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2008年4月26日 (土)

ヒラリー・ハーンを追っかける(2)

2

J.S.バッハ
ヴァイオリン協奏曲 BWV1041, 1042
2つのヴァイオリンのための協奏曲
オーボエとヴァイオリンのための協奏曲
ヒラリー・ハーン
ジェフリー・カヘイン(Jeffrey Kahane)指揮
ロサンゼルス室内管弦楽団
2002年、2003年録音

・曲目
ヴァイオリン協奏曲 ホ長調 BWV 1042 (16'28")
2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV 1043 (14'25")
ヴァイオリン協奏曲 イ短調 BWV 1041 (13'36")
オーボエとヴァイオリンのための協奏曲 ハ短調 BWV 1060 (13'11")

・演奏者
ヒラリー・ハーン(ヴァイオリン)
マーガレット・バーチャー Margaret Batjer(ヴァイオリン、BWV 1043)
アラン・ヴォーゲル Allan Vogel(オーボエ、BWV 1060)
ジェフリー・カヘイン Jeffrey Kahane 指揮
ロサンゼルス室内管弦楽団

これは、17才の時に「無伴奏」を演奏したハーンが、今度は22才ぐらいになって、新たに挑んだバッハである。というと格好いいが、私には、前者が音大の入学試験、後者が卒業試験で課せられた課題曲の演奏記録に思える。後者は卒業に際し、4年間の研究成果を発表した発表会の演奏のように思える。

実は、私はバッハのこのジャンルには疎い。もともと、私は、無伴奏ヴァイオリンにしても、無伴奏チェロにしても「一人の人が一つの楽器を長時間、演奏するのを聴いて、どこが面白いのか」という認識しか持ってなかった。ただし「平均律」は別である。クラヴィーアは一人で複数の声部を演奏できる楽器である。しかし、単体の弦楽器はそうではない(無伴奏ヴァイオリン・ソナタのフーガは除く)。18世紀の教会オルガンは当時のオーケストラを上回る音を発音できた。

クラヴィーア曲を除くバッハの器楽曲に無関心だった私が、バッハの器楽合奏曲の面白さを知るようになったのは、つい最近である。ジャズ・ピアニストのキース・ジャレットは、リコーダーのヴィルトゥオーゾ(Michala Petri)や名ヴィオラ奏者(Kim Kashkashian)とフルート・ソナタやヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタを録音している。私は、それらを聴いて、バッハの合奏の面白さを知った。それは、複数の人間が音楽の「部分」を受け持つジャズの面白さと共通する。それは、複数の人間が各パートを受け持ち合い全体をなす合奏そのものの面白さである。

ハーンのヴァイオリン協奏曲は、上記のバッハの合奏の面白さを感じさせてくれる。そのCDジャケットおよびリーフレットには、英語で "Concerto for Violin, Strings and Continuo" あるいは "Concerto for 2 Violins, Strings and Continuo" あるいは "Concerto for Oboe, Violin, Strings and Continuo" と記されている。それらの表記は、それらの作品が、トリオ・ソナタの要素を持つことを示すかのようである。

ハーンは、あたかもトリオ・ソナタの3パートを、指揮者のジェフリー・カヘイン、ヴァイオリニストのマーガレット・バーチャー、オーボエ奏者のアラン・ヴォーゲルという「学友」たちと分かち合うことによって、彼女の卒業のための課題を無難に終わらせることができたのだと思う。

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