken (1886) (01 :49)
9 Své Olga/ To my Olga / Meiner Olga (1896) (00 :32)
10 Narodil se Kristus Pán / Lord Jesus Christ is Born / Geboren ist Herr Jesus Christ (1909) (00 :40)
11 Moderato (1911) (00 :50)
12 Ukolébavka / Cradle Song / Wiegenlied (1920) (00 :39)
13 Melodie (1923) (00 :23)
14 Bez názvu / Untitled / Ohne Titel (1924) (00 :36)
15 Malostranský palác / Malostransky Palace / Kleinseiten-Palais (1927) (01 :01)

16 思い出 (1928) (01 :04)

カミラ・シュテスロヴァーのためのアルバム (1927-1928)
17 Jen slepý osud? / Merely blind fate? / Nur blindes Schicksal? 11.12.1927 (00 :48)
18 Aby už se nemohlo jíti nikdy zpet / So that one could never return / Damit man nie zurück könnte 12.2.1928 (01 :06)
19 Cekám Te! / I am waiting for you! / Ich erwarte Dich! 5.8.1928 (00 :34)
20 Zlatý kroužek / The Golden Ring / Der goldene Ring 8.8.1928 (00 :31)

21 モラヴィア民謡集 (1922) (09 :00)

Total Time CD 2 (50 :14)

Recording : II / III 2013, Philharmonie Luxembourg


結論から言うとこれは気に入った。

キャシー・クリエのデビューアルバムにおいて彼女は、ミュレンバッハの演奏にて思わず身を乗り出したくなるような演奏をしている。また、デュティユーの難解なソナタを分かりやすく演奏している(デュティユーのソナタは確かに第2楽章がリート、第3楽章が変奏曲であることが分かる)。しかし一方で、彼女は同アルバムに収録されたスカルラッティ、ハイドン、ショパンにおいて「スカルラッティ、ハイドン、ショパンを得意とするピアニストは私以外に沢山いるから、私の演奏を気に入らない人はそれを聴いて下さいネ!」と、ふざけたような演奏をしているように聞こえる(?!)。ところが不思議なことに、クリエの「舟歌」を聴いたあとに河村尚子の「舟歌」を聴くと河村尚子の演奏は情緒があり過ぎる、あるいは、情緒をテクニックで盛り上げているのが見えてしまう。

クリエの「ヤナーチェク:ピアノ独奏曲集」は、未知の世界を堪能させてくれる。クリエの個性に惹かれる。このアルバムにおける演奏は、他のピアニストによるヤナーチェクより灰汁(アク)が強い。クセがある。強引な技巧も聞こえる。全曲通して概ね力強い。スキがない。2枚組。トラック数合計48(110分)。それでも、スキがない。周到。退屈しない。「キャシー・クリエのセカンドアルバムはヤナーチェク三昧」という企画は成功したのだろう。

このアルバムは廉価盤だと思う。「無名ピアニスト(?)によるヤナーチェク:ピアノ曲集」・・・レコード会社もこのアルバムを廉価盤と位置づけているのではないだろうか(ジャケットが粗末。厚紙です。下記参照)。私はこのアルバムを、2013年8月15日にアマゾンで入手した。価格は、2,493 円。どういうわけか、いまアマゾンにて「2013年9月10日発売。5,250 円」。コストパフォーマンス悪い(値下げしたときに買いましょう)。

【Amazon.co.jp へのリンク】
ヤナーチェク : ピアノ作品集 (Leos Janacek : The Piano / Cathy Krier) (2CD) [輸入盤]

Krier_2

(下に続く)

(イヴァーナ・ガヴリク)

(ヘレナ・バシロワ 2013−9−10更新)

(ルドルフ・フィルクスニー、ダナエ・デルケン 2013−9−13更新)

==

Ivana_gavric

ヤナーチェク
霧の中で
シューベルト
ピアノ・ソナタ 第14番 イ短調 D784
リスト
巡礼の年 第2年 イタリアより
ペトラルカのソネット第47番
ペトラルカのソネット第104番
ペトラルカのソネット第123番
ラフマニノフ
前奏曲 作品.23 第4番 ニ長調
前奏曲 作品.32 第5番 ト長調
楽興の時 作品16 第3番 ロ短調
楽興の時 作品16 第4番 ホ短調
イヴァーナ・ガヴリク Ivana Gavrić, piano
2009 年録音
Steinway Model D
Champs Hill Records


Gavric

ヤナーチェク:
ピアノ・ソナタ 変ホ短調『1905年10月1日(街頭より)』
草陰の小径にて

ラヴェル:
高雅で感傷的なワルツ

プロコフィエフ:
ピアノ・ソナタ第2番 ニ短調 作品14

イヴァーナ・ガヴリク Ivana Gavrić, piano
2011 年録音
Steinway Model D
Champs Hill Records

キャシー・クリエのヤナーチェク集はあっぱれ。すなわち、ヤナーチェクのピアノ独奏曲のみを収めた2枚組というのは大胆。クリエにそんなことが出来るのは彼女のバックグラウンドと関係があるのかも知れない。クリエは現代曲を得意とする。ヤナーチェクを弾きこなすとき、現代曲を弾くテクニックが役に立つのかも・・・。

上記、イヴァーナ・ガヴリクの「霧の中で(In the Mists)」と題されたアルバムはピンと来なかったが、「街頭より(From the Street)」は気に入った(ピアノの音が奇麗)。驚いたことに、ガヴリクのヤナーチェクのほうが、クリエのより格が上ではないかと感じる。キャシー・クリエのヤナーチェクにはスキがない。ガヴリクのヤナーチェクはスキがないだけでなく「濃い」ような気がする(キャシー・クリエのヤナーチェクを聴いてイヴァーナ・ガヴリクのうまさがやっとわかった)。

ガヴリクは、ラフマニノフやプロコフィエフを弾く古典的テクニックをヤナーチェクに応用するワザを持っているのだろう。

こんなこと書いたら、「このレビューは参考にならなかった」に1票投じられそうだがであえて書く・・・ガヴリクの色気がクリエの若さに勝っている。

(下に続く)

Basilova

ヤナーチェク:
霧の中で
ピアノ・ソナタ 変ホ短調『1905年10月1日(街頭より)』
草陰の小径にて
ヘレナ・バシロワ(Helena Basilova)
2012 年録音

ロシア出身。

このアルバムは意外に良かった。

大音量で聴くと、彼女の打鍵の強さと正確さがよく聞こえる。テクスチュアがよく聞こえる。その意味で「霧の中で」は、イヴァーナ・ガヴリク盤(In the Mists)に劣らず聴き応えがあると思う。つまりそれはヤナーチェクの面白さ。五音音階的旋律。速い走句・・・。
「ピアノ・ソナタ 変ホ短調」も同様の意味で悪くない。
しかし、惜しむらくは、「草陰の小径にて」は、力が入りすぎているのか、正確さが裏目に出て(・・・いや、演奏が大味か?)情感がない。標題音楽としての面白さが聞けないと思う。

【オフィシャル・ホームページ】
Helena Basilova

(下に続く)

Jancek

ヤナーチェク:
ピアノ・ソナタ 変ホ短調『1905年10月1日(街頭より)』
『草陰の小径にて』第1集
『草陰の小径にて』第2集(5曲)
思い出
霧の中で
ルドルフ・フィルクスニー(Rudolf Firkušný)ピアノ
1989 年録音

「潮騒のメモリー」は小泉今日子じゃないと歌えないが、ヤナーチェクはフィルクスニーじゃないと弾けないとは思わない。

同じモラヴィア地方の出身であり、ヤナーチェク(1854年7月3日 - 1928年8月12日)の教え子であるルドルフ・フィルクスニー(1912年2月11日 − 1994年7月19日)による演奏なので、聴いておこうと思って聴いたみたが、面白くなかった。この二人は生年が離れすぎている(58年の差)。したがって、ラフマニノフとホロヴィッツの関係とは違うと思う(世代の隔たりは重要だと思う。もっとも、ラフマニノフとホロヴィッツの年齢もまた30才も離れている)。たしかに、フィルクスニーは、ヤナーチェクのピアノ音楽を作曲者が弾いたとおりに弾いているように聞こえる。それを聴く価値はあると思う。「草陰の小径にて」が、モラヴィア特有の旋律やリズムを持つとすれば、「フィルクスニーが弾く旋律やリズム」こそ、それであろう。
「作曲者の意図に忠実」「作曲者が弾いたとおりに弾く」・・・しかしそれが結晶しないことがあると思う。

(下に続く)

Dorken

ヤナーチェク:
『草陰の小径にて』
ピアノ・ソナタ 変ホ短調『1905年10月1日(街頭より)』
ズデンカ変奏曲
思い出
ダナエ・デルケン(Danae Dörken あるいはダナエ・デールケン)ピアノ
2012 年録音
SACD

アマゾンJP マーケットプレイスにて、中古で購入。

ダナエ・デルケンのオフィシャル・ホームページを見ると、1991年生まれ、ドイツ、ヴッパータール(Wuppertal、ノルトライン=ヴェストファーレン州)出身、ドイツ=ギリシャ系の家族のもとに育ったとある。風貌がドイツ人っぽくないような気がする。もしかしたらギリシャの血が流れているのかも知れない。

・演奏について
『草陰の小径にて』
若い(悪い意味で若い)。
ヘレナ・バシロワ(Helena Basilova)盤ほどではないが、面白くない。
この作品は、音楽と言葉の結びつきが微妙な作品なので難しいと思う(われらの夕べ、ふくろうは飛び去らなかったとか謎めいた標題。やっぱ、ガヴリク盤が私は好きだ)。

ピアノ・ソナタ 変ホ短調『1905年10月1日(街頭より)』
この曲の第2楽章あたりから良くなると思う。
「ズデンカ変奏曲」と「思い出」も良い。
この人は、美しい音と技巧を持っている。それを生かすため、このアルバムの最初から終わりまで、純音楽的に弾いているようだ。

ダナエ・デルケンは、このアルバムで、得をしている。それは、当盤が「SACD」であることによる音の美しさである。
一方、ヘレナ・バシロワ盤は、私のオーディオで聴く限り、録音が良くない。損をしていると思う。

若いピアニストが、いきなりヤナーチェクでデビュー(ヘレナ・バシロワ、ダナエ・デルケン)。将来のことを考えれば、それは危険なことではないか。そのあと、どの方向に行くかが難しいのではないか。それは勇気が要る冒険じゃないか(昔の人はそんなことしなかったと思う。グールドのような天才をのぞけば・・・)。しかし、いきなりヤナーチェクでデビューしたバシロワ、デルケンのようなピアニストが私は好きだ。若い人に未来を見る。私は後何年生きることができるか分からないが、若い人をマークしていれば、未来を見ることができるか?!


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