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2011年1月22日 (土)

ペンデレツキの「ポーランド・レクイエム」その2

Polish_requiem

Penderecki
A Polish Requiem
Royal Stockholm Philharmonic Orchestra
Conducted by Krzysztof Penderecki
Recorded: 1995
CHANDOS

Polish_requiem_2

Penderecki
A Polish Requiem
Warsaw National Philharmonic Orchestra
Antoni Wit
Recorded: 2003
NAXOS

ペンデレツキの「ポーランド・レクイエム」その1では、重いことばかり書いたが、本当は、そんなに重いことを書く気はなかった。しかし、私自身、一昨年(2009 年)12 月に火事に遭い、防災のことを、以前より考えるようになった。阪神・淡路大震災が 1995 年 1 月 17 日、火曜日であったことも思い出した。

「死者の 80 %相当、約 5000 人は木造家屋が倒壊し、家屋の下敷きになって即死した。(中略)また、死亡に至る時間も短かった。遺体を検案した監察医のまとめでは、神戸市内の死者約 2456 人のうち、建物倒壊から約 15 分後までに亡くなった人が 2221 人と 92 %にものぼり、圧死・窒息死で「即死」した人が大半を占めた(ウィキペディアより)」

阪神・淡路大震災の教訓は現在、木造建築の建築基準の見直しに生かされている。しかし、私の被災体験から思うに、日本人の災害に対する危機管理能力は今でも低い、と私は考える(その根拠は書きたくても書けない。その根拠を書けないことがまさにその根拠である。つまり残念ながら書いても無駄な内容である)。東京都心を震源地とする大地震が起きたら、どうするのか。国や自治体だけでなく、企業や個人も積極的に考えなければ、大変なことになると思う。阪神・淡路大震災の犠牲を無駄にしてはいけない。

話を戻そう。

ペンデレツキの「ポーランド・レクイエム」は、純音楽として聴いても楽しめる(ただし、やはり娯楽作品として聴くことはできない。他の作曲者が書いたレクイエムと比較するのは面白いと思う)。上記二つの演奏時間を比べる。前者がペンデレツキの指揮。後者がアントニ・ヴィットの指揮である。

I Introitus - choir [3' 43] [4' 10]
II Kyrie - soloists, choir [4' 16] [[4' 16]
Sequence Dies irae
III Dies irae - choir [1' 39] [1' 34]
IV Tuba mirum - tenor [2' 45] [1 '58]
V Mors stupedit - mezzo-soprano [6' 06] [6' 30]
VI Quid sum miser [4' 20] [4' 46]
VII Rex tremendae - bass, choir [1' 59] [2' 18]
VIII Recordare Jesu pie - music from Swiety Boze, all soloists [9' 51] [11' 24]
IX Ingemisco tanquam reus - soloists, choir [12' 11] [12' 07]
X Lacrimosa - soprano, female choir [4' 32] [4' 39]
XI Sanctus - mezzo-soprano, choir, Benedictus - tenor, choir [14' 18] [13' 44]
XII Ciaccona [7' 18]
XIII Agnus Dei - choir a cappella [6' 56] [7' 35]
XIV Communion Lux aeterna - choir [3' 40] [4' 43]
XV Libera me, Domine - soprano, soloists, choir [8' 30] [9' 44]
XVI Offertorium - Swiety Boze, swiety mocny [6' 20] [6' 33]
XVII Finale Libera animas - soloists, choir [3' 20] [3' 26]
Total [93' 37] [99' 28]

XII Ciaccona [7' 18]は、アントニ・ヴィトが、2005 年に録音した Te Deum に収められているもので、上記合計時間アントニ・ヴィト指揮の[99' 28]はこれを含まない。ペンデレツキ指揮に「XII Ciaccona」はない。

結論を言えば、私はペンデレツキ盤をとる。

上記のように、演奏時間は、アントニ・ヴィト盤のほうが長い。逆に、ペンデレツキ指揮盤は、演奏時間が短いうえに、音楽の運び方も、うまい。ペンデレツキの指揮は演奏が締まっていて非常に分かりやすい。たとえば、IV Tuba mirum(ラッパは不思議な音を)の前奏に金管が使われるが、ヴィト盤では最初聴いたとき私はそれに気づかなかった(ペンデレツキ盤でははっきり聞こえる)。ヴィト盤の長い演奏は、作品全体を消化するには肥大であるという感じがする。

(ペンデレツキ指揮ポーランド・レクイエムは、国内では手に入らないかも知れない。私は、日本アマゾンのマーケットプレイスにて中古盤を買った)。

ただ、録音が新しいヴィト盤は、オケ、独唱、合唱とも充実しており、しかもオケと合唱がポーランド人による演奏である点に意義があると思う。さらに録音が新しいので、音が良い。特に、最後の XVII Finale において、この作品の主要なモチーフが再現するのだが、その迫力はヴィト盤のほうが勝っている。私が最初にこの曲を聴いたのはヴィト盤であったが、ヴィト盤の XVII Finale フィナーレに私は圧倒され非常に感動した。私が好きなモチーフは、VI. Quid sum miser(そのとき哀れな私は)の旋律であるが、これがフィナーレに登場するのは感動的だ。

話が前後するが、この作品のモチーフや音形の統一性については、私は音痴なので分からない(半音階の上昇旋律が有効に用いられているような気がする)。この作品も、ルカ受難曲のように音楽的書法について良い解説を望むところだが、それは CD のリーフレットにも書いてないし、ネット上でも見つけることができなかった。

「XII Ciaccona」は、感傷的過ぎる。このレクイエムの一部としてふさわしいとは言えないと思う(私はちゃんと、ヴィト盤で「XII Ciaccona」を、XI Sanctus と XIII Agnus Dei の間に挿入して聴いたのだが・・・)。このシャコンヌは、2005 年に、ローマ教皇ヨハネ・パウロ 2 世を追悼して書かれた弦楽合奏曲である。

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