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2009年12月18日 (金)

ラグナ・シルマーのハイドン(2)


Haydn2


Haydn Revisited
Ragna Schirmer, piano
Recording: 01. - 09. 08. 2007 Franckesche Stiftung, Halle / Saale - Steinway D
Berlin Classics

CD 1 [59' 50]
Sonata No. 50 in D major Hob. XVI: 37
4 Minuets "St Catherine's Day dances" Hob. IX: 11
Variations in G major on "Gott erhalte Franz den Kaiser" Hob. III: 77II
4 Minuets "St Catherine's Day dances" Hob. IX: 11
Sonata No. 59 in E flat major Hob. XVI: 49

CD 2 [48' 35]
Sonata No. 19 in E minor Hob. XVI: 47 bis
6 Variations in C major Hob. XVII: 5
4 Minuets "St Catherine's Day dances" Hob. IX: 11
Andante in G major Hob. XVI: 11II
Allegretto in G minor after a piece for a musical clock Hob. XVII: 10*
Sonata No. 58 in C major Hob. XVI: 48

上記、作品を日本語で書くと、

CD 1
ピアノ・ソナタ 第50番 ニ長調 Hob. XVI: 37
12のメヌエット集から4曲 Hob. IX: 11
弦楽四重奏曲《皇帝》第2楽章による変奏曲
12のメヌエット集から4曲 Hob. IX: 11
ピアノ・ソナタ 第59番 変ホ長調 Hob. XVI: 49

CD 2
ピアノ・ソナタ 第19番 ホ短調 Hob. XVI: 47 bis
6つの変奏曲 Hob. XVII: 5
12のメヌエット集から4曲 Hob. IX: 11
ピアノ・ソナタ 第11番 ト長調からアンダンテ ト短調 Hob. XVI: 11
フルート時計のための作品によるアレグレット Hob. XVII: 10*
ピアノ・ソナタ 第58番 ハ長調 Hob. XVI: 48

"For Your Grace for ever" - or: Who did Haydn compose his keyboard works for? と題されたライナーノートに、このアルバムに収められたピアノ・ソナタ4曲のうち3曲が女性のために書かれたとある("For Your Grace for ever(閣下夫人様へ、永遠に)"は、ピアノ・ソナタ 第59番 変ホ長調 Hob. XVI: 49 に添えられた献辞)。18世紀のクラヴィーア音楽は、女性たちに愛好され弾かれたということも書いてある。このアルバムのコンセプトは、そのような音楽史的背景に基づくということだろう。それを読むと、このアルバムは面白そうに思えるが、実際に聴いてみるとあまり面白くない(つまり、ライナーノートの記述と演奏が合ってない)。

「12のメヌエット集 Hob. IX: 11」が、接着剤のように作品群をつなぎ合わせているのはうまくいっていると思う【注1】。しかし、肝心のソナタが巧くないと思う。シルマーはやはりヴィルトゥオージティを発揮する作品が似合うような気がする。CD 1 の1曲目「ピアノ・ソナタ 第50番 ニ長調 Hob. XVI: 37」は、ウィーンの人気ピアノ・デュオ、マリアンナおよびカタリーナ・アウエンブルッガー(Marianna and Katharina Auenbrugger)という人に捧げられた作品。第1楽章はディヴェルティメント的でもあり協奏曲的でもあり少し技巧的。シルマーの Hob. XVI: 37 は、3つの楽章の対照性が表れているが、例によって堅い感じがする。「ピアノ・ソナタ 第59番 変ホ長調 Hob. XVI: 49」も堅くてきつい。

このアルバムは、CD 2 が良い。Adagio - Allegro - Tempo di menuet(ホ短調、ホ長調、ホ長調)という面白い構成の「ピアノ・ソナタ 第19番 ホ短調 Hob. XVI: 47 bis」に始まり、 6つの変奏曲 Hob. XVII: 5は「VI Variations faciles et agréables」つまり、易しく快い作品であり、演奏も生き生きしている。その後のメヌエットへの流れも良く、不思議なリズムのト短調のアンダンテ(2/2拍子)と、音楽時計用の可愛いト長調のアレグレットへの流れも良い。最後は、ピアノ・ソナタ 第58番 ハ長調 Hob. XVI: 48 でうまく締めくくっている・・・と言いたいが、シルマーによる Hob. XVI: 48 もまた表現がいささかきついと思う。グールドの演奏における「ゆっくりしたテンポの第1楽章と速いテンポの第2楽章(ロンド)の対比」には、とてもかなわない[Haydn: The Six Last Sonatas Gould]【注2】

この人のハイドンのアルバム2枚組は、いずれも、2枚中1枚だけ良い(Haydn Klavierwerke Ragne Schirmerは、CD 1 だけが良かったし)。

【注1】私は、このメヌエット集が意外に気に入った。

【注2】第1楽章 Andante con espressione(2つの主題を持つ変奏曲)、第2楽章 Rondo Presto(自由なロンド形式)。

【2010 年1月6日 追記】
ハイドン研究室によれば「ピアノ・ソナタ 第19番 ホ短調 Hob. XVI: 47 bis」には、ヘ長調の版がある。ヘ長調のほうは、Moderato - Larghetto - Allegro の3楽章であり、その第2楽章(Larghetto)と第3楽章(Allegro)が「ホ短調 Hob. XVI: 47 bis」の第1, 2楽章である。詳しいことは上記リンクをご参照下さい(リンク元様、リンクのご承諾ありがとうございます)。

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