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2008年2月21日 (木)

ヒラリー・ハーンを追っかける(1)

1
・J.S.バッハ
無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第3番 ホ長調 BWV1006
無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番 ニ短調 BWV1004
無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ 第3番 ハ長調 BWV1005
ヒラリー・ハーン
1996、1997年録音

 

「人気アイドルを追っかける」みたいなことをしてみたいと思う。理由は、最近、期待できる若手演奏家で、息が長く、細く長くつきあえる人を探し始めたからである。クラシック音楽の演奏家でそういう人は意外に少ないと思う。昔で言えば、ポリーニとかアルゲリッチだけど、両者とも、けっこう、気まぐれな人たちだった。そういう人たちにお付き合いするのは疲れる。また優れた演奏家でも、消える人は少なくない。よって、気まぐれでもなく、消えてしまわない人を見つけて「追っかける」ことにする。それは楽しいし、精神衛生上も悪くない。つまり、芸術家の気まぐれに振り回されるのは嫌になった。わかりやすく言えば、私も歳とったと言うことか。

二人の演奏家を発見した。一人はピアニストのオリガ・カーン(Olga Kern)。もう一人が今をときめくヒラリー・ハーン。

まずは、ハーンのほうから追っかける。理由は簡単。ハーンの全CDをゲットできたからである。オリガ・カーンのは、まだ全部入手できていない。カーンのは手に入れるのに時間がかかりそうだ。

ところで、ヒラリー・ハーンの「追っかけ」をやっている人は多いと思うので、私は遅ればせながらの「ハーンの追っかけ」であり、やっと、ミーハーの仲間入りしたのだと思うのだが、もう一人のほうのオリガ・カーンの追っかけやってる人は少ないと思う。どちらかというと、いまのところ、後者の追っかけのほうが私にとってエキサイティングである。

さて、前もって、ヒラリー・ハーンのディスコグラフィーのページを用意した。その順に感想文を書いていく(なお。このディスコグラフィーが正確に彼女のCDの発売順であるかどうかは知らない)。

まず、私とヒラリー・ハーンの出会い...というのは大袈裟か...つまり、彼女のCDを初めて買ったのは、彼女のベートーヴェン、ショスタコを聴きたくなったからだ。ベートーヴェンについては、いずれ「ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲聴き比べ」を書こうと思っていたので、その聴き比べの1枚として買った。ショスタコのほうは「オイストラフのものすごい演奏以外に新しい演奏で良いものはないのか?」と、それを探すために買った。ハーンのベートーヴェン、およびメンデルスゾーン&ショスタコを1, 2回聴いてみて、最初は、さっさと売っぱらおうと思ったが、ベートーヴェンのほうにカップリングされていたバーンスタインの「セレナーデ After Plato's "Symposium"」というのが良かったので売らないことにした。ショスタコもひどく悪い演奏ではなかったので、売らなかった。

私が、当初、ハーンを、さほど気に入らなかったのに、なぜ、いま、まるで人気アイドルを追っかけるように、ハーンのCDを全部買って、追っかけたくなったかというと、その理由はすでに上に書いたのが一つ。もう一つは、ハーンの個性がだんだん気に入ったからだ。彼女はバーンスタインが弾ける。しかも、それをベートーヴェンとカップリングしている。メンデルスゾーンにはショスタコ。彼女のCDにはそういうのが多い。なかなかユニーク。あるいは商売上手。また、ベートーヴェンのほうは、よく聴いてみると、ジンマン(Zinman)の指揮がうまかった。ハーンは、いろいろな指揮者、オケと共演している。いま流行の言葉で言うコラボレーション。ジャズで言えば、ジャムセッションというか、例えばジャズの良い歌手が良いミュージシャンを引きつけ、結果、バックをつとめさせるのと似ている。

前もって言っておくが、最初に買った「ベートーヴェン&バーンスタイン」および「メンデルスゾーン&ショスタコ」の2枚は、ハーンの演奏のうちで、たまたま、良い物に出会ってしまったという気がする。というのは、その後に買ったその他のCDは期待はずれで、いまいちピンと来ないのが多かったような気がする。だが、まだ、それらを1度しか聴いていないので、決定的なことは言えない。

まず最初の感想文は、彼女のデビュー盤とおぼしきバッハの「無伴奏」。

17才の時の録音らしい。結論から先に言うと、これは素晴らしい。いきなり「パルティータ第3番 BWV1006(つまり最後の曲)」から始まる。しかし、この曲は親しみやすい曲なので、別に変ではない。

ハーンの「BWV1006」は、うまいけど「普通!」だ。録音は適度な残響で盛り上げている。

私は、バッハの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ」という作品群に、特別な思い入れがない。ミルシテインや、シェリングの演奏を聴いても、あまり良いと思わなかった。バッハの「無伴奏チェロ組曲」にも、思い入れがない(何故そうかというと、理由はあるが、それを書くと完全に横道にそれるので書かない)。だから、バッハの無伴奏ヴァイオリンはどういう演奏をしなければならないか、という追究は私には全然ない。

余談だが、ハーンのデビューCD盤のジャケットはお粗末である。目の粗い写真に汚い印字で"Hilary Hahn plays Bach"と書いてるだけ。多分、ソニーは、このアルバムはヒットしないと思ってたのだろう。しかし、その後に出されたいくつかのCDのジャケットもデザインの良くないのが多い。まだ出てないが、一番新しいシベリウス&シェーンベルクのが一番きれいかも知れない。

さて、ハーンの演奏に戻るが、

2曲目の「パルティータ第2番 BWV1004」のアルマンドの最初の反復を聴いて「やられた!」と思った。

上にも書いたとおり私は、そもそもバッハの「無伴奏ヴァイオリン」という音楽全曲に「こう演奏されなければならない」というイメージがない。ハーンの「アルマンド」は、そんな私のイメージの貧困さと弱さをついた演奏といえる。

クラヴィーア曲なら、グールド、ユゲット・ドレフュス、ヴァルヒャの圧倒的なアルマンドにより「アルマンドはかくあるべし」という基準が私にはある。しかし「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 BWV1004」のそれにはなかった。よって、ハーンのアルマンドの、全然、アルマンドらしくない演奏に、私は「一耳惚れ」してしまった。後はもう説明したくない。聴けば分かります。聴いたことがない人は安いので買って聴いて下さい。ただ、ハーンのBWV1004の演奏時間を、ミルシテイン73年録音のそれと比較したい。ハーンの演奏の特徴の一つはこの演奏時間の比較から窺えると思うからである。

1. アルマンド 4'05" 5'13"
2. クーラント 3'33" 2'08"
3. サラバント 4'01" 4'44"
4. ジーグ 4'13" 3'22"
5. シャコンヌ 13'56" 17'48"
(前者がミルシテイン73年録音、後者がハーン)

・おまけ
私は、よく考えてみたら、すでにヴァイオリニスト、ユリア・フィシャー(Julia Fischer)の追っかけやってた。それに、バッハの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ」についても一度書いてる。どうも、この曲は、若手の女性ヴァイオリニストの演奏が私の気に入るようだ。

 

 

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