ルチア・ポップの4つの最後の歌とリヒャルト・シュトラウス歌曲集
では、リヒャルト・シュトラウスの「4つの最後の歌」と歌曲集は、どれが良いかというと「4つの最後の歌」については下記オムニバスアルバムが良い。
・曲目
ブレンターノの詩による六つの歌 作品68
1. 夜に
2. わたしは花束を編むつもりだった
3. そよげ、やさしいミルテの樹よ
4. あなたの歌がわたしの心にひびいたとき
5. 愛の神
6. 妻たちの歌
エディタ・グルベローヴァ
1991年録音
献身 作品10の1
母親の自慢話 作品43の2
わが子に 作品37の3
東方から訪れた三博士 作品56の6
春の饗宴 作品56の5
カリータ・マッティラ
1991年録音
四つの最後の歌
春
九月
眠りゆくとき
夕映えに
ルチア・ポップ
1993年録音
マイケル・ティルソン・トーマス指揮
ロンドン交響楽団
SONY
これは、ルチア・ポップがなくなった年に録音されたもの(享年54歳)。文字通り、ポップの「最後」の歌、白鳥の歌となったもの。
しかし、たんに、ルチア・ポップへの感傷的な思い入れで聴くから良いのではなく、歌唱が素晴らしい。真摯に歌っている。
「真摯に歌っている」というのは、どういうことかというと、歌手にしても器楽演奏家にしても誰もが真摯に演奏するだろうが、いくら真摯であっても、演奏が下手だったり解釈が間違っていたりしたらダメである。ルチア・ポップという歌手は、つねに技巧・解釈が優れていたとともに真摯であった...という言い方も抽象的であるとするならば更に具体的に書く。
「4つの最後の歌」はヘッセの3つの詩が取り上げられている。曲順については、初演時は「眠りにつくとき」「九月」「春」「夕映えに」の順番であったのだが、現在、多くの歌手が歌っている曲順が良いと思う。というのは、ヘッセの3つの詩は「春」が彼の若いときの作でロマン的であり文字通り若々しい力を感じさせ元気である。「九月」は円熟期の作風を感じさせる。「眠りにつくとき」は、ヘッセの奥さんが精神の病を得、自らも精神的に病んでいたときの作品...よって、ヘッセの詩作の順に従えばこの順番が良いであろう。
ヘッセの3つの詩のあとにアイヒェンドルフの「夕映えに」を持ってくるのは、この曲が一番長いこともあるが、死をテーマにする曲であるからであろう。しかしもともと、シュトラウスがこの作品群「4つの最後の歌」を着想したのはアイヒェンドルフの「夕映えに」に曲をつけることきっかけだったらしい。現に「夕映えに」が一番先に作曲されている。
「4つの最後の歌」を作曲順に忠実に歌うという歌い方の選択肢まで考えれば、曲順は、あるいは演奏家が自由に決めたほうが面白いかも知れないが、曲順がどうであれ、歌手は、これらの4つの歌の性格を歌い分けなければならない。ルチア・ポップの歌唱はそれができている。彼女のドイツ語は美しいし、ヘッセとアイヒェンドルフの詩がよく理解できるドイツ語の発音をしている。マイケル・ティルソン・トーマス&LSOの伴奏も優れている。これを聴くと、ルネ・フレミングの歌唱は足下にも及ばない...と、言ってしまいたくなるほどである。
歌曲集も下記のポップのが素晴らしい。これは長く廃盤になっていたが現在手に入るようになったようだ。
これは、サヴァリッシュのピアノ伴奏が非常に素晴らしい。
リスナーは、最初の作品10全8曲から彼女の歌唱に吸い込まれてしまうであろう。
マーラーが取り上げたアルニム・ブレンターノの詩集「子どもの不思議な角笛」から「15ペニヒで 作品36の2」のアイロニカルは絶品。
ピアノ伴奏によるリヒャルト・シュトラウスの歌曲は、夜中にしんみり聴くと幸せになれる。
1984年録音。

リヒャルト・シュトラウス歌曲集/ルチア・ポップ/ヴォルフガング・サヴァリッシュ(ピアノ)
TOCE - 14189
EMI
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