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2008年3月14日 (金)

オリガ・カーンを追っかける(1)

Photo
11th Van Cliburn International Piano Competition
Olga Kern
2001年録音
harmonia mundi usa

SCRIABIN: Piano Sonata No.9, Op. 68, "Black Mass"
WAGNER - LISZT: Isolde's Liebestod (from Tristan und Isolde)
BARBER: Sonata for Piano, Op. 26
SCHUBERT: Impromptu in B-flat major, D. 935, No. 3
JUDITH LANG ZAIMONT: Impronta Digitale
LISZT: Réminiscences de Don Juan

私がオリガ・カーンのCDを買ったきっかけは、藤原由紀乃の「ブラームス:2大変奏曲」と聴き比べるのが目的だった。ところが、カーンの「ブラームス:2大変奏曲」は、技巧、表現ともに完璧で、しかも使用ピアノは「Yamaha Piano CF IIIS # 5542200」という良い音がする面白そうなピアノだった。私は、そういうピアニストには目がないので、迷わず追っかけることにした。現在、私は彼女の現行商品6枚(オリガ・カーン ディスコグラフィー参照)をゲットしている。

まず、彼女のデビューCDである「11th Van Cliburn International Piano Competition」を紹介しよう。曲目は上記6曲。このCDのリーフレットには、カーン以外の「クライバーン・コンペティション、金賞、銀賞」受賞者のCDの宣伝も載っている。よって、これは「クライバーン・コンペティション主催者」と「harmonia mundi usa」が提携・企画して発売したシリーズの1枚であるようだ。

このCDは、おそらくライヴ録音である。ただ、コンペティションでの演奏ではなく、その後に催された「受賞記念コンサート」か、あるいは、その他の機会に録音されたものであろう。そのあたりのデータは書いてないみたいだ(英語なので分からん)。全曲ライヴかどうかも分からない。最後の曲は拍手が入っているのでライヴであるのは間違いないが...。

このCDは、とにかく演奏がスゴイ。選曲もスゴイ。いきなりスクリャービンの《黒ミサ》に始まり、ワーグナー=リストの《イゾルデの愛の死》。バーバーの超絶技巧ソナタ。シューベルトの親しみある有名曲。1945年生まれの米国女性作曲家 Judith Lang Zaimont の6分ぐらいのピアノ曲(これは課題曲だったのかどうかは分からないが、コンペティション予選でカーンが演奏したとブックレットに書いてある)。リストの《ドン・ジョバヴァンニ》の回想。

第1曲のスクリャービンからしてスゴイ。この曲は、ホロヴィッツが「1965年カンバックコンサート」で演奏したのが良い演奏だが、それとはまったく違う。かといって、アシュケナージや小山実稚恵のような、まともな演奏家(?)の演奏とも違う。カーンのスクリャービンには「雰囲気」が、ない。

このCDに入っている難曲(第1,3,5曲)について、もし、ある人が、彼女に、彼女の演奏の過激さについて弁明を求めたと仮定する。そしたら彼女は次のように答えるだろう...

「私の演奏が過激なのは、私の責任ではない。また、作曲家の責任でもない。それは、楽譜のせいだ」と。

 

また、

http://www14.plala.or.jp/pianoroom/CD/kern.html

上記URLに、カーンの4枚目のCD「ラフマニノフ:ソナタ2番」について、ブレヒトの「異化作用」ということが述べられているのを見つけた。ブレヒトの「異化作用」というのは、何のことだか私は知らない。しかし、確かに、カーンの演奏は、そういうわけが分からない形容が似合うのじゃないかと私は思う...というか、彼女の演奏は、どういう言葉で形容しようとしても、また、どういう言葉で印象を述べようとしても、それらの「試み」は不可能じゃないかと思える。カーンの演奏はそういう演奏である。

私は、ワーグナーには免疫ができてるので、第2曲の《愛の死》は普通に楽しめるが、もしかしら、とんでもない演奏かも知れない。

バーバーはスゴイ。シューベルトはまったく普通。Zaimontはスゴイ。最後のリストはリラックスできる演奏。

こうやってみてみると、このCDには、スゴイ演奏と楽しい演奏が交互に入っているような気がする。

「スゴイ」という言葉は、読者に「何も伝えない」ことは私には分かっている。しかしながら、残念なことに、私には、カーンの演奏を分析する能力がない。

ただ、カーンの演奏は、その後リリースされたCDにおいて、このデビューCDとは異なる傾向が聴かれる。オリガ・カーンの個性は、その落差を含めて説明しなければならない。したがって、今回は「(当然のことながら)このCDが彼女のすべてではないこと」「彼女が過去のヴィルトゥオーゾとは違う、新しいタイプのヴィルトゥオーゾであること」を指摘するにとどめる。(つづく)

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