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2010年12月20日 (月)

Music of Elliott Carter, Vol. 8 (16 Compositions, 2002 - 2009) 前置き

Carter

Music of Elliott Carter
Volume Eight
16 Compositions (2002 - 2009)

また変なことを書きます。

私は昨年 12 月に火災にあった後「自分はあと何年音楽を聴き続けることができるだろうか」と考えた。私が老い、耳も遠くなれば、いまのように積極的に音楽を聴く意欲はなくなる。その時は必ず来る。しかし、その時が来るのをなるべく遅らせたいという私の欲求が、私をして(大袈裟だが)「21 世紀に生きる我々が聴くべき音楽は何か」を考えさせた【注1】。そして、その考えはまた同時に(これまた大袈裟だが)「21 世紀に創造されるべき音楽とは何か」という問い、疑問、命題につながっていると思う。とりあえず私は、クラシック音楽愛好者なので、21 世紀に書かれたクラシック音楽を聴いてみたくなり、エリオット・カーターの 2002 年以降に作曲された作品を集めた「Music of Elliott Carter, Vol. 8 (16 Compositions, 2002 - 2009)」を購入してみた。

さて、以下は、当たり前すぎる話題、奇妙で珍奇な話題になってしまうかも知れないが・・・

21 世紀に創作されたエリオット・カーターの音楽をクラシック(古典音楽)と呼ぶのは変だと思う【注2】。なぜなら、1960 年代のジャズはエリオット・カーターより物理的にはさらに古いわけだから、古典よりさらに古い「古々典」ということになるのか。「それはジャンルの問題だ」という人もあるかも知れない。それは「演奏形態の違い」「純粋に音楽の質の違い」「純粋に音楽学的な作曲技法の違い」「受け手の立場、シチュエーション、生育歴(?)の違い」「発信者の立場の違い」「音楽産業が音楽をフィルターにかけただけ」「音楽をジャンルで分けたほうが、整理しやすく分かりやすいからに過ぎない(これも音楽産業、売り手のご都合。音楽産業が商品を分類したほうが売りやすし買い手も買いやすい)」と言われるかも知れない・・・よって、私の疑問はやはり陳腐で、つまらいないものか・・・。

かくのごとき言及は詭弁に聞こえるかも知れない。が、結論を言えば、私は、ジャンル、すなわちクラシック、ジャズ、ロック、ポップス、その他様々な呼称で呼ばれる音楽のジャンルという概念を捨てたくなった。私は、ジャズもロックもポップスも聴く。1960 年代のジャズは、21 世紀のクラシック音楽より物理的には(かなり)古いが、それが未来を先取りした音楽であれば新しい。では、古い形態や作曲技法で創作された 21 世紀のエリオット・カーターの作品は「できたてのほやほやの作品である」という点においてのみ新しいのか。それとも、現代において聴くべき音楽という意義を持つ新しい音楽なのだろうか。さらに「未来を先取りした音楽」なのか。それとも、過去の音楽なのだろうか。そのような視点から、エリオット・カーターが、21 世紀に作った音楽を聴いてみた。

【注1】なぜ「21 世紀に生きる我々が聴くべき音楽は何か」を考えると、私の音楽を聴く意欲の減退を防げるか、というと、はっきり言って現代の若者が聴いている音楽は私に言わせれば、過去の音楽であり 20 世紀の音楽の焼き直しであり、彼らのスノビズムよりも今の私の感性のほうが新しいし貪欲なので、上記のように 21 世紀に聴くべき音楽を追究することによって、私の若い感性を維持できれば、彼らよりも若い私を維持できると思うからである。ちなみに私は今 50 歳。

【注2】じゃあ、それを「現代音楽、コンテンポラリー」と呼べばいいじゃないかと言う人もあるかも知れないが、それはクラシック音楽というジャンルの中の現代音楽、コンテンポラリーじゃないかと思う。

Music of Elliott Carter
Volume Eight
16 Compositions (2002 - 2009)
Recorded 2008 / 09
Bridge Records, Inc.

DISC A (49: 29)
Horn Concerto (2006) (10: 32)
Martin Owen, horn
BBC Symphony Orchestra
Oliver Knussen, conductor

Mad Regales on poems of John Ashbery for six solo voices (2007) (6: 53)
I. 8 Haiku
II. Meditations of a Parrot
III. At North Farm
BBC Singers

Tintinnabulation for percussion ensemble (2008) (7: 56)
New England Conservatory Percussion Ensemble
Frank Epstein, conductor

Wind Rose for wind ensemble (2008) (6: 09)
BBC Symphony Orchestra
Oliver Knussen, conductor

Sound Fields for string orchestra (2007) (7: 19)
BBC Symphony Orchestra
Oliver Knussen, conductor

On Conversing with Paradise for baritone and chamber ensemble (2008) (11: 40)
text excerpted from Cantos of Ezra Pound
Leigh Melrose, baritone
Birmingham Contemporary Music Group
Oliver Knussen, conductor

DISC B (53:42)
Retracing for bassoon (2002) (1: 32)
Peter Kolkay, bassoon

Clarinet Quintet for clarinet and string quartet (2007) (13: 57)
Charles Neidich, clarinet
Juilliard String Quartet

Figment V for marimba (2009) (1: 57)
Simon Boyar, marimba

La Musique for solo voice (2007) (2: 28)
text by Charles Baudelaire
Lucy Shelton, soprano

Retracing III for trumpet (2009) (1: 57)
Jon Nelson, trumpet

Due Duetti for violin & cello (2009) (8: 42)
I. Duettone
II. Duettino
Rolf Schulte, violin
Fred Sherry, cello

Figment III for contrabass (2007) (3: 10)
Donald Palma, contrabass

Figment IV for viola (2007) (3: 06)
Hsin-Yun Huang, viola

Poems of Louis Zukofsky for soprano and clarinet (2008) (13: 44)
I. Tall and Singularly Dark
II. Alba
III. Finally a Valentine
IV. O Sleep
V. The Rains
VI. Rune
VII. Strange
VIII. Daisy
IX. You who were made for this music
Lucy Shelton, soprano
Charles Neidich, clarinet

Retracing II for horn (2009) (2: 35)
William Purvis, horn

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