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2011年9月 2日 (金)

スザンナ・マルッキ指揮 ルカ・フランチェスコーニ作曲『エティモ』 ほか

Etymo

ルカ・フランチェスコーニ Luca Francesconi (*1956 )
エティモ Etymo (1994) For soprano, electronics and ensemble [25' 23]
ダ・カーポ Da Capo (1985-86) For 9 instruments [14' 20]
炎に、スタジオの思い出第4番 A fuoco, 4°studio sulla memoria (1995) For guitar and ensemble [14' 41]
アニムス Animus (1995) For trombone and electronics [14' 44]
Barbara Hannigan, soprano
Pablo Márquez, guitar
Benny Sluchin, trombone
IRCAM Ensemble intercontemporain
Susanna Mälkki, conductor
Recording: 2006 / 2007
Co - production IRCAM Ensemble intercontemporain KAIROS Production 2008

【HMV へのリンク】
ルカ・フランチェスコーニ:作品集 マルッキ&アンサンブル・アンテルコンタンポラン
これは、SACD ではない(少なくとも私が持っているのは、SACD ではない)。

最初に晒してしまうが、私は現代音楽が苦手である。

これは、フランチェスコーニの代表作集らしい。
このアルバムにおいて全体的に、マルッキの指揮は、マーラー歌曲集でも指摘したように、少し粗く、大味だと思う。
フランチェスコーニが、IRCAM(フランス国立音響音楽研究所)にゆかりがある人ならば、このアルバムは、IRCAM との共同制作なので、作曲者のお墨付きの録音なのかも知れない。

1曲目、私はフランス語がわからないので、Barbara Hannigan の歌唱がうまいのかどうか分らない。3曲目、Pablo Márquez のフラメンコ・ギター (?) はうまいと思うが、なんと言っても、4曲目、Benny Sluchin のトロンボーンがすごい。このアルバムの中では、大音量で聴いて気持ちがいいのは、この第4曲目である。この曲は、ほとんど、トロンボーン独奏と電子音だけからなる曲なので、マルッキが指揮しているかどうかは疑問だ。しかしながら、このアルバムがスザンナ・マルッキの統率のもと制作されたアルバムであるとすれば、その意味で彼女は演奏家を仕切るのが得意な人だと思う。

私はフランス語は読めないが、ボードレールの「悪の華」は阿部良雄訳 ちくま文庫が一番いいと思う。以下に、同書から無断で訳を引用させてもらっているので、そのお礼として阿部良雄訳を大いに宣伝させて頂く。阿部良雄訳は、語順など原文に忠実である。そして、「悪の華」が比較的わかりやすいフランス語で書かれてあるらしいことについても阿部良雄訳は忠実であり、原文の明瞭さを損なっていないようだ。意味を読み取れない「悪の華」はだめだ。阿部良雄訳は意味を読み取れる。阿部良雄訳は、意味とニュアンスが頭の中にストンと、またはスーッと入って来る。そして、脚注が素晴らしい。






Luca Francesconi (*1956 )
Etymo (1994)

Dites, qu'avez-vous vu ?

Charles Baudelaire: Les Fleurs du Mal; Le Voyage III.

Souvent, pour s'amuser, les hommes d'équipage
Prennent des albatros, vastes oiseaux des mers,
Qui suivent, indolents compagnons de voyage,
Le navire glissant sur les gouffres amers.

Charles Baudelaire: Les Fleurs du Mal; L'Albatros

même dans nos sommeils
La Curiosité nous tourmente et nous roule,
Comme un Ange cruel qui fouette des soleils.

(Dont) le mirage rend le gouffre plus amer ?

Charles Baudelaire: Les Fleurs du Mal; Le Voyage II.

étonnants voyageurs !

Faites, pour égayer l'ennui de nos prisons,
Passer sur nos esprits, tendus comme une toile,
Vos souvenirs avec leurs cadres d'horizons.

Dites, qu'avez-vous vu ?

« Nous avons vu des astres
Et des flots ; nous avons vu des sables aussi ;

La gloire du soleil sur la mer violette,
La gloire des cités dans le soleil couchant,

Les plus riches cités, les plus grands paysages,
Jamais ne contenaient l'attrait mystérieux 、
De ceux que le hasard fait avec les nuages.

Charles Baudelaire: Les Fleurs du Mal; Le Voyage III.

Et puis, et puis encore ?

Charles Baudelaire: Les Fleurs du Mal; Le Voyage V.

Pour ne pas oublier la chose capitale,
Nous avons vu

La femme, esclave vile, orgueilleuse et stupide,
L'homme
Esclave de l'esclave

Le bourreau qui jouit, le martyr qui sanglote ;
La fête qu'assaisonne et parfume le sang ;
Le poison du pouvoir énervant le despote,
Et le peuple amoureux du fouet abrutissant ;

Et les moins sots, hardis amants de la Démence,
- Tel est du globe entier l'éternel bulletin. »

Charles Baudelaire: Les Fleurs du Mal; Le Voyage VI.

Il est temps !

Ce pays nous ennuie, ô Mort !

ce feu nous brûle le cerveau,
au fond du gouffre,
l'Inconnu nouveau !

Charles Baudelaire: Les Fleurs du Mal; Le Voyage VIII.

ルカ・フランチェスコーニ (*1956 )
エティモ (1994)

語れ、御身らは何を見たか?

悪の華 旅 III より

船乗りたちがしばしば、遊び半分、
生けどりにするあほう鳥は、巨大な海の鳥類、
旅の気ままな道づれとなって、
苦い淵の上をすべる船についてくるやつだ。

悪の華 あほう鳥 より

睡眠の間さえ
<好奇心>は私たちを責めさいなんで、ころがす、
恒星たちを鞭打つ、残酷な<天使>のように。

その蜃気楼のせいで深淵が一段と苦くなる男を?

悪の華 旅 II より

驚くべき旅人たちよ!

お願いだ、われらの牢獄の倦怠(アンニュイ)をまぎらすため、
画布(カンヴァス)のようにぴんと張られたわれらの精神の上に、
地平線を額縁にした御身らの思い出の数々を過(よぎ)らしめよ。

語れ、御身らは何を見たか?

「われわれは見た、星を、
波を。われわれはまた、砂をも見た。

紫いろの海の上の、太陽の光輝や、
沈みゆく陽を浴びた都市の光輝が、

この上もなく豪奢な都市、この上もなく壮大な風景も、
偶然が雲をもって作り上げる風景の、
あの不思議な魅力をふくむことは決してなく、

悪の華 旅 III より

そしてそれから、それからまた?

悪の華 旅 V より

肝心要(かなめ)の事柄を、忘れずにいっておくが、
われわれは、いたる所で見た、

高慢で愚鈍な、卑しい奴隷である女は、
男といえば、
奴隷のそのまた奴隷、

楽しんでいる刑吏、嗚咽(おえつ)する殉教者。
流れる血が風味と香りをそそる祝宴。
権力の毒がまわって惰弱になった専制君主、
そして、おのれを阿呆にする鞭に惚れこんだ民衆。

愚かさの度の最も低い者たちは、大胆にも<錯乱>の恋人となり、
- こんなところが、地球全体の、変わりばえせぬ報告書だ。」

悪の華 旅 VI より

時は来た!

この国はわれらを退屈させる、おお<死>よ!

さほどこの火が激しく脳髄を焼くがゆえ、
深淵の底へ跳びこむこと、
<未知なるもの>の奥底深く、新しきものを探ること!

悪の華 旅 VIII より
(阿部良雄訳 悪の華 ちくま文庫より)







« Au moral comme au physique, J'ai toujours eu la sensation du gouffre, non seulement du gouffre du sommeil, mais du gouffre de l'action, du rêve, du souvenir, du désir, du regret du remords, du beau, du nombre, etc. J.ai cultivé mon hystérie avec jouissance et terreur. Maintenant J'ai toujours le vertige et aujourd'hui, [23 janvier 1862]*, J'ai subi un singulier avertissement, J'ai senti passer sur moi le vent de l'aile l'imbécillité. »

* Remplacé par la date du concert. *

Charles Baudelaire: Carnets intimes

心身ともに、私はいつも深淵を感じていた。それは、眠りに落ちる深淵だけでなく、行為、夢、記憶、欲望、後悔、悔恨、美、その他、数々のものへの深淵であった。私は私の狂気を楽しみと驚きとともに栽培した。私はいま、めまいがして、今日[1862年1月23日*]私は奇異な警告を得た。すなわち、私は発狂の前触れを感じたのである

* ここを、コンサートの日付に変える

シャルル・ボードレール「手記」より


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