« アイヴズ作曲「ピアノ・ソナタ 第2番」の決定盤を求めて(6) | トップページ | サルヴァトーレ・シャリーノ作曲『同心円の詩の上で』 »

2011年12月27日 (火)

アイヴズ作曲「ピアノ・ソナタ 第2番」の決定盤を求めて(7)

作品について

・第4楽章「ソロー」

... And if there shall be a program let it follow his thought on an autumn day of Indian summer at Walden --- a shadow of a thought at first, colored by the mist and haze over the pond:

Low anchored cloud,
Fountain head and
Source of Rivers ...
Dew cloth, dream drapery ---
Drifting meadow of the air ...

(スコアの各楽章の前ページに記されたコメント。おそらく、アイヴズ自身のコメント。私の語学力不足のため、上記の訳は省略します(汗;;)

第4楽章の開始は、ベートーヴェンの「ハンマークラヴィーア」の第4楽章の序奏に似ていると思う。第4楽章「ソロー」の前半は、後で述べる「吹ーけーよ、吹ーけー」という旋律の前まで、長い「前奏」に聞こえる。それは長いレチタティーヴォのように聞こえる。

この楽章は、叙情的、幻想的、神秘的であり、散文的に語られ、ささやかれる。

また、カリッシュ盤の2分00秒あたりに出て来る旋律は「as an echo」とスコアに記されていてそれはエコーする。それは音楽的には目立たないが、その「こだま」は自然の静けさのなかに聞こえるこだまであるとともに、自然のなかで思索する者の頭の中にこだまする「思索のこだま」に思える。それは、私をして、私自身もそのような思索をしたいという気持ちにさせる。要するに「as an echo」で奏される部分を私は非常に気に入っている。「as an echo」すなわち「こだま」は2分00秒のあとにも2回現れる(2分35秒と3分17秒)。

第4楽章は、ウォールデン湖畔の森の中に丸太小屋を建て、自給自足の生活を2年2ヶ月間送ったヘンリー・デイヴィッド・ソロー、および、おそらくは彼の代表作『ウォールデン - 森の生活』を扱ったものであり、上記、アイヴズの前書きにあるように「ウォールデン湖畔の小春日和」を描写した音楽であり、この楽章は「マサチューセッツ州コンコード 1840 - 60年」という「時空そのもの」を表していると思う。

カリッシュ盤の4分08秒あたりに聞かれる旋律は、エマール盤のリーフレットによるとフォスターの「主人は冷たい土の中に」の引用であると書いてある。その歌は、私が小学生のとき学校で歌った「春風」という歌だ。「吹ーけーよ、吹ーけー」という旋律の下降音型は、第1楽章冒頭の下降音型(譜例1、midi)を全音階にしたものか?

Ives_pf_sonata_2_1_01
譜例1

フルートのパートは、このソナタを非常に効果的に締めくくる(譜例12、midi)。それには、全曲を統一する「運命の動機」が聞かれるが、「運命の動機」の4音は「エマーソン、ホーソーン、オールコット父娘、ソロー」の4組の思想家を表すのではないかと私は推測する。

Ives_pf_sonata_2_4_03
譜例12

第3楽章はハ長調で解決するが、第4楽章は名残を惜しむかのような旋律に終わる(譜例13、midi)。

Ives_pf_sonata_2_4_04
譜例13

話は前後するが、高音域は「運命の動機」で閉められる(譜例14、midi)。

Ives_pf_sonata_2_4_05
譜例14

« アイヴズ作曲「ピアノ・ソナタ 第2番」の決定盤を求めて(6) | トップページ | サルヴァトーレ・シャリーノ作曲『同心円の詩の上で』 »

アイヴズ, チャールズ」カテゴリの記事

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/276661/43522518

この記事へのトラックバック一覧です: アイヴズ作曲「ピアノ・ソナタ 第2番」の決定盤を求めて(7):

« アイヴズ作曲「ピアノ・ソナタ 第2番」の決定盤を求めて(6) | トップページ | サルヴァトーレ・シャリーノ作曲『同心円の詩の上で』 »

2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

最近の記事

カテゴリー

無料ブログはココログ