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2008年10月23日 (木)

ベートーヴェンの《ミサ・ソレムニス》作品123を聴き比べる(7)

ベートーヴェンの《ミサ・ソレムニス》作品123を聴き比べる(4)において、私が「アニュス・デイ」と「ヨハネによる福音書第20章第19章」を結びつけたことを奇異に思われる読者がいると思うので補足する。

「ヨハネによる福音書第20章第19章」をもとにしたバッハのカンタータが二つある。第42番と第67番である。それらは、復活祭後第1日曜日のためのカンンタータであり、いずれも平和を祈念した明るいカンタータである。「ヨハネによる福音書第20章第19章」において、イエスが「あなたがたに平和があるように」と言ったのは、ヘブライ語で「シャーローム」と言ったのではなかろうか。「シャーローム」はユダヤ人の間でよく使われた挨拶の言葉で、特に「恒久平和」とか「戦争に対する平和」という意味ではない。そして「シャーローム」が「ヨハネによる福音書第20章第19章」において「あなたがたに平和があるように」と訳され、さらにその「シャーローム」が、ミサ典礼文のアニュス・デイにおいて「Dona nobis pacem / 私たちに平和をお与え下さい」へと転用されたとすれば、それは誤訳による転用である。ベートーヴェンは、アニュス・デイにおける「Dona nobis pacem / 私たちに平和をお与え下さい」が誤訳による転用であることを知っていて、あえてその誤訳を利用し拡大解釈したのではないだろうか。

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