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2008年5月 1日 (木)

グールドのベートーヴェン:ピアノ・ソナタを聴く(1)

Gould

グレン・グールドのベートーヴェン:ピアノ・ソナタを聴いてみようと思う。

グールドは、モーツァルトへの嫌悪感を隠さなかった。その嫌悪は彼の表面上の表明ではなく、本心であったと思う。そして、それは演奏にも現れたと思う。それに対し、彼は、ベートーヴェンについて下記のような否定的意見を述べながらも、ベートーヴェンの強い信奉者であった思う。彼があと少し長生きしていれば、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲録音は完成していただろう。ピアノ協奏曲全集は早くに完成させていた。「エロイカ変奏曲」や「バガテル」はレコード・デビュー前からの彼のレパートリーであった。

「うぬぼれ作曲家の史上最高の例(『グレン・グールドの生涯』120ページより)」

「自分の行うことはすべて、ただ自分が行うからこそ正当化される信じていた作曲家(同上)」

 グールドのベートーヴェンの録音のいくつかにみられるとらえどころなのない解釈には、この作曲家そのものに対するグールドの見解が反映していた。「ベートーヴェンは非常にアンビヴァレントな感情を抱いています」とグールドはあるインタヴューで答えている。バッハの作品はすべてを好んでいたわけではなかったが(例えば、《半音階的幻想曲》や初期のトッカータにみられる即興的な部分について軽蔑的な発言を連発している)、ほとんどいつも敬服と愛情の念を抱いてバッハを語っていた。ところがベートーヴェンには、どこか芝居がかった、尊大な面があって、それがグールドをいらだたせたのである。朗らかで溌剌とした若い頃のベートーヴェンの作品は(《月光》でさえ)大好きだったのだが、複雑かつ雄大になってしまったその後のベートーヴェンにおいては、交響曲第七番や第九番よりはソナタ第二六番《告別》や弦楽四重奏曲第一一番《セリオーソ》や交響曲第八番といった謎めいた過渡期的な作品ばかりを好んだ。これとは対照的に、あの第二九番《ハンマークラヴィーア》という大曲について、グールドは次のように書いている。「ベートーヴェンの作品の中で、最も長く、最も取るに足らない、おそらく最も弾きがいのない作品です。
 ベートーヴェンの最高傑作で最も有名なもののひとつであるソナタ第二三番《熱情》に対し、グールドは格別の反感の情を抱いた。グールドは《熱情》を批判した。そうしたのも、もしかしたらこの曲の人気が高かったからかもしれないが、批判はやや難解な技法上の理由に基づくものだった --- 「第一楽章アレグロでは、第一主題と第二主題はどちらも三和音をアルペッジョにした音型から生まれているが、その関係が曖昧で・・・展開部もやはり支離滅裂である。・・・」こういう異論はほとんど支持されないと承知しているかのように、今度は個人的な、感情的な理由に基づいて、この作品に攻撃をかけた --- 「この作品を書いた頃のベートーヴェンは、動機の倹約だけではなく、ベートーヴェンであり続けることにも夢中だったからだ。また《熱情》には自己中心的なもったいぶりや、"もう一度使っても大丈夫かどうか試してみよう"といった調子の傲慢な態度がある。よって、私のベートーヴェン人気投票では、このソナタの順位は《シュテファン王》序曲と交響曲《ウェリントンの勝利》のあいだのどこかである。」
 実に奇妙なことだが、グールドがこの酷評を書いたのは、軽蔑されたこのソナタを彼自身が弾いたレコードのライナーノーツだった(一九七〇年発売)。そしてこれがいかにひどい作品かを実証するように --- また、よく知られた作品は違った形で演奏されなくては意味がないという持論を実行するために --- グールドはかなりひどい弾き方で《熱情》の演奏に踏み切った。葬送行進曲のようなテンポを採用したため、堂々たる第一楽章は、たどたどしい、煮え切らないものとなり、音楽は寸断されて聞こえる。そこには《熱情(アパッショナータ)》に欠くべからざるものが決定的に欠けている。(それは)《熱情(パッション)》である。
 このベートーヴェンのスタンダード・ナンバーを愚弄した録音を行ったのと同じ一九六七年、グールドは、比較的知られていなかった曲目をあえて持ち出し、最も奇妙な成功作のひとつを生み出した。ベートーヴェンの第五交響曲のフランツ・リストによるピアノ編曲版である。理屈からすれば、《熱情》をめぐってグールドが展開した批評はすべて第五交響曲にもあてはまったし(「自己中心的なもったいぶり」がさらに染みついた作品ということになるのだろうか?)、有名な冒頭の騒々しい主題は、オーケストラの弦楽器からピアノに写されることで、いっそう騒々しいものとなった。しかもこの編曲そのものは、リストの手になるものである。グールドはほかの一曲もその作品を録音せず、嘲笑なくして言及することの決してなかったあの作曲家の編曲である。とにかくグールドは、今度はベートーヴェンとリストの両者をそれぞれの自己評価どおりに取り上げたがゆえに、そしてほとんど馬鹿げているこの組み合わせを、大真面目に演奏したがゆえに、大成功を収めた。これはグールドの最も驚嘆すべき名盤のひとつである。(同230〜232ページより)」

==

【当ブログ開設者より】 上記「よく知られた作品は違った形で演奏されなくては意味がない」というのは、いかにも、グールドらしいですね。

==

昨年発売された「グレン・グールド/ザ・ヤング・マーヴェリック - 若き異端者/CBC録音集(6CD)」には、以前には我々が聴くことができなかったベートーヴェンのピアノ・ソナタの音源が入っていた。

ピアノ・ソナタ 第28番 イ長調 作品101
ピアノ・ソナタ 第4番 変ホ長調 作品7(第2楽章のみ)
ピアノ・ソナタ 第19番 ト短調 作品49の1
1952年10月12日放送

『グレン・グールドの生涯』の巻末資料によると、これらは、かつてレコード化されていたことが示されてあるが、CDとして復刻されたのは久しいであろう。

DISC 4
ピアノ・ソナタ 第28番 イ長調 作品101
7. 第1楽章 Allegretto ma non troppo (3'39)
8. 第2楽章 Vivace alla marcia (3'45)
9. 第3楽章 Adagio, ma non troppo, con affeto (8'42)

第1楽章
バックハウスの演奏(旧盤)に似てるというといいすぎだが、解釈はさほど変わらない気がする。すなわち、正統的な演奏。

第2楽章
快速に飛ばす。第1,2楽章は録音が悪い。

第3楽章
序奏Adagioイ短調は「寂寞の心」(作曲家別名曲解説ライブラリー3 ベートーヴェンより)がじっくり歌われている。また左右の手が対位法的に動くのがグールドにとって魅力だったのであろうことが窺われる。

Tempo del primo pezzoは第1楽章の回想が効果的、第1楽章のテーマが、グールドによって忠実に再現される。

Prestoに入ってからは、またも快速に飛ばす。展開部のフーガは若いグールドの技巧がぞんぶんに聴かれ、非常にエキサイティング。
この作品101は、名演だと思う。特に第3楽書のフーガは、グールドの深い思い入れが聴かれ、その演奏からは上記の毒舌(ベートーヴェンへの否定的意見)とは裏腹な彼の感情さえ感じられる。

ピアノ・ソナタ 第4番 変ホ長調 作品7
10. 第2楽章 Largo, con gran espressione (9'31)

リヒテル風の重厚な演奏。
放送時間の関係で第2楽章のみの録音となったのだろう。
作品7は私の大好きな曲なので全曲演奏を残して欲しかった。

ピアノ・ソナタ 第19番 ト短調 作品49の1
11. 第1楽章 Andante (3'30)
12. 第2楽章 Rondo. Allegro (2'55)

作品49の1,2も私の好きな曲である。作品49の1はグルダの方がうまいと思う。

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コメント

そう云えば、グールドは、バッハ、モーツァルト、ブラームスのCDは、持っているが、私の一番好きなベートーヴェンピアノソナタ全集は、持っていなく、地元の中央図書館で借りようと思いましたが、ない、とのこと。この全集では、シュナーベルが有名ですね。私も、ルドルフ・ブーフビンダーの全集は持っていますが、グールドの全集が聞きたいのです。グールドの全集は、2012年1月23日現在で、5576円だそうです。もう暫くしたら、購入したいと思います。グールドの演奏を聴きたいのです。

グールドはベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集を完成させていません。
たとえば、ハンマークラヴィーアは公式には発表されておりません。
非公式な放送音源ならありますが・・・

http://www.amazon.co.jp/Piano-Sonatas-24-29-Beethoven/dp/B0000028NZ

KMさん情報、ありがとうございました。しかし、他のHPで、5576円で、あると拝見しましたが、どう云うことでしょうか?

グールドは、ベートーヴェン全集を完成させようという意志はあったようですが、彼の死によって実現できませんでした。

グールド/オリジナル・ジャケット・コレクション(80CD)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2647254

上記コレクションが一番分かりやすいと思います。

正確かどうか分かりませんが、手に入らないと思われる曲は、

4番
9
10
11
12
13
20
21(ワルトシュタイン)
22
25(かっこー)
26(告別)
27

じゃないかと思います

>他のHPで、5576円で、あると拝見しましたが

それは全集ではないでしょう

ていせい
12, 13番はありました。

>グールド/オリジナル・ジャケット・コレクション(80CD)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2647254
>Disc 76 (43:45)
>ベートーヴェン:
>・ピアノ・ソナタ第12番 Op.26
> 録音:1979年9月4,5日 トロント、イートンズ・オーディトリアム
>・ピアノ・ソナタ第13番 Op.27-1
> 録音:1979年9月4日 トロント、イートンズ・オーディトリアム
> グレン・グールド(ピアノ)

> Disc 27 (41:35)
> ベートーヴェン:
> ・ピアノ・ソナタ第8番 Op.13『悲愴』
>  録音:1966年4月18,19日 ニューヨーク、コロムビア30番街スタジオ
> ・ピアノ・ソナタ第9番 Op.14-1
>  録音:1966年2月3日 ニューヨーク、コロムビア30番街スタジオ
> ・ピアノ・ソナタ第10番 Op.14-2
>  録音:1966年2,5月 ニューヨーク、コロムビア30番街スタジオ
>  グレン・グールド(ピアノ)

9, 10 番もありました

残るは、

4番
11
20
21(ワルトシュタイン)
22
25(かっこー)
26(告別)
27

もしかしたら、あるかも知れませんね。未発表録音など探せば。

KMさん。沢山の量の情報、ありがとうございました。KMさんは、グールドのファンなのですか?もの凄く知識が豊富なので、今ピアノは習っているのですか?例えば、音大生だとか。

私は50代のおっさんです。宜しく!

>ピアノは習っているのですか?

電子ピアノを持ってますが弾けません。

私は、グールドのファンです。

オットー・フリードリック著「グレン・グールドの生涯」
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89%E3%81%AE%E7%94%9F%E6%B6%AF-%E3%82%AA%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BC-%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF/dp/4791759532

これを読んだとき、たしか、

「グールドは、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集を完成させる意気込みがあったが、ついに完成できなかった」と、オットー・フリードリックが書いていたような気がしました。

9
10
12(葬送)
13番

も、録音していたとは知らなかった。

本当にグールドは、もう少しのところでベートーヴェン全集を完成させることができたのですね。
知らなかった・・・私の無知でした。

P.S. 私のブログを読めば分かるとおり、私の家が3年前の12月に火事になりまして、オットー・フリードリック著「グレン・グールドの生涯」も焼失しました。その後、その本を買い戻していません。グールド/オリジナル・ジャケット・コレクション(80CD)は買い戻しました。

KMさん。またのお返事ありがとうございました。私も、40代のおばさんです。ピアノは、以前習っていました。中学から、音中に行きたかったのですが、親に反対され、音大から許可が出ました。まあ、それを阻むものができて、一般の大学に行きました。中学のピアノの先生が、あまりにもしつこく、音高行かない?と勧めてきたのですが、尊敬する先輩方が、皆さん都立から、音大に行かれたので、私もその方が良いと思ってましたので、都立から、音大へ、と思いました。
ところで、KMさんも、3年前、大変な思いをされ、グレン・グールドの生涯と云う本が無くなり残念、無念ですね。しかし、高い本ですね。
私は、こう云う試みもしてみました。それは、ワルトシュタイン聴き比べです。いろんな、ピアニストのワルトシュタインだけを集めて、色々聴いてみました。嫌いなピアニストもいれば、好きなピアニストもいる。癖のある演奏は嫌いでした。
尊敬する先輩が引いているのを聴いて、グレイト、と、思いました。一番好きなソナタです。次に、第11番が好きです。これも、先輩が弾いたのを聴いて、良いと思いました。
ベートーヴェンソナタで、好きな曲だけ、弾きます。技巧的にも、芸術的にも、難しく、しかし、こんなに弾きがいのある曲は無いですね。CDを聴くのもよいですし。もう、最近は、専らCDは、図書館で借りるようにしています。グールドの裏話は、また後ほど。失礼しました。

FUMI さん

ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集は、

シュナーベル
バックハウス(旧盤)
バックハウス(新盤)
ケンプ
グルダ
アラウ(新盤)
ジャン=ベルナール・ポミエ
アニー・フィッシャー
アンネ・エランド
Claude Frank

を、持っていたのですが、火災後、買い戻したのは、シュナーベルのみです。

そのあと、ルイ・ロルティ(Louis Lortie)の全集と、
メジューエワの全曲演奏
を単品でそろえました。
ルイ・ロルティの全集は気に入りませんでした。

ヒューイットのベートーヴェンは非常に気に入ってます。アンジェラ・ヒューイットは、さっさとベートーヴェン全集を完成して欲しいと思っています。

バックハウスのベートーヴェン全集は、音がいいイタリアデッカ盤が欲しいのですが手に入りません。
http://koshiro-m.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/wilhelm-backhau.html

ワルトシュタインは、少し癖あるアリス=紗良・オットの演奏が気に入ってます。
小林愛実のも気に入ってます。

11番
これは、グールドに演奏して欲しかった

・グールドによるベートーヴェンについて
たとえば、私の好きなソナタ第18番第4楽章 プレストは、
テンポがグールドのより速いメジューエワのも良いですが、
少しもたついたようなグールドの演奏の方が好きです。

KMさん
随分ベートーヴェンピアノソナタには詳しいですね。グルダ、ケンプ、バックハウス、私が知っている範囲では、ハイドシェック、ポリーニ、ブレンデルを知っています。ポリーニは、迫力ありますね。中村紘子さんも、聴きました。女性だけに、タッチがソフトでした。シュナーベルは、やはり、このソナタの第一人者ですね。未成年の頃、レコードの時代に、買い求めて、拝聴しましたが、巨匠だ、と。ベートーヴェンピアノソナタとの出会いは、シュナーベルでした。
ところで、第11番の曲は、大きな音が出ることや、指が早く動かないとなかなか大変です。今は、専らCDを聴くだけです。そんなに、グールドがお勧めでしたら、聴いてみたいです。

FUMI さん
グールドのベートーヴェンは一概に良いと評価できないと思います。
私の感想。私の曖昧な記憶の範囲内で、

1 奇抜 ロマン的 良いと思います
2 奇抜
3 奇抜だが私の好みにあう演奏です 私の好きな曲
4 録音がない
5 これはグールドに合う作品だと思う。しかし意外に良くなかったような気がする
6 記憶がない
7 これもグールドに合う作品だと思う。しかし意外に良くなかったような気がする
8(悲愴) 第2楽章は美しかったと思います
9 良かった
10 良かった
11 ない
12(葬送) 良かった
13 聴いてない(笑)
14(月光) うまいと思います
15(田園) 個性的 奇抜 あまり良くない
16 特にうまいと思わない
17(テンペスト) 同上
18 第4楽章が好き
19(上記本文記事のとおり)
20 ない
21(ワルトシュタイン) ない
22 ない
23(熱情) 変な演奏だが私は嫌いではない でもあまり聴かない
24(テレーゼ)非公式盤 私は焼失しました 良かったと思います
25(かっこう) ない
26(告別) ない
27 ない
28(上記本文記事のとおり)
29(ハンマークラヴィーア)非公式盤 焼失しました 面白い演奏でした
30(モノラル)彼の代表作 第3楽章第4変奏のテンポを無視したのは良くないが、その部分以外は良いと思います
31(モノラル)彼の代表作 私は好き
32(モノラル)同上
http://koshiro-m.cocolog-nifty.com/blog/2008/05/2_e53f.html
http://koshiro-m.cocolog-nifty.com/blog/2008/05/3_68f4.html
ご参照ください

KMさん
グールドをそこまで熟知しているのは、感服します。
ところで、私が唯一持っている、ベートーヴェンピアノソナタ全集で、ピアニストは、ルドルフ・ブーフビンダーで、1946年ボヘミア生まれの方です。30代位の時に出した全集なので、あぶらに載っています。その方の全集しかないので、私には、何とも言えません。
音大を希望していて、恥ずかしいです。
グールドを知ったのは、他の作曲家でした。この、ブーフビンダーと言う人、ご存知ですか?激しさと云う点では、ベートーヴェンらしいです。あまりにも、激しすぎて、ついていけません。全集には、ドイツ語オンリーの解説書もあります。日本語もあります。
KMさんは、前述に、1番から32番までの、感想を書いていましたね。そこまで感想を述べられる人は、ざらには、いませんよ。グールドの話を、又は、他のピアニストの話を聞かせてください。お返事が遅くなり、申し訳ありません。

ピアノ・ソナタ全集 ブッフビンダー(2010-11)(9CD限定盤)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/4081414
ブッフビンダーは1980年から1982年にかけて、テルデック・レーベルにベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集をセッション・レコーディングしていたので、これが2度目の録音ということになります。その旧全集には、30代なかばのブッフビンダーの個性が強く刻み込まれており、マニア中心に高い評価を得ていました(HMV.co.jp より)

Buchbinder/Beethoven-the Sonata Legacy [Box set, Import, from US]
http://www.amazon.co.jp/Buchbinder-Beethoven--Sonata-Legacy-Rudolf/dp/B004Q8FTDK
(アマゾン)

ブッフビンダーは、1980-82年につづいて、いま、2010-11年録音ライブ盤を発表していますね。1980-82年録音はもう手に入らないようです。この人は現在65才ぐらいですから、いまは、少し衰えているかも知れません。試しにバラ売りで買ってみたいと思います。

私にとって、最高のベートーヴェン弾きは、バックハウスです。特に旧盤はいいと思います。新盤はダメです。やはり衰えています。

次はシュナーベルです。ただしこれはあまり聴いていません。その理由は、録音が古く聴きづらいからです。私は、少しだけピアノを弾けるのですが(といっても音を出す程度、指がまったくまわらないし、速い曲はダメ、右手と左手が違う動きをする曲はダメ、そもそも譜面を読めない)、「月光の第1楽章」と「エリーゼのために」は、シュナーベルの演奏が非常に参考になりました。シュナーベルのベートーヴェンには賛否あるようですが、ベートーヴェンを非常によく知っているという感じがします。例えば、エリーゼのためにという曲は、スケルツォのように弾くと良い感じが出ますね。それをシュナーベルの演奏から知りました。

若手の演奏では、メジューエワが好きです。

Louis Lortie
児玉麻里
Paul Lewis

この3人は不可です。特に Paul Lewis は評価が高いのですが、全然面白くありません。

アリス=紗良・オット と 小林愛実 が気に入って、児玉麻里、Paul Lewis が気に入らないというのが、私の好みです。
すなわち、癖あり、個性ある演奏家であり、ベートーヴェン崇拝者であるピアニストが好きです。

リム(Hyun-Jung Lim)という人に期待しています。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/4927078

KMさん。おはようございます。早速ですが、ブーフビンダーの全集買い求めたものは、私が買い求めたものは、前述したもののようです。私は、KMさんがおっしゃっていた2010-11のライブ盤を求めに、図書館に電話してみましたが、所蔵
が無い、とのこと。あまりにも、落胆してしまいました。グールドの時も、図書館には無い、と言われがっかりしてしまいました。TUTAYAや、BOOK OFFで聞いてみたら、クラシックもお取り寄せなら揃えられますが、と云う返答でした。どうしようか迷っています。
コメントが遅くなり、申し訳ありません。そして、KMさんのように、私は、パソコンは不慣れですので、どうか、ご容赦を。
私も、ベートーヴェンピアノソナタのCDを引っ張りだしてきました。
中村紘子、アシュケナージ、ハイドシェック、ブレンデル、ケンプ、ポリーニ、清水和音、ソナタではなく、皇帝として、バックハウスがありました。
もう一度、CDを聴いてみようと思います。ブーフビンダーも、若いと思っていても、もう65歳ですか?時の経つのは速いものですね。
本来、ここは、ベートーヴェンピアノソナタのグレン・グールドのコーナーですが、ざっくばらんに色々書き込んでも良いのではないでしょうか?情報提供者が、他にもいらっしゃるかも知れません。
私が大学受験する時は、クラッシックから遠のいてました。シュナーベル位しか、持っていなかったのです。そうですね。
多感な頃で、難しく、音大受験は、阻むものがあり、暫くぶりで聴いたのは、ブーフビンダーの全集でした。
話は変わって、最近図書館で借りられたものは、チェルニー30番、40番のCDのみで、皆無いと言われました。ベートーヴェンピアノソナタになると、所蔵が無いと言われるし、残念です。

FUMI さん

>本来、ここは、ベートーヴェンピアノソナタのグレン・グールドのコーナーですが、ざっくばらんに色々書き込んでも良いのではないでしょうか?

はい。そうですね。

どんどん書いて下さい。私も FUMI さんとのやり取りが日課のようになり楽しいです。

話題が前後しますが自己紹介のようなものを書きます:

・現在の私のクラシック音楽の嗜好

私の火災前と火災後のクラシック音楽の嗜好は、非常に変わりました

チャールズ・アイヴズ作曲 ヴァイオリン・ソナタ聴き比べ(4)
http://koshiro-m.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/post-ab32.html
この記事の一番下のコメントに私は変なことを書いてますが、よかったら、ごらん下さい。

要するに、私は、残された自分の人生を考えるようになり、いつまで音楽を聴き続けることができるか分からないということから、21世紀、つまり、私たちと同時代人の音楽を優先して聞くようになりました。いま、私は、以前よく聴いていたヘンデル、ハイドン、モーツァルト、ワーグナーをまったく聴かなくなったのは不思議です。バッハとベートーヴェンは聴きます。どうも私は、この世はおそろしい、生きていくのはこわいというコンセプトを好み、それ以外は聴かなくなったようです。バッハのカンタータは、死について歌っているものが多いので聴きたいと思います。ベートーヴェンは、聴覚の障害を持っていた作曲家であるという点に(困難を乗り越えるにはどうすればよいかを教えるという点に)ひかれます。

--

私が持っていたベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集は、

シュナーベル
バックハウス(旧盤)
バックハウス(新盤)
ケンプ
グルダ
アラウ(新盤)
ジャン=ベルナール・ポミエ
アニー・フィッシャー
アンネ・エランド
Claude Frank

エリック・ハイドシェク <ーーー 持っていたが手放した
バレンボイム 1981-84年録音 <ーーー 持っていたが手放した

あと、バレンボイムが2005年、ベルリンで演奏したベートーヴェン:ピアノ・ソナタ チクルスがNHKで放送されました(ライヴです)
ピアノ・ソナタ全集 バレンボイム(p)(6DVD)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1198511
それを全部(マスター・クラスすなわちレクチャーを含めて)録画していたのですが火事で焼失しました。これは、ベートーヴェン:ソナタ全集を映像で見られるという意味で価値あるものでした。残念です。

ピアノ・ソナタNo.13,14,15 ポリーニ 焼失
ピアノ・ソナタNo.17,21,25,26 ポリーニ 焼失
ピアノ・ソナタNo.22,23,24,27 ポリーニ 焼失
ピアノ・ソナタNo.28-32 ポリーニ 焼失
リヒテル(数枚)焼失。
アシュケナージは、確か後期ソナタを持っていたと思いますが、焼失。

火災の後、購入したのは、
ピアノ・ソナタNo.8,14,15,21,23,26 John Lill これは、全集を買おうと思いましたが買いそびれています
ピアノ・ソナタNo.27,28,30,31,32, Rondo Op.51 No.1,2 Peter Serkin あまり聴いてない
ピアノ・ソナタNo.30,31,32 Elisabeth Leonskaja あまり聴いてない
ピアノ・ソナタNo.4,7,23 ヒューイット
ピアノ・ソナタNo.3,8,15 ヒューイット
ピアノ・ソナタNo.6,12,14,27 ヒューイット ヒューイットは気に入ってます
メジューエワの全集

私は、ポリーニの中期ピアノ・ソナタは良いと思いますが買い戻す気はありません。アシュケナージは気に入りませんでした。

バレンボイムを手放し、ポリーニを買い戻さない。
そういう私の好みからすると、
ブッフビンダーは、合わないという予感があります。というのは、私は癖があるベートーヴェン:ソナタが好きなのです。ブッフビンダーは個性的であるようですが、癖があるというほどではないようですね。実は、iTunes で、ブッフビンダーの月光第1楽章の一部と悲愴第2楽章の一部を聴いてみましたが、ピンと来ませんでした。
私がベートーヴェンのソナタの品定めをするのは、最後の30,31,32番か、作品31 No.1-3(16,17,18番)あたりです。したがって、ブッフビンダーのそれらを聴いてみたいのですが、バラ売りでは売ってません。

--

ドイツアマゾンで、見つけました
Beethoven:The Sonata Legacy [Box-Set]
http://www.amazon.de/Beethoven-Sonata-Legacy-Rudolf-Buchbinder/dp/B004Q8FTDK
このページでは、ブッフビンダー新盤を全曲、少しずつ試聴できます。

18 von 19 Kunden fanden die folgende Rezension hilfreich:
4.0 von 5 Sternen Abbitte, 17. Juni 2011
Von
Sagittarius "Hans"
カスタマーレビューには、19人中18人が参考になった

このSagittarius "Hans"さんのドイツ語は私の語学力では何を言っているのかよくわかりませんが、
「無視していたピアニストであった
しかし、意外に良かった。
驚きであり、歓迎すべき失望」と書いているようですが、どっちつかずのレビューですね。

音を少し聴いてみたのですが、なんとなく、ブッフビンダーは古いタイプのピアニストのような気がします。私は新しいタイプのベートーヴェンを求めていますから、残念ながら、多分、ブッフビンダーは私の好みには合わないと思います。たとえば、ヒューイットなどは、ある意味で挑戦的で新しいと思います。いまはそういう演奏を求めています。


KMさん。コメントを拝読しましたが、気が付くのが遅く、今は遅いので、明日、コメントします。
失礼致しました。

KMさん。おはようございます。私とのやり取りが日課になり、楽しいとありましたが、大変光栄です。ありがとうございます。私も、学ぶことが多いです。バイオリンも、お聴きになるのですね。実は、ベートーヴェンバイオリンソナタと、チェロソナタそれぞれ全集を図書館で、借りてダビングしました。しかし、ピアノ歴が長かったのと、どうもピアノしか受け付けない自分がいます。要するに、勝手が解らないのでしょう。
KMさんがおっしゃっていたとうり、私も、バッハは聴きます。それ以上いかないのです。モーツァルト、等。しかし、今メールを打ちながら、ベートーヴェンを聴いています。あぶらにのっていたころの、ブーフビンダーを聴いています。
話は変わり、心の安定を図る作曲家は、誰だと思いますか?誰でも、イライラする時があるでしょう?そう云う時に、心を
緩和させる曲です。KMさんの場合は、どうでしょうか?
アイドルから、ロック、ポップス、そして最後は、オペラのアルバムを2枚残し
て亡くなった、本田美奈子さんをご存じですか?彼女の最後の追悼ベスト盤に、こんなことが書いてありました。一説読みあげます。
楽しい時、歌がもっと楽しくしてくれました。

嬉しい時、歌が一緒に喜んでくれました。

悲しい時、歌と一緒に悲しみを分け合、いました。
辛い時、歌と一緒に辛さを乗り越えました。
幸せな時、歌が私をしあわせのヴェールで包み込んでくれました。
私は今まで、歌と一緒に歩んできました。
その愛する歌を通じて、皆さんと出会えた事を
心から幸せに思います。
そして、私の歌が皆さんに、歌の素晴らしさを
伝えることができるよう、1人でも多くの方の心が
豊かになれるよう、と云う願いを込めて
これからも、歌い続けたいと思います。
この  ミニアルバムも、聞いてくださった方々の心に
届きますように
            心を込めて
                     本田美奈子

この一説は、絶筆です。もう危ないというときに、本田さんが書いたそうです。
この最期のアルバム、DVDのセットです。
タイトルは、アメイジング・グレイスです。
1アメイジング・グレイス
2タイスの瞑想曲
3Time To Say Goodbye
4風のくちづけ
5この素晴らしき世界
6ララバイ
DVD部門
1アメイジング・グレイス
2白鳥
以上です。
それから、本田さんは、過去に、オペラでは、アヴェマリアと、時、と云うアルバムを出しています。

FUMI さん

ベートーヴェンのライフワークは、交響曲とピアノ・ソナタだったのですが、ヴァイオリン・ソナタ全曲もすぐれています。すぐれた鍵盤奏者だったバッハ、モーツァルト、ベートーヴェンは、ヴィオラ奏者でもあったようですね。そして、3人ともすぐれたヴァイオリン曲を残しました。だから聴かないと損ですよ(笑

私は、バッハのヴァイオリン協奏曲の究極の名盤を求めています。いまのところ、ユリア・フィッシャーのが好きです。

次は、アン・アキコ・マイヤースを買おうと思っています。
Air: the Bach Album [Import, from US] Anne Akiko Meyers
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B006OZN6J2

ベートーヴェンの Vn ソナタ全集は、オイストラフのがベストだと思いますが、音が良くないので最近はあまり聴きません。その代わり新しい録音で、
Baiba Skride (全集はない)
Alina Ibragimova (全集)
ムローヴァ (全集はない)
Isabelle Faust (全集)
などを聴いてます。

ベートーヴェンのチェロ・ソナタは、カザルス&ゼルキンが、さすがにうまいですね。そのうまさには、びっくりさせられました。

私はヒラリー・ハーンが好きです。特に、最新盤のチャールズ・アイヴズは久しぶりの傑作だと思います。

どうも私は最近、女性アーティストばかり聴いています。これは、まじめな話ですが、いまの時代、クラシック音楽は男より女の方がうまいと思っています。指揮者もシモーネ・ヤングとスザンナ・マルッキという女性指揮者が気に入ってます。それに作曲家もソフィア・グバイドゥーリナが好きです。

イライラするときの私にとっての精神安定剤は、クレーメル&アルゲリッチのクロイツェル・ソナタです。

いまは、アイヴズを聴くと落ち着きます。そして、21世紀の音楽を聴くことに、精神の落ち着きを得るとともに、目的を見出しています。

本田美奈子さんの歌は「Oneway Generation」が好きでした。あとは知りませんでした。彼女のアイドル歌手以後の活躍は知りませんでした。彼女が亡くなったのちに、彼女の業績を知りました。ミュージカルやクラシックに進出したすぐれたアーティストだったんですね。

P.S. ご返事あわてて書かなくていいですよ。どうぞ、ゆっくり書いて下さい。

KMさん。こんにちわ。ヴァイオリン、チェロは、疎いです。ヴァイオリンで知っているのは、諏訪内さん、五嶋みどりさん、位しか解りません。チェロは、堤  剛さんだけです。お恥ずかしいのですが。ピアノほど、私の中では、盛り上がりません。数少ないCDでも、ピアノソロが、多いです。
ピアノ馬鹿かもしれません。交響曲全集で持っているのは、唯一ベートーヴェンです。カラヤン指揮で。大晦日の日に、
NHK教育で、その年の第九演奏会を放送するのです。今までは、ビデオでしたが、昨年、父がマイテレビを購入して、
DVDとブルーレイディスクを録再生できるものを買ったのです。一応、昨年は、ブルーレイディスクに収めることに成功しました。父は、俺はできない、あんたやりなさい、と言われたので、メーカーに問い合わせて教えて頂きました。昨年は紅白もつまらなそうだったので、放送時刻に合わせて、放送も拝見しました。

FUMI さん
私は、バッハの無伴奏チェロ組曲の良さが、なかなか分からなかったのですが、ダニエル・ミュラー=ショット Daniel Müller-Schott
http://koshiro-m.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/post_b305.html
のを聴いて少し楽しめるようになりました。
そもそも私は、チェロという楽器をあまり好きではなかったのですが、
ジャクリーヌ・デュ・プレ~EMI完全録音集(17枚組) [Box set, CD, Import, from UK]
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%8C%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%A5%E3%83%BB%E3%83%97%E3%83%AC~EMI%E5%AE%8C%E5%85%A8%E9%8C%B2%E9%9F%B3%E9%9B%86-17%E6%9E%9A%E7%B5%84-%E4%BD%9C%E6%9B%B2%E8%80%85%E5%A4%9A%E6%95%B0/dp/B000V9P4YM
を聴いて、やっとチェロも好きになりました。
これらはいずれも火事で失いました。

ヴァイオリンやチェロよりも、ヴィオラは陰影があって、現代作曲家には好まれているようです。
モノローグ〜20世紀チェコの無伴奏ヴィオラ作品集 ホスプロヴァー
http://koshiro-m.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/post-ce19.html
いま私はヴィオラに興味があります。

もうひとつ私の苦手なジャンルであり、その苦手を克服しようと火災前に聴いていたのが、バッハのオルガン全集です。
ベルナール・ラガセのバッハオルガン曲全集
http://www.amazon.co.uk/Complete-Organ-Works-Johann-Sebastian/dp/B00005LAJV
これを焼失したのが惜しいです
英国アマゾンでは、手に入るようですが・・・
私は、カナダアマゾンで、8000円ぐらいで手に入れたのでした。いまカナダアマゾンでは売ってません。英国アマゾンでは高いですね。再購入しようかどうか迷っています。

ラガセはカナダの人です。

ベートーヴェンの交響曲集については、トスカニーニが1939年に録音した全集が気に入りました。いずれその感想をブログに書こうと思っています。
以上ピアノ以外の話題でした。

KMさん。私も、ピアノとは、遠い話になりますが、オペラは、お好きですか?私は、同世代の本田美奈子さんの影響が、強いですね。昔、マリア・カラスと云う、ソプラニストがいたそうで、凄い美声らしいです。
3大テノールも良いですね。
また、少し休んでから、打ちこみます。

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