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2008年12月 4日 (木)

アンドリュー・マンゼのバッハ


Manze




Bach Violin Sonatas
Andrew Manze, violin
Richard Egarr, harpsichord
Jaap ter Linden, 1viola da gamba, 2cello
harmonia mundi
1999年録音

Sonata in B Minor, BWV 10141
Sonata in A Major, BWV 10151
Sonata in E Major, BWV 1016
Sonata in C Minor, BWV 1017
Sonata in F Minor, BWV 1018
Toccata And Fugue in D Minor, BWV 565(reconstructed for solo violin by Andrew Manze)
Sonata in G Major, BWV 1019
Alternates Sonata in G Major, BWV 1019
Sonata in G Major, BWV 1021
Sonata in E Minor, BWV10232
Sonata in C Minor, BWV 10242

久しぶりに良いバッハに巡り会えた。上記は「ヴァイオリン・ソナタ」といっても、無伴奏ヴァイオリン・ソナタではない。「ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ」だ(エマヌエル・バッハはこの6曲を Clavirtrio と呼んでいる)。

私は、この BWV 1014 - 1019 が大好きであるのに、シェリング&ヴァルヒャ盤(現在廃盤)以外に良いものを、なかなか見つけることができなかった。

コーガン&リヒターはうるさいし、クイケン&レオンハルトは全然好みに合わない。LP 盤で購入した Eduard Melkus & Huguette Dreyfus もピンと来なかった。Rachel Podger & Trevor Pinnock はピノックが下手だし、Giuliano Carmignola & Andrea Marcon は悪くないが、シェリング&ヴァルヒャに取って代わるものではなかった。ムローヴァ&ダントーネは期待はずれ。Jaime Laredo & Glenn Gould はヴァイオリニストが弱い。

シェリング&ヴァルヒャ盤は、ヴァルヒャが目が不自由ということもあってか、演奏が合ってない。二人が自由に弾いてるような、いわばジャズ感覚だ。そのようなジャズ的バッハの良さを教えてくれたのは、ペトリ&ジャレットによるリコーダー・ソナタ(原曲:フルート・ソナタ)だった。

バッハの音楽は、二人(独奏者とチェンバロ伴奏)で演奏される作品(たとえばこの「ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ」)において、チェンバロ奏者が一人二役(旋律と通奏低音)を受け持ち、独奏者の1パートに加えチェンバロ伴奏の一人二役による2パート合計3パートで演奏されているように聞こえる。場合によっては、チェンバロの左手が「主旋律」に聞こえる時もある。ペトリ&ジャレットのリコーダー・ソナタにおいて、ジャレットのチェンバロは、変な音響効果がかけてあって、ジャレットの左手は弦のバスのように聞こえるような気がする。だいたい、バッハのこの種類の音楽は「トリオ」と呼ばれたりするように、3パートを持つのではないだろうか。オルガンのトリオ・ソナタは、一人三役だし。

シェリング&ヴァルヒャは自分勝手に演奏しているように聞こえる。繰り返して書くが、シェリング&ヴァルヒャのようないわばジャズ感覚に匹敵する演奏は、なかなか見つからなかった。

ムローヴァ&ダントーネ盤は、ムローヴァのバロック・ヴァイオリンが元気よくストレートであり、しかも美しく味わい深いが、ダントーネが伴奏に徹しているので面白くない。

マンゼ&エガーの演奏には主旋律と伴奏の交替というジャズ感覚はないが、その代わりに、静と動、剛と柔のバランスが良く、柔らかくもあり柔らかくもない。丁丁発止としながら大人しい。その「技」が巧みであり、それが、シェリング&ヴァルヒャの演奏と比較して聴き劣りしない理由でありポイントだと思う。

ムローヴァ&ダントーネ vs. マンゼ&エガーは、リスナーの評価を二分するかも知れない。

また、マンゼ&エガーの演奏は、第1, 2曲(BWV 1014, 1015)において、リンデン(Jaap ter Linden)がヴィオラ・ダ・ガンバで参加しているが、その3パート形式を全曲で保持してるように聞こえる。その「三角形」こそ、バッハのこの種の曲には重要であり必要不可欠な要素だと思う。

マンゼのもう一つのバッハ名演奏は自ら指揮しポッジャーと共演したヴァイオリン協奏曲集だ。

Manze2


J.S.Bach: Solo & Double Violin Concertos
Andrew Manze
Rachel Podger
The Academy of Ancient Music



褒めてすぐ貶すのもなんだが、マンゼの Violin Sonatas のアルバムにはオルガン曲 BWV 565 のヴァイオリンソロ・ヴァージョンが入っているが、これはなくてもいいと思った。


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コメント

まったく純粋のしろうとバッハ愛好家です
ソナタといっても三声によるトリオの構成に聞こえるとのお説になるほどと感じました。
記述にはありませんので下記を追加します

メニューインと妹のヘプテヴァのピアノ↓
http://www.youtube.com/watch?v=VQP_UKfjKqM&p=D9F5CA5E583B288A&playnext=1&index=13
素朴で品格が感じられます
G.グールドとJ.ラレド
http://www.youtube.com/view_play_list?p=980250FC9E4D0A8B
これも一興です

Uncle Tim さま、コメントありがとうございます

Jaime Laredo, Glenn Gould のバッハは、グールドのオリジナルジャケットコレクションに入っているので持ってます。これは私の好きな演奏です。

メニューインのは、妹のヘプテヴァさんがうまいですね。これを、HMV.co.jp で検索してみたら出てきました。バッハはソナタ3番だけですが。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/756160

さて、トリオ・ソナタとはなんぞや、ですが、
やはりこれは、基本的には3人で演奏されるのが条件だと考えます。したがって、バッハの BWV 1014 シリーズについての私の見解を私は撤回します。

バッハのトリオソナタとよばれる曲を聴いたところ、やはり3人で演奏される美しさ、形式美は、二人で演奏されるものとは違うと思ったからです。
とくに、マタイ、カンタータのアリアで、声楽がからむトリオソナタがは美しいですね。

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