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2009年7月26日 (日)

バッハ:アリア集 聴き比べ


Kozena


バッハ:アリア集
マグダレーナ・コジェナー

Bach Arias
Magdalena Kozena, mezzo - soprano
Musica Florea
Marek Stryncl
01 "Et exsultavit spiritus meus" Magnificat BWV 243
02 "Schafe können sicher weiden" Hunting Cantata BWV 208
03 "Ich esse mit Freuden mein weniges Brot" Cantata BWV 84
04 "Erbarme dich" St. Matthew Passion BWV 244
05 "Wie starb die Heldin so vergnügt" Mourning Ode BWV 198
06 "Verstummt, verstummt, ihr holden Saiten" Mourning Ode BWV 198
07 "Wohl euch, ihr auserwählten Seelen" Cantata BWV 34
08 "Komm, komm, mein Herze steht dir offen" Cantata BWV 74
09 "Zerfließe, mein Herz, in Fluten der Zähren" St. John Passion BWV 245
10 "Kommt, ihr angefocht'nen Sünder" Cantata BWV 30
11 "Laudamus te" Mass in B minor BWV 232
Recorded 1996
ARCHIV

いや〜、渋い。選曲も歌唱も渋い。まるで渋柿をほおばったような味がする。
しかも、歌詞が難しい曲が多い。
私は、2年以上前に下記キルヒシュラーガーの「バッハ:アリア集」と一緒にこれを購入した。あるサイトに、その2枚が良いと紹介されていたからである。購入当初「キルヒシュラーガーよりもコジェナーのほうがいいなぁ」という印象を持ったが、コジェナーのほうは、2〜3回聴いて、その後、1度も聴いてなかった。久しぶりに聴いてみて思うに・・・
私が漠然と感じていた「良さ」は「渋さ」だったのだろう。

上記、選曲を見て下さい。

マニフィカト、受難曲、ロ短調ミサ以外で有名なカンタータは《狩りのカンタータ BWV 208》とカンタータ第198番《侯妃よ、さらに一条の光を》ぐらいじゃないだろうか。ただし、カンタータ第198番《侯妃よ、さらに一条の光を》は、教会カンタータではなく、私人のために書かれた追悼カンタータであるし、長い曲なので、人気ない作品かも知れない(いい曲なので人気あるかも知れませんが・・・)。その第198番《侯妃よ、さらに一条の光を》から、2曲セレクトしている。

美しい旋律の曲ばかり選曲しているし、伴奏もうまい。しかし、コジェナーの歌唱はすこし、いや、かなり渋いと思う。実力ある歌手なので、渋くなって当然か。あるいは、私の思い過ごしかも知れない。

この CD は現在、国内では多分入手困難であろう(ということは、レアな音盤であり、買っておいて良かった ... と思うのであった)。


Kirchschlager


バッハ:アリア集
アンゲリカ・キルヒシュラーガー

Angelika Kirchschlager, mezzo - soprano
Giuliano Carmignola, baroque violin
Venice Baroque Orchestra
Andrea Marcon
01 "Erfreute Zeit" Cantata "Erfreute Zeit im neuen Bunde" BWV 83
02 "Vergnügte Ruh" Cantata "Vergnügte Ruh, beliebte Seelenlust" BWV 170
03 "Schlummert ein, ihr matten Augen" Cantata "Ich habe genug" BWV 82
04 "Nichts kann mich erretten" Cantata " Wer mich liebet, der wird mein Wort halten" BWV 74
05 "Wo zwei und drei versammlet sind" Catanta "Am Abend aber desselbigen Sabbats" BWV 42
06 "Herr, was du willt" Cantata "Ich steh mit einem Fuss im Grabe" BWV 156
07 "Erbarme dich" St. Mathew Passion, BWV 244
08 "Widerstehe doch der Sünde" Cantata "Widerstehe doch der Sünde" BWV 54
09 "Laudamus te" Mass in B minor BWV 232
10 Sinfonia Cantata "Ich steh mit einem Fuss im Grabe" BWV 156
11 "Bereite dich Zion" Christmas Oratorio BWV 248
12 "Wie soll ich dich empfangen" Christmas Oratorio BWV 248
Recorded 2002
SONY

これは、軽すぎる。華やかな曲が多く、難しくない曲ばかり選曲している。
ゲストとして、カルミニョーラが参加している。指揮は、アンドレア・マルコンだが、彼はカルミニョーラと「ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ BWV1014-19」を録音しているので、カルミニョーラとはお仲間である。

このアルバムは、ヴェニス・バロック・オーケストラがサポートしたキルヒシュラーガーのリサイタルように聞こえる。一方、ヴェニス・バロック・オーケストラの器楽のパフォーマンスが目立つ。第1, 4, 6曲目は協奏曲的である。

このアルバムは、キルヒシュラーガーの歌唱力、表現力、実力からすれば、コンセプトが弱いと思う。まさかこのバッハ・アリア集は商業的成功を優先したのか ...(仮にそうではないとしても、自己の個性を最大限生かすというモチベーションがキルヒシュラーガーにあったか疑問である)。すなわち、彼女の声と歌唱は明るく聴きやすく癖がないが、退屈する。キルヒシュラーガーにはもっと冒険して欲しかった。彼女の個性を強烈にアピールして欲しかった。

選曲は、ほとんどの曲が長調だ。短調の曲はマタイから "Erbarme dich" および、クリスマス・オラトリオからの2曲、計3曲のみ。クリスマス・オラトリオはもともとおめでたい作品であるので歌詞に深刻さはなく短調の重苦しさはない。

コジェナーのアルバムとダブるのは、07 "Erbarme dich" と 09 "Laudamus te" である。"Erbarme dich" はマタイ全曲の中の非常に重要な場面で歌われるアリアなのでマタイ全曲の中で歌われたものを比較しなければならないだろう。というわけで、単体で歌われているコジェナーとキルヒシュラーガーの "Erbarme dich" を比較するのはどうかと思ったが、あえて比較すればコジェナーのほうに陰影がある。"Laudamus te" は、ロ短調ミサの中で独立的に歌われるアリアなので比較してもかまわんかも知れん。そこで二人の "Laudamus te" の歌唱を比べると、やはりコジェナーの歌唱に「ロ短調ミサ」にふさわしい貫禄があるように感じた。


Otter


バッハ:アリア集
アンネ・ゾフィー・フォン・オッター

Anne Sofie von Otter, mezzo - soprano
Concerto Copenhagen
Lars Ulrik Mortensen
01 "Widerstehe doch der Sünde" Cantata "Widerstehe doch der Sünde" BWV 54
02 "Schläfert allen Sorgen Kummer" Cantata "Gott ist unsere Zuversicht" BWV 197
03 Duetto "Wenn des Kreuzes Bitterkeiten" Cantata "Was Gott tut, das ist wohlgetan" BWV 99
04 "Erbarme dich" St. Mathew Passion BWV 244
05 "Kommt, ihr angefocht'nen Sünder" Cantata "Freue dich, erlöste Schar" BWV 30
06 Sinfonia Cantata "Geist und Seele wird verwirret" BWV 35
07 "Nichts kann mich erretten" Cantata "Wer mich liebet, der wird mein Wort halten" BWV 74
08 Sinfonia Cantata "Weinen, Klagen, Sorgen, Zagen" BWV 12
09 Agnus Dei Mass In B minor BWV 232
10 Duetto "Et misericordia" Magnificat BWV 243
11 Duetto "O Ewigkeit, du Donnerwort" Cantata BWV 60
12 Coro "Sei Lob und Ehr dem höchsten Gut" Cantata, BWV 117
Recorded 2008
ARCHIV

コジェナー盤と "Kommt, ihr angefocht'nen Sünder" が、キルヒシュラーガー盤と "Widerstehe doch der Sünde", "Nichts kann mich erretten" などがダブっている。

オッターが参加したバッハの声楽曲のアルバムは多いので、読者の皆さんは、彼女がバッハをどう歌うかをご存知であろう。予想に反せず、いい意味でも悪い意味でも、オッターの歌い方は従来どおりの癖、個性が、このアルバムでも聴かれる。

このアルバムは、ある種のコンセプトアルバムになっている。

"Wenn des Kreuzes Bitterkeiten" はソプラノとのデュエット。"Et misericordia", "O Ewigkeit, du Donnerwort" はテノールとのデュエット。"Sei Lob und Ehr dem höchsten Gut" はソプラノ、テノール、バスを加えた合唱曲。そして器楽のみの演奏が2曲(BWV 35, 12)。

それらを仕切っているのは、指揮とオルガンを担当するモーテンセン(Lars Ulrik Mortensen)である(私は、モーテンセンというアーティストが気に入ったので彼の《ゴルトベルク》を購入したが、それは面白いコルトベルクであり、良い演奏だと思う)。
オッターの歌唱は、ところどころ光るが、特に名唱はないと思う。

結局、3つのアルバムの中では、コジェナーが一番よかった。

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