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2008年8月20日 (水)

ベートーヴェンの第九交響曲を聴き比べる(1)

 クラシック音楽の愛好者にとって「ベートーヴェンの交響曲の聴き比べ」という話題ほど、面白くない話題はないだろう。というのも、それらの作品は、きわめてポピュラーであって、クラシックの愛好家は、それぞれ、この作品群に対しては、非常に深い思い入れと嗜好を持つだろうからである。例えば、あるスタイルの演奏は受け付けるが、あるスタイルの演奏は受け付けないとか、ある演奏のある箇所は気に入っているので好きだが、ある演奏のある箇所は気に入らないので二度と聴きたくないとか...。そういう嗜好は、場合によっては主観・嗜好・思い入れというより、わがままに近いものもあるだろう。そして、他のリスナーとこの話題を論ずれば、それぞれの意見のギャップのために、最悪の場合、けんかになりかねない。自分が一番好きな指揮者の全集があればそれでよし。あえて多くの演奏を聴き比べ、それを論じることは不要ということになりそうだ。しかし、私が、ベートーヴェンの交響曲の聴き比べをしたくなった事情は以下である。

実は、30年近く前に購入したベームによるベートーヴェン:交響曲全集LP盤が懐かしくなって聴きたくなった。しかし、私のターンテーブルの上にはグールドのオリジナルジャケットCD(80枚組)、その他のCDが置いてあって、動かすのが面倒くさい。そこで、さる5月に、廃盤商品であるベームのベートーヴェン:交響曲全集CD盤を、タワーレコード通信販売に衝動的に注文した。その後1ヶ月を過ぎても発送の連絡がないので、やはり入手不能かと思ったら、数日して「発送しました」というメールが来た。私は、もう手に入らないと思い、他のCDを注文済みであったので、よくあることだが思わぬ出費になってしまった。その思わぬ出費になったCDとは、カール・ベームが1970年から1972年にウィーン・フィルを指揮して録音したベートーヴェン:交響曲全集国内盤である。

モーツァルト:交響曲全集でも書いた通り、DGによる Original Image Bit Processing によるアナログ録音リマスタリングは信用できない。入手したCD ベーム指揮 ベートーヴェン:交響曲全集国内盤の《英雄》を聴いたとき、やはり、LP盤を聴くときの針をビリビリいわせる迫力が全くなかったのでガックリした。しかし、同全集に含まれる第九交響曲は、同作品が情報量の多い作品であるためかCD盤もLP盤に比較して悪くはなかった(むしろCD盤の方がいいぐらい)。ちなみに、私が聴いているターンテーブルは安物である。そのため安っぽい針の「ビリビリ」が面白い。《第九》については《英雄》と違いビリビリこなかった。これを高級ターンテーブルで聴けば違う音がするだろうが、高級ターンテーブルは買う予定なし(お金がない)。したがって、アナログ盤とCD盤の試聴比較論議はしない。というか、できない。

第九交響曲はベートーヴェンの作品の中で、最も人気のある作品であり、既に多くが語られていると思う。しかし、私がここでこの話題を改めて取り上げる理由は以下である。ベーム指揮による第4楽章の下記(midi)の部分を聴いたとき、私は「ワーグナーをして音楽と言葉の融合が素晴らしい芸術を生む」という認識にいたらしめたのは、まさにこの箇所だと感じ、改めて第九交響曲を聴き直してみたいと思ったからだ。

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ここは、第4楽章のコーダの部分、4人の独唱者たちによるカデンツァの部分である。ベーム盤では、ギネス・ジョーンズ、ジェス・トーマス、カール・リッダーブシュという3人のワーグナー歌手が声を張り上げて歌っている。それが非常にワーグナー的に感じられた。私がそのように感じたのはおそらく、最近購入したワーグナー・バイロイト名演集(33CD)で聴いたジェス・トーマス、カール・リッダーブシュの歌声が耳に残っていたからだろう。ギネス・ジョーンズは、ブーレーズの指輪でお馴染みである。

私には、本来、ベートーヴェンの第九交響曲には、他の8つの交響曲と違って、ワーグナー的な何かがあるように思える。それは他の8曲とは違う何かである。ベートーヴェンの第九交響曲は、日本では誰でも参加できる親しみやすいお祭り音楽になっている。また私自身、これまで、この交響曲を特に他の8曲と切り離して聴くことはしなかった。しかし、このギネス・ジョーンズ、ジェス・トーマス、カール・リッダーブシュの歌唱を聴いてこの作品には英雄、運命、田園、第7にはない何かがひそんでいる...と、改めて私はそうに感じたのであった。私は、楽典、楽理、音楽理論は苦手である。したがって、この「ベートーヴェンの第九交響曲を聴き比べる」という話題のまくらとして第4楽章『歓喜に寄す』の解釈から始める。この話は長くなる(というか、これがメインかも)。つづく。


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