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2011年11月28日 (月)

チャールズ・アイヴズ作曲 ヴァイオリン・ソナタ聴き比べ(4)

各演奏時間は下記のとおりである。

Charles Ives: Sonata for Violin and Piano
Gregory Fulkerson violin Robert Shannon piano
Disc One
Sonata No. 1 [22' 56]
Sonata No. 2 [15' 21]
Disc Two
Sonata No. 3 [30' 04]
Sonata No. 4 [11' 04]

Hansheinz Schneeberger violin Daniel Cholette piano
Sonata No. 1 [22' 29]
Sonata No. 2 [14' 15]
Sonata No. 3 [28' 21]
Sonata No. 4 [10' 19]

Curt Thompson violin Rodney Waters piano
Sonata No. 1 [22' 44]
Sonata No. 2 [14' 15]
Sonata No. 3 [30' 06]
Sonata No. 4 [9' 42]

Hilary Hahn violin Valentina Lisitsa piano
Sonata No. 1 [20' 10]
Sonata No. 2 [12' 31]
Sonata No. 3 [23' 53]
Sonata No. 4 [8' 37]

--

第1ソナタ 第1楽章
冒頭、第1小節を Robert Shannon piano, Daniel Cholette piano, Rodney Waters piano がノンレガートで弾いているのに対して、リシッツァはレガート気味に弾いている。リシッツァは、アイヴズの奇妙な「声」をとても魅惑的に聞かせる(譜例1)。

Ives_vn_sonata_1_1_01_4
(譜例1、第1小節はスタッカート)Copyright 1953 by Peer International. Corporation

それにしても、私は上の楽譜を Finale 2010.app で写譜しようとしたのだが、アイヴズの書法は、とても Finale 2010.app で写譜できる代物ではない(少なくとも私にはできない)。

スコアを見ながら聴いてみると、この第1ソナタ第1楽章は狂乱の音楽であると思えるが、ヒラリー・ハーンは難無く弾いている。ハーンとリシッツァはうまいと思う。ハーンが、アイヴズを研究するのに苦労したことがうかがえる。彼女が、リーフレットに「When we got our hands on the sheet music, we attempted to read through it. That effort quickly stalled. (私たちはスコアを入手して譜読みをしようと試みたが、その努力はすぐに失速した)」と述べている、その意味がよくわかる。

第2楽章
第1ソナタ第2楽章「Largo cantabile」のハーンの演奏は、私には第一印象にして魅力的だった。第1ソナタ第2楽章冒頭の「The Old Oaken Bucket」は、ハーンの演奏のみが私に懐かしさを感じさせる。

第2楽章のオブリガート(12小節目から)
(ヴァイオリンは、時折、ピアノの暗い和音とリストの管弦楽的効果に対して、オブリガートの役割を負う。Hilary Hahn 盤のリーフレットより)
それは聞こえなければならない。それは独特の旋律であり魅力的だ(譜例2)。Hilary Hahn violin は、そのオブリガートをきちんと聞かせているのは好感を持てる(ただし終わりの方はピアノの音に押され気味)。それに対して、Gregory Fulkerson violin, Curt Thompson violin, Hansheinz Schneeberger violin のオブリガートは、ピアノの音に埋没してよく聞こえない(譜例2)。

アイヴズの音楽を最もアイヴズ的に聞かせるのは、ハーンとリシッツァではなかろうか。

【追加】 私は、ヴァレンティーナ・リシッツァというピアニストが気に入ったので、是非、アイヴズのピアノ・ソナタ第2番を弾いて欲しい。
(続く)

Ives_vn_sonata_1_2_01_4
(譜例2)Copyright 1953 by Peer International. Corporation

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アイヴズ, チャールズ」カテゴリの記事

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コメント

久しぶりにクラシック復帰しました。心機一転新しいブログを作成。

アイブズは私も最も好きな作曲家の一人です。楽しみに読ませてもらいますね(最近はまたオペラ買いまくりでアイブズのCD購入は先になりそうですが)。

またよろしくですー

猫大好きさん、お久しぶりです

3.11(大震災と原発事故)以降、私のブログは荒れてます。私のブログの「音 楽 以 外 の 記 事」は、狂ってしまって見苦しい、私のヒステリーの現れです。

突然、猫大好きさんの助言や情報提供がなくなったために、私は困りましたよ。私は手探りで、21世紀の音楽を聴きました。

KAIROS レーベルのものは、マルッキ指揮のジャレル作曲「カサンドル」と 「PIERRE JODLOWSKI - Drones, Barbarismes, Dialog / No Dialog」は気に入りました。一方、

KAIROS 期待はずれ(おすすめしない商品、または、買わなきゃよかった商品)
http://koshiro-m.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/kiros-b9fc.html

で書きましたホセ・M・サンチェス=ベルドゥ、アルベルト・ポサダス、ベアート・フラーの4つは、たとえそれらが音楽的に良いものであっても、私の荒れた精神状態が受け付けませんでした。いまの私の異常な精神状態は混沌と狂った音楽しか受け付けません。アイヴズも私にとって混沌の音楽です。

3.11以降、この混沌とした世の中に合う厭世の音楽を求めている私ですが、しかし、なぜか、必ずしもラディカルではないジェラール・グリゼーは気に入りました。

そして、これまた必ずしもラディカルではないジャチント・シェルシの良い録音を山羊座の歌以外にも、求めています。ジャチント・シェルシのの良い録音はありませんか?

 今オンしました。cat

 「狂ってしまって見苦しい」とありますが、私には個人のブログなのですからどういう表現をしようとかまわないと思います。KMさんの誠実な人柄は音楽論から十分窺えるものですし、逆境での人間変化は私は十分すぎるほどわかっています(実は私も昔大学での下宿先で公害問題に悩まされていまだにトラウマがある。それがなかったらPCいじって色々発散することもなかったでしょう。でもこれは思い出したくない話題ですw)。

 「突然、猫大好きさんの助言や情報提供がなくなったために」とありますが、私は現代曲は申し訳程度しか聴いてませんよ。確かに好きではあるが、あくまで私の音楽趣味は保守的です。今度はヴェルディのファルスタッフを聴き比べしようと思ってるぐらいで・・・。山羊座の歌にしてもたまたま知人から教えてもらったもので、私が発見したものではありませんし(シェルシは前から好きでしたが)。しかし彼からそのとき話を聴いた限りではやはりあの曲のインパクトは絶大らしいですね。

 一旦ここで投稿

 「私は手探りで、21世紀の音楽を聴きました。」というのはよくわかります。21世紀どころか20世紀後半の音楽でさえ音楽書籍で情報が入る事はほとんどないですし、今や「音楽語法」というものも完全に個人レベルのものになっており、受容するにもとっかかりがなさすぎる。私はこの状態で常々「完全な自由とは怖ろしいものだ」というニュアンスのことを思想家や哲学者がしばしば語っていることを思い出します。よりかかるべき様式に頼れないのは怖ろしい。

 したがって、私も現代音楽で提供すべき情報はほとんどないですが、右の作曲家分類でないもので私の知る限り「評判のよいもの」(ラディカルとはいえないものですが)といえばラッヘンマンの「マッチ売りの少女」とツィマーマンの「軍人たち」でしょうか。ラッヘンマンは以前山羊座を教えてくれた友人から聴かせてもらい、正直ほとんど覚えていないのですが、なかなかよかったとは思います。ツィマーマンは私は未聴ですが、私は戦後の音楽では現在最も興味がある。先にも書いたとおり私は「クラシックな」曲にいまだのぼせ上がっていますが、もし現代曲を買うならこれになるでしょう。

 魅力的な現代曲を見つけるなら
1.ネットで現代曲専門のHPを見つける(ネット上では時々化け物じみた知識と情報量を誇る人間が情報提供してくれている場合がありますから)
2.現代曲のボックスものなど買ってみる。特定の作曲家に偏らず広く知ることができると思います。私は昔ドナウエッシンゲン音楽祭のボックスを買いましたが、色々知れてよかった。それにこういうものは枚数の割りに安価なのがよいです。
3.ベタだけど音楽雑誌の現代曲コーナーを見てみる。かなり古臭い編集方針を採っているレコ芸などでも現代曲紹介では面白いものを紹介している場合が多いですから、私は図書館or立ち読みですがこれでもなかなか得るところは多いと思います。

こんなところでしょうか。

 あと、クラシックとはまったく関係ないですが

http://www.amazon.co.jp/%E5%AD%A4%E5%A1%81%E3%81%AE%E5%90%8D%E4%BA%BA%E2%80%95%E5%90%88%E6%B0%97%E3%82%92%E6%A5%B5%E3%82%81%E3%81%9F%E7%94%B7%E3%83%BB%E4%BD%90%E5%B7%9D%E5%B9%B8%E7%BE%A9-%E6%96%87%E6%98%A5%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%B4%A5%E6%9C%AC-%E9%99%BD/dp/4167314622/ref=sr_1_2?s=books&ie=UTF8&qid=1322993562&sr=1-2

 よければこれを一度読んでみてください(開けないかも。津本陽著の「孤塁の名人」という本です)。

 私は武術ヲタでもありますが、単純にこの本で書かれている佐川幸義という人は人間として感動を与えます。

 またブログで色々教えてください~cat

猫大好きさん、ご丁寧なコメントありがとうございました。私はそれを最大限参考にし、私の今後に役立てたいと思います。しかし、いまは、それらのコメントに対して必ずしも適した返事はできません。お許し下さい。

スザンナ・マルッキという指揮者に興味を持ったことをきっかけに、彼女が指揮するミカエル・ジャレルの「カッサンドル」を聞きました。私は、「カッサンドル」の原作(クリスタ・ヴォルフ)も読みました。私は、このギリシャ神話のヒロインであるカッサンドルになりたいと思います。

私は明日死ぬかもしれません。しかし、無念な死に方はしたくないと思っています。今年、2万人近い人が無念に死にました。私たちは、カッサンドルであるべきでした。

カッサンドルの予言は誰も信じないからこそ、真実だったのです。私自身も「私が明日死ぬこと」を信じていません。しかし、それは「私が明日死ぬことが真実であるから」かも知れません。だから、いま、私は、21世紀、つまり、私たちと同時代人の音楽を優先して聞きたいのです。私は、いつまで音楽を聴き続けることができるか、分かりません。だから、同時代人の音楽を聞いて死にたいんです。過去の音楽は後回しです。

しかも、誰も信じない音楽を求めています。

私は、今年2月、ペンデレツキのポーランド・レクイエムや、ブリテンの戦争レクイエムを聞いてました。まさか、それらの作品に表されたヨハネの黙示録のような地獄を、2011年の日本が見るとは私は信じていませんでした。

いまの私は「信じられないこと」にこそ興味があります。2012年を予見する音楽が出現したら、それを聞きたいのです。2012年は2011年よりもっと恐ろしいことが起こるという予見をだれも信じないでしょう。しかし、カッサンドラの予見は、誰も信じないが真実でした。つまりトロイアの没落。自らの死。彼女はそれらを受け入れました。だから彼女の死は「無念の死」ではないんです。

もし、私が、火事で自分が愛した財産を全部失うという経験をしなかったら、上記のようなことは書かなかったでしょう。

当初、私は私のCDコレクションを再構築する計画を立てていました。

http://koshiro-m.cocolog-nifty.com/blog/cd_1/index.html
http://koshiro-m.cocolog-nifty.com/blog/cd/index.html

そして、そのとおりに買いはじめましたが、3.11のことがあってから、それらをまったく聞いていません。

私は九州在住なので、東日本大震災によって私は実害を受けませんでした。しかし、私の父が、3.11前、明らかに体力回復していたのに、3.11後、明らかに弱りました。私の父はいま不安定です。父の予測不能な一挙一動のせいで私は毎日熟睡できません。私の父は夜中に足がもつれてドスンとこけたりします。また私の父はいつ死ぬか分かりません。父の症状は、東日本大震災の高齢の被災者と似ています。父の症状は、東日本大震災の高齢の被災者とリンクしています。私の父は、東日本大震災で被災した高齢者を見て、世の中のことに関心がなくなりました。つまり「長生きしてもいいことない。世の中のことはどうでもよい。自分の欲望だけに生きる」ということです。

「長生きしてもいいことない」

私もそう思うようになりした。70才ぐらいで死にたいです。

以上奇妙な文章で申し訳ありません。

ハーンのディスク、買いました。
拙ブログ(bluegourd.jugem.jp/?eid=335 )で、貴記事にちょっと触れさせていただいています(内容には及べておりませんが;;…)。不都合でしたら当該箇処を削除いたします m(_ _)m。

へうたむさん
コメントありがとうございます

「Amazon海外ショップから〜/http://bluegourd.jugem.jp/ 」の記事、不都合ありません。
私が米英独アマゾンにもレビューを書いていることは、容易にバレることですから・・・。

すなわち、私のブログは、アマゾンカスタマーレビューとリンクしています。それも容易にバレる・・・

私のブログの内容をアマゾンカスタマーレビューにも書く理由は、アフィリエイト稼ぎ・・・
じゃなくて、アマゾンカスタマーレビュー は、
「このレビューが参考になった」
1 of 2 people found the following review helpful
というレビューに対する評価が為されること、すなわち共感・反感がフェードバックされるのが面白いからです。
英文レビューは、英文法に間違いがあると、やはり「not helpful」ですな。それを修正すると、「helpful」に1票投票してくれたり・・・面白い。
英文レビューのきっかけは、もともとは、ずっと昔、私が何気なく good, beautiful と、米国アマゾンに書いたら1票投じられたことです。

それにしても、アメリカ人はクラシック音楽が好きな人多いですね。論文並みのレビューもあります。

P. S.
アイヴズの Vn ソナタは、
Paul Zukofsky Gilbert Kalish 盤(Vol. 1 & 2)も買いましたが、これは1曲目(Vol. 1)が始まる前にバチッというノイズがあります(返品交換してもやっぱり、そのノイズありました)。
それに、多分、この商品は、CD-R です。したがって、演奏は良いかも知れないが、商品としてよくない。

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