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2010年11月 8日 (月)

チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲聴き比べ(スクリデ、神尾真由子、ベネデッティ、ハーン)

Skride

Tchaikovsky
Violin Concerto Op. 35 D Major
Souvenir d'un lieu cher Op. 42
Pas d'action, Swan Lake Op. 20 , Act 2
Danse russe, Swan Lake Op. 20 , Act 3
Baiba Skride
City Of Birmingham Symphony Orchestra
Andris Nelsons
2007年9月録音

結論から言うとスクリデのが一番気に入った。彼女はラトビア出身。ラトビア人はロシア系ではないようだが、民族色の強いこの作品は、やはりロシアのお隣の国出身者に分(ぶ)があるようだ。

スクリデという人は、このヴァイオリン協奏曲の第3楽章に使われているロシアの民族舞曲トレパークを、よく知ってるのではないかと私は思う。第3楽章のフィニッシュは指揮者のネルソンズ(Andris Nelsons)とちゃんと合っている。第3楽章だけではなく、彼女の演奏は第1楽章もリズム感が良い。

HMV.co.jp ユーザーレビューには「呆気にとられるほどサラサラとした冷涼な解釈」とあるが、私は、彼女の弾くチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は、よく泣きよく歌っていると思う。

チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は、第1楽章において第1主題と第2主題の対比があらねばならないと思う。すなわち第1楽章の第1主題は冒頭のオケの序奏にて現れ、それに続く独奏ヴァイオリンで歌われ、オケでも繰り返し強奏され、カデンツァでも力強く奏される。よって、第1楽章の第1主題はいわば第1楽章の「顔」だ。それに対し、第2主題は独奏ヴァイオリンによって歌われるための旋律。
スクリデの演奏にはその対比が存在する。彼女は第1楽章の第1主題と第2主題をうまく弾き分けていると思う。たとえば、第1楽章の 4' 29 ほんのちょっとタメを入れるのは第2主題の歌をうまく強調している。再現部の第2主題が次々に移調するところも第2主題をよく生かし、再現部をうまく生かしている。
彼女の演奏は技巧的だが、とがってない(カデンツァにおける間の入れ方(10' 59)を聞くと、そう思わせられる)。

Kamio

チャイコフスキー
ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品 35
プロコフィエフ
ヴァイオリン協奏曲 第2番 ト短調 作品 63
神尾真由子
ハレ管弦楽団
指揮:トーマス・ザンデルリンク
2010 年 6, 7月録音

神尾のチャイコフスキーは、うまいが、終始テンションが高く、一本調子に聞こえる。たとえば、第1楽章の第1主題と第2主題の対比が無い。そして、第3楽章は、技巧に走り過ぎて、民俗舞曲のリズムを感じさせない(第3楽章、9' 00 以降は力強すぎ)。

彼女のチャイコフスキーに対する思い入れが裏目に出ていると思う。

「チャイコフスキーってかゆいところに手が届いているのにまだかいてくれるような、しつこさがありますね。もうおなかいっぱいなのに、まだまだ食事が出てくる感じ。そのしつこさがたまらない魅力」神尾さんご自身がそういってるのだから、そういう演奏をして当たり前だが。

Benedetti

Tchaikovsky
Violin Concerto Op. 35
Max Friedrich Bruch
Violin Concerto No. 1 Op. 26
Nicola Benedetti
Czech Philharmonic Orchestra
Jakub Hrusa
2010 年録音

これは、ブルッフのほうが良い。この人は、あまり派手ではない曲のほうが合うのではないだろうか(デビュー盤のシマノフスキーも良かったし)。

チャイコフスキーの第1楽章はしなやかさと激しさを合わせもつ。
提示部は、第2主題の後半(4' 29)にタメを入れているが、その弾き方はスクリデと同様、私の好みに合う。しかし、その後は、ベネデッティの演奏に特に魅力はない。第3楽章はテンポが速すぎて、リズムが狂っているように聞こえる(オーケストラと合ってないように聞こえる)。

それにしても、このアルバムのリーフレットは、まるで写真集。この人は、ルックスがいいから自ずとそうなる。しかし、私が見るところ、この人は、そのルックスとは裏腹に、地味な曲をオーソドックスに演奏するのがうまい。

Benedetti_01

Benedetti_02

Benedetti_03

Benedetti_04

ハーンのチャイコフスキーは、ココをご参照下さい。

【付記】もう一つ、書くのを忘れていた。ニコラ・ベネデッティは、1751年製のヴェネツィアのペトラス・ガルネリウスを弾いてるそうだが、これは、ストラディバリとよく似た音がする。というか、私には違いが分からない。

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