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2013年7月12日 (金)

リストの「巡礼の年 第1年」聴き比べ(1)

Schirmer

Franz Liszt
Années de Pèlerinage
Ragna Schirmer
Amarcord
2010/11 年録音

CD 1
Années de Pèlerinage, 1e année: Suisse S 160
1. Chapelle de Guillaume Tell
2. Au lac de Wallenstadt
3. Pastorale
4. Carlo Gesualdo Madrigali Libro 4 No. 3, Io taceró
5. Au bord d'une source
6. Orage
7. Carlo Gesualdo Madrigali Libro 4 No. 4, In van dunque
8. Vallée d'Obermann
9. Carlo Gesualdo Madrigali Libro 3 No. 2, Non t'amo
10. Eglogue (Hirtengesang)
11. Le mal du pays
12. Les cloches de Genève (Nocturne)

CD 2
Années de Pèlerinage, 2e année: Italie S 161
1. Sposalizio
2. Il Penseroso
3. Canzonetta del Salvator Rosa
4. Luca Marenzio Madrigal Libro 9 No. 2, Amor, I'ho molto
5. Sonetto 47 del Petrarca
6. Sonetto 104 del Petrarca
7. Sonetto 123 del Petrarca
8. Après une lecture de Dante (Fantasia quasi Sonata)
9. Luca Marenzio Madrigal Libro 9 No. 1, Così nel mio parlar / Et ella ancide
Supplément aux Années de Pèlerinage 2d volume: Venezia e Napoli. S 162
10. Gondoliera (La biondina in gondoletta. Canzone del Cavaliere Peruchini)
11. Canzone (Nessun maggior dolore. Canzone del Gondoliere ne "Otello" di Rossini)
12. Tarantella

CD 3
1. Luca Marenzio Madrigal Libro 9 No. 3, Dura legge d'Amor / E so come in un punto
Années de Pèlerinage, 3e année: Italie S 163
2. Angelus! (Prière aux anges gardiens)
3. Aux cyprès de la Villa d'Este, No. 1 Thrénodie
4. Aux cyprès de la Villa d'Este, No. 2 Thrénodie
5. Les jeux d'eaux à la Villa d'Este
6. Carlo Gesualdo Madrigali Libro 5 No. 14, Asciugate i begli occhi
7. Sunt lacrymae rerum (En mode hongorois)
8. Marche funèbre (En mémoire de Maximilien I)
9. Sursum corda (Erhebet eure Herzen)
10. Carlo Gesualdo Cantiones sacrea No. 10 Peccantem me quotidie

ラグナ・シルマーの「巡礼の年全曲」は、「Amarcord」によるジェズアルド(1566年頃 - 1613)とマレンツィオ(1553年頃 - 1599)のマドリガルが、各曲の間に挿入されている(上記曲目参照)。なんで、シルマーがそんなことをしたのか分からない。私は、マドリガルを飛ばして聴いている。

彼女の「巡礼の年第1年」は力強い。その中で「ル・マル・デュ・ペイ(Le mal du pays)」と「ジュネーヴの鐘」が気に入った。「ル・マル・デュ・ペイ」についてシルマーは旅日記(下記)に「最も愛する作品の一つ」と書いている。

「Le mal(病気) du pays(故郷)」というのは、フランス語の辞典によると「ホームシック」のこと(よく使う言葉のようだ)。

シルマーの「ル・マル・デュ・ペイ」は力強く、やや激しい演奏。それがむしろ良い。「ジュネーヴの鐘」は、Lento > Quasi allegretto (四分音符=72) > Cantabile con moto (sempre rubato) (四分音符=120) > Animato (四分音符=132) とテンポが段々速くなる・・・彼女はテンポだけで勝負しているような気がする。さすが実力派シルマーだ(ちなみにショパンにはそんな曲ないだろう?!)。

「ル・マル・デュ・ペイ」休止に緊張感あり。

「オーベルマンの谷」については、他の演奏者の演奏と後日比較したい(つまりよくわからん)。

--

【ラグナ・シルマーの「巡礼の年全曲」のリーフレット】

このアルバムのリーフレットは気に入った。
このリーフレットは、シルマーの「旅日記」である。その日記には、シルマーのスイス・イタリアへの旅の「スナップ写真(ラファエロやミケランジェロの絵・彫刻の前に立つシルマーの写真など)」とともに「メモ」または「ノート」が貼付けられている。それらのメモやノートには作品の背景・題材についての「基礎知識」参照すべき「豆知識」「雑学的知識(trivia)」が印字されてある。
シルマーが書いた旅日記(手書き、達筆、だが読めん)は彼女のユニークな楽曲解説と解釈。
このリーフレットには「普通」の楽曲解説は少ない。
ジェズアルドとマレンツィオについてかなり詳しく書いてある。そのマドリガルの歌詞対訳もある。
「ペトラルカのソネット第47, 104, 123番」の歌詞対訳もある。

Liszt_schirmer_leaflet_4

Liszt_schirmer_leaflet_5

(下に続く)

==

・オーベルマンの谷と、シルマーの演奏について

私事で恐縮だが、火事に遭って以来、私は「死」を考えるようになった。私は、現在53才だが、70才ぐらいまで生きればいいと思っている。耳が遠くなったら、クラシック音楽聴けないし、もうろくするまで生きたくない(最近タバコの本数が増えたので本当にもうすぐ死ぬのではないだろうか)。私の母は、生前「長生きしたくない」と言っていたが、その言葉のとおり71才で逝ってしまった。
この「オーベルマンの谷」という曲は、現在の私の心境にぴったりだと思う。

ホロヴィッツの「オーベルマンの谷」は、あまちゃん用語を使えば、「じぇじぇじぇじぇじぇ〜」なら、シルマーのは「じぇ〜」か「じぇじぇ〜」かな・・・。彼女の演奏はやっぱり押し付けがましいと思うが、この曲には合っていると思う。

「オーベルマン」というのがどういう小説なのか、読みたくなったが売ってなかった。

この曲の中間部のクライマックスに「運命の動機」が使われている(ダ・ダ・ダ・ダーン・ダーン。1音多いが)。
この曲は「死」の曲だと思う。
この曲は少ないパーツから出来ている曲である。最初のモットーは単純であるが効果的であると思う。曲の最後は、最初のモットーで終わる(下記参照)。少ないパーツで出来ているという性格は、ベートーヴェンに共通すると思うが、この曲は全然ベートーヴェン的でない。

副主題はショパン風(下記参照)。それをショパン風に弾くかどうかは、どうでもいい。それは、この曲の本質にかかわりないと思う。

巡礼の年という曲集は、組曲ではないし、完全な標題音楽でもない。ただし、「ウィリアムテルの聖堂」では、ウィリアムテル(戦士たち)のモチーフ(下記参照)が使われていて、それはたとえばジークフリートのモチーフに近いかも知れない。その意味では標題と音楽が結びついている(英語版ウィキペディア参照)。私は、リスト以降の作曲家のピアノ曲(たとえば、ドビュッシーのピアノ曲)を、よく知らないので、全然分からないが、リストの巡礼の年のような作品集は、他にあるのか? 私は、リストとラフマニノフは似ていると思うのだが、ラフマニノフは、そのような曲を書いたか?

「Pèlerinage ペルリナージュ」という単語には、「名所めぐり」という意味がある。この曲集は「名所巡りの旅をした年」という題名にしたほうが良いと思う。この曲集は音楽的に統一性がない。リストが名所に赴いて感じたことを音楽にした曲の寄せ集め・・・。

Obermann_2
冒頭の旋律(midi

Obermann_3
曲の終わり(midi

Obermann_4
副主題(midi

Obermann
第25小節目〜(再掲、midi

William_tell
ウィリアムテル(あるいは戦士たち)のモチーフ(midi

【蛇足】
この曲の冒頭の旋律は、ビートルズのイエスタデイに、少し似ていると思う。

Yesterday
イエスタデイ(midi

(2013−7−12)

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