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2007年6月18日 (月)

シノーポリのマーラー:交響曲全集(1)

Mahler_sinopoli

GUSTAV MAHLER
10 Symphonies & Lieder

CD 2
交響曲第1番ニ長調
1. 第1楽章 16'30"
2. 第2楽章 8'10"
3. 第3楽章 11'57"
4. 第4楽章 20'31"

録音:1989年2月

そもそも私がこのブログを作った目的は渡辺純一さんのトロンボーン吹きによるクラシックの嗜好と交流するためでした。もっと具体的にいうとバルトークの弦楽四重奏曲全集について渡辺さんと意見交換するためでした。ところがその作品群は難しい。すなわちバルトークの弦楽四重奏曲は難しく、それを音楽的にある程度理解し、その記事を書く前に、まずはヤーノシュ・カールパーティ著バルトークの室内楽曲を読まなければならなくなり、さらにこの本を読むには、その本にある譜例の音を出すために鍵盤楽器を買う必要ありと判断。そしてやっと、カシオの電子ピアノを注文。いま「バルトークの室内楽曲」はまだほとんど読んでません。

ところで私は楽譜読めない、楽器弾けないので、まず四十の手習いでピアノの練習しなければならない。そういうわけでバルトークの弦楽四重奏曲について書くのは「いつになることやら」という状態です。

というわけで、その前に、標記シノーポリのマーラー:交響曲全集について書いて、渡辺さんと意見交換したいと思います。

私はこの6月に上記シノーポリのマーラー:交響曲全集ボックスセットを購入しました。購入の動機は特になし。「そろそろ購入する時期かな」と思って、何となく買いました。

私はシノーポリのマーラーは第2,5,6番を持っていましたが第1番は初めて聴きました。結論から先にいうと私の感想は「思ったより良い」です。

前置きばかり長くなりますが、私が、この曲を初めて聴いたのは、30年近く前、NHKのテレビ番組で、福岡市あるいは福岡市近郊の学生オーケストラのメンバーが尾高忠明さんの指揮でこの曲を演奏したドキュメントを見た時です。その番組の全容ははっきり憶えてませんが、私が感じた印象はしっかり憶えています。それは「マーラーの1番は青春の音楽だなぁ」という感じ。その番組は2部構成で、第1部は演奏に至るまでの尾高忠明さんと学生さんたちの約1ヶ月にわたる悪戦苦闘。第2部は演奏会での演奏。この番組はおそらく福岡または九州地区でしか放送されなかったと思います。

さて本題。私はこのマーラー第1番は、実は4つしか持ってなくて、1つは上述番組を見たときに購入したブルーノ・ワルター指揮ニューヨーク・フィル/54年モノラル録音/LP盤(当時私は貧乏だったのでコロンビア交響楽団ステレオ盤は高くて買わなかった)。あとはバーンスタインの新盤とレーザーディスク盤、およびこのシノーポリ盤だけです。ただし、バーンスタインCD盤は面白くなかったので、すでに手放しました。ということは、すなわち、私はこの作品にそれほど強い思い入れはありませんでした。

シノーポリの1番は部分部分だけ聴くと悪くないのに、全曲または各楽章に「見通しの悪さ」を感じます。

第1楽章の始まりの弦の金属的持続音は、私の若かりし時に聴いたワルターモノラル盤での印象が強く、好きな音なんですが、シノーポリの音も悪くない。そのあと第1楽章序奏の終わり提示部の手前、ゴジラのテーマみたいなのがチェロで出てきた後、ホルンで4度下降モチーフが絡むあたりは《ラインの黄金》の冒頭みたいでワーグナーっぽいのは悪くない。そういうところは、私は、この演奏において良いと感じるのです。

この序奏の4度下降を含むテーマはモーツァルトの交響曲第25番ト短調の第1楽章第1主題を真似たと思うのですが、どうでしょうか。完全に同じではありませんが...。

この録音で第1楽章の序奏のファンファーレが遠くから聞こえたり、その後展開部あたりでは近くから聞こえたりするのはスコアの指示によるものなんでしょうか。

この作品の第1楽章と第2楽章は、第5交響曲と同じような連続性とか統一性を感じるのですが、もしそうだとすれば、その統一モチーフは1オクターブ上昇モチーフだと思います。そして、その統一性は、シノーポリの指揮より、古くさい演奏のワルターの方に、むしろ、あるようになんとなく感じます。もっとも、本来は第1楽章のあと《花の章》があったわけですから第1,2楽章の統一性というのは私の勘違いかも知れません。

ワルターは第1楽章提示部をリピートしていないので

第1楽章 12'40”
第2楽章 6'30"
合計19'10"

シノーポリは提示部リピートしているので第1楽章と第2楽章の合計は上記に示した時間の合計24'40"です。

演奏時間の比較は意味ないと思いますが、ワルター/NYP盤の方がスッキリしていて統一感、感じます。繰り返しますがワルターの演奏は現在となっては古臭く新鮮ではないのですが、短く簡潔に思えて、聴きやすい。

第3楽章、シノーポリは何をいいたいのかよく分からない。

第4楽章は、提示部で爆発して盛り上がるところは快感ですが、そのあとは、概ねトロくて、しまらない感じ。「トロい」といってもテンポが遅いという意味ではありません。渡辺さんがご指摘の如く確かにコーダへの流れの組み立て、というかコーダそのものが聴き心地と悪いという感じです。

全曲を通して、シノーポリのマーラー1番は情緒に流され、ただの線的な演奏に聞こえました。この交響曲は線的ではないと思うのですが..。すなわち、この交響曲第1番は、第2番以降の音楽的構造の卓越がすでに見られると思うのですが、シノーポリの演奏では、それが欠如しているといったら過言でしょうか。

よく聴いてみると、シノーポリの第3楽章は情緒さえ欠如しているかな..。すなわち第3楽章は、転調と楽想の変化が面白く、けったいなロンドみたいになっているはずなんですが、その面白さが、いまいち耳に入らない。いつの間にか終わってしまうようにも思えます。ワルター盤のほうが《さすらいの若人》のメロディーも生きてるし、演奏の古臭さが19世紀的で良い雰囲気かも知れません。

以上、あまりぼろくそ書くと、上記の第一印象「思ったより良い」と矛盾しますので、良い面も書きます。シノーポリの演奏を聴いて、私は初めて、この作品の懐の深さ、奥の深さみたいなものを感じました。それを気づかせてくれたという意味でこの演奏は良い演奏です。そしてこのシノーポリ指揮マーラー1番は何度でも聴きたくなる魅力があり、おそらく優れた点も多くあるはずなんですが、私はそれを指摘することができませんでした。本当にけなすは易しです。

それにしても、この作品、ワルター/NYP盤もなんとなく見通しの悪さを感じさせるのですから、演奏するのが難しいんでしょうね。(三浦)

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