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2011年9月 1日 (木)

大野和士指揮 ルカ・フランチェスコーニ作曲 歌劇『バッラータ』(1)

Ballata

Luca Francesconi (*1956 )
Ballata (1996 - 1999)
Opera in due atti
Libretto di Umberto Fiori
dalla Rime of the Ancient Mariner di S. T. Coleridge
Ancient Mariner: Marco Beasley
Young Mariner: Anders Larsson
Life in Death: Ildiko Komlosi
Death: Eberhard Francesco Lorenz
Steerman: Woo - Kyung Kim
Page / Third wedding guest: Laure Delcampe
First wedding guest: Donal J. Byrne
Second wedding guest: Stephan Loges
Moon: Susanne Schimmack
First Siren: Silvia Weiss
Orchestre Symphonique et Choeurs de La Monnaie
Conductor: Kazushi Ono
Computer misic: IRCAM - Centre Pompidou, Paris
A co-production with Oper Leipzig
Première 29 Octobre 2002
La Monnaie, Bruxelles
Live recording
STRADIVARIUS

ルカ・フランチェスコーニ作曲
歌劇『バッラータ』
大野和士指揮
ベルギー王立歌劇場(モネ劇場)

これは非常に素晴らしいプロダクションだと思う。
録音は、ライヴの割にはよいと思う。

大野和士の指揮がうまい。
歌手は「死の中の生(Life in Death)」を歌う Ildiko Komlosi が私は気に入った。

歌劇『バッラータ』は、サミュエル・テイラー・コールリッジ(1772 - 1834)の叙情詩「老水夫行(Rime of the Ancient Mariner)」をもとにした2幕のオペラである。演奏時間は全2幕で約 140 分である。

サミュエル・テイラー・コールリッジの「老水夫行」は全7部、625 行からなる叙情詩であり、初版は、1798 年、ワーズワースとの合作詩集『抒情詩集(Lyrical Ballads)』に収められた。「老水夫行」は、19 世紀ロマン主義の先駆けと言われるコールリッジの神秘的で怪奇な詩であるが、文体が rime(rhyme, 押韻詩)であり、内容も表向きはキリスト教をテーマにした擬古的な詩である。ベートーヴェンとほぼ同時代の人であるサミュエル・テイラー・コールリッジは、この叙情詩の出版年 1798 年がまだロマン主義全盛時代の前であったことから、この怪奇で神秘的な叙情詩を、擬古主義と宗教のベールでおおったのだと思う。しかし、そのことは、むしろ、この叙情詩に「読者による作品の解釈の自由」を与え、現代作曲家が取り上げたくなる性格を与えたと思う。つまり、この叙情詩の魅力の一つは、この詩のテーマをつかみにくいことと、何を言いたいのか分らないことにあると私は思う。






To walk together to the kirk,
And all together pray,
While each to his great Father bends,
Old men, and babes, and loving friends
And youths and maidens gay!
教会に一緒に行って
みんな一緒にお祈りをする、
それぞれが父なる神に頭を垂れるのじゃ、
年寄りも、赤児も、心温かい友も、
若者たちも、陽気な乙女たちも。
第7部 605 行目 上島建吉訳







He prayeth best, who loveth best
All things both great and small;
For the dear God who loveth us,
He made and loveth all.
大きなもの、小さなもの、すべてのものを
最もよく愛する者が最もよく祈るのじゃ。
わしらを愛して下さるやさしい神が、
すべてを造って愛したまうのだから。
第7部 614 行目 上島建吉訳


上は、「老水夫行」全 625 行中 605, 614 行目、つまり最終第7部の終わり近く。そこで、この詩はキリスト教的信仰に、すなわち宗教にこの詩自身を完結させている。

さらに、

そして以後一生の間、時おり苦悩が彼を襲っては、国から国へとめどない旅に彼を駆り立てる。(582 行目。コールリッジ自身による欄外解説より)

上を読むと、結局、この老水夫の行為は、自らの不思議な経験を語り伝えることによって神の恩寵を伝える「旅」の途中であったことが、わかる。

【老水夫行のあらすじ】
ある老人が、婚礼に赴く客を無理矢理呼び止め、自分の不思議な体験を語って聞かせる。その老人は昔、水夫であった。かつてこの老水夫は、(多分英国の)港を出て、赤道から南半球に至る航海中、南極沖で、船が氷山に捕まり動けなくなった。そのとき、吉兆のしるしである一羽のアホウドリが現れ、氷を開き、船を危機から救ってくれた。しかし、老水夫はそのアホウドリを殺してしまった。アホウドリの恩寵がなくなったせいで、船は、赤道で凪ぎの中、航行不能になった上、雨も降らず、二百人の船員たちは渇きに苦しむ。船員たちは、アホウドリを殺した老水夫を呪い、彼の首にかかった十字架を引きちぎり、十字架の代わりにアホウドリを彼の首に吊り下げる(第1部、第2部)

幽霊船が現れる。その船には「死(死神)」と「死の中の生」が乗っていた。船員たちの運命は「死」と「死の中の生」に委ねられ、その結果、船員たちは全員死ぬ。しかし老水夫だけは「死の中の生」によって死を免れる。老水夫は死んだ船員たちの死体からも呪われる。老水夫は死の恐怖を味わう。そのとき、彼は月に照らされた海蛇の群をみて、思わず、その美しさを賛美する。すると、彼の首からアホウドリが落ちる。呪縛が解け始める(第3部、第4部)

雨が降り、雨水が老水夫の喉を潤す。また、船員たちの死体に生気(霊気)が吹き込まれ、船員たちは船を動かす。船は、風もないのに進んでいった(船員たちを動かしたのは、霊魂でも地霊でもなく天使であった)。さて、南極を守る地霊が老水夫を追ってきて、老水夫になおも復讐しようとする。しかし、地霊たちは「この男は罪を償った」と言って南に帰る。船は、波も風もないのに、老水夫の故郷へ疾走する。老水夫は新たな苦行として、死んだ船員たちの呪いを認識するが、その呪いも、ついには償われる。そして、老水夫は生まれ故郷を見る。死んだ船員たちに取り憑いていた天使たちは、本来の姿に戻って、老水夫に別れを告げる(第5部、第6部)

故郷に辿り着いた老水夫は、聖者に懺悔を聞いてもらう。そして、彼は罪滅ぼしのために、自分の経験と神の恩寵を語り伝えることを決心する。「婚礼の宴よりもっと楽しいこと、わしにとってはるかに快いことは、大勢で、連れ立って、教会に行くことじゃ」「最もよく愛する者が最もよく祈るのじゃ。わしらを愛して下さるやさしい神が、すべてを造って愛したまうのだから」そう言って、老水夫は、ついにその場を立ち去った。「そしていま婚礼の客も花嫁の戸口に背を向けた。大きな驚きに打たれた人のように呆然として帰って行った彼は、前よりまじめな、賢い人となって、あくる日の朝、床から立ち上がった」(第7部)

フランチェスコーニの歌劇『バッラータ』は、コールリッジの「老水夫行」の第4部までを取り上げていると言ってよかろう。

【大野和士さんが書いた歌劇『バッラータ』のあらすじ】
ある若者が結婚式に招かれ、その宴の席に着こうとする途中、不思議な老水夫に出会い、その話に惹きつけられます。この水夫は、かつて航海中に嵐に遭い、南極近くの氷海をさまよったことがありました。その際に吉兆をもたらすというアホウドリが現れ、船員たちはやっと救われると喜びます。ところが、この老水夫は、そんな神頼みはしないと、アホウドリを撃ち殺してしまうのです。この瞬間に呪いがかけられ、船は今度は赤道直下で、ピタリと停止してしまいます。そこに鬼火や骸骨などが、おどろおどろしく現れ、老水夫を一人残して、仲間の水夫は皆、熱と渇きで死んでしまいます。乾いてしまった海の上で、老いた水夫は孤独にさいなまれ、自分の愚かな行為を悔やみます。長い長い年月がたったある晩、水夫は月光に輝く美しい海蛇を見、その神々しさに、思わず神を賛美し、神の創造物を祝福します。その瞬間に、呪いがとけて恵みの雨が降り注ぎ、船は再び海をすべり、水夫は故郷に戻ります。神の創造した自然の偉大さと、人間の傲慢さを説くために、この水夫は、自分の経験を語り部として人に話して聞かせているのでした。(大野和士氏のオペラ解説より)

【歌詞対訳】
私は、例によって、私自身が歌劇『バッラータ』を鑑賞することを目的として歌詞対訳を試みた(下記)。しかし、この私の『バッラータ』歌詞対訳は、メチャクチャでデタラメだ(なぜなら、上記 CD のブックレットにはイタリア語原文と英語対訳しか載ってなかった。私はイタリア語も英語も苦手)。

ルカ・フランチェスコーニ作曲 歌劇『バッラータ』第1幕 歌詞対訳
ルカ・フランチェスコーニ作曲 歌劇『バッラータ』第2幕 歌詞対訳

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http://koshiro-m.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/post-18e2.html に続く】

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