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2012年12月 3日 (月)

ポリーナ・レスチェンコの「ロ短調ソナタ」

Leschenko

Liszt:
Prelude In A Minor, S. 462, Fugue In A Minor, S. 462 (After J.S. Bach)
Valse De L'Opéra Faust (After Charles Gounod), S. 407
Piano Sonata In B Minor S. 178
Busoni:
Chaconne (After J.S. Bach)
Polina Leschenko
2007年録音

「まったく大儀なこと」 --- クラーラ・シューマン(ウィキペディアより)

私もレスチェンコの演奏を聴いてそう思った。

第一印象は悪かった。
クセのある演奏で、前半の技巧のひけらかしは退屈する。
しかし、フガート(変ロ短調)のあと、主な動機(枠の動機、跳躍の動機、ハンマーの動機、その他)がロ短調、ロ長調に収束していくところは、スコアを見ながら聴くと納得させられる。私は絶対音感がないから分からないが、リストの「ロ短調ソナタ」の前半の転調はうんざり? ロ調への収束は心地よい?
このアルバムは音が良いので大音量で聴くと心地よい。レスチェンコの技巧は心地よい。彼女は本物のヴィルトゥオーサだ。ごちゃごちゃした作品が収束していくのというのは心地よい。グロテスクな作品を技巧で押しまくっても、最後に「ロ」の音で終わりさえすればいい・・・レスチェンコの演奏はそんな演奏だと思う。
結局、私は、このピアニストが気に入った。

以下に譜例を示す。

Hmollsonata_1
枠の動機(midi

Hmollsonata_2
跳躍の動機(midi

Hmollsonata_3
ハンマーの動機(midi

Lisztgrandioso
グランディオーソの動機(midi

Lisztandantesostenuto
アンダンテ・ソステヌート(midi

Liszt Piano Sonata in B minor
Analysis from wikipedia.de

1 - 7:枠
8 - 13:跳躍動機
13 - 17:(ピアノの)ハンマー音
18 - 29:跳躍動機成分
30 - 39:跳躍動機成分とハンマー音(拍子を交替させながら)
40 - 44:跳躍動機成分
45 - 54:自由な上昇音形
55 - 81:継続を伴う跳躍動機
82 - 104:枠(バスにて)

上記から傍系主題が始まる

105 - 119:グランディオーソ(壮大に)の動機(2分の3拍子、傍系楽章の第1動機)
120 - 140:跳躍動機(再び4分の4拍子で)
141 - 152:ハンマー音
153 - 170:ハンマー音(音価2倍)(傍系主題の第2動機)
170 - 190:跳躍動機成分(バスに)
190 - 196:ハンマー音(音価2倍)と枠
197 - 204:短いソロカデンツァ
205 - 231:跳躍動機と反行
232 - 238:ソロカデンツァ
239 - 254:カデンツァ 伴奏付
255 - 269:ハンマー音成分(カデンツァ成分を伴って)
270 - 277:跳躍
278 - 286:枠
286 - 296:継続を伴う跳躍動機
297 - 300:グランディオーソの動機(2分の3拍子)
301:レチタティーヴォ(自由な拍子で)
302 - 305:グランディオーソの動機(2分の3拍子)
306 - 310:レチタティーヴォ
310 - 314:ハンマー音
315 - 318:跳躍動機成分
319 - 330:ハンマー音 拡大された音価の跳躍動機(右手)を伴って

ここからテンポが遅い中間楽章が始まる

331 - 348:叙情的なアンダンテ・ソステヌート - 旋律主題(4分の3拍子)
349 - 362:ハンマー音(音価2倍)カデンツァ成分を伴って
363 - 380:グランディオーソの動機(音価半分)
381 - 384:跳躍動機への接近
385 - 394:跳躍動機
395 - 415:変奏されたアンダンテ・ソステヌート - 旋律主題
415 - 432:パッセージ 枠成分(バスの下降音形)を伴って
433 - 445:ハンマー音(音価2倍)
446 - 459:枠

ここから再現部が始まる

460 - 523:跳躍動機とハンマー音によるフガート
524 - 530:跳躍動機(16分音符の技巧的な走句が続く)
531 - 540:跳躍動機(ハンマー音と交替しながら・その後、16分音符が続く)
541 - 554:16分音符
555 - 569:和音と16分音符
569 - 581:跳躍動機(バスにて下降音階と交替しながら)
582 - 599:パッセージとハンマー音
600 - 615:グランディオーソの動機の再現(600小節以降はこの動機はロ長調で演奏)
616 - 650:ハンマー音(音価2倍)ソロカデンツァが続く

ここからコーダであると分離することができる、すべての重要な動機が逆の順番で現れる

650 - 672:ストレッタ:ハンマー音(音価2倍)、跳躍動機成分
673 - 681:プレスト:4分音符の下降音形
682 - 699:プレスティッシモ:和音と8分音符
700 - 710:グランディオーソの動機(2分の3拍子)変奏を伴う(伴奏は1拍に8分音符4つではなく、4分3連符で)
711 - 728:叙情的なアンダンテ・ソステヌート - 旋律主題が再現する(4分の4拍子)
728 - 736:オリジナルのハンマー音(バスにて、ロ長調)
737 - 743:跳躍動機(両手に分担されて演奏、パラレルの8分音符を伴わずに)
743 - 749:和音
750 - 754:枠
755 - 760:終結和音

(独ウィキペディア Klaviersonate h-Moll (Liszt) より)

==

Argerich

Liszt: Sonate h - Moll in "Martha Argerich Collection 1: The Solo Piano Recordings"

http://koshiro-m.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/post-332d.htmlのつづき

「ロ短調ソナタ」は、やっぱりアルゲリッチがうまいと思う。
Quasi Adagio(347小節、上記 CD3 のトラック6)グランディオーソの動機が、おそらく嬰ヘ長調から変ロ短調へ行き、アンダンテ・ソステヌート(嬰ヘ長調)に行くところの高揚が素晴らしい。目まぐるしく変化する複数の動機。それらの動機が論理的につながっていること。大袈裟な音のエクスタシーと抒情的な音のエクスタシーの交替が、この作品の美だと思うが、それらが、アルゲリッチの演奏においては、上記の部分だけでなく全曲を通して直感的かつ頭脳的にうまく料理されていると思う。
(2012−12−12)

ただし、

682 - 699:プレスティッシモ:和音と8分音符
700 - 710:グランディオーソの動機(2分の3拍子)変奏を伴う(伴奏は1拍に8分音符4つではなく、4分3連符で)
711 - 728:叙情的なアンダンテ・ソステヌート - 旋律主題が再現する(4分の4拍子)

アルゲリッチは、勢い余って、
「682 - 699:プレスティッシモ」
「700 - 710:グランディオーソ」(710小節、2分休符にフェルマータあり。トラック10の1分10秒)
「711 - 728:叙情的なアンダンテ・ソステヌート」(ロ長調)
の効果(3連符で伴奏されるロ長調のグランディオーソとロ長調のアンダンテ・ソステヌート)が弱いような気がするが、どうだろうか・・・
(2012−12−12)

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