« スザンナ・マルッキ指揮 ミカエル・ジャレル作曲『カッサンドル』(2) | トップページ | 東日本大震災(仮設入居者「遠くて投票行けない」 大槌町/東日本大震災で町長が死亡した岩手県大槌町の町長選と任期満了に伴う町議選/大事な選挙なので、工夫して欲しい) »

2011年8月16日 (火)

スザンナ・マルッキ指揮 ミカエル・ジャレル作曲『カッサンドル』(3)

【このエントリーは、http://koshiro-m.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-8642.html の続き】

==

Cassandre

Michael Jarrell (*1958 )
Cassandre (1994)
a spoken opera for ensemble and actress

1. Apollon te crache dans la bouche... [5' 02]
2. Hécube, ma mère... [3' 24]
3. Le cyprès... [3' 39]
4. Vers le soir... [2' 06]
5. Quand je remonte... [3' 04]
6. Premier interlude instrumental [2' 26]
7. Polyxène, ma soeur [3' 00]
8. C'était la veille du départ... [6' 27]
9. Remarquez bien... [1' 35]
10. Deuxième interlude instrumental [1' 40]
11. C'était une journée pareille... [2' 34]
12. Je vis mon frère Hector... [3' 55]
13. Enée vint à la nouvelle lune... [2' 09]
14. Depuis qu'en ce lieu... [5' 18]
15. L'effondrement vint vite... [2' 49]
16. Oui. Ce fut ainsi... [4' 16]
TT: 53' 26

Astrid Bas, actress
Susanna Mälkki, conductor
Ensemble intercontemporain / IRCAM
Recorded: 2008
KAIROS

ミカエル・ジャレル:『カッサンドル』(1994)〜アンサンブルと女優のための朗読オペラ
アストリッド・バス(朗読)
アンサンブル・アンテルコンタンポラン
スザンナ・マルッキ(指揮)
録音:2008年

【原作】

Kassandra

カッサンドラ (クリスタ・ヴォルフ選集) 中込啓子訳 恒文社

【対訳】
ミカエル・ジャレル作曲 アンサンブルと女優のための朗読オペラ『カッサンドル』(1994) 対訳

--

スザンナ・マルッキ指揮 ミカエル・ジャレル:『カッサンドル』のブックレットに、フィリップ・アルベラ(Philippe Albèra)という人の解説がある。それによると、ミカエル・ジャレルは、この作品を、最初はホメーロスの「イーリアス」とクリスタ・ヴォルフの「カッサンドラ」を基にしたオペラとして書こうとしたらしい。しかし、その創作の過程で、湾岸戦争、ユーゴスラビア紛争が起こり、このオペラをそれらの戦争と結びつけずにはいられなくなった。そして、クリスタ・ヴォルフの「カッサンドラ」にますます深く魅せられ、ジャレルは、カッサンドラの「言葉」が「歌われること」に疑問を持つようになった。

このオペラが、「語られる」のは良いと思う。しかも、フランス語であるのは良いと思う。なぜなら、このオペラが、原作の言語であるドイツ語で語られたら、その残酷な場面(アキレウスの残虐行為、その報い)から「ニーベルンゲンの歌」を類推しただろう。しかし、このオペラにワーグナー的ミュトロギー(神話学)を見ることは、このオペラを理解できなくする。このオペラのミュトロギーとワーグナーのそれとは違う。やはり、このオペラはフランス語があっている。ただし、このオペラにはドイツ語版、英語版もあるようだ。

ブックレットにあるミカエル・ジャレル:『カッサンドル』のフルスコアの一部(画像1、画像2 <--- クリックすると見ることができます)を見ると、まるで歌われるオペラのように、特定の拍に特定の単語(Traître, un espion, ennemi, D'un)が指定してある。

この作品は、言葉と音楽が密接に結びついている(上記参照)。それを、実現したアストリッド・バス(朗読)とスザンナ・マルッキ(指揮)は素晴らしい。たとえば、トラック12で、トロイロスがアキレウスに殺される場面は、早口で語られるが、そこでは、語りと音楽を同期させるのが難しかっただろう。このように言葉と音楽を緻密に同期することを指示したスコアを絶妙に朗読しているアストリッド・バスはスコアを読める人ではないかと思う。彼女とスザンナ・マルッキの共同作業は素晴らしい。

もし可能なら、この作品を日本語でやって欲しい。また、英語や(上で私は否定したが)ドイツ語でもやって欲しいと思う。この作品は歌われるオペラと違って、多国語で演奏されるのが比較的容易だと思うのだが、どうだろうか。

【トラック9】
Alors mes bras partirent vers le ciel. Je ne sais pas: l'ai-je crié ou l'ai-je seulement chuchoté? Nous sommes perdus. Malheur, nous sommes perdus.
そのとき、私は両腕をぐっと高く上げて叫んだ。いや、大声で叫んだのか、ただ、ささやいたのかは憶えがない。私は言った「私たちはもうだめだ。私たちはもうだめだ」

ここで「私たちはもうだめだ。私たちはもうだめだ(Nous sommes perdus. Malheur, nous sommes perdus)」を、アストリッド・バスは叫んでいない。それは、ジャレルのスコアに指示された表現を、忠実に表現しただけなのかも知れないが、その解釈はうまいと思う。トラック9の終わりは迫力ある。その後に、効果的な「第2間奏曲」が演奏されるが、それも迫力ある演奏である。

【トラック15】
フィリップ・アルベラの解説によると、この作品には、モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」のニ短調が使用されてあるとあるが、それはおそらく、トラック15の「トロイの木馬」の描写の部分だろう。

« スザンナ・マルッキ指揮 ミカエル・ジャレル作曲『カッサンドル』(2) | トップページ | 東日本大震災(仮設入居者「遠くて投票行けない」 大槌町/東日本大震災で町長が死亡した岩手県大槌町の町長選と任期満了に伴う町議選/大事な選挙なので、工夫して欲しい) »

ジャレル, ミカエル」カテゴリの記事

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/276661/41221014

この記事へのトラックバック一覧です: スザンナ・マルッキ指揮 ミカエル・ジャレル作曲『カッサンドル』(3):

« スザンナ・マルッキ指揮 ミカエル・ジャレル作曲『カッサンドル』(2) | トップページ | 東日本大震災(仮設入居者「遠くて投票行けない」 大槌町/東日本大震災で町長が死亡した岩手県大槌町の町長選と任期満了に伴う町議選/大事な選挙なので、工夫して欲しい) »

2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

最近の記事

カテゴリー

無料ブログはココログ