« | トップページ | アン・アキコ・マイヤースの「バッハ:ヴァイオリン協奏曲集」 »

2012年2月16日 (木)

庄司紗矢香のショスタコーヴィチ(1)

Shoji

Shostakovich
Concertos for Violin and Orchestra Nos. 1 & 2
庄司紗矢香
Dmitri Liss
Ural Philharmonic Orchestra
Enregistrement août 2011
MIRARE

これは非常に気に入った。
庄司のショスタコ1番は、もしかしたら、ハーンのより良いかも知れない。
私は庄司紗矢香に惚れてしまったかも知れない。

アマゾンと HMV.co.jp のカスタマーレビューには、2番のほうが良い(演奏)と書いてある。私もそう思う。しかし私はショスタコーヴィチ第2番を、まったく知らないので、ココではそれについて書くことができない。

庄司のショスタコーヴィチ第1番の演奏時間は、ダヴィッド・オイストラフのとほぼ同じ。

オイストラフ 約36分29秒
庄司 約37分04秒

第2楽章はオイストラフが6分18秒、庄司が6分39秒。庄司の第2楽章のほうが長い。第2楽章スケルツォのリズムは演奏するのが難しいと思う。バティアシヴィリ&サロネンの第2楽章は何度聴いても酔っぱらっているように聞こえる。庄司の第2楽章も最初聞いた時は悪いと思ったが、よく聴いてみるとある種のポリリズムのような効果があって、まったく問題なし。

そして、庄司の第2楽章をハーンの第2楽章と比較するために、ハーンの第2楽章を改めて聴いてみると、後者は冒頭とてつもなく軽快なリズムを聞かせてくれるが、終わりに近づくにつれて雑に聞こえた。その理由はやはりハーンのテンポが速すぎるからだと思う。

庄司 6分39秒
ハーン 5分36秒

HMV.co.jp の(庄司に対する)カスタマーレビューには「カデンツァからフィナーレへのつなぎのオクターブのグリッサンドなど、あんなにうまく弾いている人は他にいない」と書いてあるが、私は第4楽章のピチカート(1分49秒と1分55秒)がよく聞こえるのが気に入った。庄司のショスタコーヴィチ1番は第4楽章が私の気に入った。私は、聴き終わったあとに思わず拍手してしまった。

庄司の演奏の魅力は、全曲を通してフレージングがうまいこと。そして繊細なデュナーミク(強弱法)。たとえば、第1楽章は中間部(付弱音器)を持つ三部形式だと思うが、その三部形式の「フレージング、デュナーミク、コントラスト」には、説得力があると思う(オケもうまいと思う)。さらに彼女のショスタコ1番は「速すぎないテンポ」で演奏されているのでディテールがよく聞こえ、それゆえ新しい発見がある(それに対して、ヒラリー・ハーンのショスタコ1番は第2楽章と第4楽章のテンポが速すぎてディテールが見えにくい)。

しかし、庄司のショスタコ1番の最大の魅力は、彼女のフレージングから悲痛と戦慄が感じられることだと思う。

彼女の演奏はテンションが高い。そのテンションの高さはほとんど途切れない。しかし、彼女の演奏はディテールがよく聞こえるという意味ではクールな演奏だ。テンションが高くて、しかもクールな演奏。それはセッション録音であるからこそ可能だったのだと思う。彼女のショスタコ1番は、セッション録音の強みを見せつけたと思う。そしてこの録音には編集の跡が私には聞こえない。この演奏はワンテイクで録られたのか、あるいは良くないところを何度も録音し直したのか分からない。不思議な演奏だ。

Dmitri Liss の指揮はうまいと思う。オーケストラは低音がよく聞こえるので大音量で聞くと気持ちいい。

« | トップページ | アン・アキコ・マイヤースの「バッハ:ヴァイオリン協奏曲集」 »

ショスタコーヴィチ」カテゴリの記事

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/276661/44142782

この記事へのトラックバック一覧です: 庄司紗矢香のショスタコーヴィチ(1):

« | トップページ | アン・アキコ・マイヤースの「バッハ:ヴァイオリン協奏曲集」 »

2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

カテゴリー

無料ブログはココログ