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2013年7月23日 (火)

リストの「巡礼の年 第1年」聴き比べ(オーベルマンの谷)

Vladimir Horowitz 1966 年録音
France Clidat 1968/73
Lazar Berman 1977
Jorge Bolet 1982/83
Alfred Brendel 1986
Leslie Howard 1996
Ragna Schirmer 2010/11
桑原怜子 2011

「オーベルマンの谷」に、はまってしまった。

・ホロヴィッツ
私が一番好きな演奏。
中間部とコーダの爆発的演奏。
しかしこの演奏は強烈なだけではない。ホロヴィッツの左手の伴奏はさすがにうまい。例えば下記(コーダの手前)の左手のアルペジオを美しく弾いている(midi)。

Obermann_7
これは、第1主題の反行形か?

そもそもこの曲は冒頭から、左手が旋律で、右手が伴奏。しかも曖昧な調性(下記参照)。

Obermann_6
冒頭(この和音はジャズのコードで言えば、Am7 か?)

ピティナのホームページに「冒頭の主題の変容から全体が構成されている。主題変容の技法は、彼の革新的な和声法とともにリスト独自の様式を形作っている」と書いてあるが、この曲の和声法は美しくないと思う。テーマがハ長調、ホ長調に行ったと思ったら、次の激しい楽想では不協和音が聞こえるような気がする。

・ラグナ・シルマー
速いテンポ。第25小節目の前の休止が長い。シルマーの演奏は、他の箇所の休止も長いような気がする。全体的になんとなく堅い。リストのイレギュラな形式に対する解釈が中途半端か? しかし、本人は確信をもって演奏しているようだ。お手本にならない演奏であるのが良い。

・桑原怜子
つぼみ。または花を咲かせないつぼみに終わるかも・・・。彼女は、経歴にふさわしい技巧を持っている(経歴参照)。しかし、彼女と同世代のピアニストは、うまい人が多い(アリス=紗良・オット、ソフィー・パチーニ)。その人たちに比べると力不足が見える。
このCDは売っぱらおうかと思った。
だが、「オーベルマンの谷」が良かった。「オーベルマンの谷」という曲は巨匠が演奏するより未完成なピアニストが演奏するほうが面白いのかも知れない。桑原怜子が奏する「オーベルマンの谷」中間部のクライマックスはホロヴィッツの演奏に少し似ているのが気に入ったし・・・(中略)・・・スペイン狂詩曲はこの人の十八番か? 指がよく回っている。

Kuwahara
リスト:「巡礼の年(巡礼の年報)・第1年<スイス>(S.160)」全曲/桑原怜子

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