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2009年7月24日 (金)

ナタリー・デセイのバッハ


Bach_dessay


Bach
Cantatas BWV 51, 82a, 199
Natalie Dassay
Emmanuelle Haïm
Le Concert d'Astrée
Recorded 2008
VIRGIN CLASSICS

私のレビューは辛辣なのが多いが、これも辛辣に書く。
デセイのバッハは「イマイチ」である。
Amazon.com のカスタマーレビューにもあったが、ドイツ語の発音が悪い。それと、デセイは楽譜を見ながら歌っているのではないかと思ったが、レコーディング風景を撮った動画があったので見てみたら、やっぱりそうだった。彼女の声は空に向かって飛んでいないような気がする。BWV 51 は《すべての地にて神に歓呼せよ! Jauchzet Gott in allen Landen! 》なのだから歌が下を向いて聞こえるのは良くない。指揮者(エマヌエル・アイム Emmanuelle Haïm)とオケはうまい。BWV 51 の有名なアレルヤは急にテンポを速めているが、これは良い。ところで、指揮者は美女(下記)である。私のレビューは「美女演奏家の紹介が多い」というご指摘があったが、そうではなくて、購入したらたまたま演奏者が美女なのだ(ほとんど言い訳)。

では、BWV 51 は誰のがいいかというと、

グルベローヴァ(録音年不明。書いてない)
これも「イマイチ」
グルベローヴァは、BWV 51 をオペラのように歌っているが、それは良いと思う。BWV 51 は、カストラート(オペラ歌手と言っていいだろう)のために書かれた作品なので、オペラのように歌ってかまわないと思う。グルベローヴァのドイツ語の発音は良いので安心して聴ける。ただ指揮者(Helmut Winschermann)があまり上手くないと思う(というかグルベローヴァの歌唱はリズムが狂っているような気がする)。歌手と指揮の掛け合いというものが、デセイ盤にはあるが、グルベローヴァ盤はそれに欠けると思う。

シュターダー(1959年録音)
定盤だが、シュターダーの歌唱もリヒターの指揮も、いまとなっては古いと思う。

シェーファー(1999年録音)
これは、ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハによる編曲版なので、とても騒がしいが、軽快なテンポ、しかも力強い。シェーファーの歌唱は安定している。私の好みに合う。

デセイ盤は、BWV 82 のソプラノ版(これは珍しいと思う)が入っているので買っても損はしないかも知れない。デセイの歌唱は、BWV 82 と BWV 199 で次第に良くなるように聞こえる(耳が慣れるせいであろうか)。ただし、デセイのファン以外の人にはすすめない。

Haim3

Haim2


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コメント

・・・また美女だ・・・。
デッセイのバッハは聞いたことがありませんが、たしかにそうだろうと思います。それに彼女はもっとコミカルな役が似合ってるでしょうね。彼女の天国と地獄を見たことがあるけど、まさにツボにはまってる感じでした。

あと、ここにまとめて書かせてもらいますが、ブルックナー8番の記事は勉強になりました。なにしろ僕自身ブルックナーは苦手で、スコアもいくつか持ってるのですが、結局第7番(のびやかな旋律、明朗な性格といった面でブルックナーにおける英雄といえる作品だと思いますが)以外はよく分からず(8番のアダージョの濃厚な和声は好きですが)、まして版の違いは知識として知ってはいてもあえて調べる気までは起こりませんでした。親戚で最近ブルックナーの8番に興味を持っているのがいて、「どの版、演奏がいいんだ?」とかよく訊いてくるので、KMさんの記事をコピーして見せようと思います。結局87年版では誰の演奏が一番いいでしょうか?

ブログのリンクはありがとうございます。こちらからもリンクさせてもらいたいのですが、例の荒らしがそこからここに飛ぶのは確実なので、躊躇しています。

今までいろんなクラシックブログを見てきましたが、正直KMさんのブログが一番読んでてためになります。これからも更新頑張ってください。

おほめと激励のことば、ありがとうございます。

まず、

>KMさんの記事をコピーして見せようと思います。

昨日のコンヴィチュニーの記事は昨日何度か書き直しました。が、もう書き直しませんので、今日のをコピーして下さい。

>スコアもいくつか持ってるのですが

逆に質問させて下さい。
スコアは何をお持ちですか?
私は、第8番 音楽之友社 ISBN 4-276-90664-4
同じく第8番 MUSIKWISSENSCHAFTLICHER VERLAG ISMN M-50025-013-5
ブルックナーのスコアは上の2冊しか持ちませんので、猫大好きさんのほうが多く持っているかもしれません。

ブル8について取り上げたブログは

http://karajan2.blog101.fc2.com/blog-category-6.html

を、私自身参考にしましたが、ヴァント/Bpo(2001年)より、マゼールのほうが上というのは「?」です。むしろ、渡辺純一さんの

http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/archives/02_cd/wand_bruckner_8.php

のほうが、ブル8番に対するレビューとして良いと思います。ブログにも書いたように、ヴァント/Bpoの8番で、私はこの作品に入りました。8番を聴き始めたのは、上記URLの記事がきっかけです。それも今年に入ってからです。肝心の

>結局87年版では誰の演奏が一番いいでしょうか?

87年版をはじめ、ブル8は、32種類買いましたが、まだ聴き足りないと思っていますので、ご質問に対する答えは「解答不能」です(汗

ただ、87年版は32種中、4つしか持ってませんので、ティントナー、ヤング、Dennis Russell Davies、インバルのうち一つですよね。しかし、それさえ迷います。ヤングは下手だと思って、ティントナーを聞くと重すぎて疲れて途中で聴くのをやめました。Dennis Russell Davies、インバルは、ティントナー、ヤングより落ちると思いますが確信持てません。というのも、Davies のは、まだ1回しか聴いてないし、インバルのはすっきりしているのが良いと思うし(演奏時間短い)。

インバルのはデジタル録音初期の音がいやですが、それは本質的なことではないですね。

Dennis Russell Davies の8番を、今から聴いてみようと思います(笑

私の持っているブルックナーのスコアは4,7,9です(いずれも音楽の友社)。ヴァントの8番も聞きましたが、正確に言うと「魅力は感じるがそれ以上突き詰めて理解しようと思わない」というところでしょうか。まあピアノしか楽器せず、スコア読むのが苦手で、せいぜい室内楽曲までしかあまりスコア見ないからというのもあるかもしれません(ブラームスの室内楽曲はDoverでほとんどスコア揃えましたw)。

どの演奏がいいかは回答不能ですか・・・。まあとりあえずKMさんの記事を見せるだけ見せてどの演奏を選ぶかはその人にゆだねます。87年版がいいとわかっただけでもずいぶん演奏が絞り込ませてきますから。

またよろしくお願いします~

>第7番 ブルックナーにおける英雄

この言葉に示唆を得ました。

私が言いたかったことは、ベートーヴェン(あるいはマーラーも)は、30代にして交響曲というジャンルの頂点に立ったと思います。ベートーヴェンは、第5, 6番が頂点とした場合です。

それに対して、ブルックナーは59才にしてやっと頂点です(第7番)。その年齢はベートーヴェンはすでに世を去っている年齢ですね。

ベートーヴェンは、5、6番を書く前に偉大な第3番を書いている

ブルックナーは、7番より前の作品も巨大な作品が多いのですが、やはり、もし7番で頂点に。やっと、変ホ長調英雄にあたる7番で頂点に立ったとすれば遅過ぎる。

その意味で、ブルックナーは大器晩成型であり、そこに彼の苦悩があったと思います。

よく考えてみればブルックナーの7番は、ホ長調ですね。
では、変ホの第4番「ロマンティク」が英雄かな???

分散和音で伸びやかな旋律で始まる点や、第二楽章のワーグナーへの追悼としての葬送曲の部分からいつもベートーヴェンの英雄を想起します…。

しかしアイムさん美人ですねー。指揮者でこれだけ美人ってできすぎのような気もする。僕もファンになりました

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